課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)2018年中期経営計画(2018~2021年度)の総括

当社グループは、2018年中期経営計画(2018~2021年度)において、「フィルム&コーティング」「モビリティ」「ヘルスケア&ウェルネス」の3つの成長分野に注力して取り組んできました。成長分野のうち、順調に収益を増やした事業がある一方、拡大が遅れた事業などがあり、2021年度の営業利益は目標としていた300億円に届かず、284億円に留まりました。工業用フィルム事業は、液晶偏光子保護フィルム、セラミックコンデンサ用離型フィルムの拡販が計画通り進み、PCR検査試薬は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、PCR検査需要の増加に対応しましたが、原燃料価格の高騰、およびエアバッグ用基布事業、衣料繊維事業、医薬品製造受託事業の収益性が悪化あるいは改善しなかったことにより、目標を達成することができませんでした。

財務体質に関しては、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、D/Eレシオを重視し、1.0倍未満の目標に対し、本中計期間を通じて1.0倍近傍を推移し、財務体質の健全性を維持しました。

なお、本中計期間中に、二度の重大な火災事故、および品質の不適切事案が発生し、当社グループに対する信頼性に揺らぎが生じました。当社グループはこの事態を重く受け止め、経営基盤の見直しを最優先の課題として対策を講じてきました。「2025中期経営計画(2022~2025年度)」においても、「安全・防災・品質の徹底」を基本方針の最優先の施策に掲げ、ゆるぎない信頼の確立に向けて全力で取り組んでまいります。

 

(2)経営環境

当社グループを取り巻く環境は、足元では、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増減を繰り返すなか、ワクチン接種の進展や財政・金融政策により、経済活動は徐々に回復しています。しかし、近時ではウクライナ情勢の影響を受けて、原燃料価格のこれまで以上の高騰や原材料供給の逼迫がみられ、インフレ圧力が高まる状況にあります。また、自動車産業での半導体不足や部品供給網の混乱が長期化する懸念が強まっています。当社グループにおいては、半導体などの不足による自動車減産、原燃料価格の高騰・高止まりなどが事業に影響を及ぼすことが予想されます。

長期的には、社会が求める脱炭素、循環型経済への移行、およびEV化の流れは、石化由来製品、自動車関連製品を扱っている当社グループにとって、リスクでもあり、事業機会にもなりうると捉えています。

 

(3)サステナブル・ビジョン2030

当社グループは、創業者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する。」という会社の創業精神です。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、当社グループは創業当時から140年間受け継いできました。

2019年、当社グループは、あらためて渋沢栄一の創業精神に立ち戻り、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて成長軌道を描き続ける会社となるために、企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。さらに、この企業理念体系を具体的にするべく、2022年、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」を策定しました。

「サステナブル・ビジョン2030」は、今後の事業環境の変化を想定し、企業理念『順理則裕』を基軸として、当社グループの「2030年のありたい姿」と、「サステナビリティ指標」および「アクションプラン」を示すものです。この長期ビジョンでは、「サステナブル・グロース」の実現、すなわち「社会のサステナビリティに貢献するサステナブルな(成長を実現する)会社」の実現をめざします。

「サステナブル・ビジョン2030」では、サステナブル経営に向けたアプローチを「“Innovation”と3つの「P」:“People”“Planet”“Prosperity”」と整理しました。この“Innovation”は、

①「人」と「地球」を最終的な「お客さま」と捉えたマーケティング思考

②「素材+サイエンス」に基づき、独自の工夫やアイデアによるサイエンスベースド・イノベーション

③ 多様なパートナーとのオープンイノベーション等を通じた価値共創

を意味します。また“People”は「人」を中心とした社会課題の解決策、“Planet”は「地球」全体を意識した社会課題の解決策、そして当社の考える“Prosperity”は、当社の企業理念に則り、課題解決を通じて「ゆたか」な社会を実現し、同時に当社グループの企業価値も向上させることを意味します。

当社グループの「めざす姿」は「TOYOBO PVVs」のVisionである「素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります(Innovation)」とし、より具体的なめざす姿は、

① 事業を通じて社会の課題解決に貢献

② 持続可能な成長(しっかりした土台+未来への成長軌道)

③ 現場が主役(安全・安心な職場環境、誇りとやりがい、自己成長) としました。

その実現に向けて、2030年前後の社会変化やトレンドを想定し、当社グループが事業等を通じて解決する5つの社会課題を特定しました。5つの社会課題とは、「人(People)」に関する「従業員のウェルビーイング&サプライチェーンの人権」「健康な生活&ヘルスケア」「スマートコミュニティ&快適な空間」、「地球(Planet)」に関する「脱炭素社会&循環型社会」「良質な水域・大気・土地&生物多様性」です。これらの社会課題の解決にチャレンジし、2030年のありたい姿、「安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と企業価値向上のスパイラルアップ(Prosperity)」に向かってまいります。

