研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、当社技術本部及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、10,410百万円となっており、セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 

 (1)シール事業

「環境」、「安全」及び「自動運転」対応を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。

環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、電気自動車(EV)・ハイブリッド(HEV)・燃料電池自動車(FCV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。

安全や自動運転対応では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。

オイルシールにおいては、多様化する省エネニーズへの貢献を加速させるため、低フリクションの技術ブランドLe-μ’s(商標)へのラインナップ拡充を図っていきます。特に、低摩擦化を追求したコーティング技術などの応用により、e-Mobility関連をはじめ、建機・農機用シールなどの製品開発も進めております。

Oリングにおいては、低摩擦技術によるLe-μ’sブランドにCNT添加Ovalリングを加えました。また、e-Mobility関連製品、燃料電池関連製品や低燃費に貢献できる各種機能を向上させる製品の開発によりカーボンニュートラルに対する貢献を目指しております。

自動車用自動変速機の回転軸用シールリングにおいては、アイドリングストップ車に対応した低リークシールリングCS-Ringを開発し、従来品対比で最大80%の低リーク効果がある製品を市場投入しております。低リークに加えて低トルクの仕様開発も進めており、更なる省燃費・省電費に貢献するシールの開発を進めております。

新商品関連では、EV/HEV/FCVに代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性部品の販売を開始しました。さらに燃料電池の中核を成すスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産しております。

また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)の中では、ドライバモニタリング技術も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。

自動車以外の分野においては、「環境・エネルギー」「情報通信」「ライフサイエンス」市場に注目しており、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させた物品管理用ICタグや、医療・バイオ分野に向けた解析評価用のデバイスなど、より付加価値の高い製品開発を進めております。

化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、フッ素系機能性化合物製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。

なお、当事業に係る研究開発費は8,635百万円であります。

 

 

 (2)電子部品事業

成長電子市場である小型携帯電子機器・自動車・医療・ヘルスケアの各分野に向けたフレキシブル配線板(FPC)の新商品開発を推進しております。

小型携帯電子機器については、5Gにより高速・大容量通信が開始されたことから高速伝送FPCを商品化しています。これは、アンテナと回路間の接続用アンテナケーブルに使用され、5G用チップセットメーカーからサプライヤー認定を受け、商品化しています。最近では、機器内の省スペース化・組込み性向上に向けて、アンテナケーブルとUSB等の高速デジタル信号用ケーブルを一体化する検討を推進しており、今後、標準搭載が見込まれるUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)アンテナとケーブルを一体化したFPCの開発も開始しました。

商品展開としては、6GHz以下の「SUB-6」にはMPI(モデファイドポリイミド)を用いたFPCを、さらに高い周波数の「ミリ波帯」にはLCP(液晶ポリマー)を用いたFPCを商品化しています。50GHz以上の超高周波帯に向けては、フッ素系材料を適用したFPCの開発を進めています。

自動車向けには、拡大する電動車両向けの商品開発を推進しております。BEV、HEVに搭載されます駆動用バッテリー向けには、その電圧を監視するFPCおよびそのモジュール製品の商品化を行い、大型化や、急激な需要増に対応した高生産設備の開発を行っております。また、エンジン熱源の無いBEV用には低消費電力で薄型化できるFPC製ヒーターを開発し、今年量産を開始しました。

新しい取り組みとしては、従来からの商品群であるガスケット一体FPCの車載展開を進めており、対象ユニット毎に耐油性、低湿度透過、電磁波シールドなどを付与したゴム材料の開発とその商品化を推進しております。

医療用においても、診断装置や処置機器等へFPCの採用が始まっております。CTスキャナ・超音波診断装置等の動画・静止画が4K/8K対応へ高画質化が進んできており、センサを実装するFPCには高精細配線が必要となってきております。そこで、微細パターンを作成するためセミアディティブ工法の技術検討を行い、昨年よりCTスキャナ用に微細FPCの量産を開始しました。

積極的な医療行為をする機器の一つである手術支援ロボットは、複数メーカーが開発を進めております。FPCの柔らかさ・高密度配線の特徴を生かし内視鏡側では従来のワイヤーハーネスでは成し得なかった小型化・高屈曲を実現しました。操作側においても、FPCの低反力性により操作性が滑らかになり、力覚の再現にも寄与しています。商品開発においては3D設計や最適材料のご提案も行っています。

医療・ヘルスケア分野に向けては、FPCの技術を使った商品開発を進めております。脳波信号を取得するセンサシート向けに伸縮性のある基材と配線を組み合わせた伸縮FPCの量産をしており、新モデルにおいても採用となりました。さらに次機モデルに向け、センサシート電極と生体を接続するための生体導電粘着剤開発を進めています。これらの組合せは、EMS(電気筋肉刺激)電極シートへの展開も可能となり、あたらしいビジネスを模索してまいります。

また、FPC技術を応用し、オムツ内で排尿を検知するセンサデバイスの開発を進めています。要介護者のオムツ確認、モレ対応、記録など、介護者の負担軽減が期待でき、介護施設への展開を予定しています。

なお、当事業に係る研究開発費は、1,074百万円であります。

 

 (3)その他事業

事務機業界では、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、働き方改革によるリモートワークの進展、ペーパーレス化の加速等々、需要が減少しました。事務機の開発トレンドは、高機能機種の更なるセキュリティー強化・ネットワーク機能拡充・高速化・高画質化・高耐久化・省エネ化を目指し機構変更やVE/VAを推進しています。弊社は高機能部品に特化した製品群に焦点を絞り、新製品開発、顧客との協業開発に注力いたします。併せて、品質向上、開発工期の短縮等、より安定した開発・生産体制の構築に努めてまいります。

潤滑剤関係では、極限環境(低温・高温・高荷重あるいは高真空)下で使用可能な潤滑剤や、自動車・産業機器の環境性能改善に貢献する製品の開発に加えて、カーボンニュートラルや環境負荷に配慮した新製品・新技術の研究開発に取り組んでいます。

なお、当事業に係る研究開発費は700百万円であります。

 

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