業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、売上高及び売上原価について前連結会計年度比増減率を記載しておりません。詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項](会計方針の変更)」をご参照ください。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の影響からの持ち直しの動きが見られましたが、一方で、半導体などの供給制約やコンテナ不足といったサプライチェーンの混乱や、資源価格の高騰などによりインフレーション(以下「インフレ」という。)が進行しました。また、年度末にかけて急速に深刻化したウクライナ情勢の影響が顕在化し始めました。米国や欧州では感染症の流行に伴う活動制限が緩和傾向に向かうなかで、個人消費・企業業績ともに回復が進みましたが、インフレ高進を受け、資産買い入れの縮小や政策金利の見直しなど、金融政策を転換する動きが見られました。中国ではゼロコロナ政策の下、散発的に活動制限が強化されるなど、個人消費が下押しされる事態や半導体などの供給制約に伴い生産活動が停滞する局面も見られましたが、景気は回復基調にありました。その他の新興諸国では防疫・医療体制の弱さから活動制限が長期化し、回復の遅れが目立ちましたが、緩やかな持ち直しの動きが見られました。

国内経済については、感染症の再拡大に伴い活動制限が強化されたことで小売りや消費性向が弱い動きをする局面もありましたが、輸出や生産活動を中心に回復傾向が続きました。一方で、資源価格の高騰などによりインフレが進行し、また米国などとの金融政策の違いなどを背景に円安が進行しました。

このような環境において、当連結会計年度では、経済活動が回復傾向にあるなかで鉄鋼事業を中心に取扱数量を伸ばしたほか、鋼材や非鉄金属などの商品価格が上昇基調にあったことも加わり、売上高は 2,164,049百万円 となりました。利益面では、営業利益は食品事業を除く全ての事業セグメントで増益となったことで、前連結会計年度比 113.3%増 62,367百万円 となりました。また、鉄鋼事業を中心に持分法による投資利益が増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比 117.6%増 62,718百万円 に、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比 122.3%増 43,617百万円 となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「プライマリー原料事業」「リサイクル原料事業」から、「プライマリーメタル事業」「リサイクルメタル事業」に名称変更しております。

また、2021年4月1日付の組織変更に伴い、事業セグメントの区分方法を見直し、「鉄鋼事業」の一部を「プライマリーメタル事業」に含めております。加えて、2022年1月に実施した子会社の事業再編に伴い、「海外販売子会社」に含めていた子会社の事業の一部を「食品事業」に含めております。なお、前連結会計年度比較につきましては、変更後の区分方法に基づき行っております。

 

鉄鋼事業

製造業分野、建築土木分野とも回復傾向が続いており、鋼材需要の増加を背景に取扱数量を伸ばしました。また、鋼材価格は原料価格の上昇などを反映して上げ基調が続き、紐付き、店売り分野で利幅を拡げました。これらの結果、当事業の売上高は 1,008,164百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 86.9%増 35,958百万円 となりました。

プライマリーメタル事業

鉄鋼・非鉄金属メーカーなどで操業の持ち直しが続くなか、ステンレス母材やマンガン系合金鉄などの取扱いが増加したほか、電池需要の高まりなどからニッケル価格が上伸するなど各種商品価格が上昇基調にあったこともあり、利幅を拡大しました。これらの結果、当事業の売上高は 201,970百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 88.9%増 7,247百万円 となりました。

リサイクルメタル事業

製造業における生産活動の復調を背景にベースメタルの国際価格の上昇が続くなか、アルミニウム・銅スクラップなどの拡販が収益を押し上げました。また、ステンレススクラップなどの供給量が国内外で不足するなか、連結子会社の集荷・在庫機能なども活用し取扱数量を増やしました。これらの結果、当事業の売上高は 131,588百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 276.1%増 2,883百万円 となりました。

