課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


(1) 経営方針

 当社グループは、事業を通じて実現したい姿として以下の経営理念を掲げており、新しい価値をもった商品を提供できる「食文化のパイオニア」を目指してまいります。

 

① 国民生活の充実と食文化の繁栄に貢献する

当社は、食品の生産・販売事業を通じ、まいたけをはじめとした健康に良い高品質な食品を社会に提供し、国民生活の充実と食文化の繁栄に貢献することを基本理念としております。

② 地域社会、株主への貢献と役員、社員の豊かさを実現する

当社は、役員・社員全員の不断の努力を通じて、企業力を高め、地域社会の発展に貢献し、株主に報いるとともに、自らの豊かさを実現いたします。

③ 企業倫理を尊重する

当社は、企業活動に際し、常に基本理念を踏まえ行動し、法の遵守はもとより全てに高い倫理性を求め、これを尊重いたします。

 

(2) 中長期的な経営戦略等

 当社グループは、事業環境の変化に的確に対応し、国内市場の需要を創造しながら、プレミアムきのこ総合メーカーとしてグローバルに展開し成長し続けることを目指して、2021年11月4日に「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」を公表いたしました。

 

〈中期経営計画の基本方針〉

 「国内きのこ市場のさらなる需要創造とグローバル展開するプレミアムきのこ総合メーカーへの進化」を中心に、以下3つの基本方針の下、事業展開を図り、目標達成のため取り組んでまいります。

A. 国内きのこ市場:新たなる価値創造

・まいたけ消費における地域ギャップ、年齢ギャップを新たな販売機会と捉え、積極的な情報発信と調理の簡便性向上により、国内消費の底上げを図ってまいります。

・グローバルスタンダードであり、さらなる需要の拡大が見込まれるマッシュルーム事業を強化し、プレミアムきのこ総合メーカーとして新たなステージに進んでまいります。

 

B. 技術開発:生産技術の革新による原価低減

・最新FA化技術を駆使した高効率工場に進化させることで、収益性を向上させてまいります。

・エネルギー効率の最大化と、環境負荷の低減に努めてまいります。

 

C. グローバル展開:生産・販売の自社基盤の構築ときのこ周辺領域の事業機会も探索

・世界的な健康志向に応えるため、自然食材であるきのこの消費拡大に取り組んでまいります。

・生産・販売の自社基盤を海外に構築してまいります。

・きのこ周辺領域(川上~川下)での事業機会を探索いたします。

 

〈定量目標(連結ベース)〉

項目

2026年3月期目標

売上収益

600億円前後

海外売上収益比率

30%前後

コアEBITDAマージン※

20%前後

投下資本利益率(ROIC)

10%前後

※コアEBITDAマージン:コアEBITDA/売上収益

 コアEBITDA:IFRSの営業利益からIAS第41号「農業」適用による影響額、その他の収益及び費用、一時的な収益及び費用を除外したものに減価償却費及び償却費を加算したもの

 

 なお、各施策の詳細につきましては、2021年11月4日に公表いたしました「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)説明資料」をご覧ください。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的な増収・増益と企業価値向上を目指す観点から、経営上の目標を設定する指標として、一過性の損益や金融収支の影響を除外した事業利益である「調整後営業利益」を最も重要な指標と位置付けており、2020年1月に公表した「2020年3月期~2023年3月期 中期経営計画」においても、「調整後営業利益」の持続的な成長を目標として掲げておりました。「調整後営業利益」の定義については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (参考情報)」を参照ください。

 なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略等」にて記載のとおり、当社グループは、2021年11月4日に「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」を新たに策定しております。本中期経営計画より、当社グループの業績を評価するために必要な財務指標として、コア営業利益、コアEBITDA、コアEBITDAマージンを採用しております。

 

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く環境は、国内においては、少子高齢化、人口減少等の社会構造的な要因により、食品市場全体が縮小する傾向であると言えます。また、原油高騰等による原材料費、エネルギー関連コストの上昇等の影響も顕著となり、企業収益の圧迫につながっています。さらに、今回のロシア・ウクライナ情勢により、不安定な状況が一層高まっております。これに加え、昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、国内外経済が不安定になる等、企業活動への継続的な影響が想定され、引き続き動向への注視が必要であります。

