文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、独自の建設施工技術を通して「社会のニーズを満たし」、環境に調和する社会資本整備の充実と安全を担保する土木構造物の補修・補強や長寿命化に貢献すること、「企業価値の向上」に邁進し、社員・顧客・株主の満足度を一層高めることを企業使命としております。また、経営の姿勢としまして、「WE DELIVER THE BEST」:社会及び事業環境が大きく変遷する時代に、創業以来培ってきた「安全第一の精神」と「揺るぎない信頼」及び「独自の施工技術」を核に、常に新しい価値提案をし続けることとしており、基本姿勢として以下のとおりです。
・お客様が求める安心に対し、常に「現場の安全」を最優先に考え行動する。
・お客様にとり、満足度が高い「品質」と「経済性」を提供する。
・施工技術の深化と新たな技術開発に取組み、企業価値向上をはかる。
・社会の環境変化に対応するための柔軟な社内体制構築と技術革新をはかる。
当社は経営基盤の強化をはかるためにはフリーキャッシュフローの堅実な向上が重要と考え、本業の営業利益を重視しております。また、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードなどを踏まえ、自己資本当期純利益率13%の実現を中期的な経営指標の目標にしております。当事業年度におきましては、赤字決算となりましたが、今後も中期的に自己資本当期純利益率13%の実現を目指してまいります。
建設業界におきましては、震災復興やオリンピック関連の建設需要が一段落しましたが、大阪万博関連やリニア中央新幹線関連、IRリゾート計画、首都圏再開発等の大型プロジェクトが控えており、また防災・減災、国土強靭化の対策などがあり、国内建設投資は堅調に推移すると考えられております。また長期的には建設投資の中心が、民間を含め維持・補修の時代になると推測されております。一方新型コロナウイルス感染症の流行状況によっては、工事の中断や公共工事の発注遅れ、景気後退による民間設備投資の抑制、またウクライナ情勢の長期化による物価への影響などが懸念されます。また建設労働者の高齢化、人離れ、管理技術者・技能労働者の後継者不足と慢性的な人材不足に陥っており、人材の確保、生産性の向上が建設業界におきましては課題となっております。
当社は、主に下請での受注の専門工事業者であります。主力の気泡コンクリート工事は土木分野におけるニッチ市場ですが、要求される条件に対しての配合や施工技術(長距離圧送)、施工体制で競合他社に優位性があり、気泡コンクリート工事市場での当社のシェアは高く、受注先も大手・準大手・中堅ゼネコンや地方ゼネコンなど数が多く、大きな偏りはありません。一方、地盤改良工事は市場は大きいですが、競合工法との価格競争が激しく、当社保有工法の技術性能の優位性が活かしきれておらず、保有施工機械数や施工体制にも課題があり、また当社の地盤改良工事の認知度も低く、受注先も少なく偏りがあります。
これらの状況を踏まえ、当社としましては、会社の成長と企業価値の向上を目指した2022年度(第62期事業年度)~2024年度(第64期事業年度)の三か年中期経営計画を策定いたしました。気泡コンクリート工事につきましては、パイオニアとして品質を高めるための気泡コンクリートの物性についての基礎研究や、用途拡大をはかるための各団体とのプロジェクトへの参画、生産性を高めるためのICT等の活用も含めた施工機械の改善等、研究開発に注力してまいります。また気泡コンクリート工事は、公共工事の比率が高く公共工事の増減に影響を受けやすいため、提案営業を強化し民間需要の掘り起こしを一層推進するとともに、案件情報の収集力強化のため、コンサルへの当社工法・材料のスペック活動を中心とした上流営業を推進してまいります。地盤改良工事につきましては、当社が成長するためには重要な事業と考えており、受注の増加をはかるとともに施工能力の強化、利益率の改善が必要であります。そのため気泡コンクリート工事と地盤改良工事の営業と工事の一体化に取組んでおり、今後も一層の融合を推進し営業展開力と施工能力を高めてまいります。また施工機械への設備投資も積極的に行うとともに、受注形態として一次下請を目指してまいります。
また新型コロナウイルス感染症の感染予防策としましては、引き続き三密の回避、マスク着用、手洗いうがいの励行、不要不急の外出抑制、リモート会議開催等の基本的な対応を行ってまいります。
建設業界におきましては、東日本大震災の復興事業が一段落しオリンピック需要も終わりましたが、昨今の局部地震、台風や豪雨による甚大な災害発生により対策が求められ、国による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」への大型予算の投入が実施されます。また建設投資の維持・補修への質的変化も予想されております。
当社の発展には、社会の環境変化によって求められる建設投資ニーズにいかに対応できるかが重要であり、また建設業界に求められている生産性向上のためのICT等を活用する「i-Construction」の推進に対応するためにも、当社は技術開発活動を一層強化し、「いいもの」を提供し続ける技術の深化(進化)、技術革新の実現に取組み、市場創造をはかってまいります。
また、当社の成長のためには、営業力と施工力の強化が必要であり、採用活動による担い手の確保を含め、引き続き気泡コンクリート工事と地盤改良工事の営業の一体化及び施工の一体化、多能工化に取組むとともに、環境対策製品として気泡コンクリート工事の市場拡大に取組み、加えて市場規模が大きい地盤改良工事につきましては、人員増と教育の強化、設備投資の実施をはかり、また中長期的には外部からの経営資源の獲得も視野に、気泡コンクリート工事と収益の二本柱としての確立を目指してまいります。
なお、依然として新型コロナウイルス感染症の感染収束が見通せず、感染状況によっては建設業界にも影響が懸念されますが、当社としましては、引き続き感染予防に最大限の注意を払ってまいります。
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