食品事業

営業自粛が続いた外食産業向けの加工品類の取扱いが低調に推移した一方、旺盛な中食・内食需要を背景に量販店向けの取扱数量を増やしたほか、商品価格の上昇局面で利幅を拡げました。また、連結子会社においては、米国子会社で量販店向け取引の増加やカニ類などの相場上昇を背景に採算の改善が続いたほか、国内子会社では取扱品目の拡大などを通じて収益を伸ばしました。これらの結果、当事業の売上高は 116,699百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 42.9%増 3,024百万円 となりました。

エネルギー・生活資材事業

世界的なエネルギー需要の高まりから原油・石油製品価格が上昇傾向にあったことに加え、PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットの取扱数量を伸ばしたことで収益を押し上げたほか、生活資材分野では外出自粛下における日用品や生活雑貨類の需要増により取扱数量を伸ばしました。これらの結果、当事業の売上高は 290,769百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 22.3%増 6,784百万円 となりました。

海外販売子会社

東南アジア各国を中心に経済活動の抑制傾向が続いたものの、インドネシア及びシンガポールにおいて徳信鋼鉄有限公司製の鋼材の取扱いを伸ばし、収益を拡大しました。また、米国の鉄鋼事業やリサイクルメタル事業が米国内の供給タイト化を背景に輸入材の取扱いを伸ばしたことなども収益に貢献しました。これらの結果、売上高は 333,898百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 286.4%増 6,722百万円 となりました。

その他の事業

木材事業では、住宅メーカー向けなどで販売先や取扱い品目を拡大したほか、米国に端を発する木材価格の高騰に伴い、輸入製材の販売を中心に収益を押し上げました。一方、機械事業では、レジャー施設分野・産業機械分野ともに完工物件が前年同期に比べて少なかったことから減収・減益となりました。これらの結果、売上高は 130,289百万円 、セグメント利益は前連結会計年度比 156.0%増 3,726百万円 となりました。

 

② 財政状態の状況

当社グループにおきましては、商品を対象物とするヘッジ取引のうち、契約に基づき取引先等に評価損益が帰属するヘッジ取引を行っておりますが、昨今のウクライナへのロシアによる軍事侵攻に端を発し、ロンドン金属取引所において先物商品価格が急騰したことを受けて、当連結会計年度におきまして、当該取引等に係る長期差入保証金が発生し、その対応策としてコミットメントライン契約の実行及び短期借入金による資金調達を行いました。

また、当連結会計年度末において、当該ヘッジ取引の時価会計処理により、評価損相当の取引先に対する未収入金及び商品先渡負債が両建てで増加しております。

当連結会計年度末の総資産は、主に上記事象に伴う長期差入保証金や未収入金の増加などにより、前連結会計年度末比 108.0%増 1,715,394百万円 となりました。

負債は、主に上記事象に伴う短期借入金や商品先渡負債の増加などにより、前連結会計年度末比 133.1%増 1,474,896百万円 となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比139.7%増の722,940百万円となり、当連結会計年度末のネット負債倍率は、2.4倍(2.0倍※)となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益からの利益剰余金の積み上がりなどにより、前連結会計年度末比 25.4%増 240,497百万円 となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の22.9%(26.0%※)から13.8%(15.3%※)に低下しました。


※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッドロー

ン)50,000百万円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は 165,083百万円 となり、前連結会計年度末に比べ 114,190百万円 224.4%)増加 しました。これは主に「② 財政状態の状況」に記載した事象に伴い発生した長期差入保証金に対応するために借入金による資金調達を行ったことによるものです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による 支出は、280,752百万円 となりました(前連結会計年度は 19,004百万円 の収入) 。これは主に「② 財政状態の状況」に記載した事象に伴い長期差入保証金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による 支出は、14,993百万円 となり、前連結会計年度に比べ 10,802百万円 257.8%)増加 しました。これは主に短期貸付金の実行額の増加や有形固定資産の取得によるものです。

 

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、295 ,745 百万円の支出となりました。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による 収入は、406,820百万円 となりました(前連結会計年度は 34,223百万円 の支出) 。これは主に上述の長期差入保証金のための借入金による資金調達を行ったことによるものです。

 

