課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2022年11月25日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。

 ファーストリテイリンググループは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という企業理念を掲げ、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供することをめざしています。

 

 我々の服づくりのコンセプトであるLifeWear(究極の普段着)は、あらゆる人の生活をより豊かにする、生活ニーズから考え抜かれたシンプルで上質な服です。この1~2年で世界経済の構造や人々の価値観は大きく変わりました。生活様式が変化し、服の選び方にも変化が生まれました。着飾るための服ではなく、着心地が良く、快適な時間を過ごせる服、資源を無駄にしない服へのニーズが高まっています。世界中で起きている変化は、我々がめざすLifeWearの価値観に、より多くの方々の共感と支持を生み出しています。

 

 LifeWearのコンセプトを大切にした服づくりを追求し続けることこそが、事業の成長につながるだけでなく、サステナブルな社会への貢献につながると確信しています。「LifeWearを生み出す」過程で、服の生産から輸送、販売までのすべてのプロセスにおいて、 温室効果ガスや廃棄物を徹底的に排除した環境負荷の少ないモノづくりの実現と、人権に配慮した、お客様に安心してお買い求めいただけるサプライチェーンの構築をめざします。さらに、販売後の服にも責任をもち、リユース、リサイクルなどを通して「LifeWearを活かし続ける」ために、新たなサービスや技術の開発に取り組みます。また、複雑化する社会課題の解決に寄与するために、服の事業を通じた社会貢献やダイバーシティの取り組みをグローバルで拡大していきます。

 

 こうした取り組みを推進することで、世界中のお客様から愛される、服の世界NO.1ブランドになることをめざします。この目標を達成するために、「お客様のニーズに応え、顧客を創造する」「グローバルで収益の柱の多様化」「事業と一体でサステナビリティの推進」に経営資源を優先的に振り向け、注力していきます。

 

<対処すべき課題>

(1) お客様のニーズに応え、顧客を創造する

●お客様起点の商品づくりを強化

「お客様が本当にほしい服が、ほしいときにあり、すぐに買える」ということを実現するために、真の情報製造小売業の実現をめざします。グローバルのアプリ会員基盤や店舗網を活かし、世界中のお客様とダイレクトにつながることで、お客様の声に基づく商品開発や地域にあった商品構成を構築します。

 

●サプライチェーン改革の推進

お客様の声を収集・分析し、商品企画や数量計画、在庫コントロールを精緻化すると同時に、素材の備蓄やチャーター便の活用などにより、追加生産のリードタイムをさらに短縮します。また、グローバルで自動倉庫を導入し、物流の効率化を図るなど、サプライチェーンの改革を推進します。

 

●新しい購買体験の実現

お客様のほしい商品が、いつでもどこでも、すべて揃い、好きな場所でお受け取りいただけることを実現するために、店舗とEコマースが一体となった新しい購買体験を構築します。すべての在庫を一元管理するだけでなく、さまざまな購買・配送の形に対応できる体制を整えます。お客様とのコミュニケーションの基盤として、Eコマースの情報発信を強化します。

 

(2) グローバルで収益の柱を多様化

●グローバルでユニクロ事業の飛躍をめざす

海外ユニクロ事業は、グループの成長ドライバーです。強固なブランドポジションを築いているグレーターチャイナ、東南アジア・オセアニア地区は、出店を加速させ、高い成長を継続します。北米・欧州は、現地のお客様のニーズにあった商品構成の確立、出店の加速、Eコマースの拡大を図ることで、事業を拡大させていきます。

 

●国内ユニクロ事業は安定成長を継続

国内ユニクロ事業は、スクラップ&ビルドにより、店舗網の最適化を図ると同時に、地域密着型の「個店経営」を徹底し、地域の需要に根ざした品揃えやサービスを展開することで、売上収益の安定成長をめざします。値引き販売を抑制し、商品価値を訴求、オペレーションの効率化で、高い利益率を維持します。

 

●ジーユー事業を再び成長軌道へ

ジーユー事業の強みである「ファッションと低価格」に、より磨きをかけ、再び高い成長をめざします。マストレンドを捉えた商品の開発、生産計画の精度向上、リードタイムを短縮する生産体制の確立に注力し、これまで以上に競争力のある低価格商品を開発していきます。日本での出店を加速しながら、海外市場への出店も進めます。

 

(3) 事業と一体でサステナビリティを推進

●サプライチェーンの人権の尊重

サプライチェーンの人権侵害、労働環境、環境保全の課題への取り組みを強化します。定期的な監査の仕組みが確立している縫製工場、素材工場に加え、紡績工場も今年中に監査を完了できる見通しです。また、継続的にお取引しているすべての縫製工場と素材工場、縫製工場が一部の加工工程(洗いやプリントなど)を委託している工場のリストを公開し、透明性を高めています。今後はさらに、原材料レベルまでのトレーサビリティを確立します。

 

●難民支援など、社会貢献活動のさらなる推進

2022年は、ウクライナおよび周辺地域で緊急人道支援にあたるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に対し、1,000万USドル(約11億5千万円)の寄付とユニクロの防寒衣料など約10万点を寄贈しました。また、ドイツやオランダでは、ウクライナから避難してきた人々の雇用プログラムも開始しました。今後も各国や地域で、困難な状況に置かれている人々の支援を積極的に行います。

 

●気候変動への対応

2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、2030年度までの目標を掲げ、取り組みを推進しています。自社施設(店舗・オフィス)では、再生可能エネルギーの導入、太陽光パネルの設置など環境に配慮した店舗づくりを加速しています。サプライチェーンでは、温室効果ガス排出量の少ないリサイクル素材を使った商品を拡大、パートナー工場の温室効果ガス排出量の削減の取り組みを推進しています。

 

 

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