事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、これらのリスク情報につきましては、当連結会計年度末日現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業等に関するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)国内人口、世帯数の減少について

 日本国内における人口、世帯数は減少していくことが予測されております。特に、当社グループの不動産分譲事業の主要ターゲットでもある生産年齢人口が減少することにより、中長期的には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、「事業ポートフォリオの拡大」を経営戦略の一つとして掲げており、住宅周辺分野への事業領域の拡大と、今後経済成長が見込まれる海外市場への事業展開を推進しております。

 また、人口減少による影響は業績のみに留まらず、事業運営に携わる人材獲得という点においても、影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、優秀な人材を幅広く採用・育成することで、事業活動の推進と競争力の維持向上を図っておりますが、人材の獲得競争の激化や従業員の退職等によって十分な人材の確保及び育成ができなかった場合には、競争力の低下に繋がり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原材料・資材価格・人件費、物流費、外注費等について

国内外の市場の動向等により、原材料・資材価格・人件費・物流費等の上昇、またそれによる外注先の原材料調達状況に起因する外注費の上昇は、その影響額を販売価格へ転嫁することが難しい場合に、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。最近では、世界的な木材不足に加え、ウクライナ情勢の影響等により、原材料価格や物流費等の上昇が続いており、鋼材や木材、コンクリートにとどまらず、今後さまざまな資材価格の値上がりが懸念されております。

このような資材調達リスクに対しては、日常的に調達先の情報収集に努め、前倒しで確保する等、安定調達に努めるとともに、当社グループのスケールメリットを活かし、競争原理を活用した調達を行っております。また主要な資材の調達に関しては、グループ内での内製化を進めており、品質・コスト両面での安定的な調達体制を構築すると共に、外部の調達先に対する交渉力を高める取り組みを行っております。

 

(3)新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス感染症による影響は、国内外の一部の地域において生産活動や営業活動の停滞を余儀なくされたものの、生活様式の変化等により戸建住宅への需要が高まり、当社グループの業績に与える影響は限定的でありました。しかしながら、変異株の出現など同感染症の影響は現在も不透明な状況であり、今後更に再拡大・長期化した場合には、購買者の購入意欲の減退などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、今後の環境動向を踏まえ、急激な事業環境の変化にも迅速かつ柔軟に対応できるよう、土地仕入の厳選化や事業サイクルの短縮、原価抑制等ビジネスモデルの原点に立ち返り、事業効率と収益性の向上に努めております。また、テレワークの実施やソーシャルディスタンスの確保できる勤務体制の整備など、従業員の安全確保と事業活動への影響の低減を図っております。

 

(4)保有資産の価値下落について

当社グループが保有している販売用不動産等の棚卸資産(2022年3月期6,150億53百万円)や有形固定資産(2022年3月期1,282億1百万円)について、不動産市況の著しい悪化等によってそれらの価値が下落し、評価損の計上や減損処理を行うことになった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このような不動産市況によるリスクに対して当社グループでは、在庫回転率を重要な経営指標の一つとして事業運営を行っております。在庫回転率を高めることによって、市況変動による保有資産の価格下落の影響を極小化するべく対応を進めております。

また、当社グループが行う輸出入及び外国間取引において外貨建決済を行うことに伴い、外貨レート変動のリスクがあります。これらの取引に対し、当社グループでは必要に応じて適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外事業について

海外での事業活動には、経済状況の変化・景気の後退、為替レートの変動、法令・規制等の予期せぬ変更、政情の悪化、テロ・紛争・暴動等による社会的又は政治的混乱のリスクが存在するとともに、社会的慣習の違いが外国公務員等への贈賄等の法規制に問われるリスクも存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

海外事業の推進に当たって当社グループでは、事前の市場調査から把握されたリスク要因と想定する事業価値を総合的に考慮しながら事業推進の判断を行うとともに、現地のグループ会社と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。

なお、ウクライナ情勢については、グローバルな政治的・経済的不確実性があり、現時点でその影響を予測することは困難な状況ですが、引き続き情勢を注視し、事業活動に及ぼす影響の最小化に努め、適時適切な対応を進めてまいります。

 

(6)住宅の需給動向について

当社グループの売上高の約9割を占める不動産分譲事業の業績は、景気動向、金利動向、地価動向及び税制等に基づく購買者の購入意欲や需要動向に影響を受けやすいため、景気の見通しの悪化や大幅な金利の上昇、地価の上昇、税制の変更等があった場合には、購買者の購入意欲が減退し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、供給に対して極端に需要が少なくなる場合においては、大幅な価格引き下げによる対応が強いられる可能性があります。