④ 受注及び販売の実績

 a. 受注実績

   受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。

 

 b. 販売実績

   当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

外部顧客への売上高(百万円)

前連結会計年度比増減率(%)

鉄       鋼      事       業

983,651

プ ラ イ マ リ ー メ タ ル 事 業

195,597

リ サ イ ク ル メ タ ル 事 業

127,573

食       品      事       業

116,167

エ ネ ル ギ ー・生 活 資 材 事 業

280,397

海外販売子会社

333,558

そ      の      他

127,103

2,164,049

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、前連結会計年度及び当連結会計年度における当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」をご参照ください。なお、有価証券や固定資産の評価、貸倒引当金や賞与引当金等における見積り及び判断・評価については、過去の実績や足元の状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況

売上高は、経済活動が回復傾向にあるなかで、各種商品需要の高まりから鉄鋼事業を中心に取扱数量を伸ばしたほか、鋼材や非鉄金属をはじめ商品価格も全般的に上昇基調であったことから、2,164,049百万円となりました。このうち、国内売上高は1,484,766百万円、海外売上高は679,282百万円となりました。

売上原価は、販売数量の増加に伴い仕入数量も増加したほか、商品市況の上昇に伴う仕入単価の上昇もあり、2,045,040百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人件費の増加に加え、前連結会計年度には自粛していた営業活動の再開に伴う旅費交通費や交際費等の増加などにより、前連結会計年度に比べ11.7%増の56,641百万円となりました。

営業外収益は、受取利息や受取配当金が減少したものの、持分法による投資利益が大幅に増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ43.8%増の8,422百万円となりました。一方、営業外費用は、為替差損や支払利息が増加したことなどにより、前連結会計年度比28.8%増の8,071百万円となりました。

特別利益は、上場株式の売却に伴う投資有価証券売却益の計上により、前連結会計年度に比べ124.3%増の1,594百万円となりました。また、特別損失は、投資有価証券評価損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ69.5%増の1,174百万円となりました。

法人税等は、課税所得の増加に伴い、前連結会計年度に比べ108.6%増の18,733百万円となりました。

これらの結果、当期純利益は前連結会計年度比123.6%増の44,405百万円となり、その内、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比122.3%増の43,617百万円となりました。また、1株当たり当期純利益の金額は前連結会計年度の482.74円に対し、1,073.34円となりました。

 

③ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載の通りです。

当社の主たる事業である商社事業において影響が大きいものは、商品価格の動向であります。価格のトレンドや国内外の需給動向を確認しながら、売りと仕入のタイミングを図っていきます。特に在庫取引を行う商品については、買う時期と数量を慎重に判断して行います。鉄鋼事業では流通業向け店売り市場が縮小しており、以前ほど大量の在庫を保有することはなくなったため、市況下落による評価損も昨今は限定的ではあるものの、商品価格の変動幅が過去に比べて大きく変動速度も速くなっており、実需以外の要因も影響を及ぼすため、市況動向の見極めが一層重要になっております。

次に、当社グループの取引は掛け売りやユーザンスを与えるものも多く、それらは各取引先に対する厳格な審査・与信管理の下に信用枠を設定しています。取引先の信用状態については、常に各営業担当が確認をしており、会社としても社員の与信管理能力の強化や信用保険・ファクタリング等による債権保全に努めておりますが、不測の倒産等が発生した場合には、売上債権の全額を回収できずに貸倒れとなることもあり、全体の損益が影響を受けることがあります。

海外との取引においては、決済通貨と表示通貨が異なる場合に、表示通貨への換算の際に為替変動の影響を受けます。個別の取引においては、原則として為替予約などにより為替変動による影響を最小限にするように対処しておりますが、決算期末での債権債務の期末レートへの換算替えにおいては、評価損益が発生することがあり、変動幅や速度によっては、全体の損益が影響を受けることがあります。

資本政策に関しては、当社グループは運転資金や投融資資金を金融機関からの借入や社債発行などにより調達しており、金利変動や金融市場の動向、格付などにより、事業の採算や借入コストが影響を受けます。取引仲介における口銭や手数料収入の利率を金利変動に応じて変動させたり、金利スワップ等でコストの増加を抑制するなどの対応をしてはおりますが、金融市場の大きな変動の中では全体の損益が影響を受けることがあります。

