事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応及び仕組み作りを行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.小売事業について

(1)出店政策について

当社グループは、主に賃借店舗によって眼鏡商品、コンタクトレンズ用品等の小売業を行っております。グループ全体の店舗数は2022年4月30日現在、327店舗となっております。

 当社グループの出店方針は、「すべて直営店である」という点にあります。

 ・フランチャイズ展開した場合に比べ、会社の方針、施策等を迅速かつ適切に実施できる。

 ・店舗管理が容易かつ機動的に実施できる。

 ・出退店、改装等が臨機応変に実施できる。

等のメリットがある一方で、出店費用、人件費や付加価値需要層にアイケア商品・サービスを提供するための技術力等人材育成のコスト負担が大きくなるというリスクを負うことになります。

今後も多様化する顧客ニーズを的確に把握し、業界を取り巻く環境の変化に迅速に対応することを重視し、直営店展開を基本とする方針ですが、出店費用、人件費や人材育成等のコスト負担が大きくなるというデメリットが、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性はあります。

店舗に係る設備投資につきましては、自己資金の範囲内で行うことを基本方針としております。物件ごとに商圏、競合状況、投資効果等を総合的に勘案し、新規出店に加え、既存店活性化策(改装、近隣への移転や店舗面積の縮小等の店舗収益力の強化策)を継続して進めていく方針であります。

上記の出店方針を当面継続する予定でありますが、物件確保の状況により出店政策上、出店時期や出店予定数の変更等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)敷金及び保証金について

当社グループでは、賃借による出店を基本としております。このため、店舗用物件に契約時に賃貸人に対して敷金及び保証金を差し入れております。敷金及び保証金の残高は、2022年4月30日現在、2,496百万円(総資産に対する割合14.6%)であります。

当該敷金及び保証金は、期間満了等による賃貸借契約解約時に契約に従い返還されることになっております。また、当社グループでは賃貸人に預託している当該敷金及び保証金について、原則として賃貸人が賃料差押・競売になった際の保全として債権保全条項(支払賃料と敷金及び保証金との相殺等)を契約書・保証金に明示しております。しかしながら、賃貸側の経済的破綻等不測事態の発生によりその一部または全額が回収出来なくなる可能性があります。また、契約に定められた期間満了日前に中途解約をした場合は、契約内容に従って契約違約金の支払が必要となる場合があります。

 

(3)法的規制等について

① コンタクトレンズ販売等に関する規制等

小売事業における販売品目のうち、コンタクトレンズ及び補聴器は、2005年4月1日施行の薬事法(現医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法))に伴い改正前の「医療器具」から改正後は「高度管理医療機器」に該当することになりました。これに伴い、当該品目の販売については、従前の届出制から、許可制となりました。このため、当社グループでは、薬機法第39条の規定に基づき、店舗ごとに所在地の都道府県知事に対し、厚生労働省令に定める「高度管理医療機器等販売許可申請書」等を提出し、許可を得たうえで販売を行っております。

また、販売を行う店舗においては薬機法第2条の規定に基づき、「高度管理医療機器等営業管理者」の配置が義務付けられております。なお、上記許可の有効期限は6年間となっており、更新時にはその都度申請が必要となります。さらに、同法に定める遵守事項に違反する等、一定の事由に該当した場合、当該許可が取消されることもあります。

さらに、コンタクトレンズを使用するための検眼、処方箋の発行、装用指導等は医業(医療行為)とみなされ、医師法第17条の規定により当該行為は医師でなければ出来ないこととされております。加えて医療法第7条の規定により、医療の提供と営利事業であるコンタクトレンズの販売店は、分離独立していることが求められております。このため当社グループでは、医師の処方箋に基づきコンタクトレンズを販売する等、自ら医療の提供は行わず、専ら販売行為のみを行っております。

なお、眼鏡販売の際に店舗従業員が行う度数検査が医療行為であるか否かについて、法的に明確な定めはありませんが、眼鏡小売業界では慣行的に「医療行為ではなく、顧客が自分にあった度数のレンズを選ぶためのサポート行為」と位置づけられております。ただし、当社グループでは十分な技術的な裏付けが必要であると認識しており、安全かつ確実な度数検査を実施できる技術者の育成に注力しております。

② 眼鏡にかかる製造物責任

眼鏡は「フレーム」、「レンズ」という部品を組み合わせて完成させるため、出来上がった眼鏡は「製造物」とみなされ、製造物責任法(PL法)の適用を受けます。

 

(4)競合について

眼鏡小売市場は、依然として低価格均一店に伸びがみられるものの、高齢化の進展による老視マーケットの拡大、PCやスマートフォンなどのディスプレイやキーボード等により構成されるVDT(Visual Display Terminals)の高頻度使用による若年層における視力低下、疲れ目やスマホ老眼解消の需要高まりを背景として、老視レンズ、遠近両用レンズ等の累進型レンズへの需要が拡大しており、眼鏡一式市場規模は緩やかな回復傾向にあります。需要層について、低価格均一眼鏡と視環境の改善、いわゆる付加価値を求める需要層に二極化する傾向がみられる一方で、供給面においては、既存量販店、専門店、中小店を中心に価格競争の激化、労働需要の逼迫や経営者の高齢化による事業承継問題等により減少傾向がみられるなど、業界各社にとっては、これらの需要を着実に取り込むためのタイムリーな店舗展開、消費者ニーズを的確に捉えた店舗コンセプト及び商品戦略が、業績拡大のための大きな課題となっております。加えて、業界各社による市場シェア拡大のための出店競争は熾烈さを極めております。

