(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度(2021年9月1日~2022年8月31日)の連結業績は、売上収益が2兆3,011億円(前期比7.9%増)、営業利益が2,973億円(同19.4%増)と、増収、大幅な増益となり、過去最高の業績を達成しました。新型コロナウイルス感染症が収束に向かうなかで、服に対する需要が回復したことに加え、グローバルで継続的にLifeWear(究極の普段着)のブランディングを強化したことや、生産・物流などの環境変化に機動的に対応できたことで、各国・各地域で売上が着実に回復しました。また、期首に比べて当会計年度末の為替レートが1ドル138.7円と約29円の大幅な円安となったことで、外貨建金融資産の換算による為替差益などを1,143億円計上したことから、金融収益・費用は、ネットで1,162億円のプラスとなりました。この結果、税引前利益は4,135億円(同55.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,733億円(同60.9%増)となりました。これらにより、為替の影響を除いても、過去最高の利益となっています。
当連結会計年度の設備投資は865億円、前期比141億円減となりました。内訳としては、国内ユニクロ事業が215億円、海外ユニクロ事業が246億円、ジーユー事業が48億円、グローバルブランド事業が13億円、システム他が342億円となっています。出店投資に加え、自動化倉庫への投資を継続して実施しています。
当社グループは、「グローバルNo.1ブランドになる」ために、1)お客様起点の商品づくり、2)グローバルでの出店の加速、3)店舗とEコマースが一体となった購買体験の構築、4)地球環境・社会のさまざまな課題の解決に注力し、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で強化しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、各国・各地域で出店の加速とEコマースの強化を図っています。グレーターチャイナ、その他アジア・オセアニア地区はすでに確立しているブランドポジションをさらに高め、継続的な事業の拡大をめざします。北米、欧州は、この1年間で収益構造が大きく改善し黒字体質に転換しました。今後は、マーケティングを強化しLifeWearの浸透を図ることで、さらなる事業規模の拡大をめざします。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWearのコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は8,102億円(前期比3.8%減)、営業利益は1,240億円(同0.6%増)と、減収増益となりました。既存店売上高(Eコマースを含む)は、同3.3%の減収となりました。上期は、冬物売れ筋商品が欠品し、お客様の需要に応えきれなかったことで、前年同期比9.0%減収となりました。下期は、外出ニーズの高まりに伴い、感動ジャケット・感動パンツやシャツの販売が好調だったことに加え、7月以降は気温が高く推移したことから夏物商品が好調となり、同4.7%増収となりました。通期のEコマース売上高は1,309億円、前期比3.1%増、売上構成比は16.2%となりました。売上総利益率は、原材料や輸送費の高騰で原価率が悪化した一方で、販売価格のコントロールを徹底したことで値引率が大幅に改善したことから、前期比2.5ポイント改善しました。売上高販管費率は、中長期を見据えて、ブランディング強化のために広告宣伝費を増やしたことや、自動倉庫への戦略的な投資を実施していることにより、同1.5ポイント上昇しました。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は1兆1,187億円(前期比20.3%増)、営業利益は1,583億円(同42.4%増)と、大幅な増収増益となりました。円安が進んだことで、売上、営業利益とも押し上げられていますが、現地通貨ベースでも増収、大幅な増益を達成しました。
地域別では、新型コロナウイルス感染症に伴う行動規制の影響を大きく受けたグレーターチャイナを除くすべての地域で大幅な増収増益となりました。グレーターチャイナは、売上収益が5,385億円(同1.2%増)、営業利益が834億円(同16.8%減)となりました。ただし、第4四半期会計期間3カ月間は行動規制が解除されたことで、売上が回復し、増収、大幅な増益となりました。韓国は、増収増益となりました。その他アジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は、売上収益は約2,400億円と前期比約6割の大幅な増収、営業利益率は約19%と大きく改善し、営業利益も3倍を超える大幅な増益となりました。外出ニーズが回復したことに加え、積極的なマーケティングにより地元のお客様からの支持がさらに高まり、新規のお客様も増加しました。北米は、大幅な増収、黒字化、営業利益率は10%弱を達成しました。コア商品の情報発信やブランディングの強化により、ユニクロのプレゼンスが徐々に確立され、売上を大きく伸ばすことができました。欧州(ロシアを除く)は、大幅な増収、黒字化、営業利益率は約12%を達成しました。ユニクロのLifeWearのコンセプトへの支持が高まり、新規のお客様が増加していることに加え、主要都市に出店している地域旗艦店を中心に販売が好調です。ロシア事業は、引き続き営業を停止しているため大幅な減収、減損損失を計上したことで赤字となりましたが、連結の業績に与える影響は限定的です。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当連結会計年度の売上収益は2,460億円(前期比1.4%減)、営業利益は166億円(同17.4%減)と減収、大幅な減益となりました。上期は、品番数を十分に絞り込めていなかったことや、生産や物流の遅延の影響で売れ筋商品に欠品が発生したことで、販売に苦戦し、減収、大幅な減益となりました。