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ありたい姿の実現に向けて、定量的・定性的な目標を設定いたしました。2030年の主なサステナビリティ指標は、以下のとおりです。

 

[主なサステナビリティ指標]

・重大インシデント:「ゼロ」

・従業員エンゲージメントスコア:70%以上

・GHG排出量削減(2013年度比、Scope1,2):46%以上(2050年度カーボンニュートラル)

・主力事業における原材料のグリーン化比率:60%(フィルム事業を想定)

 

「重大インシデント」については、前回の中期経営計画中に二度の火災事故が発生したことを受け、安全・防災対策を徹底し、改めて重大インシデント「ゼロ」をめざします。

「従業員エンゲージメントスコア」は、エンゲージメントサーベイなどを通して、従業員一人ひとりの誇りややりがいに関する肯定的回答率を把握します。2020年度の従業員エンゲージメントスコアは約50%でしたが、今後、各種施策を検討・展開し、2030年度に70%以上をめざします。

「GHG排出量削減」については、2020年度のGHG排出量は約90万トンで、2013年度比26%の削減率でした。引き続き、省エネ、燃料転換、再生可能エネルギー導入などを推進し、2030年度には2013年度比46%のGHG排出量削減率をめざします(Scope1,2)。2050年度には、ネットゼロをめざし(Scope1,2)、さらには、当社グループバリューチェーン全体から排出されるGHG排出量に対して、当社が提供する海水淡水化膜、浸透圧発電などによるGHG削減貢献量が上回ることを目標としています。

「主力事業における原材料のグリーン化比率」については、フィルム全体の原材料におけるグリーン化比率を、現在の10%未満から、2030年までに60%に高めていく取組みを推進します。ここでのグリーン化とは、バイオマス、リサイクル、減容化を意味します。

その他の指標も含め、2030年のサステナビリティ指標は以下のとおりです。

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以下、2050年度にカーボンニュートラルを達成するためのロードマップです。

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当社グループは、これらのサステナビリティ指標の目標を意識しながら、収益性を高めていきます。2030年度の財務指標および目標(イメージ)は、右記のとおりです。社会課題の解決に貢献する事業を拡大することで、経済的価値も高める取組みを推進します。

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持続可能な成長のためには、しっかりした土台(安全・品質・人的資本・知的財産)が不可欠です。その上に、未来への成長軌道を描くべく、当社のコア技術を駆使し、多様なパートナーとの価値共創によりInnovationを起こします。そこから生まれるソリューションを人と地球に提供することで、安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と同時に当社グループの企業価値向上をめざします。また刻々と変化する社会課題に、イノベーションを通じて対応し、新たなソリューションを提供する---このプロセスを循環させることで、持続的な成長が可能になると考えています(下図ご参照)。

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「サステナブル・ビジョン2030」を策定する過程で、マテリアリティ(サステナブルな会社であるための重要課題)を見直し、再整理しました。従来のマテリアリティの「ソリューション提供力(事業を通じた貢献)」には、さまざまな事業が含まれており、社会課題も各々異なるため、今回、細分化・具体化しました。また、従来のマテリアリティでは、「安全・防災・品質」「コーポレート・ガバナンス」「人権の尊重」を、経営基盤(マテリアリティの前提となる基本事項)」としていましたが、今回、マテリアリティに含めました。(下図ご参照)

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(4)2025中期経営計画(2022~2025年度)

2025中期経営計画(2022~2025年度)は、「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる目標達成に向けた通過点として、この4年間を「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、「4つの施策」を経営方針とし「サステナブル・グロース」への変革を図ります。

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①施策1:安全・防災・品質の徹底

「信頼の回復」を最優先課題とし、当社グループ一丸となって取り組みます。防災に関しては「安全を全てに優先する組織風土:ゼロ災」を目指したマスタープランを着実に実行します。品質保証体制については、品質マネジメントシステムを再構築するとともに、コンプライアンス教育の強化・徹底など、組織風土改革と品質文化づくりに注力します。さらに、リスクマネジメント体制の強化として、リスクの把握、未然防止・早期発見、適切な対応を取るため「リスクマネジメント委員会」を設置・運用していきます。

 

②施策2:事業ポートフォリオの組替え

「収益性」と「成長性」の二軸で各事業を「重点拡大事業」「安定収益事業」「要改善事業」「新規育成事業」に層別し、各々の位置づけに応じた事業運営を行います。「安定収益事業」と「要改善事業」の位置づけについては、ハードルレートに加えて、定性情報も含めて見極め、対策を検討します。