住宅需給動向は常に変化していることから、当社グループでは、建物の工事進捗状況、仕掛・完成在庫の販売状況、他の住宅事業者の供給動向や市場在庫の先行き見通し等に関する分析を定常的に行い、事業用地の仕入れ価格及び住宅販売価格、供給戸数及び時期等について、グループ全体の対応方針を決定しております。各事業会社においては、このグループ対応方針に基づき、事業エリア毎に異なる環境に応じた事業運営を行っております。

 

(7)自然災害、事故等について

地震、台風、洪水等の大規模な自然災害のほか、当社グループの工場等において、火災・爆発等の産業事故が発生した場合、対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失又は当社グループが所有する不動産価値の下落等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらの自然災害、事故等の発生の可能性を予想することは困難でありますが、事象が発生した場合には大きな影響を被る可能性があることから、当社グループでは損害保険等の加入により対応を行っております。また、事象発生時における事業継続性を担保するための計画立案も行っております。

一方、地震、台風、洪水等の大規模な自然災害は、当社が販売した住宅を損傷する可能性もあります。当社グループでは、分譲戸建住宅全棟で住宅性能表示制度の「耐震等級」「耐風等級」で最高等級を取得するとともに、住宅を引き渡した後のメンテナンス体制も強化しており、提供する住宅の基本性能の向上と維持に努めております。

 

(8)情報セキュリティについて

当社グループは、事業を展開する上で多くの個人情報や機密情報を有しております。当社グループは、これら情報の管理や活用にあたり、管理体制の強化や必要な従業員教育を実施する等、適切なセキュリティ対策を行っておりますが、万一、情報の流出・漏洩が発生した場合には、対応に多額の費用負担が生じ、あるいは社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、情報流出の脅威が更に増大していることから、サイバーセキュリティリスクは重要な経営課題であると認識しております。

 

(9)法的規制について

当社グループは、日本のみならず各国において事業活動を展開しており、各地域の法令・規制等の適用を受けております。当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識のうえ、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。

しかしながら、各種対策を行ったとしても、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクを完全に回避することは出来ず、重大な法令違反等を起こした場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定・改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅な変更の可能性も否定できません。

このような場合には、将来の当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)M&Aについて

当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業進出に際し、事業戦略の一環としてM&Aを実施しております。M&A実施に当たっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果、事業計画、財務内容及び契約関係等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行しておりますが、市場環境や競争環境の著しい変化等により当社グループとの期待されたシナジー効果が出ないことや、当初計画された事業が予定通り展開できなくなることも考えられ、その場合にはグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)住宅品質保証について

当社グループは、人生100年時代に向けた住宅品質の向上を経営戦略の一つとして掲げており、グループで供給する分譲戸建住宅全棟で住宅性能表示制度4分野の最高等級を取得する体制を整備する等、品質管理に万全を期しております。

しかしながら、万一、当社グループの販売した物件に重大な問題があることが判明した場合には、その直接的な原因が当社グループの責めに帰すべきものでない場合であっても、売主としての契約不適合責任を負わなければならない場合があります。その結果として生じる保証工事費の引当金の増加や、当社グループの信用力低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)気候変動について

当社グループは、安全で高品質の住宅供給を通じて継続的に環境課題への取り組みを推進しており、中でも気候変動については重要な課題であると認識しております。気候変動における移行リスクとしては、炭素税など法規制の厳格化といった政策動向の変化、低炭素社会に対応できない企業に対する需要低下やレピュテーション悪化、物理リスクとしては、自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇等による対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失、建設作業員の熱中症等による健康被害などが想定され、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、分譲戸建住宅全棟で住宅性能表示制度の「断熱等性能等級」等級4を取得しており、温室効果ガス(CO2)排出削減に努めております。また、CO2を排出しないエネルギーシステムである人工光合成を利用した住宅の研究開発や、長く健康で暮らせるための未来型住宅の開発を推進するほか、供給する住宅の給排水設備に節水機能を積極的に導入する等、持続可能で豊かな社会づくりに貢献するサステナビリティ経営を推進しております。更に、気候変動に係るリスク及び機会が自社の事業活動や収益等に与える影響については、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき開示できるように、各種取組みを進めております。

しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響等により、更に多くの対策コストが必要になった場合、あるいは想定外の経済・社会環境の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)事業資金の調達について

事業用地の仕入資金の一部は金融機関からの借入金によって調達しております。事業資金の調達及び返済は、金融機関の経営状態や金利情勢その他の外的環境に左右されるため、これにより当社グループの業績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。また、当社グループの信用力低下等何らかの理由により調達に制約を受けた場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクが長期間にわたり顕在化する可能性は高くないと考えておりますが、仮にリスクが顕在化した場合、その影響の程度は相応に大きくなることを想定し、当社グループとしては経営戦略に基づく財務方針に従い財務安全性を最優先しつつ、持株会社である当社と事業会社である子会社が、資金使途に応じて一体的に事業資金の調達・運用を行っております。

 

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