業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、製造業を中心に民間企業業績の改善が見られたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化する中、断続的に経済活動が制限されたことによる個人消費の回復の遅れや原材料価格の高騰、また世界的な地政学リスクの上昇もあり、先行きは極めて不透明な状況で推移しました。

当社グループを取り巻く建設業界におきましては、引き続き公共投資は堅調に推移し、民間建設投資においても持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の価格高騰や納期遅延等の影響を受け、供給面で引き続き厳しい経営環境が続いております。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。

受注環境は良好であったものの全国的な半導体供給不足の影響により建設工事の一部に着工や進捗の遅延等が発生したことから、売上高は110,120百万円(前連結会計年度比0.4%増)にとどまりました。利益面につきましては、相対的に売上規模が大きく利益率の低い商品販売事業の売上高が減少し、一方で工事事業は堅調に推移したため、人件費等の販売費及び一般管理費は増加したものの、営業利益は6,297百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。経常利益につきましては為替差益の計上等により7,120百万円(前連結会計年度比4.6%増)となったものの、前期は特別利益に投資有価証券売却益を計上していることから、親会社株主に帰属する当期純利益は4,724百万円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は1,407百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ42百万円減少しております。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

<商品販売事業>

商品販売事業におきましては、空調機器、制御機器、省エネ機器を中心とした設備機器の仕入・販売及びこれに関する据付け工事、アフターサービス等を行っております。当連結会計年度は、特に都市部における再開発案件が動き始めたことで受注環境は良好であったものの、半導体供給環境の悪化で一部の空調機器販売製品の確保に苦慮したこともあり、売上高は72,875百万円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。利益面では相対的に利益率の高い空調機器の保守メンテナンス案件が伸長したことにより売上高の減少による影響を一部補い、売上総利益は14,822百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,407百万円減少し、営業利益は42百万円減少しております。

<工事事業>

工事事業におきましては、計装工事のほか各種工事の設計・施工及び保守を行っております。当連結会計年度は、世界的なカーボンニュートラルに向けた取組みの推進やエネルギー価格の上昇を背景に、より一層のエネルギー効率の上昇が求められる環境下で、当社グループの供給する計装システムの需要がさらに伸長し、売上高は38,755百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。また、相対的に利益率の高い計装システムの保守メンテナンス案件が伸長したことや、技術力の高い社員の育成が順調に進んでいることによる原価低減効果もあり、売上総利益は12,542百万円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,127百万円増加し84,611百万円となりました。これは、営業債権や棚卸資産の純減1,335百万円があった一方で、現金及び預金の増加2,790百万円及び海外子会 社を新規連結したこと等によりのれんが1,510百万円増加したことが主な要因です。

なお、商品販売事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて742百万円減少し52,987百万円となりました。一方、工事事業の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて4,119百万円増加し30,523百万円となりました。

 

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて49百万円増加し42,942百万円となりました。これは有利子負債の減少1,796百万円があった一方で、契約負債等の増加によるその他流動負債の増加747百万円、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加1,051百万円があったことが主な要因です。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,078百万円増加し41,669百万円となりました。これは、保有有価証券の時価下落によりその他有価証券評価差額金が326百万円減少及び海外子会社の新規連結により為替換算調整勘定を240百万円マイナス計上した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上から配当金の支払を差し引いた利益剰余金の純増3,549百万円があったことが主な要因です。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は49.2%となり、前連結会計年度末から1.9%上昇しました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて2,779百万円増加し7,660百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末の営業活動の結果得られた資金は11,010百万円(前連結会計年度は5,242百万円の収入)となりました。これは、法人税等の支払額2,675百万円に加え、棚卸資産の増加1,884百万円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益7,120百万円、売上債権の減少4,739百万円及び減価償却費1,311百万円の計上並びに未収入金の減少1,153百万円により資金の増加があったことが主な要因です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末の投資活動の結果使用した資金は5,127百万円(前連結会計年度は2,265百万円の支出)となりました。これは、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3,128百万円と有形固定資産取得による支出1,599百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末の財務活動の結果使用した資金は3,296百万円(前連結会計年度は3,795百万円の支出)となりました。これは、主に借入金及び社債の純減額1,796百万円と配当金の支払1,147百万円による支出があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

商品販売事業

工事事業

38,661

105.1

その他

43

98.1

合計

38,704

104.6

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b. 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

商品販売事業

58,784

100.6

工事事業

その他

合計

58,784

100.6

 

 

c. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

商品販売事業

76,004

98.9

35,573

115.3

工事事業

41,570

109.1

26,320

178.3

その他

合計

117,574

102.3

61,894

135.7

 

(注) 当連結会計年度において工事事業における受注残高が前連結会計年度に比べ78.3%増加いたしました。これは工事事業を主要な事業としているQuantum Automation Pte.Ltd.の株式を2022年3月30日に取得し、連結の範囲に含めたことが主な要因です。

 

 

d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

商品販売事業

71,408

98.3

工事事業

38,668

104.6

その他

43

98.1

合計

110,120

100.4

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ 売上総利益及び営業利益
 当連結会計年度の売上総利益は27,384百万円(前連結会計年度比4.3%増)となりました。受注環境は良好であったものの、全国的な半導体供給不足の影響により建設工事の一部に着工や進捗の遅延等が発生したことから売上高は微増にとどまりましたが、相対的に利益率の高い保守メンテナンス需要が伸長したことにより、売上総利益の増加率としては売上高の伸びを上回りました。商品販売事業では前連結会計年度比0.1%、工事事業では同1.9%の利益率がそれぞれ上昇しております。
 販売費及び一般管理費は21,087百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。これは、当社グループ全体の人員が増加したことによる人件費の増加に加え、前連結会計年度の12月より稼働した基幹システムが当連結会計年度には年間を通じて稼働したことによる減価償却費の増加によるものです。
 この結果、営業利益は6,297百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。

ⅱ 経常利益
 当連結会計年度においては、海外子会社株式の取得に関係して為替差益193百万円、また、純投資目的株式の売却による有価証券売却益119百万円を営業外収益に計上したことから、営業外損益の収支としては前連結会計年度に対し改善しました。
この結果、経常利益は7,120百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。

ⅲ 税金等調整前当期純利益
 前連結会計年度は主に投資有価証券売却益を406百万円計上した一方で、当連結会計年度は特別利益・特別損失いずれも計上していないため、特別損益の収支は前連結会計年度に比べ悪化しました。
この結果、税金等調整前当期純利益は7,120百万円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。

ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益
 前連結会計年度には従業員への賃金増加等による、賃上げ・生産性向上のための税制での法人税等の税額控除適用効果があったものの、当連結会計年度は人材確保等促進税制の適用を受けられなかったため、親会社株主に帰属する当期純利益は4,724百万円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。 

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照下さい。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主要な資金需要は商品販売の為の商品仕入、受注工事施工の為の材料費・外注費・労務費、販売費及び一般管理費の為の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。また今後、当社グループの新たな収益の源泉となる新規事業等につきましては、M&Aを含めた投資の検討を行ってまいります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。取引のある大手金融機関とは良好な関係を築いており、突発的な資金需要がある際でも迅速かつ確実に資金調達できる体制となっております。

当連結会計年度末における設備の新設、改修等に係る投資予定金額とその資金調達の方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当連結会計年度に与える影響が限定的であったことから、当社グループにおける会計上の見積りに与える影響の重要性は乏しいと判断しております。

 

(繰延税金資産)
 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
 当社グループは、のれんについて5~8年間の定額法により償却を行っております。その資産性については子会社等の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益等が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得