 このような環境の中、当社グループは、継続的な成長を実現していくために、事業環境の変化に的確に対応し、国内市場の需要を創造しながら、プレミアムきのこ総合メーカーとしてグローバルに展開し成長し続けることを目指して、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略等」に記載のとおり2021年11月4日に「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」を策定し、以下の点を今後の事業展開における対処すべき課題と認識し、解決に向けて重点的に取り組んでまいります。

 

① プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤確立

 当社は、まいたけ、エリンギ・ぶなしめじにて長年培ってきた当社の生産技術・ノウハウ、販売力を、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルームにも活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤確立に努めております。しかしながら、当社グループの扱うきのこのおいしさや、きのこが持つ健康促進効果など、消費者に広く十分な認知がなされているとは言い難い状況であります。特に、マッシュルームについては、国内において、マッシュルームが持つおいしさや調理方法等の認知はまだまだ高くない状況と言えます。当社は、これまで当社が培ってきた販売ノウハウを活かし、新たなマッシュルームの需要創造に努めてまいります。このため、今後、国内外に向けたマッシュルーム事業を強化するとともに、お客様ニーズの高まりへ応えるため、2021年11月25日付にて実施しましたプレスリリース「当社連結子会社におけるマッシュルーム増産のための設備投資に関するお知らせ」のとおり、株式会社三蔵農林においてマッシュルームの増産体制を構築するための設備投資を実行しております。また、引き続き当社が持つ生産ノウハウや管理手法を導入し、商品品質の向上と生産数量の安定化を進めてまいります。

 

② まいたけでの圧倒的No.1の達成と維持

 当社のまいたけは、まいたけ市場シェアの過半を占めており、リーディングカンパニーとして高品質なまいたけの安定供給を実施しておりますが、引き続き国内消費の底上げを図り、さらなる需要創造を目指してまいります。

 このため、多面的なマーケット戦略として、ターゲット顧客層の異なる特徴に応じた”重層的”かつ ”複合的”プロモーションを展開し、ライトユーザーからヘビーユーザーまでの幅広い層の獲得を目指します。特に、ライトユーザーに対しては、まいたけの「食べ方」「機能性」「簡便性」「差別化」を訴求ポイントとして、レシピ提案や外食・中食メニューでの展開を図り、多面的なアプローチを実施してまいります。

 加えて、まいたけ製品のラインナップを拡充し、当社独自の「極」ブランドの価値を再認知していただき、他社との違いを打ち出すと同時にさらなるまいたけ需要の深化を図ってまいります。

 

 

③ 生産・包装の技術革新の追求

 生産技術の面では、新菌や培地の研究開発を通じた培養日数の短縮や収量の増加、生産効率及び品質の向上等に取り組んでまいります。加えて、まいたけの生産やカット、包装や箱詰め等、センターのさらなる自動化・FA化を進め、コスト削減や省人化を通じた生産性の向上を進めてまいります。

 また、生産プロセスにおけるユーティリティの見直しとして、代替エネルギー利用等を通じ、エネルギー効率の最大化、効率化のため、エネルギー変換効率が高いLNGへの切り替え、太陽光発電、LED照明の導入を進めております。こうした取り組みを通じて、コスト削減だけではなく、商品の廃棄やCO2排出量の削減にもつながり、環境に配慮したサステナブルな生産体制を実現してまいります。

 

④ 海外展開の本格始動

 世界的な健康意識の高まりを受け、海外のきのこ生産量は安定成長が見込まれております。海外きのこ市場における生産・販売の自社基盤の構築及びきのこ栽培及び周辺領域での事業機会の獲得は、当社グループの持続的成長のため重要となります。ASEANと欧米とターゲットエリアを分け、異なる戦略方針に基づきグローバル展開を推進しつつ、各地域間で比較優位を有する経営資源を相互共有し、グループ全体の競争力を強化してまいります。

 

 上記のほか、当社は、他社の優れた経営資源(技術・ノウハウ・製品)を柔軟に活用し、プロダクト・プロセスの両局面より中長期的な成長ポテンシャルを追求していくため、オープンイノベーションを積極的に活用してまいります。

 

 また、当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入を行っており、2022年3月末における有利子負債比率((借入金+1年内返済予定の長期借入金+リース負債)÷資本合計)は181.9%であります。当社グループでは、金利上昇によるリスクを軽減するため、金銭消費貸借契約の変更によるスプレッドの引き下げ等の施策を講じております。加えて、有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上により財務基盤を強化し、企業経営の健全化に努めてまいります。

 

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