業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の度重なる発出で、経済活動の停滞と再開が繰り返されました。ワクチン接種が進む中で 景気回復の兆しがみられる一方、半導体をはじめとする部材の供給不足や原材料価格の高騰に加え、中国におけるロックダウンやロシア・ウクライナ情勢の影響で、先行きは一層不透明な状況となっております。

 

自動車業界は、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で国内外の需要が落ち込みましたが、当連結会計年度では年間を通して回復傾向が続きました。一方、半導体等の部品供給不足が深刻化したことや東南アジア地域での新型コロナウイルス感染再拡大によるロックダウン等が重なり、足元では国内外で自動車の減産が続きました。

電子機器業界は、一部に半導体不足の影響はあるものの、スマートフォン、ハードディスクドライブの生産台数は横ばいで推移しました。

 

このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、857,324百万円となり、前連結会計年度末対比で54,324百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が減少したものの、棚卸資産、受取手形及び売掛金と有形固定資産が増加したことによるものです。

負債合計は、302,969百万円となり、前連結会計年度末対比2,082百万円の増加となりました。これは主に、短期借入金が減少したものの、買掛金、未払法人税等と繰延税金負債が増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末対比52,241百万円増の554,355百万円となり、自己資本比率は58.6%となりました。これは主に、配当の支払いはあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等で利益剰余金が増加したことや為替相場の変動に伴い為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

 

b.経営成績

当社の経営成績は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

シール事業におきましては、自動車向けは、半導体等の部品供給不足や東南アジア地域での新型コロナウイルス感染拡大はあったものの、需要の回復幅が大きく、販売は増加しました。一般産業機械向けも、建設機械をはじめ、工作機械、ロボット等の市場が好調を維持し、販売は増加しました。

その結果、売上高は336,189百万円(前年同期比14.7%の増収)となりました。営業利益は、原材料価格の高騰、人件費・経費の増加があったものの、増収の効果により、35,482百万円(前年同期比53.0%の増益)となりました。

 

電子部品事業におきましては、半導体等の部品供給不足による減産の影響が一部にあるものの、需要の回復により、高機能スマートフォン向け、ハードディスクドライブ向けの販売が増加しました。また、自動車向けは、需要の回復に加え、電動車向け製品の拡販により販売が増加しました。

その結果、売上高は、320,942百万円(前年同期比13.9%の増収)となりました。営業損失は、人件費・経費の増加があったものの、増収の効果により、5,040百万円(前年同期は8,371百万円の営業損失)となりました。

 

ロール事業等のその他事業におきましては、ロール事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んでいた複合機および補修用部品の需要が回復傾向にあり、販売が増加しました。特殊潤滑剤事業につきましても、一般産業機械向け等の需要が好調だったことにより、販売は増加しました。

その結果、売上高は25,375百万円(前年同期比17.6%の増収)となりました。営業利益は893百万円(前年同期は361百万円の営業損失)となりました。

 

以上の結果、当社グループの経営成績は、売上高は682,507百万円(前年同期比14.4%の増収)、営業利益は31,337百万円(前年同期比116.6%の増益)、経常利益は46,168百万円(前年同期比151.8%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は25,835百万円(前年同期は1,361百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ9,137百万円減少し111,247百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動の結果、得られた資金は、54,999百万円(前年同期比20.0%の増加)となりました。これは主として、業績の回復を背景とした税金等調整前当期純利益の計上によるものです。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動の結果、使用した資金は、37,972百万円(前年同期比102.8%の増加)となりました。これは、コロナ禍の影響を鑑み圧縮していた投資を徐々に緩和したことが主たる要因です。

 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動の結果、使用した資金は、32,070百万円(前年同期は5,884百万円の収入)となりました。これは、コロナ禍の影響を鑑み実施した短期借入を返済したことが主たる要因です。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

シール事業

347,981

118.7

電子部品事業

324,211

114.3

その他事業

25,531

124.1

合計

697,724

116.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。

 

b.受注実績

当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

シール事業

336,189

114.7

電子部品事業

320,942

113.9

その他事業

25,375

117.6

合計

682,507

114.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

Apple Inc.

