業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が継続しており、断続的な緊急事態宣言・まん延防止重点措置が発出される状況が続きました。政府の景気下支え施策により景気後退には至っていないものの、為替レートの大幅な変動や世界的な物価上昇の影響を受け、景気の先行きは不透明感が増しております。

  当社が所属する情報通信サービス市場においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による働き方の見直しと、政府によるデジタル化の推進により企業業務のデジタル化が注目を集めております。
  このような経営環境の中、当社グループは「高収益な複数サービスが生み出すキャッシュを成長サービスに集中投下」を経営方針に掲げ、2021年3月期の業績を基準として、2022年3月期から2026年3月期までの5ヵ年で売上高CAGR(年平均成長率)25%から30%、2026年3月期の純利益100億円以上、純資産200億円以上とする中期経営目標を新たに策定しました。この中で、特に重視している売上高目標の上限であるCAGR30%の達成に向けて、当初4年間は半期ごとに施策や予算を策定することで、外部環境への対応や施策の効果検証を行いながら、最速での成長を目指して投資の強化に取り組むことを計画しております。

  中期経営目標の初年度である2022年3月期は、高成長を牽引するクラウド事業において、継続的に取り組んでいる営業組織の拡大に加え、「楽楽精算」と「楽楽明細」を中心に期初から実施したマーケティング投資強化が下半期から新規受注の増加につながり、売上規模が拡大する中、売上高成長率の加速に貢献しました。IT人材事業においても、ITエンジニアへの旺盛なニーズに応えるべく大幅な増員を図った結果、大幅増収となりました。なお、期中に設立した子会社において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、想定していた業績計画から実績が乖離したため子会社株式の減損処理を行っております。

  この結果、当連結会計年度の売上高は20,629百万円(前連結会計年度比34.1%増)、営業利益は1,578百万円(前連結会計年度比59.5%減)、経常利益は1,595百万円(前連結会計年度比58.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,078百万円(前連結会計年度比63.3%減)となりました。

 

 財政状態については次のとおりであります。

a.資産

  当連結会計年度末における流動資産は8,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ160百万円減少いたしました。主な要因は、売掛金が781百万円、未収還付法人税等が131百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が1,173百万円減少したことによるものであります。固定資産は3,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ390百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが163百万円、顧客関連資産が73百万円それぞれ減少したものの、差入保証金が241百万円、繰延税金資産が141百万円、工具、器具及び備品が113百万円それぞれ増加したことによるものであります。

  この結果、総資産は11,700百万円となり、前連結会計年度末に比べ229百万円増加いたしました。

 

b.負債

  当連結会計年度末における流動負債は2,977百万円となり、前連結会計年度末に比べ629百万円減少いたしました。主な要因は、契約負債が549百万円、未払金が537百万円、未払費用が222百万円それぞれ増加したものの、未払法人税等が1,051百万円、前受金が452百万円、未払消費税等が444百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は106百万円となり、前連結会計年度末に比べ83百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が36百万円、長期未払費用が60百万円それぞれ増加したことによるものであります。

  この結果、負債合計は3,083百万円となり、前連結会計年度末に比べ545百万円減少いたしました。

 

c.純資産

  当連結会計年度末における純資産合計は8,617百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金が剰余金の配当により317百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により1,078百万円増加したことによるものであります。

  経営成績については次のとおりであります。

a.売上高

  当連結会計年度の売上高は20,629百万円(前連結会計年度比34.1%増)となりました。クラウド事業においては「楽楽精算」「楽楽明細」「メールディーラー」が堅調に推移しており、売上高は16,716百万円(前連結会計年度比35.9%増)となっております。IT人材事業においては企業の旺盛なITエンジニア需要を背景に、売上高は3,912百万円(前連結会計年度比26.6%増)となりました。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は6,598百万円(前連結会計年度比31.2%増)となりました。これは主に労務費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は14,030百万円(前連結会計年度比35.5%増)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は12,452百万円(前連結会計年度比92.8%増)となりました。主な要因は、業容拡大に伴う給料手当、広告宣伝費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は1,578百万円(前連結会計年度比59.5%減)となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用及び経常利益

