課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「品質を誇る製品の生産で社会に奉仕する」を社是とし、「私達はものづくりを通じてお客様の発展に寄与し、信頼を積み重ね、社会の豊かさに貢献することで、多様に色柄織り成し働く仲間達の物心両面の幸せを追求します」との経営理念を掲げております。また「1.お客様要求品質第一に徹する、2.経費節減に徹する、3.環境整備に徹する」の社長三大方針を全社員が共有しております。

 

 

(2)対処すべき課題

当社は、1915年の創業以来、電子機器用変成器、電子機器用電源機器・部品製造に関する事業活動を行う海外にも多数の拠点を有するグローバル企業です。近年では太陽光発電用パワーコンディショナにおいて高効率な製品の開発に成功する等、技術開発分野に注力しており、太陽光発電に係る需要急増を好機に2014年までは急速に事業拡大を行いましたが、再生可能エネルギーの規制強化等による国内市場の縮小に加え、海外市場におけるパワーコンディショナ拡販や、M&Aによる事業規模拡大を企図したものの、ともに当初見込みから大きく乖離し、立ち上がり不足による赤字が続いたこと等により経営環境が悪化した結果、2018年6月25日の当社の「事業再生ADR手続の正式申込及び受理に関するお知らせ」の通り、事業再生が重要な経営課題となっておりました。このような状況において、当社とダイヤモンドエレクトリックHDグループは協業の可能性について継続的に検討してまいりました。

検討の結果、当社とダイヤモンドエレクトリックHDグループは、エレクトロマグネティクス技術やパワーエレクトロニクス技術といった技術基盤に共通性を有すること、また、コイル製品やパワーコンディショナなどの製品群が共通領域にあること、さらに、ダイヤモンドエレクトリックHDグループが長年培ってきた自動車機器事業において、当社と協業できる可能性があること等から、両社の関係強化が相互の企業価値の向上に繋がるとの判断の下、2018年11月19日、ダイヤモンドエレクトリックHDの「当社連結子会社による田淵電機株式会社の第三者割当増資引受(孫会社の異動)に関するお知らせ」の通り、ダイヤモンドエレクトリックHDの完全子会社であるダイヤモンド電機株式会社(以下「ダイヤモンド電機」といいます)が当社の議決権の66.90%に当たる株式を引き受ける第三者割当増資を行いました。

上記第三者割当増資後、当社とダイヤモンド電機は、ダイヤモンドエレクトリックHDの傘下にある同一グループ企業の一員として、特にパワーコンディショナ製品についての技術提携と営業戦略上の連携をとる一方、役員及び管理部門の人的交流を通じてシナジー実現に向けた方策を精力的に行い、当社の財務体質の改善のための効率的な事業運営に努めてきました。

当社とダイヤモンドエレクトリックHDは、このような効率的な事業運営を通じて、両社それぞれの強みを持ちより、経営資源を有効に活用することが、特にパワーコンディショナを中心とする電子制御機器事業において、技術基盤の維持・発展や戦略的な営業活動といったシナジーにつながる実感を得ました。そのため、当社の親会社であったダイヤモンド電機は、前述の第三者割当増資引受けの際、当社の上場を継続維持することを表明していましたが、当社は株式交換を実施することによりダイヤモンドエレクトリックHDの完全子会社となることといたしました。これにより経営資源の結集をさらに強化し、両社が保有するコア技術の蓄積・共有や販売チャネルの相互活用など経営資源を迅速に効率よく運用し、その結果として当社並びにダイヤモンドエレクトリックHDグループ各社の企業価値向上に繋げてまいります。

 

(3)会社の支配に関する基本方針

(A) 基本方針の内容の概要

当社取締役会は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することを目的として、対象会社の取締役会の賛同を得ずに、一方的に大量の株式買付けを行う行為であっても、経済適合性に基づき判断し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。

しかしながら、株式の大量買付け等の中には、企業価値ひいては株主共同の利益に明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大量買付行為の内容や条件等について十分検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件を引き出すために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものもあり得ます。

当社取締役会は、当社グループの買収を企図した当社取締役会の賛同を得ない当社株式の大量買付け等の行為であっても、これに応じるか否かは、最終的には当社株主の皆様において判断されるべきものであると考えておりますが、上記のような不適切な大量買付け等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切ではなく、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると考えており、このような不適切な買収行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要と考えております。

 

(B) 基本方針実現に資する特別な取組みの概要

当社は、株主の皆様に中長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるべく、下記の取組みを実施しております。これらの取組みは、上記(A)の基本方針の実現に資するものであると考えております。

   コーポレートガバナンスの強化に対する取組み

当社は、前述の経営方針のもと、株主の皆様をはじめとする、あらゆるステークホルダーの皆様からの信頼を確保し、企業価値向上を図るため、コーポレートガバナンスの充実・強化を推進しております。

