(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ116百万円増加し、14,898百万円となりました。
流動資産につきましては、販売用不動産が550百万円減少した一方で、完成工事未収入金が591百万円増加及び仕掛販売用不動産が262百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ159百万円増加し、12,649百万円となりました。
固定資産につきましては、減価償却に伴い有形固定資産が34百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ42百万円減少し、2,249百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ98百万円減少し、8,977百万円となりました。
流動負債につきましては、1年内返済予定の長期借入金が223百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ142百万円増加し、5,142百万円となりました。
固定負債につきましては、長期借入金が252百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ241百万円減少し、3,835百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ215百万円増加し、5,920百万円となりました。
これは、配当金の支払い138百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益340百万円を計上したことに伴い利益剰余金が202百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は39.7%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出され、経済活動の停滞が長期化するなど、総じて厳しい状況で推移いたしました。ワクチン接種の促進等により、経済活動正常化への期待は高まったものの、感染力の強いウイルス変異株による感染再拡大の影響が懸念されるほか、ロシア・ウクライナ情勢による地政学的リスクの増大など、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する住宅業界におきましては、政府の各種住宅取得支援策の継続や、テレワークの普及に伴う住環境改善ニーズ等により、新設住宅着工戸数が前年比プラスで推移するなど持ち直しの動きも見られたものの、ウッドショックによる木材の供給不足や価格高騰に加え、東南アジア諸国のロックダウンに伴う部品の供給遅れにより、住宅設備機器の納期遅延が発生するなど、依然として厳しい事業環境が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループは、連結子会社5社がそれぞれの特色を活かした独自のブランドを構築するマルチブランド戦略と、成長戦略としてのエリア拡大及び顧客層の拡大により地域におけるマーケットを確立し、長期的に成長することを経営戦略として事業を展開しております。
当連結会計年度におきましては、前連結会計年度下半期における堅調な新規受注により、豊富に受注残高を積み上げた注文住宅の早期着工と、コロナ禍における新たな需要の発掘による新規受注の増加に注力し、売上高と利益の確保に努めました。また、ウッドショックへの対応といたしまして、国産材利用を含めた資材調達の確保に努めるとともに、プレカット業者との連携強化を図るなど、木材不足の影響を回避するための迅速かつ地道な活動に注力いたしました。
政府の住宅取得支援策として、継続延長されていた住宅ローン減税特例措置の適用対象となる契約期限が到来し、昨年秋口以降、受注環境が悪化に転じたことを背景に、当社グループにおきましても、第3四半期以降の新規受注が急減するなど厳しい状況となりました。注文住宅におきましては、ウッドショックによる上期の工事着手遅延の影響で、完成引渡棟数は前期を下回る結果となりましたが、前連結会計年度において積み上げた豊富な期首受注残の早期着工に注力したことで、着工済み案件が増加し、これらの工事進捗の改善もあって、当連結会計年度における住宅請負に係る売上高は、前期比微減にとどまっております。また、ウィズコロナを意識した新たな生活様式を求める住み替え需要など、建売住宅に対するニーズが根強いことを背景に、分譲用建物の販売は堅調な推移となり、住み替え需要が一巡した第4四半期において動きが鈍化したことで、大幅な増加であった前期実績を下回ったものの、売上高の底上げに寄与いたしました。さらに、建築条件付の戸建て用分譲土地の販売が好調で、分譲用土地売上が前期比大幅増となったほか、分譲用土地及び分譲用建物における売上総利益の改善が寄与したことにより、当連結会計年度における業績は、売上高、利益ともに前期を上回る実績となっております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は11,888百万円(前期比2.2%増)となり、営業利益は562百万円(同7.9%増)、経常利益は521百万円(同5.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は340百万円(同6.8%増)となりました。
なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。売上種類別の概況は、以下のとおりです。
