研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループは、真空技術を応用した次世代・最先端の分野における研究開発活動を経営の重要な柱に位置付け、強みである総合力を活かし、企業価値を向上させる製品を実現するための技術を創出し続けており、当連結会計年度における研究開発活動を以下のとおり実施いたしております。

国内外の各開発拠点において競合他社に先駆けた独創的な新技術の開発、積極的な応用技術の開発を行っております。気候変動や環境問題などの社会課題に対応するためには、高度な電子デバイスが必要不可欠ですが、これらのデバイスを製造するための核心技術に当社の真空薄膜形成技術が貢献しております。当社は、主力製品である半導体製造用スパッタリング装置、FPD製造用スパッタリング装置及び真空蒸着装置に加え、さまざまな電子デバイス向けの真空薄膜形成技術、スパッタリング材料等の開発を重点的に行っております。また、お客様のご要望(VOC)や市場動向を収集し、タイムリーでスピード感のある開発を進めております。さらに、2021年9月には国立大学法人東京工業大学と「アルバック先進技術協働研究拠点」を大岡山キャンパス内に設置し、企業と大学という組織単位での連携を強めております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は10,340百万円となり、セグメントごとに研究開発活動の成果を示すと次のとおりであります。

 

(真空機器事業)

当社の事業の柱である半導体や、高機能電子デバイス製造装置、FPDなどの電子デバイスの各分野に開発投資を行い、新商品や新技術を創出、受注にも貢献しております。

また、真空ポンプや真空計測機器等各種のコンポーネント分野へも開発投資を行っております。

当セグメントに係る研究開発費は9,559百万円となり、代表的な成果は次のとおりであります。

 

(1)半導体及び電子部品製造装置

半導体製造装置においては、最先端ロジック分野におけるメタルハードマスク工程の実績を基に他工程参入を実現するための装置・プロセス性能向上の開発を進めております。また、メモリ分野においても微細化、高積層化の進むDRAM及び3次元NANDフラッシュメモリでの他工程参入を目指した装置・プロセス開発を進めております。その成果が認められ、一般社団法人日本真空工業会表彰において、ストレスコントローラブル高密度TiN膜成膜モジュール「ULTiNA」が真空装置部門賞を受賞いたしました。

電子部品製造装置においては、通信デバイス・オプト(光学膜)・電子部品(MEMS等)・パワー半導体・電子実装の製造に適した装置・プロセスを開発し、販売を行っております。具体的には、5Gデバイス向けのサブナノメートル平坦化用イオンミリング装置「IM-2000」、光学膜用スパッタリング装置「ULDiSシリーズ」3D車載カバーガラス対応反射防止膜成膜装置を開発、リリースいたしました。また、電子部品製造向け枚葉式複合モジュール型成膜加工装置「uGmniシリーズ」の新エッチングモジュール、スパッタリング法によるGaNエピタキシャル成長モジュール「SEGul」等を開発、リリースいたしました。

 

(2)FPD製造装置

液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びフレキシブルディスプレイなどの分野における次世代技術への開発投資を行っております。

今後、高精細化プロセスが必要な有機ELディスプレイに対して、製品歩留まりを改善するための技術開発(スパッタリング装置等における低発塵新搬送機構、マスク合わせ精度向上)や成膜性能を向上する新ユニットの開発、新材料開発など、総合的な成膜技術向上を進めております。さらに、AI活用による成膜プロセス予測による安定稼働・生産性向上・省人化を実現するための装置を開発しております。高度化する市場要求水準に合った評価のために各種測定設備などの更新・新設を行うことで、開発をスピードアップさせております。

また、今後採用の拡大が予想される酸化物半導体薄膜トランジスタ向けのターゲット材料の開発を行うとともに、スパッタリング成膜プロセス開発も進めております。

 

(3)コンポーネント

真空ポンプや真空計測機器のほか、直流電源、真空搬送ロボット、真空バルブの開発をお客様のご要望も取り入れながら進めております。その成果が認められ、一般社団法人日本真空工業会表彰において、「高精度流量制御」が真空コンポーネント・部品・材料部門賞を、「スマートフォン対応ピラニ真空計SWU10-U」がイノベーション賞を受賞いたしました。

さらに、クライオポンプ、量子コンピュータや医療関連に使用する極低温冷凍機の開発も進めており、幅広い分野に貢献しております。

 

(真空応用事業)

ターゲット材料をはじめとする先端材料、表面分析装置やマスクブランクスの開発を行っており、当セグメントに係る研究開発費は782百万円となりました。

主に、ディスプレイや半導体の高性能化に貢献するターゲット材料等の先端材料、先進的な表面分析装置の開発を行っております。また、半導体やFPDのリソグラフィ工程の重要部材であるマスクブランクスなどの開発を行っております。表面分析分野ではX線光電子分光分析装置(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy又はESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)のフラッグシップモデルとなる多機能走査型X線光電子分光分析装置「PHI VersaProbe 4」、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)のフラッグシップモデルとなる「PHI nanoTOF 3」を開発、リリースいたしました。

 

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