業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・社会活動は停滞と再開を繰り返してきましたが、同感染症のワクチン接種の促進や政府や各行政庁による各種支援策により、徐々に持ち直しの動きがみられました。一方で、足許では諸外国との政策金利の格差拡大により円安が進んでおり、非資源国であるわが国のエネルギー価格、資源調達価格は上昇傾向にあります。また、ウクライナ情勢の先行きは極めて不透明であり、金融市場や実体経済への影響が懸念されております。

当不動産業界におきましては、省エネ性能等に応じた住宅ローン減税制度の導入や子育て世代への住宅取得支援制度の創設等の政府による各種住宅取得支援策により住宅需要は下支えされてきました。一方で、世界的な木材不足やエネルギー価格の高騰等に加えて、世界中で顕在化しつつある地政学的リスクは建築資材の調達環境をより不安定にしており、引き続き予断を許さない状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは、持続可能な社会の実現と持続的な成長との両立を図るべく「第3次中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定し、「コア事業の競争力強化」と「事業ポートフォリオの拡大」の2つの基本戦略を推進してまいりました。中核事業である戸建分譲事業においては、「誰もがあたり前に家を買える社会」を実現するために、住宅品質の向上と徹底したコスト管理に努め、住宅性能表示制度4分野で全棟最高等級を取得するなど、安全・快適・健康に暮らせる高品質な住宅の提供と、住宅を購入されたお客様に対するメンテナンスサービスの強化を行い、競争力強化を図ってまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上収益は1兆3,869億91百万円(前期比4.8%減)、営業利益は1,533億6百万円(前期比26.4%増)、税引前利益は1,522億円(前期比27.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,033億81百万円(前期比24.1%増)となりました。

 

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

件数

売上収益(百万円)

前期比(%)

一建設グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

10,818

303,478

△6.6

マンション分譲事業

765

28,878

△26.4

請負工事事業

2,150

43,448

△4.2

その他

15,360

61.3

小計

13,733

391,165

△6.7

飯田産業グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

5,991

205,116

△13.4

マンション分譲事業

299

14,128

1.6

請負工事事業

371

8,135

22.2

その他

9,893

4.3

小計

6,661

237,274

△11.1

東栄住宅グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,521

159,450

△2.7

マンション分譲事業

1

874

△71.2

請負工事事業

253

9,317

23.0

その他

1,703

1.8

小計

4,775

171,345

△2.7

タクトホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

5,028

155,927

5.6

マンション分譲事業

△100.0

請負工事事業

75

1,378

43.9

その他

3,008

87.4

小計

5,103

160,314

6.7

 

 

セグメントの名称

件数

売上収益(百万円)

前期比(%)

アーネストワングループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

11,847

279,370

△3.3

マンション分譲事業

855

30,577

10.4

請負工事事業

417

9,915

8.7

その他

335

△12.0

小計

13,119

320,198

△1.9

アイディホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

3,317

86,591

△17.9

マンション分譲事業

請負工事事業

55

1,230

39.6

その他

353

△18.7

小計

3,372

88,175

△17.4

その他(注)4

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

12

530

40.9

マンション分譲事業

22

576

118.5

請負工事事業

5

32

その他

17,378

75.4

小計

39

18,517

75.5

(区分計)戸建分譲事業

41,534

1,190,465

△6.1

マンション分譲事業

1,942

75,035

△10.9

請負工事事業

3,326

73,458

4.1

その他

48,032

45.5

総合計

46,802

1,386,991

△4.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.戸建分譲事業には、戸建住宅のほか、宅地等が含まれます。マンション分譲事業には、分譲マンションのほか、マンション用地等が含まれます。請負工事事業には、注文住宅のほか、リフォームやオプション工事等が含まれます。

3.請負工事事業等の売上収益は、一定期間にわたり履行義務が充足されることに伴って認識される収益ですが、件数はいずれの区分も資産の引渡し件数を記載しております。

4.「その他」のセグメントは、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、ファーストウッドグループ及びRFPグループの木材製造事業等、ホームトレードセンター及び当社の事業に係るもの等であります。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は1兆6,960億98百万円となり、前連結会計年度末比で2,211億67百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の負債合計は7,655億39百万円となり、前連結会計年度末比で1,504億77百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の資本合計は9,305億59百万円となり、前連結会計年度末比で706億89百万円の増加となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は5,594億61百万円となり、前連結会計年度末比で107億97百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は31億15百万円(前連結会計年度は3,229億82百万円の獲得)となりました。

