業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍からの回復が進む中、グローバルで自動化需要が総じて高水準で推移しました。一方、サプライチェーンにおいて不透明な状況が続いており、各種材料や部品の品薄状況が改善されず、一部供給が困難であったこと、生産設備の立ち上げや稼働率が頭打ちになったこと、期末にかけてウクライナ情勢や中国のコロナ影響などにより、さらに混乱する状況となりました。

こうした環境において、当社はメーカー事業と流通事業を併せ持つユニークな業態を活かしながら、これを支える事業基盤をグローバルで進化させ、顧客の確実短納期ニーズに応えることで世界の製造業を中心とした自動化関連産業に貢献しています。

これまで当社が築いてきたIT、物流、製造の強固な事業基盤やグローバル拠点網を活用し、全地域で回復した自動化需要を的確に捉えることに尽力しながら、昨年度から取り組んでいる収益改善策を徹底継続し、一部供給制約がありましたが、グローバル確実短納期の強みを発揮してきました。

この結果、連結売上高は366,160百万円(前年同期比17.8%増)となりました。利益面につきましては、売上高の拡大、収益改善効果および為替効果により、営業利益は52,210百万円(前年同期比92.0%増)、経常利益は52,500百万円(前年同期比93.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は37,557百万円(前年同期比119.1%増)となり、売上高、利益ともに過去最高を更新しました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

セグメントの名称

売上高

営業利益

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減比
(%)

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減比
(%)

FA事業

102,244

119,253

16.6

16,115

23,381

45.1

金型部品事業

66,871

75,108

12.3

4,930

9,542

93.5

VONA事業

141,602

171,799

21.3

6,152

19,287

213.5

        合計

310,719

366,160

17.8

27,199

52,210

92.0

 

 

 

FA事業は、旺盛な自動化需要により全ての地域で大きく伸長し、売上高は119,253百万円(前年同期比16.6%増)、営業利益は23,381百万円(前年同期比45.1%増)となりました。

金型部品事業は、米州・アジアがけん引し、グローバルで自動車関連需要が回復したことにより、売上高は75,108百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益は9,542百万円(前年同期比93.5%増)となりました。

VONA事業は、ミスミブランド以外の他社製品も含めた製造・自動化関連設備部品、MRO(消耗品)等間接材を販売するミスミグループの流通事業です。低収益商品の販売中止や一部商品不足の影響を受けたものの、グローバルで自動化関連需要を獲得したことにより大きく成長し、売上高は171,799百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益は19,287百万円(前年同期比213.5%増)となりました。

 

  ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べて29,479百万円増加し、101,443百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、55,391百万円の収入となり、前年同期に比べて18,898百万円収入が増加いたしました。

営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益が51,131百万円、減価償却費が15,341百万円、売上債権の増加額が511百万円、棚卸資産の増加額が2,857百万円、仕入債務の増加額が1,029百万円、法人税等の支払額が10,655百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、22,761百万円の支出となり、前年同期に比べて15,692百万円支出が増加いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、固定資産の取得による支出が16,508百万円、定期預金の預入による支出が13,463百万円、定期預金の払戻しによる収入が7,102百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、9,609百万円の支出となり、前年同期に比べて4,078百万円支出が増加いたしました。財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、配当金の支払額が7,817百万円であります。

 

 

  ③ 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

FA事業

41,564

+10.3

金型部品事業

27,420

+13.0

VONA事業

449

+6.4

合計

69,433

+11.3

 

(注) 1 金額は販売価格によっております。

 

 b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

FA事業

35,744

+15.7

金型部品事業

30,150

+23.9

VONA事業

98,283

+15.1

合計

164,178

+16.8

 

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。

 

 c. 受注実績

当連結会計年度における受注実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

FA事業

126,062

+12.0

6,179

△27.7

金型部品事業

76,809

+12.0

2,718

+29.9

VONA事業

175,220

+18.0

5,546

+11.5

合計

378,092

+14.7

14,445

△7.5

 

(注) 1 上記の金額には、当社グループにおける外部顧客からの連結受注実績を記載しております。

 

 d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

FA事業

119,253

+16.6

金型部品事業

75,108

+12.3

VONA事業

171,799

+21.3

合計

366,160

+17.8

 

(注) 1 主な相手先の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10に満たないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

   (財政状態)

