文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「住生活産業として生み出した新たな価値により、地域や顧客に喜びや豊かさを供給する」という経営理念のもと、兵庫県の播磨地区を中心に建設・不動産事業を手掛けてまいりました。現在はグループ事業会社5社において、注文住宅請負、不動産販売をメインに地域顧客の家づくり及び住宅取得に関するサポートを行っております。今後もコストと付加価値のバランスのとれたサービスを提供するとともに、街づくり、家づくりを通して地域の活性化を図る方針です。
(2) 経営環境
国土交通省発表の新設住宅着工戸数は、相続税対策としての貸家需要の高まりや、サービス付き高齢者向け住宅の増加の影響で2015年度は92.0万戸、2016年度は97.4万戸と2年連続で増加となったものの、着工戸数全体を牽引してきた貸家が失速したことにより、2017年度は94.6万戸と3年ぶりの減少となりました。融資審査の厳格化等を背景に貸家の着工戸数は2年連続で減少となりましたが、雇用・所得環境の改善、低金利の住宅ローンや政府による各種住宅取得支援策の継続により、持家及び分譲住宅の着工戸数が増加し、2018年度は95.3万戸と増加に転じたものの、相次ぐ自然災害や消費増税の影響等による消費者マインドの冷え込みから、持家及び分譲住宅の着工戸数が減少し、低迷が続いている貸家の着工戸数が2桁の減少となるなど、2019年度は全体で90万戸を割り込み、88.3万戸と再び減少に転じました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言の影響が色濃く出た上半期の落ち込みにより、持家、貸家及び分譲住宅のいずれも減少し、81.2万戸と2年連続の減少となりました。2021年度はコロナ禍で受注件数が大きく落ち込んだ前年度の反動や、コロナ禍による外出自粛の影響による戸建住宅への関心の高まりもあり、86.6万戸と3年ぶりの増加となりましたが、コロナ禍前の2019年度の水準には戻っておりません。今後につきましては、ワクチン接種等による新型コロナウイルス感染症の収束への期待感が高まるものの、その収束時期は未だ見通せず、また、ロシア・ウクライナ情勢による地政学的リスクなど受注環境の悪化や、ウッドショックに端を発した、木材をはじめとする建築資材の高騰や供給不安など、厳しい経営環境が続くものと予想されます。
(3) 経営戦略等
当社グループは、連結子会社5社がそれぞれの特色を活かした独自のブランドを構築するマルチブランド戦略とエリア拡大及び顧客層の拡大により地域におけるマーケットを確立し、長期的に成長することを経営戦略としております。
a. マルチブランド戦略
現代社会のライフスタイルは多岐にわたっており、顧客のニーズも多種多様なものとなっていることから、顧客が家づくりを企業に依頼する段階において、当社グループが選択されるには、企業としてUSP(Unique Selling Proposition:他社にはない特徴と強み、さらにそれらから得られるメリット)を顧客に訴求する必要があり、ひとつのブランドによる商品ラインナップだけでは対応できないと考えております。そこで、顧客が求めるライフスタイルや性能さらに感性・価値に至るまで、様々なUSPを訴求するためにマルチブランドを構築し、プロモーションにより集客段階から差別化を図っております。また、顧客のニーズを実現するために、それぞれのブランドが自由設計の家づくりを行っております。
このように顧客ニーズを満たしていくことにより各社のブランドを確立するとともに、それぞれのブランドにおける技術力を蓄積することでさらなる付加価値を生み出すことを目指しております。
なお、各社の事業内容の詳細は「第1 企業の概況 3事業の内容」に記載しております。
b. マーケット戦略
エリア拡大及び顧客層の拡大に区分し、それぞれのターゲットに応じた戦略を構築しております。
(a) エリア拡大
当社グループは、在来線でのアクセス等の交通の利便性から、大阪・神戸のベッドタウンである兵庫県播磨地域周辺を中心とするエリアにおいて注文住宅・分譲用土地販売を主に展開してまいりました。今後は、地域に密着した営業展開による分譲用土地の販売拡充とショールーム併設型既存店舗の周辺にサテライト型店舗を出店することで、低コストでのエリア拡大を実現する戦略としております。また、株式会社Laboにおきましては、商品土地による集客に頼らない「住空間設計 Labo」ブランドで阪神間及び大阪エリアへ進出するため、2014年2月の西宮事務所の開設に加え、2019年4月に大阪府茨木市に茨木出張所を開設いたしました。
(b) 顧客層の拡大
