課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。

 

◆グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”

世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。

 

◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”

世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。

 

◆グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”

東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。

Integrity

:誠意と責任を持って業務を遂行します。

Creativity

:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。

Diversity

:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。

Learning

:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。

Team

:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現し

 ます。

 

 


 

上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、プラント事業と環境・インフラ事業を中心に、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度における世界経済は、前半は新型コロナウイルス感染症の拡大が一旦は落ち着きを見せ、後半は再び変異株の感染が拡大したものの、景気は徐々に持ち直しの動きが見られています。

しかしながら、これまでの感染拡大によって製造業の生産力が低下し、また物流が停滞するといったサプライチェーンの混乱が半導体等の部材の供給不足を引き起こしています。一方でコロナ禍からの景気回復過程において、モノ、サービスへの需要が増大しており、またエネルギーのグリーンシフトもあり、資源価格などの一次産品の高騰が起きています。更に一部の国では景気回復に伴う労働需給の逼迫によって賃金上昇が起き、ここにロシア・ウクライナ情勢が追い打ちをかけ、原材料価格の上昇や金利の上昇、対ドルでの通貨安といった金融資本市場の変動、供給面での制約が厳しくなっており、引き続き警戒が必要な状況にあります。

このような中で当社グループの事業環境としては、プラント事業分野では、石油化学製品の価格が上がってきていることもあり、石油化学系プラントの投資計画を再開する企業が出てきており、また廃プラ等のグリーン系案件や医薬系EPC案件なども底堅い引き合いがあります。ロシア・ウクライナ情勢の影響は無視できないものの、国内、インド、中国、ブラジル、中東、アフリカ等での石油化学関連設備の引き合いが徐々に増えてきております。また環境・インフラ事業分野においては、SDGs/ESG関連投資として国内外で各種の再生可能エネルギーの設備投資が見込まれています。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当社グループは、2018年度からの再生計画を経て、昨年度から、更なる企業価値の向上を目指し、ポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据えた2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を推進しています。中期経営計画では、「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2つの戦略を軸に、2021~2022年度を進化期、2023~2025年度を浸透期、2026~2030年度を飛躍期、と位置づけ、段階的な取り組みを進めております。

 

2021年度の実施内容

1年目の2021年度は、「EPC強靭化」として、当社グループのEPC拠点(EPC:設計・調達・工事を自社で遂行できる拠点)のリスクマネジメント強化、DXoT(Digital Transformation of TOYO)による業務のデジタル化や統合システムの開発・実装に注力いたしました。もう一つの戦略である「新技術・事業開拓」としては、複数のパートナー企業との協業による再生エネルギー分野やエネルギー・バリューチェーンにおける事業機会の創出に向けた取り組みを推進し、今後の浸透期・飛躍期に繋がるカーボンニュートラルを中心とした事業機会の探索・仕込みを行ってまいりました。

 

今後の中期経営計画における重点課題

① 「EPC強靭化」戦略

当社グループのEPC拠点は、これまでのグループ経営を通して所在国あるいは周辺国での一定規模のEPC案件を独自に遂行できるレベルに育ってきておりますが、今後更に個社のレベルアップを図り、グループ内各社の連携を含めたグループオペレーション力を強化していく予定です。特にToyo-Indiaについては、TOYOグループ全体のEPCオペレーションの中核拠点とし、エンジニアリングセンターとして、また工事計画センターとして、その機能を拡充してまいります。

またDXoTについては、AWP(Advanced Work Packaging)の開発と実装を加速化し、EPC事業の生産性の向上を具体的に実現化するステージに来ております。

 

② 「新技術・事業開拓」戦略

当社では新事業領域として、CO2利活用(特にSAF-再生可能代替航空燃料やエチレン分解炉のアンモニア燃焼)、次世代エネルギー(燃料アンモニア事業の推進)、資源エネルギー(コバルトリッチクラストとレアアース泥の開発等)、循環型・低環境負荷分野(エタノール原料、廃プラ、エチレン分解炉の電化等)、Quality of Life(バイオ医薬・中分子医薬、高機能化学品等)の分野で各種の取り組みを推進しています。

2021年度は組織横断的な時限的タスクチーム(サステナビリティ事業戦略チーム)が、これらの事業機会の創出・拡大に取り組んできましたが、これらの事業開発をより積極的に推進するため、2022年4月の組織改正で、恒久的な組織として新たに「カーボンニュートラル事業推進本部」を設置いたしました。パートナー企業との協業も含め、個別案件の受注・遂行からバリューチェーンへの関与・参画(仕込み案件による事業機会の増加)を積極的に展開してまいります。

 

新型コロナウイルス感染症およびロシア・ウクライナ情勢影響について

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大・長期化により、当社グループの案件においても様々な影響がありましたが、当社グループ各社においては、BCP(事業継続計画)に基づいた対応を進め、各事務所・建設地での感染予防策の徹底を講ずるとともに、在宅勤務体制下でも一定の業務生産性を維持してきました。個別プロジェクトの遂行においては、一部で、資機材の供給面や輸送面での制約が発生し、また国境を越えた人的移動の制限がなされ、現地作業員の動員などで影響がありましたが、全社を挙げて様々な対応策を講じ、また客先と協議することで、工期や収支への影響を最低限にするよう努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響は、全般的にはかなり軽微になっており、当面の間は現在の状況が継続するものと考えられます。

 

一方で、ロシアのウクライナ軍事侵攻と、これに対するロシアへの経済制裁によって世界的な供給の制約が更に悪化し、インフレの高進による金融引き締め、それに伴っての為替レートの変動もあり、当社事業面でも特にプラント資機材の高騰等により既存案件やプロポーザル案件への影響が出ており、注視しながら対応をしてまいります。このような情勢下、当社グループは、旺盛なプラント需要のあるインド、中国、ブラジル、日本といった重点地域に経営資源を振り向け、しっかりと対応してまいります。なお、ロシア向け既存案件については、各国のロシア制裁法を順守して対応しております。

 

(4) 2023年3月期連結業績予想

 

(百万円)

 

連結

受注高

250,000

完成工事高

210,000

営業利益

2,000

経常利益

2,500

親会社株主に帰属する当期純利益

1,500

 

受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注目標500億円を含めますと、受注目標は3,000億円となります。

業績予想については、保有プロジェクトの進捗を中心に算出しました。新規受注見込案件による収支の計上は限定的にみております。ロシア・ウクライナ情勢の影響により、継続性に懸念が生じている一部の保有プロジェクトについては、その影響を予想に織り込みました。

 

[本業績見通しにおける想定為替レート]

1米ドル=130円

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