課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、鉄の専門商社として幅広い鉄鋼製品の販売及び加工を通じ、社会に貢献することを経営理念としております。この経営理念に基づき、お客様のニーズに合った商品・サービスを提供することにより、事業の発展と企業の健全な成長を図ると共に、社会・顧客・株主に信頼される企業を目指しております。

(2)経営戦略等

当社グループは、鉄の専門商社として、また鉄鋼製品メーカーとしてお客様のニーズにあった高付加価値商品・製品の提供と、それらの即納体制の充実を目指して活動しております。なお、これらの幅広い鉄鋼建材商品の更なる取扱量の増加を目指し、ゼネコン及び商社等より鉄骨工事を請負い、子会社・協力会社のファブリケーターにて加工し、現場での組立・施工を含めた対応を行っており、鋼材流通業に加えて、建設業としても鉄鋼製品の商品・サービスを提供しております。

(3)経営環境

当社グループが所属する鉄鋼流通加工業界におきましては、世界的な鉄源不足から、スクラップや鉄鉱石・石炭等の資源価格が上昇していた事に加えて、ウクライナ情勢から更に資源価格は高騰しており予断を許さない状況となっております。これらの状況から国内鉄鋼メーカーは度重なる製品の値上げ発表をしており、それらに呼応し国内鋼材市況も右肩がりで上昇を続け、過去最高値の水準にまで達しており、先行きの市況動向は非常に不透明であります。

国内鉄鋼建材の需要につきましては、首都圏を中心とした再開発物件がようやく本格的に動き出している一方、地方の中小物件においては建築需要が弱く、鋼材の出荷量は全般的には低迷しております。このような状況の中、国内鉄鋼メーカーからの更なる製品価格の値上げやその他建設資材の値上がりが、設備投資意欲の減退に繋がる事が懸念されます。今後の鋼材市況の動向はもちろんの事、建築関連の民間設備投資の動向についても、注意深く観察をし、在庫ポジションを適切に調整して参ります。また、当業界において、大手専門商社を中心に再編の動きが見られます。価格上昇から各社においても運転資金の増加が見込まれ、企業間格差は着実に広がっております。このような状況こそ、チャンスと捉え機械設備のリプレース等を通じて、顧客満足度を高めて参ります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(外注費の過剰支払い及びキックバックの件)

当社役員及び従業員が取引先に対して外注費を過剰に支払い、キックバックを受けていた疑いが生じた件につきましては、第三者調査委員会の調査報告書において発生原因といたしましては、コーポレート・ガバナンスの機能不全、コンプライアンス意識の欠如等を上げられており、会社として非常に重く受け止めております。

今後の会社経営におきましては、ガバナンス・コンプライアンスの一層の徹底に取り組み、取締役会の運営改善、ガバナンス・コンプライアンス体制強化のための人材補強、鉄骨工事請負事業における業務プロセスの見直し及び東京支社のガバナンス強化等再発防止の取り組みを着実に進めて参ります。

(鉄骨工事請負の採算及び収益認識の件)

当社の請け負う、大型の鉄骨工事物件につきましては、詳細な実行予算を作成し、採算性を十分に検討の上、最終的な契約締結の判断をしておりますが、建築物件が大型化・複雑化する中で、契約受注時には採算が見込まれたものの、建築途中での大幅な設計変更や工事進捗に応じて詳細な図面が決定するという業界慣行等から、想定外の追加コストの発生や工期遅延等を回避するための追加の費用発生の可能性があります。その為、工事進捗に応じて常に工事原価総額の正確な見積りを行うとともに、下請業者への発注金額の正当性についても内部統制システムや業務フローを通じてチェック体制の強化に努めて参ります。

また、履行義務の充足に係る進捗度の測定におきましても更に精度向上に努め、精緻な収益認識を行って参ります。

 

(営業上の課題及び財務上の課題)

今後の経済状況の見通しにつきましては、ワクチン接種等により新型コロナウイルス感染症の収束が期待されるものの、新たな変異種の出現により今後も感染拡大と収束を繰り返す事が予想され、社会経済の回復には今しばらく時間を要すると思われます。また、ウクライナ情勢等から世界的に資源価格は上昇しており、金融資本市場においても変動によるリスクが懸念され、先行きの予想は非常に困難な状況にあります。

当鉄鋼流通加工業界におきましては、鋼材市況はいずれの品種においても過去の最高値付近まで上昇しているものの、鉄鋼石・石炭等の資源価格やスクラップ価格は上昇しており、それらの影響や脱炭素に向けたコストアップを受け国内大手鉄鋼メーカーは更なる製品価格の値上げを表明しております。民間設備投資の本格的な回復がほど遠い中、鋼材をはじめとする各種建設資材の高騰が、今後の設備投資意欲の減退に繋がらないかが懸念されます。このような状況から、鋼材市況はメーカー、鋼材流通及び最終需要家の間で、神経質な値動きとなり、予断を許さない状況が続くものと予想されます。

このような状況にありまして当社グループは、鋼材市況に左右されない収益基盤の構築のため、自社での製造販売に注力しており、合成スラブデッキ、フラットデッキ、C型鋼、カクパイプの拡販を進めると共に、新たな製品の開発にも取り組んで参ります。また、鉄鋼流通業といたしましても、従来からの建設業向けはもちろんの事、土木業や製造業など幅広く各地域に根ざした営業を展開し、さらなる販売エリアの拡大と地域シェアアップに向けて、加工設備の新規導入・リニューアルや事業拠点の整備を進めて参ります。

鉄骨工事請負につきましては、首都圏においては再開発の案件が計画されており、また一部の製造業においては経済安全保障の観点から国内回帰の可能性も示唆されております。これらの情報を精査し受注活動を進めると共に、グループ子会社・外注加工会社と結束し鉄骨製品の品質向上を図ると共に、工場での製作コストや物流コストの徹底的な見直しや工事現場での職人の適正配置等、工事原価管理や工程管理を見直し収益の確保を目指します。

財務上の課題としては、鋼材単価の上昇により、売上高が急増し売上債権が増加しております。また、棚卸資産も増加しており、結果的に総資産が大幅に増加しました。当連結会計年度の利益についても堅調に推移はしたものの、自己株式の取得により純資産の増加が少なく、一時的に自己資本比率の低下を招きました。これについても在庫ポジションの最適化と着実な利益の積み重ねにより、早急に改善を図って参ります。

また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、感染症対策もBCP(事業継続計画)の再検討事項に掲げ、従業員、家族、地域住民の方々が安全・安心して暮らせる企業グループを目指します。CSR(企業の社会的責任)につきましても、企業倫理の重要性を再認識し、業務執行の透明性、公正性を確保すべくコーポレートガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底に努めると共に、SDGsやESG経営にも積極的に取り組んで参ります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営等

当社グループは、財務体質の強化と安定的な収益の確保を目指すと共に、株主を意識した経営を心がけており、具体的には財務の健全性の指標として自己資本比率は連結決算・個別決算共に40%以上を確保する事に加え、収益指標として売上高経常利益率5.0%以上を安定的に確保し、また、株主価値の増大を数値的に判断できる株主資本当期純利益率(ROE)4.0%以上を目標としております。

 

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