業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種政策などにより経済活動の正常化に向けた動きが見受けられました。しかし新型コロナウイルス変異株の感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻によるさらなる原油価格の高騰、また日米の金利差拡大による円安の加速に起因する物価上昇など景気を下押しするリスクも多く、先行き不透明な状況が続いておりました。

当社グループ事業に関係の深い住宅業界におきましては、国土交通省発表による2021年10月~2022年9月累計の新設住宅着工戸数は、戸建てが前年同期比98.6%と減少し、分譲マンションが前年同期比104.7%と増加し、住宅市場全体としては前年同期比102.3%と堅調に推移いたしました。

このような状況のもとで、当社グループは「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念にもとづき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指して、激しく移り変わるお客様のニーズや時代の変化に寄り添いながら、2021年に新しく閣議決定されました「住生活基本計画」に沿ったサービスの拡充に取り組み、住環境向け建築サービス及び商環境向け建築サービスの売上拡大に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症による様々な制限のもとでの社会活動の在り方を模索していた時期が過ぎ去り、徐々に社会活動が回復し、当社グループのサービス提供機会も回復をみせ、商環境向け建築サービスの売上高は復調傾向を示しました。しかしながらウィズコロナ時代における労働市場の需給バランスの崩れなどによる人手不足、及び最低賃金上昇などに起因する近年の労働賃金単価上昇の影響などがあり、当社グループの採用活動も難航し、その影響を強く受けたリペアサービスや住環境向け建築サービス分野での売上高が伸び悩みました。一方で、ICT化の推進による業務効率向上や、業務フローの見直し等でコスト圧縮につなげるなど、当社グループの経営体制強化を推し進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度末における資産合計は6,480,398千円となり、前連結会計年度末に比べ886,193千円の減少となりました。負債合計は3,963,548千円となり、前連結会計年度末に比べ142,147千円の減少となりました。純資産合計は2,516,850千円となり、前連結会計年度末に比べ744,045千円の減少となりました。

当連結会計年度における売上高は11,268,815千円前年同期比100.4%)、営業利益は337,292千円前年同期比532.6%)、経常利益は303,700千円前年同期比828.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は105,540千円(前年同期は72,823千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。なお、当社グループでは組織再編及びM&Aの実施に伴い発生したのれん償却費を販売費及び一般管理費に192,223千円計上しており、これを加えたのれん償却前経常利益は495,923千円(前年同期比216.7%)、のれん償却前親会社株主に帰属する当期純利益は297,763千円(前年同期比249.4%)となりました。

 

当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントとしておりますが、サービス分野別の状況は以下のとおりであります。

(リペアサービス)

当連結会計年度におけるリペアサービスの連結売上高は4,185,734千円前年同期比101.0%)となりました。

株式会社バーンリペアは主に戸建てを中心としたリペアサービスを提供しておりますが、需要を取り込んだ結果、同社のリペアサービスの売上高は3,393,753千円(前年同期比104.4%)となりました。株式会社キャンディルテクトは主に集合住宅を中心としたリペアサービスを提供しておりますが、採用活動の遅れにより需要を取り込み切れず、同社のリペアサービスの売上高は791,981千円(前年同期比88.6%)となりました。

(住環境向け建築サービス)

当連結会計年度における住環境向け建築サービスの連結売上高は2,832,195千円前年同期比94.7%)となりました。

株式会社バーンリペアは主に戸建てを中心とした定期点検や小型修繕・各種施工・検査、リコール対応を提供しておりますが、定期点検は順調に推移したものの、継続案件として対応しておりました大型のリコール対応が終了したことなどにより、同社の住環境向け建築サービスの売上高は2,217,779千円(前年同期比93.5%)となりました。株式会社キャンディルテクトは主に集合住宅を中心とした検査を提供しておりますが、同社の住環境向け建築サービスの売上高は614,416千円(前年同期比99.3%)となりました。

(商環境向け建築サービス)

当連結会計年度における商環境向け建築サービスの連結売上高は3,452,945千円前年同期比108.6%)となりました。

商環境向け建築サービスは主に商業施設等の内装施工、家具組立て、揚重を提供しておりますが、商環境の市場回復に伴うオフィスや商業施設、店舗の改修案件などを取り込んだ結果、増収となりました。

(商材販売)

当連結会計年度における商材販売の売上高は601,646千円前年同期比90.9%)となりました。

商材販売は主にリペア材料やメンテナンス材料を販売しておりますが、ECサイトの情報セキュリティインシデントの影響を受け減収となりました。

(抗ウイルス抗菌サービス)

当連結会計年度における抗ウイルス抗菌サービスの売上高は196,293千円前年同期比81.6%)となりました。

抗ウイルス抗菌サービスは主に抗ウイルス抗菌コーティング「レコナ エアリフレッシュ」を提供しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は1,892,412千円と(前連結会計年度は2,600,363千円)、前連結会計年度末に比べ707,951千円の減少となりました。

当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、467,772千円(前連結会計年度は35,518千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益303,700千円を計上したこと、減価償却費58,446千円、のれん償却額192,223千円、売上債権が99,841千円増加したこと、未払消費税等が56,187千円増加したこと、法人税等の還付額49,618千円、法人税等の支払額90,862千円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果 使用した資金は、33,741千円 (前連結会計年度は 93,732千円の支出 )となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出 3,893千円 、無形固定資産の取得による支出 38,428千円 などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、1,141,982千円(前連結会計年度は725,820千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額458,335千円、長期借入金の返済による支出749,996千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,500千円、自己株式の取得による支出794,420千円、配当金の支払による支出59,665千円などによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

