(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、度重なる緊急事態宣言等が再発出され不要不急の外出自粛や時間短縮など経済活動の抑制が続きました。2021年10月より自粛要請が徐々に緩和され、またワクチン接種率の増加に伴い新型コロナウイルス感染者数の減少傾向にあったことから回復の兆しがみられたものの、2022年1月以降の変異種のオミクロン株による感染の再拡大や、世界的な原油価格の高騰と円安による物価上昇や海外からの輸送問題に伴う商品確保のリスクなど依然として先行きの見通しが不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと当社グループは、「会社の堅実な運営発展」と「社員の豊かな生活増進」を経営理念とし、お客様と従業員の安心を最優先に考え、2021年度経営方針「顧客とともに食の新たな可能性に挑戦する」をスローガンとし、Withコロナにおける顧客対応と将来の成長への準備年度と位置づけ、引き続き当社の強みを活かし理想のサービス提供が出来るよう取り組んでまいりました。さらに、全社一丸となり、お客様、従業員の安全・安心を確保すべく新型コロナウイルスの感染予防策を実施するとともに、お客様の課題解決の新サービス提供や付加価値型の商品開発を行い市場深耕と新規開拓に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、卸売業部門は増加したものの小売業部門は減少しました。その結果、388億51百万円(前期比1.1%増)となりました。
営業利益については、売上総利益は売上高増加に伴い増加し、一方販売費及び一般管理費は人件費などの増加もありましたが、8億56百万円(同1.5%増)、12百万円の増加となりました。
経常利益については、昨年あった雇用調整助成金の収入等がなくなったこともあり、10億4百万円(同7.2%減)で、77百万円の減少となりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上高経常利益率は2.6%と前年同期よりも0.2%減少しました。また、総資産経常利益率(ROA)についても3.2%と前年同期と比べ0.2%減少しました。
なお、株主の皆様への継続的に安定した利益還元を重視する当社は、売上高経常利益率の安定向上を追求し、4%以上を目標として取り組んでおります。その目標達成のためにもお客様の商売や商品などの基礎となる知識を学び、他社が真似できないくらいお客様のご商売をお客様と一緒になって考え、悩み、創り出し、当社をご支持いただくお客様に最も頼りにされる企業にすることが重要だと考えております。
特別利益として、債券・株式の売却により投資有価証券売却益19百万円を計上した一方で、特別損失として、2022年3月に発生した福島県沖地震の災害損失費用83百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益6億28百万円(同9.1%増)となり、52百万円の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ3億68百万円減少し、113億80百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8億9百万円(前年同期 10億64百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は99百万円(前年同期 12億85百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は10億79百万円(前年同期 2億69百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の公開買付けによる取得であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
該当事項はありません。
a.当連結会計年度の販売実績を商品別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b.当連結会計年度の販売実績を業種別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 小売業部門の業種別は該当ありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
売上高は、卸売業部門は増加し、小売業部門は減少した結果、388億51百万円(前期比1.1%増)となりました。
営業利益は、売上総利益が売上高の増加に伴い増加した一方で販売費及び一般管理費は人件費等の増加もあり、8億56百万円(同1.5%増)、12百万円の増加となりました。
経常利益については、昨年あった雇用調整助成金の収入等がなくなり10億4百万円(同7.2%減)で、77百万円の減少となりました。
特別利益として、債券・株式の売却により投資有価証券売却益19百万円を計上した一方で、特別損失として、2022年3月に発生した福島県沖地震の災害損失費用83百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、6億28百万円(同9.1%増)で、52百万円の増加となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
卸売業部門におきましては、新型コロナウイルスの感染再拡大による各地域への緊急事態宣言等により行動自粛に伴う観光客の減少、休業や時短要請が長期化しております。当年度は、ワクチン接種が進み、外食業種や製菓業種など人流が戻ったこともあり、緩やかではありますが確実に回復しております。しかしながら、コロナ禍以前のレベルまでの回復には至っておらず、観光客の減少や客数の減少などで影響が出る外食業種、製菓業種、弁当業種を中心に当面の間は厳しい状況が続いております。
この結果、売上高336億34百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益(営業利益)は13億12百万円(同25.6%増)となりました。
小売業部門におきましては、前年度は初めての緊急事態宣言下であり巣籠もり需要がありましたが、当年度につきましては、再び緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用により、主要顧客である中小飲食店への営業時間短縮や休業が要請されるなど厳しい状況が続いております。このような中、当社では、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えて、引き続き新たな会員プログラムである「LINE」を活用したデジタル販促を推進し、地場の生産者や加工業者を盛り上げる「うまいもの東北!」などの施策を配信し、多様な顧客ニーズへの対応と積極的な集客力向上に努めました。また、新たな販路開拓による新規顧客を獲得するために、ツルハドラッグ店舗内店舗として宮城県内に2021年12月に松島店、2022年3月に新田東店にて冷凍食品の販売を開始いたしました。
この結果、売上高52億17百万円(前年同期比9.0%減)、セグメント利益(営業利益)は2億11百万円(同46.4%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度に実施いたしました設備投資の総額は、6億10百万円であります。
その主なものは、マンション建設工事の着手金(2億円)、本社消防用設備の改修(35百万円)、本社プロセスセンター移設改修工事(33百万円)であります。
今後も企業体質強化のためにも生産性・効率性向上のための設備投資を行っていく考えであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
卸売業部門の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、97億10百万円(前期比0.9%増)となり、89百万円増加いたしました。これは主に、商品の増加によるものであります。
小売業部門の当連結会計年度末におけるセグメント資産は、18億10百万円(前期比21.2%減)となり、4億87百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金の減少によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ1億23百万円増加し、76億85百万円となりました。これは主に、2022年3月16日に発生した地震による災害損失引当金を計上したことによるものであります。
また、流動比率は260.1%(前連結会計年度末は252.2%)となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ4億53百万円減少し、236億27百万円となりました。これは主に、自己株式の公開買付けによる取得及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。
この結果、自己資本利益率は2.6%(前連結会計年度末は2.4%)、自己資本比率は75.5%(前連結会計年度末は76.1%)となり、健全な財政状態であると認識しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ3億68百万円減少し、113億80百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8億9百万円(前年同期 10億64百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は99百万円(前年同期 12億85百万円の獲得)となりました。これは主に、固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は10億79百万円(前年同期 2億69百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の公開買付けによる取得であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入代金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日の資産・負債の計上および会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
a.貸倒引当金
当社グループは売掛債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
c.有価証券及び投資有価証券
当社グループは、満期保有目的の債券とその他有価証券を所有しております。
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものは、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。
また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30%~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、市場価格のない株式等は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。
なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積り判断しており、その前提となる条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の取崩が発生し、税金費用が計上される可能性があります。
e.退職給付に係る資産及び負債
当社グループは、年金数理計算に基づいて退職給付に係る資産及び負債並びに退職給付費用を計上しております。年金数理計算は割引率、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率等の前提条件に基づいて行われており、これらの前提条件の変更は連結財務諸表に影響を与えます。割引率の低下や年金資産運用における期待運用収益と実際運用収益の差異は、翌期以降の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
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