「住宅請負」につきましては、当連結会計年度における完成引渡棟数が250棟(前期は271棟)となり、売上高は6,456百万円(前期比0.4%減)、「分譲用土地」につきましては、当連結会計年度における引渡区画数が268区画(前期は263区画)となり、売上高は4,333百万円(前期比9.6%増)、「分譲用建物」につきましては、当連結会計年度における引渡棟数が51棟(前期は63棟)となり、売上高は960百万円(前期比10.9%減)、「その他」につきましては、仲介手数料の増加により売上高は138百万円(前期比15.8%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ80百万円減少し、3,904百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、129百万円の収入(前年同期は1,363百万円の収入)となりました。これは主に、資金の減少要因として、売上債権の増加額591百万円及び法人税等の支払額182百万円等があったものの、資金の増加要因として、棚卸資産の減少額312百万円及び税金等調整前当期純利益の計上521百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、12百万円の支出(前年同期は46百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、196百万円の支出(前年同期は207百万円の支出)となりました。これは、資金の増加要因として、長期借入れによる収入4,550百万円があったものの、資金の減少要因として、長期借入金の返済による支出4,578百万円及び配当金の支払額138百万円等があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営んでいる住宅事業では、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、売上種類別に記載しております。
売上種類別 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
住宅請負 |
5,448,399 |
77.7 |
4,716,356 |
82.4 |
分譲用土地 |
3,546,190 |
82.1 |
882,720 |
52.9 |
分譲用建物 |
840,770 |
72.3 |
38,700 |
24.5 |
その他 |
138,071 |
115.8 |
- |
- |
合 計 |
9,973,433 |
79.0 |
5,637,776 |
74.6 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、売上種類別に記載しております。
売上種類別 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
住宅請負 |
6,456,478 |
99.6 |
分譲用土地 |
4,333,309 |
109.6 |
分譲用建物 |
960,246 |
89.1 |
その他 |
138,071 |
115.8 |
合 計 |
11,888,106 |
102.2 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の状況
「(1)経営成績の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
b. 経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、注文住宅におきましては、ウッドショックによる上期の工事着手遅延の影響があったものの、前連結会計年度下期における堅調な新規受注による豊富な期首受注残の早期着工に注力いたしました。また、ウィズコロナを意識した新たな生活様式を求める住み替え需要など、建売住宅に対するニーズが根強いことを背景に、分譲用建物の販売が大幅な増加であった前期実績を下回ったものの、堅調に推移し、売上の底上げに寄与。さらに、建築条件付の戸建て用分譲土地の販売が好調で、分譲用土地売上が前期比大幅増となったほか、分譲用土地及び分譲用建物における売上総利益の改善が寄与しました。当連結会計年度における売上高は11,888百万円(前期比2.2%増)となり、営業利益は562百万円(同7.9%増)、経常利益は521百万円(同5.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は340百万円(同6.8%増)となりました。
なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性の分析
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b. 資金の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要としては、運転資金、設備資金、配当及び法人税の支払等があります。運転資金需要の主なものは、販売用不動産の購入資金、工事の外注費や材料費等の費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その資金の源泉としては、主として金融機関からの借入によっております。なお、取引金融機関との関係も良好であり、資金繰りにつきましても安定した状態を維持しております。
c. 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としており、当連結会計年度における営業利益は、上記「①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の状況」に記載のとおり、前期比7.9%増の562百万円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりでありますが、その前提となる様々な要因については、過去の実績、現在の状況及び将来の想定を総合的に勘案し、合理的と考えられる見積りと判断に基づいて適用しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社の事業計画の進捗状況等の情報に基づき検討し、同感染症による当社グループ収益への影響は、一定の影響を及ぼすものの、通期経営成績への影響は限定的であると仮定して会計上の見積りを行っております。
(販売用不動産の評価)
当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産の貸借対照表価額を、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の見積りにおける主要な仮定は、過去の販売実績や近隣の不動産価格の動向を参考として当社が算定した評価額であります。景気動向・経済情勢による需給バランスの悪化等の要因により不動産価格の下落等が発生した場合には、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)をご参照ください。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
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