これは主に、税引前利益1,522億円、棚卸資産の増加額1,331億11百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は247億26百万円(前連結会計年度は114億4百万円の使用)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出144億63百万円、子会社の取得による支出60億96百万円及び投資の取得による支出44億57百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は325億11百万円(前連結会計年度は1,473億61百万円の使用)となりました。

これは主に、借入金の増加590億82百万円、配当金の支払額253億76百万円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

件数

金額(百万円)

前期比(%)

一建設グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

10,330

288,993

△2.8

マンション分譲事業

754

26,018

△25.0

請負工事事業(注文住宅)

2,123

38,946

△6.8

小計

13,207

353,959

△5.3

飯田産業グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

5,964

204,916

△3.3

マンション分譲事業

278

13,198

49.3

請負工事事業(注文住宅)

368

8,079

20.3

小計

6,610

226,195

△0.5

東栄住宅グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,754

169,588

5.6

マンション分譲事業

1

1,445

△37.7

請負工事事業(注文住宅)

254

5,763

21.9

小計

5,009

176,797

5.4

タクトホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,656

137,624

6.9

マンション分譲事業

請負工事事業(注文住宅)

76

1,107

46.3

小計

4,732

138,732

7.1

アーネストワングループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

10,611

253,566

△4.9

マンション分譲事業

647

23,135

△7.1

請負工事事業(注文住宅)

416

5,937

15.8

小計

11,674

282,639

△4.7

アイディホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

3,003

79,304

△24.7

マンション分譲事業

請負工事事業(注文住宅)

53

1,199

46.5

小計

3,056

80,503

△24.2

その他

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

13

679

80.6

マンション分譲事業

12

576

118.5

小計

25

1,255

96.2

(区分計)戸建分譲事業

39,331

1,134,674

△3.1

マンション分譲事業

1,692

64,373

△9.3

請負工事事業(注文住宅)

3,290

61,034

1.8

総合計

44,313

1,260,082

△3.2

 

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、販売価額(税抜)によっております。

3.戸建分譲事業には、戸建住宅のほか、宅地等が含まれます。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期末比(%)

一建設グループ

請負工事事業(注文住宅)

45,089

6.0

36,107

9.0

飯田産業グループ

請負工事事業(注文住宅)

8,614

10.5

5,190

10.2

東栄住宅グループ

請負工事事業(注文住宅)

7,400

43.3

5,597

44.4

タクトホームグループ

請負工事事業(注文住宅)

1,129

29.0

489

10.6

アーネストワングループ

請負工事事業(注文住宅)

7,145

35.2

4,165

44.2

アイディホームグループ

請負工事事業(注文住宅)

2,322

38.3

1,070

35.7

合計

71,702

13.2

52,621

14.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、請負金額(税抜)によっております。

 

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度における販売実績につきましては、前述の「① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の事業全体及びセグメントごとの経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであり、経営者の視点によるこれらの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、当社グループのセグメントは、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」に記載のとおり、共通した事業を行う連結子会社単位等を報告セグメントとしておりますが、ここでは事業区分ごとに経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容を記載しております。

 

(ⅰ)戸建分譲事業

戸建分譲事業の業績は、売上収益が1兆1,904億65百万円(前期比779億3百万円減)、販売棟数が41,534棟(前期比5,086棟減)となりました。

当社グループの売上収益の大半を占める戸建分譲事業では、20~30代の一次取得者を主要ターゲットとして、値ごろ感のある住宅を供給しております。物件の値ごろ感は、販売エリアの相場、需給バランスに加え、主要ターゲット層の可処分所得や住宅ローンの返済額等によって常に変化するため、これらの動向を的確に捉え、販売価格に応じた土地の仕入と、建物原価のコントロールを行うことが経営成績に重要な影響を与えます。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとした戸建住宅への関心の高まりに加えて、分譲マンションの1戸あたりの平均価格が高騰しており、住宅購入検討者が戸建住宅に集中したことで需要が継続しました。不動産流通機構が運営しているレインズによると、期初時点における新築戸建住宅の登録在庫数は、直近1年間で約35%減少しており、市中在庫は過少な状態であったと推測されます。そのため、竣工前契約率が増加したことにより結果として販売価格が上昇しました。また、土地仕入の厳選化と事業サイクルの短縮化の効果もあり、利益率が高水準で推移しました。一方、第3四半期連結会計期間以降は、世界的な木材不足や流通価格の高騰の影響により建築資材価格が徐々に上昇しており、当期の1棟当たり平均建物原価は前期比で約43万円増加しました。