当社グループは、効率的な出店政策及び顧客ニーズにあった店舗展開に加え、親和性が高いメガネチェーン店のロールアップを戦略的に展開していく方針であります。また引き続き顧客への「視覚」「聴覚」における健康をキーワードとした高付加価値商品・サービスの提供を通じて、競合との差別化を図ってまいりますが、今後の市場動向、競合の進展状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5)人材の育成について

当社グループは、直営店方式による眼鏡等小売チェーンの全国展開をしており、また顧客に「視覚」「聴覚」における健康をキーワードとした高付加価値商品・サービスを提供するにあたり、店舗従業員の育成は重要な経営課題であります。

このため、当社グループにおいては、本社研修及びセミナー等、研修制度の充実に努めるなど、顧客に高付加価値サービスを提供する人材の育成に注力しております。

しかしながら、出店政策に合わせた人材の確保・育成に遅れが生じる場合、充実した育成がなされなかった場合や顧客に対する高付加価値サービス力の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)特定の取引先の依存度について

主要仕入品目である眼鏡レンズ及びコンタクトレンズに関し、当社グループでは多数の仕入先と取引を行っておりますが、眼鏡レンズの主要仕入先である株式会社ニコン・エシロールからの仕入高は、2022年4月期1,070百万円(眼鏡レンズ仕入高に占める割合43.1%)となっております。また、同様にコンタクトレンズに関し、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社からの仕入高は、2022年4月期1,939百万円(コンタクトレンズ仕入高に占める割合28.4%)となっております。

なお、両社とは取引基本契約書を締結し、取引関係は安定的に推移しております。

 

 

2.個人プライバシー情報の管理について

 2005年4月1日に個人情報保護法が全面施行されました。これに伴い当社グループでは、個人情報に関する諸規程並びにシステム等の構築を図り、全役職員に安全管理対策の周知徹底、さらに定期的に内部監査を実施するなど、個人情報に関する安全管理対策を構築しております。ただし、万が一にも、個人情報の漏洩や不正利用などの事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3.自然災害その他の事故などによる影響について

 当社グループの本社、物流センター、店舗所在地において、大地震や台風、大雪等の災害あるいは予期せぬ事故等が発生した場合、本社および店舗、流通網に物理的損害が生じ、営業活動が阻害される可能性があります。また、国内外を問わず、災害、事故、暴動、テロ活動、新型インフルエンザその他当社グループの仕入・流通網に影響する何らかの事故が発生した場合も同様に、営業活動が阻害され、売上高および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.固定資産の減損会計について

 当社グループは、店舗等に係る有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。今後、店舗等の収益性の低下や、保有資産の市場価格の著しい下落等により、減損処理が必要となった場合、又は「固定資産の減損に係る会計基準」等の変更がある場合は減損損失が計上され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また当社グループは、目の健康プラットフォームを通じた同業のロールアップを戦略的に展開することにより事業拡大を図ることを経営戦略として推進しております。この戦略の一環として実施するM&A等においては、将来にわたり安定的な収益力を確保できることを十分に検討し買収しておりますが、将来、計画どおりに収益を確保出来ない場合にはのれんに係る減損損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.業績の変動について

 当社グループは、例年3月から4月に売上高が伸びる傾向にありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業への影響を受けることになった2020年4月期以降は、同感染症の陽性者数の増加や政府による緊急事態宣言や各自治体による外出自粛要請等の影響を受けております。当社グループは業績の平準化を図るため、中核の小売事業においてサービス収益やストック収益の拡充を進めておりますが、業績の季節的変動やコロナ禍における外部環境の変化による影響は今後も続くと予想しております。

 なお、当連結会計年度の第1四半期から第4四半期の業績推移は以下のとおりであります。

                                  (単位:上段・千円 下段・%)

 

2022年4月

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合 計

売上高

6,564,132

6,488,277

6,744,666

6,271,661

※1 26,068,738

(構成比)

25.2

24.9

25.9

24.0

100.0

売上総利益

3,913,094

3,994,492

4,239,147

3,845,889

15,992,622

(構成比)

24.5

25.0

26.5

24.0

100.0

営業利益又は営業損失(△)

△434,362

29,965

122,001

162,067

△120,328

(構成比)

361.0

△24.9

△101.4

△134.7

100.0

経常利益又は経常損失(△)

△301,491

138,230

136,378

267,694

240,812

(構成比)

△125.2

57.4

56.6

111.2

100.0

 

 

6.提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な営業を及ぼす事象

 連結子会社である株式会社VHリテールサービスが金融機関から借り入れている借入金の一部(4,272,276千円)について、財務制限条項が付されており、同社単体の2022年4月期における純資産の金額が前期比75%を下回ることになり、当該条項に抵触しております。しかしながら、借入先の金融機関と建設的な協議をしていることから、今後も主要取引銀行より継続的な支援が得られるものと考えていること、および、当社グループの財政状態から資金面にも支障はないため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

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