そのような事業環境のなか、当社グループは、事業領域の拡大や将来収益の源泉を確保するために、既存の商社事業を土台としながら、バリューチェーンのより広い範囲に積極的な事業投資を展開しております。投資に際しては、専門家によるデューディリジェンスの実施や、投資等審査委員会などによる収益性の検証及びリスクの洗い出し等を行っておりますが、当初予定していた事業計画が大きく下振れした場合や予測が困難であった重要な偶発的事象が発生した場合などには、全体の損益が影響を受けることがあります。特に大規模な開発型案件や資源分野などへの投資については、収益性のボラティリティが高い傾向にあるため、経営会議や取締役会などにおいて定期的なモニタリングを実施しております。

また、当社グループは様々な商品やサービスを取り扱っており、その品質については、仕入先や委託加工先と提携して万全を期していますが、時に品質基準を満たさないもの、不良なものが発生することがありえます。従来、品質に問題があった場合には仕入先や加工先に一義的な保証責任がありましたが、品質欠陥に対する社会的な影響が大きくなっている昨今、商社も品質管理に一層の注意を払うことが必要になっており、その対応によっては保証費用や信用低下などにより全体の損益が影響を受けることがあります。当社では、品質安全環境管理部による定期的なモニタリングを基に、協力業者も含めた品質管理体制の強化を進めています。

当社グループとしては、上記以外の業績に影響を与えるリスク要因に対しても、あらかじめ可能な限り対処策を講じることで、影響の軽減に努めてまいります。

 

④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、280,752百万円の支出となりました(前連結会計年度は19,004百万円の収入)。これは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」等に記載した事象に伴い長期差入保証金が増加したことや、商品相場が上げ基調にあるなかで運転資金需要が増加したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて10,802百万円多い14,993百万円の支出となりました。これは、出資先に対する短期貸付金の実行額の増加や本社及び子会社における加工設備等の取得によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、406,820百万円の収入となりました(前連結会計年度は34,223百万円の支出)。これは、上述の長期差入保証金や運転資金需要に対応するために借入金による資金調達を行ったことによるものです。

 

(財務政策)

当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行ってまいりました。そうしたなか、今般のウクライナへのロシアによる軍事侵攻に端を発した、ロンドン金属取引所における先物商品価格の急騰を受けて、当該取引等に係る長期差入保証金が発生し、その対応策としてコミットメントライン契約の実行及び短期借入金による資金調達を行ったことにより、有利子負債金額及びそれに占める短期調達の比率が増加しておりますが、それらについては、先渡契約の契約残高の減少や取引先からの資金の回収などに伴い減少していく見込みです。

 今後当社グループとしましては、先渡契約の契約残高の減少や取引先からの資金回収に加え、資産の見直しや、資金効率の向上及び、調達期間の長期化を進め、有利子負債の削減及び財務的な安定性の維持を図っていく所存です。また、流動性維持のために、金融機関との間で2022年3月に新たにコミットメントライン契約を追加で30,000百万円締結しており、こちらについては未実行となっております。

社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、50,000百万円であります。

長期借入金のうち、50,000百万円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である25,000百万円を資本と同等に扱っております。

有利子負債の4割程度は円建てでの調達によるものですが、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。

 また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しては第9次中期経営計画で掲げておりますように現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。

 

⑤ セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

鉄鋼事業の売上高は1,008,164百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ86.9%増35,958百万円となりました。感染症からの経済活動の回復基調が続くなか、鋼材需要は製造業分野、建築土木分野ともに増加を続けました。一方、供給面においては、高炉メーカー各社による製鉄所の統合・休止を背景に、感染症流行以前の水準には届かないものの、経済活動の回復に伴い、粗鋼生産量及び鋼材流通量は前年に比べ増加しました。このようななか、当社の取扱数量は、海外で進めている地産地消型ビジネスモデルも功を奏し、前連結会計年度に比べて総じて増加し、増収となりました。利益面については、原料価格の上昇を背景に鋼材価格は上げ基調が続いたことから、紐付き、店売り分野ともに利幅を拡げ増益となりました。

