当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済対策などにより景気は持ち直しの傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束が見通せず、経済活動や社会活動への規制の発令・解除の繰り返しや、また米国の金融政策の転換の影響による円安の進行やロシアのウクライナ侵攻による原油価格等の高騰などで消費者物価が上昇し、景気は不透明な状況で推移いたしました。
建設業界におきましては、公共投資は高水準にあるものの、公共工事投資は、東日本大震災の復興事業などがピークを過ぎ大型工事の発注が端境期を迎えたことで反動減となり、前事業年度に比べ減少し、民間工事は、景気の回復傾向に伴い設備投資を拡大する動きが一部に見られましたが、受注競争の激化に加え、労務単価の高止まりや建設資材価格の上昇などにより、厳しい経営環境が続きました。
このような状況の下、当社は、新型コロナウイルス感染症の感染予防に最大限努めながら、気泡コンクリート工事と地盤改良工事の営業活動及び施工それぞれの一体化を一層推進し、営業と施工の効率化に注力し、受注量の獲得と収益性の改善に取組んでまいりました。
その結果、受注高が4,134百万円(前事業年度比1.1%増)と微増になりましたが、当事業年度内に施工を見込んでいた大型工事の直前の工法変更による失注や想定していた工事の受注時期の遅れ、また一部大型工事の施工時期の大幅なずれ込み、加えて前事業年度からの繰越工事も少なかったことなどにより、売上高は3,594百万円(前事業年度比22.3%減)となりました。
各段階の損益につきましては、コストの低減に努めましたが、前事業年度に比べ完成工事高が大幅に減少したことや、一部工事において施工効率の悪化による工事原価率の上昇が発生したこともあり、完成工事総利益率が16.5%(前事業年度は19.1%)と低下したことなどで一般管理費を吸収できず、営業損失△73百万円(前事業年度は営業利益215百万円)、経常損失△65百万円(前事業年度は経常利益223百万円)、法人税等調整額を△15百万円計上したことにより当期純損失△52百万円(前事業年度は当期純利益153百万円)となりました。
主要な工事の状況は次のとおりであります。
(気泡コンクリート工事)
受注高は、軽量盛土工事において当初見込んでいた大型工事が施工環境の変化で工法変更となり失注し、また想定していた工事の発注遅れなどがありましたが、新たな大型工事を受注したことで軽量盛土工事の受注高は1,680百万円(前事業年度比10.4%増)、管路中詰工事の受注高も790百万円(前事業年度比22.1%増)と増加しましたが、空洞充填工事の受注高が555百万円(前事業年度比43.6%減)と減少したことから、気泡コンクリート工事全体の受注高は3,025百万円(前事業年度比4.0%減)となりました。
完成工事高につきましては、軽量盛土工事の完成工事高が、当事業年度内に施工を見込んでいた一部大型工事の工法変更による失注や施工時期のずれ込み、また前事業年度からの繰越工事も少なかったことなどにより1,204百万円(前事業年度比35.6%減)、空洞充填工事の完成工事高も受注高の減少から595百万円(前事業年度比31.5%減)と減少し、管路中詰工事の完成工事高が745百万円(前事業年度比7.7%増)と増加しましたが、気泡コンクリート工事全体の完成工事高は2,544百万円(前事業年度比25.8%減)と大幅に減少いたしました。
(地盤改良工事)
価格競争が激しく見込んでいた大型工事の失注がありましたが、建築分野の官公庁工事の受注が増加したことから、受注高は1,111百万円(前事業年度比23.8%増)となりました。
完成工事高につきましては、受注高は増加しましたが、受注している一部大型工事の施工時期が翌事業年度にずれ込んだことや前事業年度からの繰越工事が少なかったことから、完成工事高は1,005百万円(前事業年度比0.6%減)となりました。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ246百万円減少し、3,300百万円となりました。その主な要因としましては、現金預金が67百万円増加しましたが、受取手形が143百万円、完成工事未収入金及び契約資産が101百万円、電子記録債権が91百万円減少したことなどによるものです。
負債合計は、前事業年度末に比べ161百万円減少し、1,889百万円となりました。その主な要因としましては、長期借入金が55百万円増加しましたが、支払手形が108百万円、未払法人税等が37百万円、未払消費税等が34百万円、工事未払金が23百万円減少したことなどによるものです。
純資産合計は、前事業年度末に比べ84百万円減少し、1,411百万円となりました。その主な要因としましては、当期純損失の計上と配当金の支払いを行ったことにより利益剰余金が減少したことなどによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により取得した資金は186百万円(前事業年度比11.5%減)となりました。これは主に、税引前当期純損失△65百万円の計上と仕入債務が109百万円、未払消費税等が34百万円減少及び法人税等の支払額が35百万円であったものの、減価償却費を108百万円を計上したことと売上債権及び契約資産が337百万円減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は105百万円(前事業年度比105.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は13百万円(前事業年度比230.8%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入、長期借入金及びリース債務の返済並びに配当金の支払いなどによるものであります。
これにより「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度末に比べ67百万円増加し、730百万円(前事業年度比10.1%増)となりました。