「要改善事業」に位置づけられる「衣料繊維事業」「エアバッグ用基布事業」「医薬品製造受託事業」は、正常化に向けた対策を講じていきます。衣料繊維事業は、すでに進めていますリソース集約を計画通り実行します。エアバッグ用基布事業は、2022年度にインドラマ社との合弁会社の原糸工場を立ち上げ、医薬品製造受託事業は、GMP対応のための製造設備の更新などを進めることで、事業の正常化を図ります。

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「重点拡大事業」に位置付けられるフィルム事業、ライフサイエンス事業は、優位性があり市場の拡大が見込める事業であり、引き続き積極的な投資を実施していきます。また、「環境・機能材」分野は、従来「安定収益事業」に位置付けてきましたが、各商材のもつ潜在力やソリューションビジネスとしての有用性を再評価した結果、この分野を事業ポートフォリオの「第三の柱」とすべく、積極拡大を図ることとしました。具体的には、今般設立計画を公表した三菱商事株式会社との合弁会社での取り組みを通じて、新たな成長領域・分野での事業機会創出に挑戦していく方針です。

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ⅰ)フィルム事業

・環境配慮製品へのシフトを加速し、グリーン化(バイオマス、リサイクル、減容化)比率を2030年度60%、2050年度100%をめざします。

・米国のバイオ化学ベンチャー企業であるアネロテック社(Anellotech Inc.)とともに、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発を株式会社アールプラスジャパンの一員として進めます。世界で共通となっているプラスチック問題の解決に貢献すべく、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料・食品メーカーなど業界を超えた連携により、2027年の実用化をめざしていきます。

・透明蒸着フィルム“エコシアール”は、優れたバリア性により食品の保存期間を延ばし、フードロス削減に貢献します。現在は、包装用フィルム事業は国内中心の販売ですが、インドネシアの工場を本格稼働し、グローバルな需要にも対応していきます。

・IT(情報技術)、モビリティ(電動化)市場成長に伴い、セラミックコンデンサ用離型フィルムの市場は成長を続けています。当社は、優れた平滑性を実現する製膜技術、製膜からコーティングまで一貫製造できる強みを生かして販売量を増やしていきます。さらには、2024年度に、ハイエンド向けフィルムをインラインコートで製造する設備を導入します。これは、帝人株式会社から譲り受けたフィルム事業との統合シナジーの一つです。

 

ⅱ)ライフサイエンス事業

・当社は、遺伝子検査の原料酵素、試薬、診断薬、診断装置まで取り扱っています。当社の原料酵素は、遺伝子増幅の正確性に優れ、増幅速度が速いという強みにより、2021年度は、PCR検査関連製品が大きく伸び、感染症分野でのブランディングが向上しました。今後、感染症診断のソリューションビジネスを展開・拡大していきます。

・当社の人工腎臓用中空糸膜は、PVPフリーのため、アレルギー発症が極めて少ないことが強みです。透析患者数がグローバルで増加しており、その需要に応じていくため、ニプロ株式会社と共同で、中空糸膜製造からダイアライザへの加工・製品化までの一貫生産工場を2024年に稼働する予定です。

・抗体医薬品製造時に、抗体とウイルスを分離する工程で使われるウイルス除去膜の販売を開始しています。当社のウイルス除去膜は中空糸構造のため、処理量が多いという強みがあります。抗体医薬品は成長市場であり、需要に応じて増産を計画しています。

・神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”は2022年より米国市場に展開を開始しています。2025年には生産能力を約3倍にし、拡販していきます。

・骨再生誘導材“ボナーク”は、国内医療機関等の口腔領域での使用を目的に、2022年6月より出荷予定です。まず、インプラント用途から始め、顎裂治療については、保険適用申請中です。

 

ⅲ)環境・機能材事業(三菱商事株式会社との新合弁会社の事業)

・当社は、三菱商事株式会社と機能素材の企画、開発、製造および販売を行う合弁会社を設立し、2023年1月頃を目途に、事業を開始する予定です。出資比率は、当社51%、三菱商事株式会社49%です。当社の技術力と、三菱商事株式会社の総合力を融合し、グローバル市場で更なる成長をめざします。

・新会社に移行する事業群は、バイロン・ハードレン、光機能材料、VOC処理装置、スーパー繊維、エンジニアリングプラスチックなどです。

・マーケティング・企画機能強化、グローバルな事業展開、インオーガニックな成長策をとり、本事業をフィルム事業、ライフサイエンス事業に続き、第三の柱としていくよう取組みを推進します。

 

 