ⅰ.生産実績

当社グループは、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

ⅱ.受注実績

当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントであり、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

ⅲ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

リペアサービス

4,185,734

101.0

住環境向け建築サービス

2,832,195

94.7

商環境向け建築サービス

3,452,945

108.6

商材販売

601,646

90.9

抗ウイルス抗菌サービス

196,293

81.6

合計

11,268,815

100.4

 

(注)1.当社グループの報告セグメントは単一であるため、サービス毎に記載しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ.財政状態の分析

当連結会計年度末における資産合計は6,480,398千円となり、前連結会計年度末に比べ886,193千円の減少となりました。流動資産は3,749,580千円となり、前連結会計年度末に比べ684,535千円の減少となりました。これは、主に、新型コロナウイルス感染拡大による景気の悪化に備えて調達した銀行借入の返済や自己株式の取得により現金及び預金が707,951千円減少したこと、受取手形及び売掛金が99,841千円増加したことなどによります。固定資産は2,730,817千円となり、前連結会計年度末に比べ201,657千円の減少となりました。これは、主にのれんが192,223千円減少したこと、ソフトウェアが3,365千円減少したことなどによります。

負債合計は3,963,548千円となり、前連結会計年度末に比べ142,147千円の減少となりました。流動負債は2,795,568千円となり、前連結会計年度末に比べ557,493千円の増加となりました。これは、主に買掛金が8,453千円減少したこと、短期借入金が458,335千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が50,000千円減少したこと、未払法人税等が103,323千円増加したこと、未払消費税等が56,187千円増加したこと、賞与引当金が11,890千円増加したこと、未払費用が29,943千円減少したことなどによります。固定負債は1,167,979千円となり、前連結会計年度末に比べ699,641千円の減少となりました。これは、主に長期借入金が699,996千円減少したことなどによります。

純資産合計は2,516,850千円となり、前連結会計年度末に比べ744,045千円の減少となりました。これは、主に自己株式を794,420千円取得したこと、利益剰余金が45,874千円増加したこと、資本金が2,250千円増加したこと、資本剰余金が2,250千円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は38.8%(前連結会計年度末比5.5ポイント減少)となりました。

 

ⅱ.経営成績の分析

当社グループのサービス別売上高は前連結会計年度に比べ、リペアサービスは前年同期比101.0%4,185,734千円、住環境向け建築サービスは前年同期比94.7%2,832,195千円、商環境向け建築サービスは前年同期比108.6%3,452,945千円、商材販売は前年同期比90.9%601,646千円、抗ウイルス抗菌サービスは前年同期比81.6%196,293千円となり、連結売上高は前年同期比100.4%11,268,815千円となりました。連結売上高の微増要因としては、商環境向け建築サービスの好調が大きく影響しております。商環境向け建築サービスは商環境市場の回復需要を取り込み、前年に比べて売上高が伸長いたしました。しかし、リペアサービスや住環境向け建築サービスは、採用活動が難航していたことに加え、住環境向け建築サービスにおいては大型のリコール案件の終了や新型コロナウイルス感染症の罹患による訪問延期やキャンセルの影響もあり、連結売上高は伸び悩みました。売上高の伸長に伴い売上総利益は増加いたしました。さらに前期の事務センター閉鎖に伴うコスト削減と業務効率向上や、オペレーション部門や間接部門の業務再分担や業務フローの見直しなどにより販売費及び一般管理費は減少いたしました。その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ前年同期比532.6%337,292千円、経常利益は前年同期比828.6%303,700千円、親会社株主に帰属する当期純利益は105,540千円(前年同期は72,823千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ.キャッシュ・フローの状況

当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

ⅱ.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、主に人件費及び外注費の支払い、リペア材料・メンテナンス材料の仕入資金であります。当社グループは、事業活動に必要な資金を確保するため、内部資金を活用するほか、金融機関からの借入を行っております。また、資金使途に応じて最適な資金調達手法を検討し、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債および収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3)経営者の問題意識と今後の方針について

現在のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況から一服し、ワクチン接種や政府の政策などにより一部に経済持直しの動きが見受けられる一方で、エネルギー価格や資材価格の高騰、円安の進行、外国人労働者の日本離れなどの景気の下押しリスクも多く、時代の情勢に合わせて、常に方針をアジャストさせていく必要があります。特に当社グループは「労働集約型」のサービスを提供しており「人材」は欠かせない経営資源だと考えているため、新しい人材の確保や既存従業員が長く働き続けられる環境を整備することは非常に重要な課題だと捉えております。人材に対する投資を進め、協力業者やフランチャイズ加盟店とも協力し、全方向から労働力を確保することで、まずは着実に成長回帰し、その上で事業の拡大・安定化を目指してまいります。また、将来の成長に向け、人材への投資だけでなくDXなどへの投資も行いながら、加速度的に変わる社会情勢や世の中のニーズに沿ったサービスの拡充を図ることで、より一層お客様から選ばれ、社会に貢献していける会社となれるよう努めてまいります。

 

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