文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは高い企業価値を実現するために、「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに、社会の公器として地域に貢献すること」を経営理念として掲げ、健全で持続的な成長により、お客様、株主、取引先等、あらゆるステークホルダーに対し社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけております。
(2) 経営環境
当社グループの主たる事業である住宅ビジネスを取り巻く環境におきましては、政府による各種政策や、雇用情勢・所得環境の改善により緩やかな回復傾向にあるものの、消費税増税等による可処分所得の減少や新型コロナウイルス感染症の影響による消費マインドの低下、また、人手不足に伴う人件費や原材料等の建設コストのさらなる高騰が懸念されるなど、依然として厳しい状況が続くものと思われます。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る長期ビジョン「Vision 2030 forward 300」の実現に向け、新型コロナウイルス感染症の広がりなど従来と異なる環境下においても成長発展できるよう、2021年度から2023年度までの3年間の基本方針を取りまとめた新たな中期経営計画を策定・公表しております。
中期経営計画の基本方針
① 競争力強化(人材力の強化、新規事業の創出)
② 成長拡大戦略(既存営業エリアの拡大と深耕、新規営業エリアの獲得(M&A))
③ 環境変化への適応力強化(機動的な営業体制の構築、財務基盤の強化)
目標とする経営指標
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。
① 人材力の強化
当社グループは、顧客へのサービス向上と持続的な成長発展のために、優秀な人材を継続的に確保し育成することが重要であると認識しております。そのためには、新卒者を中心に積極的な採用を行うとともに、建築士等の有資格者をキャリア採用して、知識・経験を十二分に活用してまいります。
また、育児中の社員が安心して働くことのできる仕組みづくりを行うなど、社員が働きやすい環境づくりを一層進めるとともに、将来、経営層・幹部層として活躍できる人材を育てるため、入社1年目から経営トップによる研修を実施して社員の資質向上を図ってまいります。それにより、社員自らが福利厚生や社内行事の企画・運営を行うなど、社員の自主性を醸成して、さらなる事業拡大に必要な人材の育成・組織体制の整備を進めてまいります。
② 既存店の成長
当社グループは、事業エリア内における既存店の成長が不十分であると認識しております。この課題を克服するため、顧客が求める利便性をさらに高めるとともに、工事規模の大きさに拘わらず丁寧かつ迅速に対応することを行動の基本としてまいります。
また、創業半世紀という長い歴史の中で築き上げてきた施工品質の維持・向上に努め、「住まいのかかりつけ医」として、顧客が気軽に相談できる関係づくりとさらなる顧客満足の追求に努めてまいります。
③ 既存営業エリアの拡大と深耕
当社グループの主たる事業である住宅ビジネスにおいては、新規顧客の獲得に加えて、サプライチェーンの構築が成長戦略の鍵となります。したがいまして、営業エリアの拡大においては、既存のサプライチェーンを活用しながら、まずは既存営業エリアと隣接するエリアへ展開する手法を採ってまいります。そして、新規顧客を獲得するのに合わせて新たなサプライチェーンを構築するという、好循環の成長を図ることが必要であると認識しております。
また、既存営業エリア内においては、既存店と既存店の間にも新店舗を開設し、より地域に密着した「地域一番店」として顧客からの認知度を上げるとともに、営業活動の効率化を図る「ドミナント戦略」を推し進めることが重要であると認識しております。
④ 新規営業エリアの拡大
2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030 forward 300」にて掲げた目標(2030年度に連結売上高300億円)を達成するためには、成長スピードをさらに加速させることが必要であると認識しております。具体的には、M&Aやアライアンス等を活用して全国の中堅・中小工務店と連合し、より大きな企業集団となることで、IT技術への積極的な投資や、共同仕入れによる購買力向上によって収益力を高めるなど、グループ化によるシナジーを発揮してまいります。
また、当社グループの得意とする集客ノウハウや顧客関係構築ノウハウをグループ会社で共有することによって、顧客との強いつながりを築き、それぞれの地域にとって当社グループが無くてはならない存在となることを目指してまいります。
⑤ 新規事業の創出
当社グループは、長期ビジョン「Vision 2030 forward 300」におけるスローガンとして「住まいサポートから暮らしサポートへ」を掲げております。当社グループが持続的な成長を図るためには、既存の事業である住宅リフォーム事業・新築住宅事業・不動産流通事業の発展に加えて、第4・第5の柱となる新規事業の創出が急務であると認識しております。
具体的には、既存の住宅ビジネスに隣接する分野のサービス・商品の開発を行い、顧客に新しい価値を提供することによって、これまでの「住まいづくり」というハードのみならず、暮らしを支えるサービス等のソフトも取扱う「住宅関連総合企業」となることを目指してまいります。
⑥ IT技術のさらなる導入
労働集約性の高いビジネスである住宅ビジネスを展開拡大していく上では、専門的知識や豊富な経験を有する人材を多く必要としております。しかしながら、有効求人倍率の高止まり等から十分な人材の確保ができず、機会損失が生じるおそれがあると認識しております。
この課題を克服するために、AIやIoTなどの情報処理技術を積極的に導入して、社員一人当たりの生産性を向上させることが重要であると考えております。
⑦ 財務基盤の強化
当社グループの成長戦略であるM&Aにおける資金の確保は、主に金融機関からの借入に依拠しております。今後も積極的な成長戦略を進めていくためにも、安定的な資金調達先の確保やリスクに耐えうる財務基盤の構築が重要であると認識しております。中期経営計画に沿って資金計画を策定し、金融機関とは良好な関係性を維持するとともに、収益力の向上による財務基盤の強化に努めてまいります。
⑧ コーポレート・ガバナンスの充実
継続的な事業の発展及び信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。この課題を克服するために、当社グループは、強固な内部管理体制の構築とコンプライアンスの強化に取り組んでおります。
まず、内部管理体制については、自浄能力の向上と組織内における内部牽制のさらなる機能強化を課題と捉えております。そこで部署内でのチェックの精度を高めて自浄能力を向上させることに加え、部署間での牽制機能をより一層発揮することに努めております。これらにより、経営の透明性及び公正性の確保が期待されます。
次にコンプライアンスの強化については、法令・社内規程類の遵守はもとより、日々の業務を適正かつ確実に遂行するとともに、事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化しておりますが、さらなる信頼拡大に向け、これらの一層の強化が重要であると認識しております。
この課題を克服するために、内部監査室を設置し、定期的な業務監査を実施するとともに、社内規程の内容を随時見直し、各事業の業務運営の健全性の確保、情報共有、再発防止策の検討・実施、また適宜、社内啓蒙活動を実施し、透明性のある管理体制の構築を図っております。
また、有価証券市場に対する投資家の信認を損なわないために、不公正な取引であるインサイダー取引に関する研修を継続して実施するとともに、株式等の取引に際しては手続きを厳格化して不正の防止に努めてまいります。
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