  (資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ58,468百万円(20.2%)増加し、347,390百万円となりました。流動資産は49,147百万円(24.1%)増加し、253,123百万円となりました。これは主に現金及び預金が36,466百万円(50.3%)増加、受取手形及び売掛金が5,131百万円(7.2%)増加したことによるものであります。固定資産は9,321百万円(11.0%)増加し、94,266百万円となりました。このうち有形固定資産は4,031百万円(9.5%)増加し、46,520百万円となりましたが、これは主に使用権資産が3,062百万円(48.2%)増加したことによるものであります。また、無形固定資産は3,938百万円(12.4%)増加し、35,719百万円となり、投資その他の資産は1,350百万円(12.7%)増加し、12,026百万円となりました。

 

  (負債)

 

負債合計は、前連結会計年度末と比べ12,078百万円(21.8%)増加し、67,430百万円となりました。このうち流動負債は9,819百万円(23.1%)増加し、52,410百万円となりましたが、これは主に未払法人税等が4,378百万円(157.7%)増加、支払手形及び買掛金が2,159百万円(11.1%)増加したことによるものであります。また、固定負債は主にリース債務が2,534百万円(88.2%)増加したことにより、15,019百万円となりました。

これらの結果、流動比率は4.8倍となり、継続して高い安定性を維持しております。

 

  (純資産)

純資産合計は前連結会計年度末と比べ46,390百万円(19.9%)増加し、279,959百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が29,739百万円(15.6%)増加したことにより、株主資本が30,195百万円(13.2%)増加したこと、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額が15,882百万円増加したことであります。

これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度の80.0%から79.8%となりました。

 

   (経営成績)

  (売上高)

当連結会計年度の売上高は、366,160百万円、前年同期比で55,441百万円(17.8%)の増収となりました。これは、FA事業、VONA事業、金型部品事業の全セグメントにおいて前年同期比で増収となったことによるものであります。

 

  (売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、199,296百万円、前年同期比で23,455百万円(13.3%)増加しました。売上総利益は、166,863百万円、前年同期比で31,985百万円(23.7%)の増益となりました。販売費及び一般管理費は、114,652百万円、前年同期比で6,973百万円(6.5%)増加しました。売上高に占める販売費及び一般管理費の割合は前期の34.7%から31.3%となりました。これらの結果、営業利益は52,210百万円、前年同期比で25,011百万円(92.0%)の増益となりました。営業利益率は前期の8.8%から14.3%となりました。

 

  (営業外損益、特別損益)

営業外損益の純額は289百万円の営業外収益となりました。この結果、経常利益は、52,500百万円、前年同期比で25,310百万円(93.1%)の増益となり、経常利益率は前期の8.8%から14.3%となりました。また、特別損益の純額は、1,368百万円の損失となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は、51,131百万円、前年同期比で27,634百万円(117.6%)の増益となりました。

 

  (親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、37,557百万円、前年同期比で20,418百万円(119.1%)の増益となり、売上高純利益率は前期の5.5%から10.3%となりました。また、1株当たり当期純利益は、前期の60.36円に対して132.15円となりました。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金につきましては、全て自己資金による充当を基本としております。

また、より効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。
 なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

 ③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りを必要とするものにつきましては、過去の実績や当該事象の状況を勘案し、合理的と考えられる方法に基づき行っております。ただし、前提条件や事業環境等に変化が見られた場合には、見積と将来の実績が異なることがあります。

当社グループの財政状態又は経営成績に対し、重要な影響を与え得る会計上の見積りは以下のとおりです。

 

(a) 棚卸資産の評価
 棚卸資産の評価基準として、主として移動平均法、総平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。従って、予期しない市場価格の下落や需要の減少等が生じた場合、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、商品及び製品の評価に係る重要な会計上の内容に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(b) 繰延税金資産
 繰延税金資産の算定にあたり、将来の業績予測やタックス・プランニング等をもとに将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。従って、将来の課税所得の見積額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(c) 固定資産の減損
 当社グループでは固定資産の減損について、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位で資産をグルーピングし、減損の兆候の有無の判定を行っております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定し、その結果減損が必要と判断された資産については帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。従って、経営環境の悪化や時価の著しい下落等が生じ、将来キャッシュ・フロー等の見積りが著しく減少した場合、減損損失計上により当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(d) 退職給付費用及び債務
 当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 

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