業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1 業績等の概要

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、経済再生と財政健全化の同時実現を目指した各種政策の効果もあって緩やかな回復基調を持続し、平成24年以来の長期にわたる景気拡大を記録いたしました。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や中国経済の減速などから経済活動の一部に弱さもみられ、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等のリスク要因が経済に与える下振れ影響に留意が必要な局面にあります。

このような状況の中、高齢者向けの諸事業においては、高齢社会の進行と介護ニーズの増大を背景として、市場は、 概ね 持続的に成長してきました。一方、当社のこれまでの主力であった介護事業においては、需要の増大は持続しているものの、介護報酬の抑制政策等により、収益環境は厳しさを増しております。

また近年、「日本版CCRC」、「コンパクトシティ」、「地域包括ケアシステム」等重要な国の政策が打ち出され、将来の超高齢社会への国の方向性が明確になりつつあります。

このような環境のもと、当社は平成25年度より『豊かな超高齢社会創造計画』に着手し、①高齢者住宅インフラ整備プロジェクト、②高齢者向け生活支援サービス整備プロジェクト、③経営支援サービス推進プロジェクトの3つのプロジェクトを推進しております。

当社グループのコア事業である「総合ケアセンター」は、①②のプロジェクトと上記の国の重要政策の推進拠点として、高齢者にかがやきのある生活を送っていただくことを事業の基本コンセプトとしつつ、超高齢社会のインフラ機能としての使命を果たすことに注力してまいりました。さらに、新たな生活支援サービスを拡充し、経営支援サービスも推進することで「豊かな超高齢社会の創造」に貢献してまいります。

②③のプロジェクトにおいて、完全子会社である株式会社八重洲ライフでは、高齢者向けのフードサービス事業及び物販等の生活支援サービス事業に、山清建設株式会社では高齢者向け住宅の建設支援事業に、新たに設立した株式会社キャリアアップでは、福祉分野の人材事業に取り組んでおります。また、新たにケアレンタル事業も開始して、高齢者への生活支援事業のサービスラインアップの充実を推進しております。

当社グループの営業拠点は、 センター事業のサービス付き高齢者向け住宅「なごやかレジデンス」については、当 連結会計年度末において68か所を運営しております。なお、直営通所介護事業の「かがやきデイサービス」については、当連結会計年度末において68か所を運営しております。さらに、当連結会計年度末 において居宅介護支援事業の「なごやかケアプラン」を5か所運営しております。またフランチャイズ事業については、当連結会計年度末におけるフランチャイズによる通所介護事業所「ホームケアセンター」等は 24 か所となっております。

 

当連結会計年度における収益は、増収増益基調と黒字幅の拡大が持続していることで、基調的には過去4期にわたる先行投資が収益寄与の局面に到達したことが確認できる状況にあります。ただし、利益面においては、これまで経験したことのない採用難に直面し人件費が上昇したこと等、コスト管理をさらに徹底すべき課題を残しております。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社の営業収入は7,225,142千円(前年度比15.7%増)、営業利益は360,752千円(前年度は営業損失199,412千円)、経常利益は283,469千円(前年度は経常損失272,927千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は383,341千円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失292,752千円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、742,724千円となり、前連結会計年度末に比べ204,671千円増加いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は313,114千円となりました。これは主に、売上債権の増加156,891千円がありましたが、税金等調整前当期純利益が290,385千円、減価償却費が156,497千円及び、仕入債務の増加34,116千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は25,496百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入17,301千円がありましたが、有形固定資産の取得による支出41,305千円、敷金および保証金の差入による支出1,492千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は82,947千円となりました。これはリース債務の返済によるものであります。

 

2 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社は、通所介護事業・高齢者向け住宅事業及び生活支援サービス事業を行っており、該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

当社は、通所介護事業・高齢者向け住宅事業及び生活支援サービス事業を行っており、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前年同期比(%)

ケアセンター事業(千円)

6,643,020

112.32

その他(千円)

582,122

175.94

合計(千円)

7,225,142

115.69

(注)当社は、主に一般顧客を対象とした通所介護事業及び高齢者向け住宅事業・生活支援サービス事業を行っていますので、特定の販売先はありません。

 

3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、将来に関する予想、見積り等の事項は、当社が合理的な基準により判断したものであり、見積り特有の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なることがあります。

 

(2) 財政状態に関する分析

当連結会計年度末における資産合計は4,637,856千円となり、前連結会計年度末に比べ347,526千円増加いたしました。その内訳につきましては、流動資産が1,640,898千円、固定資産が2,996,958千円であります。