当社グループは、住宅請負において一次取得者層を顧客ターゲットとしておりますが、今後は、顧客層に合わせた新商品の開発と商品バリエーションの打ち出し、株式会社Laboによる建替え需要の掘り起こし等を行うことにより、顧客層の拡大を図ってまいります。また、新築戸建てだけではなく、デザインを基軸とする提案力を活かしたリフォーム事業の強化や、保育園の建設をはじめとする中大規模木造建築にも注力してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益力重視の観点から、本業での収益を表す営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 安全管理の強化
当社グループは、住宅請負をメインとした事業を行っており、現場の安全管理が重要であると認識しております。現場の安全管理を徹底するために、引き続き、安全担当者による現場の安全パトロールを実施し、安全に対する注意喚起を行っていくとともに、外注先に対しても月次で安全衛生協議会を開催し、現場の安全に万全を期してまいります。
② 品質管理の強化
当社グループは、「住生活産業として生み出した新たな価値により、地域や顧客に喜びや豊かさを供給する」という経営理念のもと、顧客に対し家づくり及び住宅取得のサポートを行っており、顧客の満足を第一と考えております。安心・安全な家づくりにより快適な住空間を提供することは、顧客満足度の向上に繋がることから、品質管理の強化・徹底は、当社グループの経営理念を実現するうえで、重要であると認識しております。引き続き、品質管理の強化を図るため、標準施工マニュアルの充実、専任スタッフによる検図及び第三者による検査を実施し一貫した品質管理に努めてまいります。
③ 営業エリアの拡大
当社グループは、兵庫県播磨地域周辺を中心とするエリアにおいて事業を展開しており、新たなエリアへの展開が今後の課題であると考えております。兵庫県播磨地域のブランドによる既存店舗周辺におけるサテライト型店舗の出店と「住空間設計 Labo」ブランドによる新たな拠点開設により、営業エリアの拡大を図ってまいります。
さらに、M&Aやアライアンス等も視野に入れ、検討することにより、既存エリアの深耕やエリア拡大を図ってまいります。
④ 顧客層の拡大
当社グループは、住宅請負において一次取得者層を顧客ターゲットとしておりますが、新設住宅着工戸数は緩やかに減少していくことが予測されていることから、今後は、顧客層に合わせた新商品の開発と商品バリエーションの打ち出し、また、株式会社Laboによる建替え需要の掘り起こし等を行うことにより、顧客層の拡大を図ってまいります。
さらに、新築戸建てだけではなく、デザインを基軸とする提案力を活かしたリフォーム事業の強化や、保育園の建設をはじめとする中大規模木造建築にも注力してまいります。
⑤ 人材の確保と育成
当社グループの事業におきましては、専門的な知識や高いコミュニケーション能力が求められており、さらに、今後は事業規模の拡大に伴い、企画提案力や革新的なサービスを創出できる構想力を持つ人材確保の必要性が高まっていくと考えております。
以上のような人材ニーズに対応するため、個人の能力を最大限に活かすための適材適所の人員配置と、社内外の研修を通じた人材育成により、人材の確保と育成を推進してまいります。
⑥ コンプライアンス体制の強化・徹底
当社グループは、建設業法、建築士法及び宅地建物取引業法等の多くの法令の規制を受けており、これら法令等を遵守するためのコンプライアンス体制の強化を図ることは重要であると認識しております。このため、グループ各社にコンプライアンス担当責任者を置くとともに、リスク案件の報告及び対応を検討する場としてコンプライアンス・リスク管理委員会を定期的に開催しております。今後も当該体制を継続していくとともに、引き続き、コンプライアンス体制の強化を図ってまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの充実
当社グループの継続的な発展と信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。このため、当社グループは経営監督機能の強化に努め、強固な内部管理体制の構築を図り、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
⑧ SDGsの達成に向けた取り組み
当社グループは、「住生活産業として生み出した新たな価値により、地域や顧客に喜びや豊かさを供給する」という経営理念のもと、地域密着企業として地域社会の発展に貢献し、事業活動を通じて国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを推進し、地域社会とともに持続的に成長していくことを目指してまいります。
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