下期は、品番数を絞り込み、マーケティングを強化した結果、カラースラックスやスウェット風のTシャツなどマストレンドを捉えた商品の販売が好調で増収となりました。また、値引きを抑制したことで、売上総利益率は改善、売上高販管費率も改善し、下期の営業利益は大幅な増益となりました。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当連結会計年度の売上収益は1,231億円(前期比13.8%増)、営業利益は7億円の赤字(前期は16億円の赤字)となりました。セオリー事業は、米国や日本を中心に業績が回復し、大幅な増収増益となりました。着心地がよく完成度の高い軽衣料や、プライスラインを見直した商品を戦略的に拡充したことで、客層が拡大しました。プラステ事業は、減収、赤字幅は拡大しました。コントワー・デ・コトニエ事業は、増収、赤字幅は大幅に縮小しました。不採算店舗の閉店や、事業構造改革を進め、売上高販管費率が大幅に改善しました。
[サステナビリティ(持続可能性)活動]
ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。事業の成長・発展だけではなく、社会にとって良い会社になるためのサステナビリティ活動を両輪とする新しいビジネスモデルをめざしています。サステナビリティ活動は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」の6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。
■「商品と販売を通じた新たな価値創造」
循環型社会の構築に資する商品の開発として、ペットボトル由来などのリサイクル素材を使用した商品の開発を拡大しており、例えばユニクロでは、フリースなどの主力商品におけるリサイクル素材の採用が進んでいます。2022年7月に開始した「JOIN:THE POWER OF CLOTHING」キャンペーンでは、海洋ごみを減らす活動のために、100万米ドル(約1億3千万円)を公益財団法人日本財団に寄付する予定です。 また、2022年6月からは、ユニクロで、「PEACE FOR ALL」プロジェクトを開始し、「世界の平和を心から願い、アクションする」という趣旨に賛同した著名人の方々にボランティアでご協力をいただき、それぞれの平和への願いをデザインしたUT(グラフィックTシャツ)を販売し、利益の全額(1枚のTシャツ当たり販売金額の20%相当)を、女性、子ども、難民など、貧困、差別、暴力、紛争などによって影響を受けた人々に対して人道的支援を行っている団体に寄付しています。
■「サプライチェーンの人権・労働環境」
サプライチェーン全体の人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しています。縫製工場と素材工場への監査に加え、さらに上流の紡績工場への監査を開始することで、トレーサビリティの確立を推進しています。また、2021年12月には、サプライチェーンで働く人々のより豊かで安定した暮らしの実現に向けて、最低賃金の保障だけではなく、「生活賃金」(衣住食などの基本的なニーズを満たし、相応の社会生活が営める賃金水準)の実現に向けた目標や取り組みを公表しました。また、バングラデシュでは、工場における労働災害時の労働者への収入保障と医療補償を目的としたパイロットプログラムへの支援を表明しました。
■「環境への配慮」
2021年9月、「2030年度までに、店舗や主要オフィスなどの自社運営施設でのエネルギー使用に由来する温室効果ガス排出量を2019年度比で90%削減、ユニクロ・ジーユー商品の原材料生産・素材生産・縫製に関しては20%削減、自社の使用電力における再生可能エネルギーの割合を100%とすること」を目標として発表し、取り組みを進めています。2022年8月期末時点では、欧州、北米、ベトナム、インドネシア、タイの店舗で、実質再生可能エネルギー使用100%を達成しました。また、水環境の課題に関しては、水の汚染防止と低減、使用量の削減に努めています。2022年6月には、水供給リスクが高い地域や、水使用量の多い縫製・素材工場に対し、取引先ごとに目標を設定し、2025年末までに、各工場の単位当たり水使用量の10%削減(2020年比)をめざす目標を発表しました。
■「コミュニティとの共存・共栄」
ファーストリテイリングは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請を受け、ウクライナおよび周辺地域で緊急人道支援のために、1,000万米ドル(約11億5千万円)の寄付を行いました。これに加え、ユニクロのヒートテック毛布やヒートテックインナーなどの衣料品約10万点ならびに、国内のユニクロ店舗で回収したリサイクル衣料のうち防寒着など約10万点の寄贈をしています。また、欧州エリアのユニクロにおいても、現地NGOを通じ、ユニクロの商品や店舗で回収した防寒着を含むリサイクル衣料の支援や、店頭・オンラインでの募金活動を行っています。さらに、ドイツやオランダのユニクロでは、ウクライナ難民の雇用プログラムも開始しました。
■「従業員の幸せ」
従業員の多様性を尊重し、能力を最大限発揮できる職場環境とキャリア開発を促進するため、2030年度末までに、全管理職における女性比率50%の達成を目標として定めました。この目標達成に向けて、管理職候補となる女性従業員向けの育成計画と中長期のキャリアプランを強化していきます。また、ロールモデルとなる女性管理職とのキャリアセッションや研修(コンフィデンス研修、スキル研修など)に加え、メンター制度を整えるなどのサポートも行っています。女性従業員がより能力を発揮できる環境を実現することを目的として、2022年3月、ファーストリテイリング国内本部と営業部の従業員を対象に女性の健康を知るためのセッションを2回開催しました。男性・女性従業員約250名以上が参加し、女性特有の健康問題などについて理解を深めました。
■「正しい経営(ガバナンス)」
迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。リスクマネジメント委員会では、情報セキュリティリスクや国際情勢に関わるリスクへの対応策について議論を重ねたほか、社内監査で指摘されたリスクの評価や対策の仕組みづくりについて、助言しました。指名報酬アドバイザリー委員会は、2022年3月から透明性、独立性をさらに高めるため、委員長に社外取締役が就任し、委員には全ての独立社外取締役および一部の独立社外監査役、代表取締役が参加する構成にしました。コードオブコンダクト委員会では、従業員ホットラインへの通報や相談がよりスムーズにできるように、従来の電話、メール、郵送に加えてウェブ相談が行える仕組みの整備を進めています。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,805億円増加し、1兆3,582億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,308億円(前期は4,289億円の資金の獲得)となりました。これは主として、税引前四半期利益4,135億円、減価償却費およびその他の償却費1,802億円、仕入債務の増加額1,146億円等の資金増加要因、為替差益1,143億円、棚卸資産の増加額508億円、法人税等の支払額958億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,122億円(前期は825億円の資金の使用)となりました。これは主として、投資有価証券の取得による支出1,175億円、有形固定資産の取得による支出512億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,130億円(前期は3,029億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額530億円、リース負債の返済による支出1,368億円等によるものです。
(2)販売及び仕入の状況
① 部門別売上状況
部門 |
前連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
||
売上収益 |
構成比 |
売上収益 |
構成比 |
|
メンズ |
339,399 |
15.9 |
347,504 |
15.1 |
ウィメンズ |
353,774 |
16.6 |
349,723 |
15.2 |
キッズ・ベビー |
67,790 |
3.2 |
63,902 |
2.8 |
グッズ・その他 |
51,858 |
2.4 |
31,629 |
1.4 |
国内ユニクロ商品売上合計 |
812,822 |
38.1 |
792,759 |
34.5 |
FC関連収入・補正費売上高 |
29,806 |
1.4 |
17,501 |
0.8 |
国内ユニクロ事業合計 |
842,628 |
39.5 |
810,261 |
35.2 |
海外ユニクロ事業 |
930,151 |
43.6 |
1,118,763 |
48.6 |
ユニクロ事業合計 |
1,772,780 |
83.1 |
1,929,024 |
83.8 |
ジーユー事業 |
249,438 |
11.7 |
246,055 |
10.7 |
グローバルブランド事業 |
108,204 |
5.1 |
123,162 |
5.4 |
その他事業 |
2,569 |
0.1 |
2,880 |
0.1 |
合計 |
2,132,992 |
100.0 |
2,301,122 |
100.0 |
(注) 1.FC関連収入とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、フランチャイズ店からのロイヤリティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリントによる収入等であります。
2.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
3.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
4.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)及びプリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。なお、前連結会計年度において「グローバルブランド事業」に含まれていたJ Brand, Inc.については、2021年8月5日に清算結了しております。
5.その他事業とは、不動産賃貸業等であります。
6.国内ユニクロ事業に含まれるEコマース売上高
前連結会計年度 126,921百万円、当連結会計年度 130,918百万円
② 単位当たりの売上状況
摘要 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
前期比(%) |
|
売上収益 |
1,780,604百万円 |
110.2 |
|
1㎡当たり売上収益 |
売場面積(平均) |
2,763,018㎡ |
106.3 |
1㎡当たり期間売上収益 |
644千円 |
103.6 |
|
1人当たり売上収益 |
従業員数(平均) |
92,066人 |
93.9 |
1人当たり期間売上収益 |
19,340千円 |
117.3 |
(注)1.国内・海外ユニクロ事業についてのみ記載しております。
2.売上収益は店舗商品売上高であり、国内ユニクロ事業のEコマース事業・FCに対する商品供給高・経営管理料及び補正費売上高は含まれておりません。
3.売場面積(平均)は、直営店売場の昨年度期末面積数と今年度期末面積数を平均算出しております。
4.従業員数(平均)は、準社員、アルバイト社員、委託社員及び受入出向社員を含み、執行役員を除いております。なお、準社員、アルバイト社員は在籍する年間の平均人員により記載しております。
③ 仕入実績
商品部門別 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