負債合計は3,077,608千円となり、前連結会計年度末に比べ34,682千円減少いたしました。その内訳につきましては、流動負債が694,474千円、固定負債が2,383,134千円であります。純資産合計は1,560,248千円であります。

これらの主な要因は次の通りです。

 

(資産の部)

① 流動資産

当連結会計年度末における流動資産は1,640,898千円となり、前連結会計年度末に比べ356,802千円増加いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益290,385百万円を計上できたことによりキャッシュ・フローが改善し、現金及び預金が204,671千円増加したこと、および営業収入の増加により営業未収入金が147,611千円増加したことによるものであります。

 

② 固定資産

当連結会計年度末における固定資産は2,996,958千円となり、前連結会計年度末に比べ9,276千円減少いたしました。これは主に、一部資産の売却と減価償却に伴い、有形固定資産においては117,250千円、同じく無形固定資産においては5,896千円の減少があった一方で、当連結会計年度決算の黒字化に伴い繰延税金資産114,858千円の計上が認められたことにより、投資その他の資産が113,871千円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

① 流動負債

当連結会計年度末における流動負債は694,474千円となり、前連結会計年度末に比べ59,220千円増加いたしました。これは主に、営業収入の増加に伴い、社内・外の高齢者向け住宅や介護施設に提供する給食サービス用食材や介護関連商品の仕入れが増加したこと等により、未払金が21,826千円、買掛金が23,420千円増加したこと、また税金等調整前当期純利益の計上にともない未払法人税等が7,740千円増加したことによるものであります。

 

② 固定負債

当連結会計年度末における固定負債は2,383,134千円となり、前連結会計年度末に比べ93,902千円減少いたしました。これは主に、センター拠点の一部についてバランス計上しているリース債務が支払により83,809千円減少したこと、および繰延税金負債(前連結会計年度6,652千円)について当連結会計年度は繰延税金資産と相殺表示したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は1,560,248千円となり、前連結会計年度末に比べ382,208千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益383,341千円によるものであります。

この結果、自己資本比率は33.6%(前連結会計年度末は27.5%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析 ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末における資金は前連結会計年度末に比べて204,671千円増加し、742,724千円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資本の財源として金融機関からの借入や社債の発行等による社外からの資金調達を現在は実施しておらず、第15連結会計年度に実施した分割吸収による事業譲渡で得た収入を基盤に、専ら営業活動により発生する自己資金を財源としております。また資金の流動性確保のため、総合ケアセンターが所在する11都府県の国民健康保険団体連合会からの介護保険収入に関してファクタリング契約を締結し、営業未収入金の早期現金化を図っております。

 

(4) 経営成績に関する分析

当連結会計年度における当社の営業収入は7,225,142千円、営業利益は360,752千円、経常利益は283,469千円、親会社株主に帰属する当期純利益は383,341千円となりました。

経営成績に関する分析は以下のとおりであります。

 

① 営業収入

当連結会計年度においては、サービス付き高齢者向け住宅及びそれに併設する直営通所介護施設を運営する総合ケアセンターの新規開設を見送る一方、過年度に集中的に開設した同センターの入居者の増加及びデイサービス利用者の増加による稼働率の向上に注力いたしました。また100%子会社の株式会社八重洲ライフが展開するフードサービスに関して当社グループ外の一般顧客に対する積極的な販売拡大に注力いたしました。その結果、当連結会計年度の営業収入は前年度対比約15.7%増収となりました。

 

② 営業利益

営業利益については、介護職員の採用難による人件費の上昇等、センター事業の運営に係る労務費及び経費の削減・管理が十分とは言えませんでしたが、営業原価が前年度対比約7.5%の増加に抑制されたこと、販売費及び一般管理費が前年度対比0.9%減少したことにより、営業利益は360,752千円となりました。

 

③ 経常利益

営業外費用として、負債計上したリース債務に係る支払利息を77,900千円を計上しております。この結果、経常利益は283,469千円となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は9,223千円となりました。その要因は、直営通所介護施設で保有していた福祉車両をセール・アンド・リースバック方式での利用に切り替えるためリース会社に売却したことによる固定資産売却益であります。

特別損失は2,307千円となりました。その要因は、出資金の評価損であります。

また税効果会計適用後の法人税等の負担率は、決算が黒字化したことにより繰延税金資産に対する評価性引当の一部が解除されたため、32.0%の戻りとなっております。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は383,341千円となりました。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得