課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社経営の基本方針

  当社グループは、以下に示す経営理念およびサステナビリティ方針を会社経営の基本方針として取り組んでおります。

①経営理念

東洋電機グループは下記の経営理念を掲げ社業を発展させ株主及び関係者各位の付託と理解に応え社員と喜びを共にする

・倫理を重んじ社会・顧客に貢献する

・進取創造の気風を養い未来に挑戦する

・品質第一に徹し信用を高める

<行動指針>

1 顧客に対しタイムリーかつスピーディーに応える

2 何事にも先見性と創造性をもってチャレンジする

3 常に自己啓発に励みスキルの向上に努める

4 広い視野をもって互いに影響し合い成長する

5 よき社会人・企業人として自覚と誇りをもって行動する

 

  ②サステナビリティ方針

当社グループは、鉄道車両電機品の国産化を目的に1918年に創立されて以来、鉄道を始めとした社会インフラや生産設備へ電機設備やサービスを提供することで、広く社会の発展に貢献をしてきました。一方、近年では、気候変動を始めとする地球環境の悪化や、貧困・格差などの社会のひずみが大きな問題となり、これらの解決が、持続的に社会を発展させるために重要な課題となってきています。

当社グループは、経営理念において社会への貢献を掲げ、環境理念において重要課題として地球環境保全への取組みを掲げておりますが、これらの理念を実現し、社会の持続的な発展に貢献するための取組みの指針として、2021年4月にサステナビリティ方針として制定いたしました。

当社グループの経営理念、環境理念を基本とし、当社の取組みと、2015年の国連サミットにて採択された国際目標であるSDGsの実現とのかかわりを、「製品・サービスにおける取組み」、「生産活動における取組み」、「人と地域を大切にする取組み」の3つの視点から整理し、当社グループの事業や活動が生み出す様々な影響を評価しながら、進めてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

①「リ・バイタライズ2020/2022」の成果と課題

当社グループは、2022年5月まで取り組んだ中期経営計画「リ・バイタライズ2020/2022」(期間2019年5月期〜2022年5月期)の終了を受け、得られた成果や残された課題を元に、新たな4年間の中期経営計画に取り組むこととしておりました。しかしながら、コロナ禍による鉄道旅客数の減少や自動車電動化に向けた試験装置の見直しなど大きな事業環境の変化に対応できる十分な収益力を得られていなかったことから、結果として計画値に対し大幅な未達となりました。

この結果とともに明らかになった当社自身が抱える課題を踏まえ、新中期経営計画(期間2023年5月期〜2026年5月期)については、「企業価値の回復・向上」を図るために、「東洋電機の再生と変革」を成し遂げる取組みを進めます。

そのために、計画の基本方針を(1)「新しい事業・製品の拡大」と(2)「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、(3)「資本コストを意識した資産効率の改善」を行う事で、ROE8%以上の早期達成を目指した経営基盤の抜本的強化を図ることといたします。

 

②新中期経営計画の数値目標について

この基本方針の下で、新中期経営計画の初年度となる2023年5月期については、産業事業に関わる事業用資産の減損処理を実施した前期に続き、「収益力を高める構造改革に徹底して取組む1年」と位置付け、「東洋電機の再生と変革」に向けた取組みを強力に進めてまいります。

2026年5月期に向けた新中期経営計画の数値目標については、③に掲げる、新中期経営計画におけるこの1年間の構造改革の取組みの進捗と成果および事業環境を踏まえ、ステークホルダー各位にコミットできる経営目標値として策定し、2023年7月を目途にお示しすることといたします。

 

  ③新中期経営計画におけるこの1年間の構造改革の重点取組みについて

以下の取組みを重点的に進めるとともに、新中期経営計画で目指すこうした取組みを支える組織体制の確立と経営資源の中核たるマンパワーの強化・組織風土の活性化を図る人材戦略の変革に取組みます。

 1)新しい事業・製品の拡大にむけた取り組み

 ・今期新設の開発センターを中心とした全社横断的な新事業領域の開発強化・迅速化

 (脱炭素化・サステナブル社会に資する技術・製品の創成と新事業分野の発掘)

 ・今期改組したICTソリューション事業部により駅務機器からICT全般へ事業領域を拡大

 (パワーエレクトロニクスとICTの融合による当社らしいICT事業分野の確立)

 2)既存事業の徹底した収益体質の改善

 ・生産効率の向上と適正な売価確保の両面から工場・営業一体で収益力を抜本強化

 ・研究開発投資・人材投資増強を図るため、既存事業はより採算重視の運営を強化

 3) 資本コストを意識した資産効率の改善

 ・政策保有株式、遊休資産の縮減の継続

 ・事業毎の資本効率性を検証し、経営資源の再配分を検討

 

(3) 経営環境、優先的に対処すべき課題

国内外における経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体・部材不足、資源・エネルギー価格の高騰による下振れのリスクの懸念は残るものの、コロナ禍での行動制限の緩和に伴い、経済活動は総じて回復に向かうものと考えております。

  交通事業においては、国内での鉄道旅客数はコロナ禍以前の水準には戻らないと予想されるものの、感染の一定の収束を背景に徐々に回復してきております。鉄道事業者での運輸収入の減少による車両新造計画への投資抑制は継続されているものの、安全運行やオペレーションコストの低減などに必要な車両機器の老朽更新需要は、民鉄を中心として、今後も増加していくものと期待されます。また、中国では、ゼロコロナ政策の解除に伴い、旅客数の回復が期待できます。ゼロコロナ政策再発動のリスクは残るものの、政府の財政支出によるインフラ投資の拡大を期待でき、高速鉄道、都市交通の延伸計画もあることから、既存車両のメンテナンス需要に加え車両新造の増加も期待できると考えております。その他の海外においても、アフターコロナに向けた活発な動きが窺えます。

  産業事業においては、国内では、コロナ禍により制限を受けていた対面での営業活動が多くの企業で緩和されつつあり、海外向けについても、渡航制限が解除されつつあることから、半導体・部材の不足や価格高騰による生産への懸念があるものの、顧客ごとに詳細な打ち合わせが必要となる個別仕様システム品を含め、生産設備向けの受注回復が期待できます。また、気候変動の影響による災害リスクの高まりに対し、国土強靭化が急がれていることから、引き続き非常用発電設備などのインフラ設備の増強も必要とされています。一方、自動車産業においては、電動化の急速な動きもあり、エンジン駆動を前提とした供試体の試験設備導入が一部再検討されるなど当面の動向については留意が必要と考えております。中長期的には、サステナブルな社会の実現に向け、自動車の運転支援機能(ADAS)の試験に活用が期待できるインタイヤハウスダイナモや、非常時の対応も可能とする分散電源装置などの製品化を進めております。

  こうした環境の中、当社グループは、(2)に示しました2026年5月期にむけた新中期経営計画に基づき、「新しい事業・製品の拡大」と「既存事業の徹底した収益体質の改善」を進め、「資本コストを意識した資産効率の改善」を行う事で、ROE8%以上の早期達成を目指した経営基盤の抜本的強化を図ることとし、特に初年度においては「収益力を高める構造改革に徹底して取組む1年」と位置付け、「東洋電機の再生と変革」に向けた取組みを強力に進めてまいります。

 

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