プライマリーメタル事業の売上高は201,970百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ88.9%増の7,247百万円となりました。鉄鋼・非鉄金属メーカーなどで操業の持ち直しが続いたことから、マンガン系・シリコン系などの合金鉄やステンレス母材の取扱いが増加しました。また利益面では、ニッケルをはじめ商品価格が年度を通じて上げ基調にあり利幅を確保したほか、持分法適用関連会社であるSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.の採算改善が進むとともにフェロクロム市況の上昇に伴い、持分法による投資利益が寄与し、増益となりました。

リサイクルメタル事業の売上高は131,588百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ276.1%増の2,883百万円となりました。製造業における生産活動の復調を背景に、各種スクラップの発生量も前年と比べ増加しました。また、中国をはじめ世界的に脱炭素の機運が高まるなか、旺盛な電池需要なども相まって商品価格が上昇しました。このようななか、当社は連結子会社の集荷・在庫機能なども活用し取扱量を増やしてまいりました。利益面については、商品在庫等の価格変動リスクをヘッジするデリバティブ取引残高において評価損失を計上したものの、大幅な増益となりました。

食品事業の売上高は116,699百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ42.9%増の3,024百万円となりました。年度を通じて断続的に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が適用されたことから、外食産業向けの加工品類の取扱いが低調に推移した一方、量販店における中食・内食需要を捉えたことにより取扱数量は増加しました。利益面については、商品価格の上昇局面が続くなかで利幅を拡げたほか、米国における販売子会社であるSEATTLE SHRIMP & SEAFOOD COMPANY, INC.や、味付け数の子等の水産加工品を主力とする丸本本間水産株式会社の採算改善が寄与し、増益となりました。

エネルギー・生活資材事業の売上高は290,769百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ22.3%増の6,784百万円となりました。原油・石油製品価格は、経済活動が回復に向かうなか、エネルギー需要が世界的に高まったことにより、年度を通じて上昇傾向にありました。また、PKSやウッドペレットなどのバイオマス燃料の取扱いを伸ばしたほか、日用品や生活雑貨類を対象とする生活資材分野では、引き続き巣ごもり需要が堅調であったことから取扱数量が増加しました。これらの結果、当事業セグメントは増収・増益となりました。

海外販売子会社の売上高は333,898百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ286.4%増の6,722百万円となりました。東南アジアにおいては、前連結会計年度と比べ、感染症による経済活動への影響は徐々に軽減されていきましたが、感染者数や政策には各国で濃淡があり、制約のあるなかでの事業運営となりました。このようななか、インドネシア及びシンガポールにおいては、戦略的投資先である徳信鋼鉄有限公司の製品及び半製品の取扱いを増やしたほか、同社との取引を端緒にバリューチェーンの各段階で取引を拡げ、大きく収益を伸ばしました。また、米国においては、経済が回復基調かつ物価上昇が続くなか、旺盛な建築需要による鋼材の販売数量の増加や、ステンレス鋼材の需要の高まりを背景に、ステンレス屑の販売数量が増加しました。これらの結果、当事業セグメントは増収・増益となりました。

その他の事業の売上高は130,289百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ156.0%増の3,726百万円となりました。木材事業では、住宅メーカー向けの直需取引において、プレカット材や天井用鋼製下地材をはじめとする建築資材の取扱品目を拡大し収益を伸ばしたほか、米国に端を発する木材価格の高騰に伴い年度を通じて高値で推移したことにより、増収となりました。また、産業機械分野・レジャー施設分野においては、前年同期に比べて完工物件が少なかったことから減収・減益となりましたが、アミューズメント施設を運営する当社子会社の株式会社ハローズにおいては、緊急事態宣言等で営業が休止していた前年同期からの反動により、増収・増益となりました。これらの結果、その他の事業において、増収・増益となりました。

 

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