以上の結果、戸建分譲事業の売上総利益率は前期比で4.8ポイント増加となりました。

なお、地政学的リスクによる実体経済への影響が懸念されており、建築資材の調達環境は不安定となっているものの、グループ内の資材調達会社を中心として仕入先の変更や仕様変更等、安定調達に向けた様々な取組みをおこなっておりますが、事態の長期化等により調達環境が更に悪化するようなことになれば、建築原価上昇に伴う販売価格の上昇により、主要ターゲット層の住宅購入意欲の低減等の影響が出る可能性があります。

(ⅱ)マンション分譲事業

マンション分譲事業の業績は、売上収益が750億35百万円(前期比92億23百万円減)、販売戸数が1,942戸(前期比339戸増)となりました。

新築分譲マンション市場は、地価の上昇や建設費の高騰等を背景として販売価格は継続的に上昇しており、需要者に高い購買力が要求される状況が継続しております。

マンション分譲事業は、戸建分譲事業に比べ事業期間が長いことから、用地仕入を厳選し採算性の面から選択的に事業を推進することを基本スタンスとしておりますので、概ねその方針に沿った結果だったと考えております。

(ⅲ)請負工事事業

請負工事事業の業績は、売上収益が734億58百万円(前期比28億99百万円増)、販売棟数が3,326棟(前期比73棟増)となりました。

請負工事(注文住宅)事業については、当社の強みである豊富な土地情報を活用し、顧客の要望に沿った土地と間取り提案を合わせて行う営業アプローチにより事業拡大を目指しております。

(ⅳ)その他事業

その他事業の業績は、売上収益が480億32百万円(前期比150億19百万円増)となりました。

前期比で大きく増加しておりますが、前期の2021年1月に「コア事業の競争力強化」を目的として連結子会社とした内装建材の製造販売会社であるオリエントの収益及び、収益不動産の売却等により増収となりました。

 

当連結会計年度末の資産合計は1兆6,960億98百万円となり、前連結会計年度末比で2,211億67百万円の増加となりました。

流動資産については1兆2,620億5百万円となり、前連結会計年度末比で1,655億59百万円の増加となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,365億61百万円、その他の流動資産の増加123億74百万円等によるものであります。

非流動資産については4,340億92百万円となり、前連結会計年度末比で556億7百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の増加235億3百万円、のれんの増加204億46百万円等によるものであります。

 

当連結会計年度末の負債合計は7,655億39百万円となり、前連結会計年度末比で1,504億77百万円の増加となりました。

流動負債については4,681億69百万円となり、前連結会計年度末比で876億39百万円の増加となりました。これは主に、社債及び借入金の増加477億33百万円、営業債務及びその他の債務の増加266億81百万円等によるものであります。

非流動負債については2,973億70百万円となり、前連結会計年度末比で628億38百万円の増加となりました。これは主に、社債及び借入金の増加515億17百万円、その他の金融負債の増加58億63百万円等によるものであります。

 

当連結会計年度末の資本合計は9,305億59百万円となり、前連結会計年度末比で706億89百万円の増加となりました。これは主に、剰余金の配当254億65百万円に対し、当期利益1,039億21百万円を計上したこと等によるものであります。

 

上記の結果、在庫回転率(戸建)は年1.8回転、営業利益率は11.1%となり、在庫回転率は前述の目標値には至りませんでしたが、営業利益率は経営目標の10%を上回る結果となりました。

引き続き、高い資本効率と持続的なキャッシュ・フローの創出に不可欠な羅針盤として位置づけ、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中期的な経営戦略、(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の経営戦略及び各種施策を推進してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、持続的な成長に必要な経営の健全性・効率性の観点から、経営環境の変化によって変動するリスクに見合った適正な資本水準と負債・資本構成を維持していくことを基本方針としております。

当社グループの資金需要は、その大部分が戸建分譲事業及びマンション分譲事業を行うための事業用土地購入費でありますが、不動産賃貸事業などのストックビジネスや海外展開、バリューチェーン強化といった事業ポートフォリオの拡大に関連した投資等に加え、コア事業の競争力強化に向けた営業拠点の展開などに伴う設備投資でも資金需要が生じます。株主還元につきましては、経営体質の強化と将来を見据えた成長投資を考慮しつつ、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としております。

これらの資金需要につきましては、自己資金に加え、銀行借入を中心に、主要事業に対応する機動性と資金需要の性格に応じた長期安定性のバランスを重視した資金調達をグループ一体となって実施することとしております。

なお、当連結会計年度における資金調達の状況については「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 19.社債及び借入金(リース負債及びその他の金融負債含む)」をご参照ください。

また、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3.設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断、見積りの方法及び仮定、並びにそれらの不確実性等につきましては、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の各項目をご参照ください。

 

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