業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 ①経営成績

  当連結会計年度(2021年6月1日~2022年5月31日)における我が国経済は、前半は、緊急事態宣言等の断続的な発出の影響等により力強さを欠きました。宣言等が解除された10月以降は、行動制限の段階的な緩和により、景気に持ち直しの動きが見られましたが、1月のオミクロン株による感染急拡大や半導体等の部材調達難の影響等により、再度、経済成長に鈍化が見られました。
 鉄道旅客数は徐々に回復に向かいつつありますが、依然としてコロナ禍以前の水準には戻っておりません。製造業における設備投資は、企業収益の改善を受けて、総じて回復基調にあるものの、資源価格の上昇や部品供給制約、円安の進行の影響などもあり、先行き不透明感が拭えない状況が続きました。
 海外ではコロナ禍に対する経済への影響が緩和されるなかで、米国をはじめとして多くの国で経済は回復が継続しております。一方、中国ではゼロコロナ政策による都市封鎖や活動制限の強化、個人消費の低迷に伴い、経済成長のペースに鈍化が見られました。
 このような環境のもと、当社グループにおいては、引き続き受注及び売上への影響が継続しております。
 

 

 この結果、当連結会計年度における業績は次のとおりです。
 受注高は、前期比1.3%増の304億47百万円となりました。
 売上高は、前期比9.0%減の301億58百万円となりました。
 損益面では、営業利益は、前期比59.4%減の1億71百万円となりました。経常利益は、持分法投資利益や為替差益もあり同1.2%増の7億66百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、投資有価証券売却益等があったものの、産業事業に関わる事業用資産の減損損失を22億56百万円計上した影響等により、9億30百万円の損失(前期は9億77百万円の利益)となりました。
 なお、上記の減損損失は、産業事業の生産を担当する滋賀竜王製作所において、コロナ禍長期化等の事業環境の大幅な変化の影響によって、当初想定した収益への回復が見込めないと判断し、生産設備等事業資産の回収可能性を慎重に検討した結果、計上しております。
 

 

 報告セグメント別の状況は次のとおりです。

<交通事業>
  鉄道事業者における旅客数の減少やそれに伴う収益改善の遅れ等の影響を受け、車両の新造計画の見直しが進められており新造車の受注が減少するなか、民鉄を中心に既存車両の長期使用を図る機器更新が増加しております。
 受注高は、民鉄向け、中国向け、及び海外(中国以外)向けが増加したものの、JR向けが減少したことから、前期並みの188億円となりました。
 売上高は、JR向けが前期並みであったものの、民鉄向け、中国向け、海外(中国以外)向けが減少したことから、前期比9.6%減の194億56百万円となりました。
 セグメント利益は、採算性の向上に取り組んだものの、売上高の減少等により、前期並みの21億90百万円となりました。
 

<産業事業>
 製造業における設備投資は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大による国内顧客での対面営業の自粛要請や海外渡航制限など、営業活動の制限が継続したため、詳細な打ち合わせを要する設備の受注の一部に引き続き影響を受けました。自動車開発用試験機においては、電動化への急速な変化により、一部では計画されていた試験機設備の見直しも検討されています。
 受注高は、加工機向け、電源向けは増加したものの、試験機向けが減少したことから、前期並みの106億88百万円となりました。
 売上高は、試験機向け、加工機向け、電源向けが共に減少したことから、前期比6.1%減の99億2百万円となりました。   
 セグメント利益は、経費の圧縮に努めたものの、売上高減少の影響等により、前期比33.4%減の4億77百万円となりました。
 

<情報機器事業>
 引き続き、鉄道事業者での設備更新抑制の影響を受けております。
 受注高は、前期比49.8%増の9億49百万円となりました。
 売上高は、前期比26.0%減の7億90百万円となりました。
 セグメント利益は、売上高減少の影響等により、前期比46.5%減の1億42百万円となりました。  
 
 (注)報告セグメント別の売上高については、「外部顧客への売上高」であり、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含みません。

 

②財政状態

 (資産の部)

当連結会計年度末における資産合計については、現金及び預金の増加4億85百万円がありましたが、有形固定資産の減少30億2百万円、投資有価証券の減少13億60百万円、売上債権の減少8億91百万円などがあり、前連結会計年度末より50億51百万円減少し469億16百万円となりました。

 (負債の部)

当連結会計年度末における負債合計については、借入金の減少20億85百万円、仕入債務の減少5億57百万円などがあり、前連結会計年度末より30億55百万円減少し249億3百万円となりました。

 (純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計については、利益剰余金の減少11億98百万円、その他有価証券評価差額金の減少8億89百万円などがあり、前連結会計年度末より19億96百万円減少し220億12百万円となりました。
 

 ③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より4億85百万円増加し44億49百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは売上債権の減少、棚卸資産の減少などにより25億4百万円の増加(前期は17億76百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは投資有価証券の売却による収入などにより2億89百万円の増加(前期は1億55百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済などにより23億56百万円の減少(前期は9億71百万円の減少)となりました。

  (当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

  生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

18,229

△18.6

産業事業

9,385

△7.6

情報機器事業

678

△14.2

その他

合計

28,294

△15.1

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 b. 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

18,800

△0.1

20,809

△3.1

産業事業

10,688

0.9

6,200

14.5

情報機器事業

949

49.8

264

150.4

その他

9

59.6

合計

30,447

1.3

27,275

1.1

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 c. 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

交通事業

19,456

△9.6

産業事業

9,902

△6.1

情報機器事業

790

△26.0

その他

9

59.6

合計

30,158

△9.0

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりです。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (3) 経営環境、優先的に対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

 ②資本の源泉および資金の流動性に係る情報

 当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資です。
 当社グループの資本の源泉および資金の流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部資金の活用と各事業年度における事業計画の資金計画に基づいて設定した枠内で適時適切に必要な資金を取引金融機関より調達しています。取引金融機関とは当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。
 また、当社グループは国内連結子会社5社との間でCPS(キャッシュ・プーリング・システム)を導入しており、各社における余剰資金と借入金の一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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