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

87,537

14.7

102,233

15.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度における当社グループの状況は半導体等の部品供給不足の深刻化、東南アジア地域での新型コロナウイルス感染再拡大の影響を受けましたが、国内外の需要回復により、売上・営業利益共に、前年対比で増収増益となりました。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

シール事業におきましては、上期に自動車向け及び一般産業機械向け共に前年同期対比で増収となりました。下期には半導体不足等を起因とした顧客の減産影響を受けましたが、通期の売上は前年対比で増加しました。営業利益は、原材料価格の高騰や人件費・経費の増加があったものの、増収効果により前年対比で増益となりました。尚、需要の回復を受け、当期より投資凍結を解除し、中国及びベトナム工場等の生産能力増強を図っております。

 

電子部品事業におきましては、電動車向け製品の拡販もあり、自動車向け売上が増加しました。また、高機能スマートフォン・ハードディスクドライブ向けの販売も増加し、通期の売上は前年対比で増加しました。営業損失については、前年対比で改善しております。引き続き、新規拡販に加え、構造改革の推進及び固定費管理により収益力の向上を進めてまいります。

また、当社では新商品・新事業創出について、当期も力を入れてまいりました。特にライフサイエンス市場を注目分野として捉え、シール事業及び電子部品事業で培った技術と経験のシナジー効果や他社との協業等により新商品を複数上市しております。さらに、カーボンニュートラルの実現に貢献するため、使用原料の製造過程におけるCO2排出量を従来品と比べて40%削減できるバイオマス由来の原料を使用したEPDMを開発いたしました。自社独自開発に加えて外部協業を進めることで今後も引き続き新商品・新事業創出に注力していきます。

 

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり、以下が主なものとなります。

 

a. 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

b. 顧客の業績への依存

c. 他企業との提携

d. 需要動向の変化による影響

e. 為替変動の影響

f. 金利変動の影響

g. 株式市場の動向による影響

h. 原材料の価格変動

i. 法的規制等の影響

j. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク

k. 知的財産権侵害の影響

l. 環境規制が及ぼす影響

m. 政治経済情勢による影響

n. 自然災害等による影響

o. 情報流出の影響

p. サイバー攻撃等の影響

q. 製品の品質問題が及ぼす影響

 

当社グループでは、ますます拡大する海外事業の適切な管理や新商品開発による販売強化、品質力のさらなる向上、自然災害等に備えたBCM(事業継続マネジメント)の運用、業務の効率化、デジタル化の推進、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、取り組んでおります。

 

また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための経営方針である「品質向上のための研究を重ね、技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で生産・販売すること」の具現化に努めてまいります。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 

 当社グループとしては中長期的な経営上の目標として、収益性を表す指標としてROA5%以上、経営の安全性を表す指標として自己資本比率が50%の維持を掲げています。これらを達成した結果として、一般的に優良企業と目されるROE10%に届くことになります。

 

経営目標

目標水準

2021年度(実績)

ROA

5%

3.1%

自己資本比率

50%

58.6%

ROE

10%

5.4%

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.契約債務

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

60,545

60,545

長期借入金

10,398

8,628

1,770

 

c.財務政策

 財務政策としては、良好な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために経営資源を配分することを基本方針としており、具体的な指標としてROA5%以上、自己資本比率50%以上の水準を中長期的な目標としています。

 経営資源の配分については、安定的な経営に必要な手元現預金水準を維持しつつ、設備投資等、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

 設備投資は、将来にわたり長期安定的な利益を生み出すため、新商品・新ビジネスへの対応や、付加価値の内部取り込みといった目的の投資の他、品質向上及び省人化の投資、また計画的な設備の老朽化更新といった投資が主な内容となっております。

 各年度の設備投資額はフリーキャッシュ・フロー黒字の範囲内を原則とし、十分な水準の手元流動性を確保するよう努めておりますが、不足する運転資金、設備投資資金については金融機関からの借入により調達しています。

 株主還元については、中長期的な業績に対応して一定水準の安定した配当を継続することが大切であると考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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