課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、1927年の当社創業以来、一貫して街並みや住まいに緑の空間を提供する造園緑化事業を行ってまいりました。今後も引き続き、「街や暮らしに潤いを与える緑空間の創造」をコンセプトとして、分野や地域を限定することなく、幅広い視野を持って事業を展開してまいります。
 また、環境問題が取り沙汰される昨今、緑を扱うプロフェッショナルとして、事業展開の場は拡大していくと認識しております。緑空間創造企業として使命を全うすることにも注力し、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、営業エリア展開等による事業規模の拡大と、予実管理の徹底による収益力の向上を目指しており、これらの目標を管理し実現するため、売上高、売上総利益率及び売上高経常利益率を経営指標として重視しております。

 

(3)経営戦略等

①職人型現場力による付加価値の高い造園緑化施設の提供

当社グループは、創業95年で培ったDNAを財産とし、工事監督やデザイナーであっても、いざとなればスコップを持って作業する能力や、重機等を操縦する技能、植物の取り扱いに関する知識を合わせ持っている「職人型現場力」を最大の強みとしております。この強みは、創業以来培った匠の技術が織りなす、観る人に感動を与えるエクステリアデザインによる顧客への提案力であり、当社グループが提案するエクステリアデザインを現実の造園緑化施設として実現する技術力の高さであることや、定められた期日までに安全かつ効率的に施工を完了させる長年の経験に裏付けされた施工管理のことであります。この強みを最大限活用することで、付加価値の高い造園緑化施設を提供することを目指しております。

 

②営業エリア拡大に向けた取り組み

当社グループは、中部及び関西エリアを中心として事業を展開しておりますが、今後、事業を拡大するにあたっては、関東エリアにおける拠点が必要となることから、2019年に東京営業所を開設しております。また、2022年7月に、東京営業所におけるスタッフの増加や営業基盤の確立のため、東京営業所を東京支店に昇格させるとともに、新たに取得した社屋へと移転しました。引き続き、関東エリアにおける建設会社、デベロッパー及び官公庁等との新たな連携の構築を進めてまいります。関東エリアにおいては、多様な施設に造園緑化を用いた「癒し」、「安らぎ」の空間を取り入れたいとするニーズがあります。当社グループは、そのニーズに応えるべく、強みである訴求力のあるエクステリアデザインを顧客に提案し、関東エリアにおける当社グループの認知度、存在感の向上を目指しております。また、中国をはじめとする海外市場への進出も視野に入れ、事業規模の拡大を目指してまいります。

 

③アライアンスの積極的な推進による企業価値の増大

当社グループは、造園緑化事業における国内唯一の上場企業であります。そのアドバンテージを生かし、他企業とのアライアンスを組むことで、企業価値の向上を目指しております。2020年5月に積水ハウス株式会社との間で業務提携契約を締結し、その一環として2020年6月には同社との間で資本提携を行っております。同社とは、下記のような取り組みを目指しております。

・個人情報の保護に関する法律等の法令に抵触しない範囲において、それぞれが持つ顧客や不動産またはプロジェクト等の営業情報を提供するよう努める。

・魅力的な外構・造園・ランドスケープの提案力向上に協力し、緑化による生物多様性の保全や気候変動の緩和を通じて人と自然の共生実現に協力する。

・相互の工事原価低減を目的とした資材の共同購入を検討するとともに、外構・造園分野での新商品・新サービスの開発に協力する。

この一連の提携により、両社は相互の知見や技術を有効活用することで企業価値の向上に努めるとともに、より一層、街や暮らしに潤いを与える緑空間創造企業としての使命を果たします。

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、前連結会計年度から引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済環境の悪化やロシア・ウクライナ情勢によるサプライチェーンの停滞、急激な円安による資源価格の高騰等により、見通しが困難な状況にあります。

 その一方で、カーボンニュートラルに向けた社会への要請や気候変動リスクへの対処から、造園緑化事業を取り巻く環境においては、自然再生を目指した緑化政策や自然療法をはじめ、造園に対する社会的需要が高まり続けています。このような中で、当社グループは、持続的な事業拡大に向け、以下の項目を優先的に対処すべき事業上の財務上の課題として取り組んでまいります。

①人材の確保と育成

当社グループが行う造園緑化事業では、設計や施工に関する技術は専門性が高く、熟練を要するため、一朝一夕では習得することが困難です。しかしながら、顧客に求められる品質・納期・価格を達成するためには、より多くの技術者を擁し、技術力を一層向上させることが必須であります。このため、今後の事業展開においては、優秀な人材の確保・育成及び技能の伝承が重要な課題となります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い労働市場が一旦は冷え込むものの、求人倍率は徐々に増加しており、優秀な人材確保という点においては、新卒・中途採用ともに業種を超えた競争状態にあります。このような状況において、当社グループは造園緑化事業の価値・魅力を積極的に発信するため、会社説明会の開催や合同企業展への参加、求人サイト・求人広告への掲載など、多彩なメディアを活用することに加え、インターンシップ制度の積極的な活用により、高等学校や大学との関係をより一層強化し、学生への認知度を高め、造園緑化事業として唯一の上場企業という優位性を活かすことで、優秀な人材の確保に努めてまいります。また、「働き方改革」を推進することで従業員の生産性を高めるとともに、現場技術者の教育訓練を強化するために2022年5月に社内教育機関「岐阜造園アカデミー」を発足しております。これらにより、人材育成を加速させ、多くの現場経験を積むことで技能を伝承してまいります。

 

②営業エリアの拡大

事業規模を拡大するためには、現在の商圏に留まることなく、新規取引先の開拓と営業エリア拡大が必須であると認識しております。このための具体的なエリア戦略として、現在の主たる営業エリアである中部及び関西エリアの他、関東エリアへの商圏拡大を目的として東京営業所を東京支店に昇格させました。今後も、東京支店においては、人員を増加し、営業基盤を確立させ、更なる営業強化を図ってまいります。これに伴い、東京・大阪・名古屋を中心とした三大都市圏を拠点とし、その近郊へと営業エリアを拡大するとともに、中国をはじめとする海外市場への進出も視野に入れ、事業規模の拡大を目指してまいります。

また、営業エリアの拡大と並行し、同業種のほか異業種も視野に入れたM&Aや、相乗効果が期待できる企業との事業提携等のアライアンスに関しても積極的に推進してまいります。

 

③内部管理体制の強化

経営環境の変化に適応しつつ、更なる事業拡大を推進し企業価値を向上させるためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要な課題であると認識しております。当社では、2022年6月に取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を設置いたしました。それにより、取締役の指名・報酬決定に関するプロセスを明確にし、利害関係者の皆様への説明責任を果たしてまいります。

当社グループでは、内部統制の実効性の向上に向けた環境・体制を柔軟かつ適正に整備し、コーポレート・ガバナンスの充実に繋げていくことにより内部管理体制の強化に努めてまいります。

 

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