課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「ミッション(使命)」「ビジョン(理想)」そして「バリュー(価値)」の「三位一体となった哲学」をもって経営を推進してまいります。すなわち、「何のために存在するのか(ミッション)、何を実現したいのか(ビジョン)、何を重視し価値判断の基準とするのか(バリュー)」を明確にし、それを一貫した企業命題と定め、企業行動のよりどころとしてまいります。そして、当社グループの最も重要な経営課題は、この価値命題を研ぎ澄ましていくことであります。当社グループは、顧客、社員、社会及び投資家のロイヤリティを高めるために、事業の企画から製造、販売、サービス及びサポートに至る全てのプロセスにおいて、最高水準の商品とサービス価値を創造し、提供するために活動する企業であります。これこそが当社グループのよって立つ「価値命題」であります。

 当社グループは「価格」で競争することをさけて、あくまでも「価値」で勝負することを事業コンセプトのベースとした事業価値の創造によって成長を果たしてまいります。そして常に人間性、社会性、経済性を重視した事業行動によって、事業価値、人間価値、社会価値そして資本価値を高めることにより、バランスあるコーポレート・バリュー(企業価値)の向上を図ります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループにおきましては、常に消費者視点に基づき、利便性・経済性を重視した事業展開によって、収益・キャッシュ・フローを生み出す、システム的な事業体制と自販機運営のビジネスモデルを確立し、比較的市況変動の影響を受けずに安定的に付加価値を確保できるように努めます。

 当社グループが目指す自販機運営リテイル事業は、自販機の社会有用性を高めるとともに環境負荷の低減を通じて、消費者に対して総合力で応えられるマーケットインの事業構造に転換することであります。このためには、飲料メーカーの自販機部門や同業オペレーターとのアライアンスやM&Aを通じて、消費者に対しワンストップでシームレスなサービスを提供することが必要であると考えております。

 当社グループを取り巻く経営環境を展望すると、自販機オペレーター業界及び飲料業界は一層厳しさを増す企業間競争や収益性の低下に加え、構造的な人手不足の影響により、生産性の向上が大きな課題になると認識しております。また、特に自販機オペレーター業界ではM&Aや事業提携・資本提携による再編が急速に進んでおります。さらに、今後の製造・物流のありかたを大きく変容させる人工知能やロボット技術、自動運転技術といった様々な技術革新が起こっております。このように、現在は事業環境の大きなターニングポイントに直面していると認識しており、これらの変化を新たな事業展開の好機と捉え、常に経営戦略の見直しを行ってまいります。

 なお、リスク管理面では、グループ従業員に対するコンプライアンス教育により法令遵守を徹底するとともに、内部統制システムにつきましても一層の充実と体制強化を図ってまいります。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは付加価値の増殖による株主資本の充実を図るとともに、株主資本及び総資本の効率的運用と収益性の向上を目標としています。企業価値を高める中期的な経営指標として、次の数値目標を設定しており、これらの実現と同水準の恒常的な確保に努めます。

① 売上高経常利益率 ………………   6%以上

② 投下資本利益率 …………………   7%以上

③ 配当性向 ………………………… 30%以上

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは経営資源や資本の効率化を図るとともに、更なる経営効率の向上に努め、グループの総和的価値を高めてまいります。また、事業運営にあたりましては、コンプライアンスを重視し、経済構造や社会情勢等の経営環境の変化に対し迅速かつ柔軟に対応できるよう企業体質の強化に努めてまいります。これらを実践するため、当社グループは以下の課題に取り組んでまいります。

 自販機オペレーター業界におきましては、一層激しさを増す企業間競争や収益性の低下等により、業界再編が一段と進行しております。加えて新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動自粛措置は徐々に解除されたものの、国際情勢の変化がもたらすエネルギー・原材料高による先行きに対する不透明感は一層強まっています。こうした環境のもと、自販機産業全体が大きな転機を迎えており、収益性重視の事業再構築が、当社のみならず業界全体の競争力向上や産業構造転換のために焦眉の急となっております。

 

 このような状況のもとで、当社グループは自販機運営リテイル事業2社の統合を決定するとともに、同業の専業オペレーターとの間で業務提携、M&A(企業の合併・買収)を積極的に推進し、自販機設置の適正化とグループの競争力を高めてまいります。自販機やスマートストアの商品戦略においては、ウェルネス商品など高付加価値商品の自社ブランド開発を強化し、ECサイト・SNSを活用した新しいマーケティングを本格的に展開するとともに、過度に依存した飲料販売から食品及び物販等のバランスの取れたセレクトショップへ移行してまいります。

 飲料製造事業につきましては引き続き高付加価値製品の提案力を強化し、利益率重視の経営方針を堅持してまいります。具体的には商社やブランドオーナーに対するプライベートブランド商品については、高付加価値RTD(低アルコール飲料)やウェルネス商品を中心に付加価値の高い製品に注力し、価格競争とは一線を画してまいります。

 また、当社グループの強みである商品提案力や安定的な供給力を武器に、ポストコロナ時代にも選ばれる商品提案を行い、更なる飲料市場の開拓を図ってまいります。販売面では、パウチ飲料を中心にウェルネス製品を積極的に開発し、スーパー・ドラッグストアなどの量販店向けの販売だけでなく、Eコマース等のダイレクト販売を強化してまいります。

 当社グループが選択するこの成長戦略は、引き続き優位性を堅持できるものと考えており、新しいビジネス機会に対応し、収益体質の強化を図り、確固たる経営基盤を構築してまいります。

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