商品販売については、販売と仕入及び受注との差異が僅少なため、「① 財政状態及び経営成績の状況」における経営成績の記載を参照願います。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高の施工高は支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。
工事の受注方法は、次のとおり特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものも含めて記載しております。
2 完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額5,000万円以上の主なもの
当事業年度 請負金額5,000万円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
d. 手持工事高(2022年3月31日現在)
(注) 1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものも記載しております。
2 手持工事のうち請負金額2,000万円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度末における流動資産の残高は1,626百万円で、前事業年度末に比べ263百万円減少しております。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ完成工事高の減少により受取手形が143百万円、電子記録債権が91百万円減少したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定資産の残高は1,674百万円で、前事業年度末に比べ17百万円増加しております。その主な要因としましては、設備投資により機械及び装置が17百万円増加、また翌事業年度以降の業績見込みを勘案し、繰延税金資産が15百万円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における流動負債の残高は1,111百万円で、前事業年度末に比べ226百万円減少しております。その主な要因としましては、前期施工高に比べ当期施工高が大幅に減少したことから、支払手形が108百万円、電子記録債務が20百万円減少したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定負債の残高は778百万円で、前事業年度末に比べ64百万円の増加となりました。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ長期借入金が58百万円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は1,411百万円で、前事業年度末に比べ84百万円減少しております。その主な要因としましては、当期純損失52百万円の計上と配当金の支払いにより、利益剰余金が減少したことなどによるものであります。
② 経営成績の分析
当事業年度における受注高は、4,134百万円(前事業年度比1.1%増)となりました。
当社主力の気泡コンクリート工事のうち、軽量盛土工事につきましては、当初見込んでいた大型工事が施工環境の変化で工法変更となり失注し、また想定していた工事の発注遅れなどがありましたが、新たな大型工事を受注したことで軽量盛土工事の受注高は1,680百万円(前事業年度比10.4%増)、管路中詰工事の受注高も790百万円(前事業年度比22.1%増)と増加しましたが、空洞充填工事の受注高が555百万円(前事業年度比43.6%減)と減少したことから、気泡コンクリート工事全体の受注高は3,025百万円(前事業年度比4.0%減)となりました。
気泡コンクリート工事の施主は官公庁の比率が高く、また当社が請負う工事はほぼ下請工事となるため、当社が請負う工事の受注は施主の発注時期や元請業者の各工程の進捗状況により左右されることがあります。当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては公共工事の発注の延期が懸念されましたが影響は限定的で、当社におきましても影響は軽微でした。
一方、地盤改良工事におきましては、価格競争が激しく見込んでいた大型工事の失注がありましたが、建築分野の官公庁工事の受注が増加したことから、受注高は1,111百万円(前事業年度比23.8%増)となりました。前事業年度から地盤改良工事の営業強化のため取組んでいる気泡コンクリート工事との営業一体化につきましては、情報の共有化や営業の効率化の面で徐々に浸透してきております。
当事業年度における売上高は、3,594百万円(前事業年度比22.3%減)となりました。
気泡コンクリート工事の完成工事高は、想定していた工事の発注遅れや、前事業年度からの繰越工事が少なかったことなどにより、軽量盛土工事の完成工事高が1,204百万円(前事業年度比35.6%減)、空洞充填工事の完成工事高が595百万円(前事業年度比31.5%減)と減少し、管路中詰工事の完成工事高が745百万円(前事業年度比7.7%増)と増加しましたが、気泡コンクリート工事全体の完成工事高は2,544百万円(前事業年度比25.8%減)と大幅に減少となりました。
地盤改良工事の完成工事高は、受注高は増加しましたが、受注した一部大型工事の予定工期の大幅なずれ込みや前事業年度からの繰越工事が少なかったことから1,005百万円(前事業年度比0.6%減)となりました。
当事業年度における売上総利益は、603百万円(前事業年度比32.3%減)となりました。
施工効率に注力し工期短縮に努めるなどコスト低減に努めましたが、地盤改良工事より利益率の高い気泡コンクリート工事の完成工事高が前事業年度に比べ大幅に減少したことや、一部大型工事で施工効率が悪化したことで工事原価率が上昇したことで、完成工事総利益率が前事業年度比2.6ポイント低下したこともあり、売上総利益は前事業年度に比べ287百万円減少いたしました。
当事業年度における販売費及び一般管理費は、676百万円(前事業年度比0.2%増)となりました。
