当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株発生による感染拡大の影響が続いたものの、各種政策や海外経済の改善により、徐々に持ち直しの動きがみられました。
今後については、感染症による影響に加えて、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにも注意する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資にも回復の動きがみられたものの、先行き不透明感は継続しており、資材価格の上昇が進むなど、依然として競争環境は厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,402億円(前連結会計年度比3.4%減少)、営業利益266億円(前連結会計年度比2.8%減少)、経常利益258億円(前連結会計年度比0.2%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前連結会計年度比2.8%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
受注高は1,225億円(前連結会計年度比20.7%増加)、売上高は1,319億円(前連結会計年度比3.0%減少)、営業利益は158億円(前連結会計年度比10.5%減少)となりました。
受注高は1,872億円(前連結会計年度比6.1%減少)、売上高は1,785億円(前連結会計年度比7.1%減少)、営業利益は133億円(前連結会計年度比1.7%増加)となりました。
売上高は247億円(前連結会計年度比29.8%増加)、営業利益は24億円(前連結会計年度比51.8%増加)となりました。
(その他)
売上高は50億円(前連結会計年度比4.1%増加)、営業利益は5億円(前連結会計年度比11.4%減少)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。
資産につきましては、前連結会計年度末より440億円減少し、2,953億円となりました。これは現金預金632億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より390億円減少し、1,536億円となりました。これは支払手形・工事未払金等234億円の減少、未成工事受入金91億円の減少、退職給付に係る負債50億円の減少が、預り金35億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より49億円減少し、1,416億円となりました。これは資本剰余金28億円の減少などによります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して632億円減少し、647億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少235億円、売上債権の増加189億円、未成工事受入金の減少91億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益253億円の計上、預り金の増加35億円などの資金増加要因を上回ったことにより、360億円の資金減少(前連結会計年度は291億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出25億円、関係会社出資金の払込による支出18億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、45億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出153億円、配当金の支払額64億円、長期借入金の返済による支出45億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入42億円などの資金増加要因を上回ったことにより、225億円の資金減少(前連結会計年度は126億円の資金減少)となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度の主なもの
当事業年度の主なもの
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
前事業年度
該当する相手先はありません。
当事業年度
該当する相手先はありません。
d.手持工事高(2022年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高及び完成工事原価の計上は、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しています。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価総額に占める割合に基づいて行っています。
また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しています。
なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直していますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受ける重要な見積り項目はありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より440億円減少し、2,953億円となりました。これは現金預金632億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より390億円減少し、1,536億円となりました。これは支払手形・工事未払金等234億円の減少、未成工事受入金91億円の減少、退職給付に係る負債50億円の減少が、預り金35億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より49億円減少し、1,416億円となりました。これは資本剰余金28億円の減少などによります。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が前連結会計年度比4.7%減少となったこと等により、前連結会計年度比3.4%減少の3,402億円となり、売上総利益は前連結会計年度比2.7%減少し468億円となりました。
営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比2.8%減少の266億円となりました。
営業外収支は、前連結会計年度に比べ受取遅延損害金の計上及び債務消滅益の増加等により7億円改善したものの、営業利益の減少により、経常利益は258億円と前連結会計年度比0.2%の減少となりました。
特別損益は、前連結会計年度に減損損失を計上したことの反動等により3億円改善しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前連結会計年度比2.8%の増加)となり、前連結会計年度に比べ4億円の増益という結果となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して632億円減少し、647億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少235億円、売上債権の増加189億円、未成工事受入金の減少91億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益253億円の計上、預り金の増加35億円などの資金増加要因を上回ったことにより、360億円の資金減少(前連結会計年度は291億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出25億円、関係会社出資金の払込による支出18億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、45億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出153億円、配当金の支払額64億円、長期借入金の返済による支出45億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入42億円などの資金増加要因を上回ったことにより、225億円の資金減少(前連結会計年度は126億円の資金減少)となりました。
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。
今後の事業環境につきましては、感染症による影響に加えて、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにも注意する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化への対応としての、働き方改革、生産性向上、人材の育成等が継続的な課題になっており、また、社会的要請として脱炭素をはじめサステナブルな社会の実現への取り組み強化が求められています。
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。
当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(150億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。
2022年3月期から2023年3月期までの株主還元方針
※2021年4月~10月の取得額51億円を含む
中期経営計画(2021.3期-2023.3期)目標数値と計画期間中の実績
(参考)2022年3月期の年度事業計画と実績の差異
売上高につきましては、主に建築工事の受注高が目標数値に届かず、その結果完成工事高が期首計画値を下回ったため、売上高全体としても計画数値を下回りました。
経常利益につきましては、設計変更の獲得や原価管理の徹底等により手持工事の採算性が改善したことから、計画数値を上回りました。
(土木事業)
受注高は、前連結会計年度比20.7%増加の1,225億円となりました。完成工事高は、一部の手持工事の進捗の遅れなどにより前連結会計年度比3.0%減少の1,319億円となりました。営業利益は、完成工事高が伸びなかったことにより、前連結会計年度比10.5%減少の158億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.9ポイント減少し、16.2%となりました。
(建築事業)
受注高は、前連結会計年度比6.1%減少の1,872億円となりました。完成工事高は、上半期の受注が低調だったことなどから、前連結会計年度比7.1%減少の1,785億円となりました。営業利益は、完成工事高は伸び悩んだものの、原価管理の徹底により手持工事の採算性が改善となったことから、前連結会計年度比1.7%増加の133億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.8ポイント増加し、11.6%となりました。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末から182億円増加の1,746億円となりました。
(グループ事業)
売上高は247億円(前連結会計年度比29.8%増加)、営業利益は24億円(前連結会計年度比51.8%増加)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から26億円減少の421億円となりました。
(その他)
売上高は50億円(前連結会計年度比4.1%増加)、営業利益は5億円(前連結会計年度比11.4%減少)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から2億円減少の74億円となりました。
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