③施策3:未来への仕込み

新事業・新技術の探索を進め、環境、ライフサイエンス、デジタル社会等の分野で、新テーマを設定し、事業化をめざします。たとえば、環境に関しては、廃プラを油化まで戻さずBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)までに留め、ポリエステル原料にするケミカルリサイクル(前述の株式会社アールプラスジャパンでの取組み)や、100%バイオマスプラスチックのポリエチレンフラノエート(PEF)の事業化を進めていきます。ライフサイエンスに関しては、人工腎臓用中空糸膜の慢性血液浄化市場から、腹水濾過膜(CART)や敗血症の治療機器の急性血液浄化市場への進出を探索します。デジタル社会の分野に対しては、有機薄膜太陽電池材料の研究開発を進めています。薄暗い室内で、世界最高レベルの変換効率を実現する電池材料の開発に取り組んでおり、分散型電源用途での展開をめざします。

売上高研究開発費比率は3.6~3.8%を予定しており、売上高の増加に伴い、研究開発費も増やしていきます。

デジタル・トランスフォーメーションとしては、IT基盤を整備しつつ、ビジネスイノベーションに向けた取組みに注力してまいります。

カーボンニュートラルに向けた取組みは、前述しましたように、2050年カーボンニュートラルをめざし、ロードマップに従って進めてまいります。

 

④施策4:土台の再構築

土台の再構築として「人材育成・働き方改革・ダイバーシティ推進」「ガバナンス・コンプライアンス」「モノづくり現場力」「組織風土改革」「事業基盤の整備」を進め、サステナブル・グロースに必要な土台の強化を図ります。

「人材育成・働き方改革・ダイバーシティ推進」では、一人ひとりが成長を感じ、誇りとやりがいを持って働くことができることをめざし、人事制度を大幅に刷新し、昇格要件の見直し、職能給・本人給の見直しを図っています。また、女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進として、2025年度に、管理職に占める女性割合が5.0%以上となるよう取り組みます。グローバルコースの新卒採用の女性比率は、近年約40%を維持しており、女性の活躍フィールドの広がりとともに、目標とする女性の管理職比率に近づいていく見込みです。

「ガバナンス・コンプライアンス」では、経営全般に関するスキルを持った社外取締役を1名増員し、取締役10名中5名が社外取締役という構成にします。社外取締役比率を50%に増やすことで、経営状況に対する第三者の視点での意見が増え、健全なガバナンスを維持していきます。また、取締役会の諮問機関として、委員の過半数を社外取締役とする指名・報酬等諮問委員会(委員長は社外取締役)を設置し、取締役等の指名・報酬の決定に関し、更に透明性と客観性の確保を図ってまいります。

「モノづくり現場力」では、技術者教育の再整備、デジタル技術の活用(スマートファクトリーなど)、現場交流などにより、生産革新活動を全社に展開していきます。

「組織風土改革」では、「TOYOBO PVVs」の浸透活動を通じて、部門の垣根を越えて、気づきを改善・改革につなげる働きかけを続けます。

「事業基盤の整備」では、全社・事業所の拠点構想を検討し、リニューアル投資やレガシーシステムの更新などに取り組みます。

 

⑤財務目標

2025中期経営計画において、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「EBITDA」「当期純利益」「自己資本利益率(ROE)」「投下資本利益率(ROIC)」「D/Eレシオ」「Net Debt/EBITDA倍率」を重要財務指標としています。持続的な成長に向けて、積極的な投資マインドを社内に形成するため、営業利益に減価償却費を加えた「EBITDA」を指標に加えるとともに、資本効率を重視した経営を推進する目的で、投下資本利益率(ROIC)を指標に加え、成長性と効率性の両側面から経営資源の最適な配分に努めてまいります。

また、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、有利子負債と自己資本の比率(D/Eレシオ)を重視しており、前回の中期経営計画では、D/Eレシオ1.0倍未満を目標とし、その目標を達成しました。2025中期経営計画では、将来の成長に向けた先行投資を、時機を逸することなく実施していくため、D/Eレシオの目標を1.2倍未満としています。併せて、キャッシュ・フローの創出力と有利子負債とのバランスを失することなくコントロールするため、Net Debt/EBITDA倍率の指標を加え、財務状態を安定的に管理していく方針です。

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サステナブルな成長のための投資を増やすため、設備投資は前回の中期経営計画に対し約2倍の2,400億円(4年間合計)を計画しています。そのうち、1,150億円をフィルムの製膜・加工ライン、ダイアライザ一貫生産工場、バイオ新棟などの成長投資に充てる予定です。また、事業を維持するための投資、基幹システムの新鋭化など「つくりかえる投資」に920億円、安全・防災・品質対応、自家発電など、「安全・防災・環境投資」に330億円を投じる計画です。

設備投資を増やすことで、外部からの資金調達が増えます。キャッシュアウトは設備投資以外に配当140億円(4年間合計)を予定しています。

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⑥株主還元方針

株主への利益還元は最重要事項の1つであるとの認識のもと、安定的な配当の継続を基本としつつ、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案した上で、今回の中期経営計画の対象期間においては、総還元性向30%を目安として、自己株式の取得も選択肢に含めた株主還元策を講じてまいります。

 

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