当連結会計年度の営業外収益は助成金収入等により17百万円(前連結会計年度比16.4%増)となりました。

当連結会計年度の営業外費用は支払利息等により0百万円(前連結会計年度31百万円)となりました。これらの結果、経常利益は1,595百万円(前連結会計年度比58.9%減)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の特別損失は関係会社株式評価損等の計上により52百万円(前連結会計年度4百万円)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は1,543百万円(前連結会計年度比62.2%減)となり、法人税等合計465百万円(前連結会計年度比59.6%減)の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,078百万円(前連結会計年度比63.3%減)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

a.クラウド事業

クラウド事業は、期初から実施したマーケティング投資強化の効果が下半期から新規受注の増加となって表れ、顧客数が大幅に増加しました。主要サービス別では「楽楽精算」と「楽楽明細」にマーケティング投資の大部分を振り向けた結果、新規受注の大幅な増加につながり高成長を牽引しております。また、その他のサービスについても堅調な成長が持続しております。

 この結果、売上高は16,716百万円(前年同期比35.9%増)となりましたが、成長投資を強化した影響でセグメント利益は1,227百万円(前年同期比65.6%減)となりました。

 

b.IT人材事業

IT人材事業は、2021年3月期に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、稼働率が一時的に低下し、採用を抑制したため、エンジニア数が微減となりましたが、旺盛な顧客ニーズを背景に、2022年3月期は積極的な採用を通じて増員に取り組んだ結果、稼働エンジニア数が増加し、大幅な増収となりました。

この結果、売上高は3,912百万円(前年同期比26.6%増)となり、稼働率が年間を通じて想定以上で推移したことから、セグメント利益は351百万円(前年同期比6.2%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,173百万円減少し、4,861百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ4,283百万円減少し、11百万円の支出となりました。増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,543百万円、未払金の増加額501百万円、減価償却費399百万円、未払費用の増加額282百万円であり、減少の主な内訳は、法人税等の支払額1,770百万円、売上債権の増加額680百万円、未払消費税等の減少額445百万円によるものであります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が445百万円増加し、877百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出413百万円、差入保証金の差入による支出315百万円、関係会社株式の取得による支出100百万円があったことによるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が8百万円減少し、295百万円の支出となりました。これは主に、長期借入れによる収入41百万円、配当金の支払額317百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、インターネット上での各種サービス及びITエンジニア派遣を主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

  至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

クラウド事業(百万円)

16,716

135.9

IT人材事業(百万円)

3,912

126.6

合計(百万円)

20,629

134.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、成長投資にかかる人件費及び広告宣伝費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、サーバー等の設備投資、子会社株式の取得等によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金を基本としているものの、金融機関からの長期借入等について柔軟に対応することとしております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は40百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,861百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響等の不確実性があり、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報として「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境」に記載している、セグメントごとの影響及び見通しを基に検証等を行っております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。

当社グループは1株当たり利益(EPS)の中長期での成長を最重要指標として掲げております。1株当たり利益(EPS)を中長期で大きく伸長させていくために、成長投資を強化して高い売上高成長を実現した後に、効率化を追求して利益成長を実現する方針の中期経営目標を掲げております。

具体的には、2021年3月期を基準として、2026年3月期までの5ヵ年で売上高をCAGR(年平均成長率)25%から30%、2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益100億円以上、純資産200億円以上とする新中期経営目標を掲げておりましたが、足元の状況を踏まえ、売上高のCAGRの下限を26%に引き上げます。引き続き中期経営目標の中で、特に重視している売上高目標の上限であるCAGR30%の達成に向けて、当初4年間は半期ごとに施策や予算を策定することで、外部環境への対応や施策の効果検証をしつつ、最速での成長を目指して投資の強化に取り組むことを計画しております。

 

決算年月

第21期

2021年3月期

第22期

2022年3月

売上高

(百万円)

15,387

20,629

営業利益

(百万円)

3,898

1,578

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

2,936

1,078

1株当たり当期純利益

(円)

16.20

5.95

EBITDA

(百万円)

4,346

2,158

EBITDAマージン

 

28.2%

10.5%

純資産

(百万円)

7,842

8,617

  (注)1.EBITDA=税金等調整前当期純利益+特別損益+減価償却費+のれん償却費+支払利息

2.EBITDAマージン=EBITDA÷売上高

3.当社は、2020年9月1日開催の取締役会決議により、2020年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っておりますが、第21期期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。

 

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