取締役会においては、法令・定款で定められた事項はもとより、経営上重要な事項についての決議や業務執行の監督を行っております。また、2014年度からは執行役員制度を導入しており、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離することにより、責任と権限の明確化、意思決定の迅速化を図っております。なお、経営に対する監督機能の強化を図るために、取締役7名のうち社外取締役3名を選任しております。

監査等委員監査については、実効性を高めるため、財務・会計に関する相当程度の知見を有する社外監査等委員を選任しているほか、監査等委員会と内部監査部門との連携体制を構築しております。各監査等委員は、法令及び諸基準に準拠し、監査等委員会が定めた基本方針に基づく監査を行うほか、取締役会その他の重要な会議に出席し必要な意見陳述を行っております。

 

(C) 不適切な支配の防止のための取組みの概要

当社は、上記(A)の基本方針を実現するための取組みとして、2017年6月29日開催の第79回定時株主総会において当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新することを、株主の皆様にご承認いただきました。

本プランの概要は以下のとおりですが、詳細につきましては、当社ウェブサイト掲載のニュースリリース「会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新に関するお知らせ」をご参照ください(http://www.zbr.co.jp/)。

本プランの目的は、当社に対し、株式の買付け等を行う者又は提案する者(以下「買付者等」といいます。)が現れた場合、不適切な買収でないかどうかを株主の皆様が判断する為に必要な情報や時間を確保し、株主の皆様の為に買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買収を抑止する仕組みを確保することであります。本プランの有効期限は、2020年開催予定の第82回定時株主総会終結時までの3年間としております。

実際の発動は、買付者等が、持株比率20%以上となると認められる株式買付けを行う場合を対象に、経済合理性に基づいて個別判断を行い、社外者で構成する独立委員会の勧告を受けて、取締役会決議により発動いたします。新株予約権の無償割当てを行う場合には、全ての株主に持株と同数の新株予約権を割り当てますが、買付者等には予約権行使をできない条件を付して、その持株比率を半減させることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を防衛いたします。

 

(D) 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断及びその理由

本プランは、以下の理由により、上記(A)の基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

① 本プランは、株式会社東京証券取引所における適時開示、当社事業報告等の法定開示書類における開示、当社ウェブサイト等への掲載等により周知させることにより、当社株式に対する買付けを行う者が遵守すべき手続きがあること、並びに、買付者等の不適切な買付行為による権利行使は認められないとの行使条件及び買付者等以外の者から株式と引換えに新株予約権を当社が取得するとの取得条項が付された新株予約権の無償割当て等を、当社が実施することがあり得ることを事前に警告することをもって、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうと判断される買収から防衛することが図られております。

②買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること等

本プランは、経済産業省・法務省の2005年5月27日付「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足し、さらに、企業価値研究会の2008年6月30日付「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容(買収者に対して金員等の交付を行うべきではない、取締役は責任と規律ある行動をとる等)に沿うものであります。

 また、東京証券取引所の有価証券上場規程第440条に定める買収防衛策の導入に係る遵守事項(開示の十分性、透明性、流通市場への影響、株主の権利の尊重)にも合致するものであります。

③株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

本プランは、当社株式に対する買付け等がなされた際に、当該買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、又は当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものであります。

④株主意思を重視するものであること

本プランの有効期間は、2020年開催予定の第82回定時株主総会終結の時までとなっており、いわゆるサンセット条項付であります。また、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において、本プランの廃止又は変更の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い廃止又は変更されることになります。以上の意味において、本プランの廃止及び変更は、当社株主総会の意思に基づくこととなっております。

⑤独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示

当社は、本プランの施行・運用にあたり、当社取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために企業価値ひいては株主共同の利益を客観的に判断し、取締役会に勧告する諮問機関として独立委員会を設置しております。

独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、社外有識者、当社社外監査等委員又は当社社外取締役の中から選任される委員3名以上により構成されております。

また、当社は本プランの運用に際して、適用される法令又は金融商品取引所規則に従い、本プランの各手続きの進捗状況、又は独立委員会による勧告等の概要、当社取締役会の決議の概要、その他当社取締役会が適切と考える事項について適時に情報開示を行うこととし、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資する範囲で本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しております。

⑥合理的な客観的発動要件の設定

本プランは、予め定められた合理的客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。

⑦第三者専門家の意見の取得

当社取締役会及び独立委員会は、各々独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ることができることにより、判断の公正さ・客観性がより強く担保された仕組みとなっています。

⑧デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと

本プランは、当社の株主総会で導入・廃止を決議することから、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。

また、当社は、取締役任期を1年とし、毎年の定時株主総会で取締役の全員を選任する制度を採用しており、いわゆる期差任期制を採用していないため、本プランはいわゆるスローハンド型(取締役会の構成の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

(ご参考)

本プランの有効期間は、2020年開催予定の第82回定時株主総会終結時までとなっておりましたが、当社は2019年5月27日開催の取締役会において、有効期間満了前の廃止の承認議案を2019年6月25日開催の第81回定時株主総会に付議することを決議し、当該定時株主総会にて承認されました。

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