当初は、前事業年度に引き続き、施工力を強化するための工事部社員等の人材採用による人件費の増加を見込み768百万円(前事業年度比13.6%増)を計画しましたが、計画どおりに採用出来ませんでした。
当事業年度における営業損失は、△73百万円(前事業年度は営業利益215百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は前事業年度とほぼ同額となりましたが、完成工事総利益が大幅に減少したことによるものであります。
当事業年度における経常損失は、△65百万円(前事業年度は経常利益223百万円)となりました。
前事業年度に比べ営業損失を計上したことによるものであります。
当事業年度における当期純損失は、△52百万円(前事業年度は当期純利益153百万円)となりました。
当事業年度に発生した繰越欠損金19百万円(法定実効税率を乗じた額)に対して、繰延税金資産を19百万円計上しております。
当社の主な工事は、主に建設業者から下請けとして受注したもので、施主としましては官公庁の比率が以下のとおり高くなっております。
当社の気泡コンクリート工事におきましては、公共工事の発注から当社の事業領域である工事を受注するまでタイムラグがあり、必ずしも公共投資の動向に連動しない場合もありますが、全体として当社の経営成績は公共投資の動向に影響を受ける傾向があります。
(最近2期間における受注高のうち官公庁が占める比率)
(注) 民間受注高の( )は、施主がNEXCO各社のもので内数であります。
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度の期末残高663百万円から67百万円増加(前事業年度は154百万円の増加)して730百万円(前事業年度比10.1%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より24百万円減少し、186百万円の資金の増加(前事業年度は210百万円の増加)となりました。これは主に、仕入債務が109百万円減少(前事業年度比39.4%減)したものの、減価償却費108百万円(前事業年度比0.5%減少)を計上したこと、売上債権及び契約資産が337百万円減少(前事業年度比467.3%減)したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より支出が54百万円増加し、105百万円の資金の減少(前事業年度は51百万円の減少)となりました。これは主に、施工品質や施工効率を向上させる機械の購入など有形固定資産の取得による支出99百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より支出が9百万円増加し、13百万円の資金の減少(前事業年度は4百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入300百万円、長期借入金の返済による支出244百万円、リース債務の返済による支出26百万円及び配当金の支払いによる支出34百万円などによるものであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社の工事施工のための材料費、労務費、外注費、経費のほか販売費及び一般管理費によるものです。
販売費及び一般管理費の主なものは、人件費及び営業活動のための通信交通費等であります。
当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または金融機関からの借入れによる資金調達のほか、借入条件等を勘案し社債による調達も行うこととしております。
短期運転資金につきましては、内部資金または金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金及び施工機械等への設備投資資金につきましては、金融機関から固定金利を原則とした長期借入金にて調達しております。2022年3月31日現在、長期借入金の残高は666百万円であります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
建設業界におきましては、インフラ整備を通じて安心、安全を守る地域(国土)づくり、慢性的な技術者、技能者の不足に対し、建設業界を支える担い手の確保と育成、社会保険未加入対策、「働き方改革」で唱えられる雇用環境労働条件の改善、i-Constructionに推奨される建設業の生産性向上等が求められており、引き続き当社にとっても対応していかなければならない課題であると認識しております。
このような環境の中で当社としまして、会社の成長、企業価値の向上をはかるためには、社会、経済の要求に対し、安心・安全の確保や地域社会への貢献を念頭に「いいもの」を提供し続けることが大変重要であると考えており、そのため技術の深化(進化)、技術革新の実現に取組んでおります。
技術の深化(進化)としましては、社会環境の要求に応えられる施工能力と技術、施工体制の強化をはかり、当社の技術と施工の強みを最大限発揮することで「いいものづくり」の実現に取組んでおります。
また、技術革新の実現としましては、AIの導入も含め建設業界に求められているi-Constructionの推進への取組みが不可欠と考えており、このような技術の深化(進化)や技術革新の実現のためには、社内体制づくりが大変重要であり、技術開発部門を強化するための人材採用や、産官学との共同研究に注力しております。
今後も引き続き技術開発部門の人材採用に取組み研究開発活動に注力するとともに、当社保有の工法や開発した材料の普及に取組むことで、新しい市場創造が可能であると考えております。
また、新型コロナウイルス感染症につきましては、今後の流行状況によっては当社業績に影響を与える可能性がありますが、先ずは当社役職員の安全・安心の確保のための対応が重要であり、適宜予防対策を実施してまいります。同感染症につきましては、インフルエンザのように流行が繰り返されるのではないかと考えられていますが、ワクチンの接種や治療薬の開発が進むと思われ、中長期的には脅威は薄れていくと考えております。
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