||
仕入高(百万円) |
前期比(%) |
構成比(%) |
|
メンズ |
196,304 |
111.5 |
16.6 |
ウィメンズ |
185,997 |
101.3 |
15.7 |
キッズ・ベビー |
34,769 |
93.9 |
2.9 |
グッズ・その他 |
15,253 |
51.0 |
1.3 |
国内ユニクロ事業合計 |
432,324 |
101.3 |
36.5 |
海外ユニクロ事業 |
556,431 |
127.2 |
46.9 |
ユニクロ事業合計 |
988,756 |
114.4 |
83.4 |
ジーユー事業 |
133,388 |
99.5 |
11.3 |
グローバルブランド事業 |
63,178 |
166.2 |
5.3 |
合計 |
1,185,323 |
114.4 |
100.0 |
(注)1.ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
2.ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。
3.グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コントワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブランドの衣料品販売事業)及びプリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。なお、前連結会計年度において「グローバルブランド事業」に含まれていたJ Brand, Inc.については、2021年8月5日に清算結了しております。
4.上記以外に、その他事業(不動産賃貸業等)がありますが、事業の性格上、仕入は発生しません。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。
採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)業績等の概要」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
Ⅰ 財務戦略の基本的な考え方
当社グループでは、強固な財務体質を維持しながら、事業活動によりフリー・キャッシュ・フローを最大化し、毎期一定程度の株主還元を維持しつつ、成長投資資金と手許流動性も確保していくことを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、営業キャッシュ・フローにより投資資金を賄うことを原則としつつ、天候不順や新型コロナウイルス感染症といった不測の事態に耐えうる手許流動性を確保していきます。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。
Ⅱ 資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況
当社グループでは、アパレル小売業としての特性上、運転資金と天候不順などの不測の事態に備えて月商3~5ヶ月分の手許流動性を確保するよう努めています。当連結会計年度の売上収益2兆3,011億円に対し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1兆3,582億円となっていますが、将来的に当社グループ事業全体で売上収益3兆円を超える計画に対し、月商4ヶ月分の手許流動性は1兆円であること及び当連結会計年度末の社債残高は3,700億円であることから、足もとの手許流動性は適正水準であると考えております。
Ⅲ 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、仕入、物流費、広告宣伝費、地代家賃(店舗に係る賃貸料など)、人件費などがあります。
また、投資活動に係る資金支出では、店舗関連投資(新規店舗の出店や既存店舗の改装)のほか、有明プロジェクト推進における物流倉庫投資やIT投資(店舗のセルフレジ、Eコマース、サプライチェーン関連のシステム投資)があります。2023年8月期は、当社グループ全体で、新規店舗の出店投資に419億円、倉庫やITなどその他投資に533億円の設備投資を計画しております(「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載しております。)。
Ⅳ 資金調達
当社グループ事業の維持拡大のために必要な資金を安定的且つ機動的に確保するため、事業活動によるフリー・キャッシュ・フローの最大化に努めるとともに、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。
強固な財務体質を維持すべく、投資資金は、営業キャッシュ・フローにより賄うことを原則としていますが、資金調達の多様化と資本効率の向上を企図し、一部社債調達も活用しています。2018年6月には計2,500億円の社債調達を行い、社債償還資金に充当するとともに、海外事業の拡大や有明プロジェクト推進における投資資金として活用しています。
当社グループでは、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、スタンダード&プアーズ(S&P)及び日本格付研究所(JCR)から格付を取得しています。本報告書提出時点において、S&Pの格付は「シングルA(安定的)」、JCRの格付は「ダブルA(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しております。
当連結会計年度は増収増益となりました。経費削減及び在庫消化に努めることにより、追加の外部調達を行うことなく、十分な手許流動性を確保できています。
今後も外部環境変化を注視しながら、強固な財務体質を維持するとともに、安定的な外部資金調達能力の維持向上に努めていきます。
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