(経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社は、2021年4月1日付で当社の親会社であったOSJBホールディングス株式会社を吸収合併し、同社の連結財務諸表を引き継いでおりますので、連結の範囲については、それまでの同社の連結範囲と実質的な変動はありません。
このため、以下の記述において、前期と比較を行っている項目については同社の2021年3月期連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)との比較、また前連結会計年度末と比較を行っている項目については同社の2021年3月期連結会計年度末(2021年3月31日)との比較を行っております。
なお、2021年2月19日に行われた山木工業ホールディングス株式会社(現、山木工業株式会社)との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、財政状態に関する比較分析における前連結会計年度末の金額について、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
また、2021年2月に株式取得しました山木工業株式会社の当連結会計年度は2021年3月から2022年3月を対象としております。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
受注高、売上高及び受注残高の状況
(注)前連結会計年度の数値には、前連結会計年度に連結子会社となりました、山木工業ホールディングス株式会社(現、山木工業株式会社)の数値は含まれておりません。
損益の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、内外での新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、アジア・アメリカ・EU向け輸出入は、ともにおおむね横ばい傾向が続いております。また、生産については先行きも含め、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、原材料価格の高騰や供給面での制約の影響が懸念されることから、下振れリスクを注視すべき状況が続いております。企業の業況判断に影響を与える国内個人消費は、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、サービス消費を中心とした下押し圧力が和らぐもとで、持ち直しが明確化してきたことから、徐々に企業収益の改善と投資マインドの向上が期待されるところです。
一方、公共投資につきましては、国の令和3年度一般会計予算の補正予算で講じられた「防災・減災・国土強靭化の推進など安全・安心の確保」などに係る予算措置と前年度同水準を確保した令和4年度一般会計予算と合わせることで、公共事業関係費全体は約8兆円となっております。公共工事請負金額が、対前年同期比1兆31百億円減の91.4%の実績とはなりましたが、全体的には、引き続き堅調に推移していくことが見込まれております。
このような状況におきまして、当社グループ全体で受注活動に取り組んだ結果、当連結会計年度の受注高は、663億3千5百万円(前年同期比8.4%増)となりました。前連結会計年度比で特に鋼構造物事業において好調であり、また、山木工業株式会社を連結子会社としたことによる港湾事業における実績が受注高の増に寄与しました。
当社グループの当連結会計年度における売上高は607億2千6百万円(前年同期比3.5%減)となりました。前年同期比で僅かに減少となりましたが、港湾事業における実績が寄与し前年同様600億円台の水準を確保いたしました。また、受注残高につきましては、上記の受注及び売上の状況により、880億4千万円(前年同期比15.1%増)となりました。
当連結会計年度における売上原価は503億3千3百万円(前年同期比5.3%減)となり、売上総利益は103億9千2百万円(前年同期比6.5%増)となりました。売上高は僅かに減少となりましたが売上原価の減少により、売上総利益は増加となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、試験研究費、のれん償却等の増加により50億8千4百万円(前年同期比12.4%増)となりました。営業利益は53億8百万円(前年同期比1.3%増)、経常利益は54億6千万円(前年同期比2.2%増)となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、37億7千8百万円(前年同期比4.2%減)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
受注高、売上高、受注残高及びセグメント利益の状況
(注) 1 「その他」の区分は、前連結会計年度においては太陽光発電による売電事業及び不動産賃貸事業であり、当連結会計年度においては太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
2 港湾事業を報告セグメントとする子会社の財務諸表を当連結会計年度より連結範囲に含めているため港湾事業における前連結会計年度及び増減率の数値は記載しておりません。
① 建設事業
当セグメントの売上高は474億6千7百万円(前年同期比13.6%減)、セグメント利益(営業利益)は40億6千6百万円(前年同期比22.7%減)となりました。前年同期比で主に新設橋梁工事・一般土木工事における売上高の減少に伴い、利益についても減少となりました。
② 鋼構造物事業
当セグメントにおきましては、売上高は52億4千万円(前年同期比33.1%減)、セグメント利益(営業利益)は2億9千4百万円(前年同期比107.1%増)となりました。
③ 港湾事業
当セグメントにおきましては、売上高は78億9千3百万円、セグメント利益(営業利益)は8億5千7百万円となりました。なお、当セグメントは当連結会計年度からの報告セグメントであるため、前年同期比については記載しておりません。
④ その他
太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業により、売上高は1億2千5百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益(営業利益)は3千6百万円(前年同期比129.4%増)となりました。
当社は、2021年4月1日付でOSJBホールディングス株式会社を吸収合併したことに伴い、同社が2020年5月26日に発表しました中期経営計画(2020-2022)を引き継ぐこととしており、当連結会計年度は中期経営計画の2年度にあたります。当社グループの2023年3月期の目標と当連結会計年度での主な指標の達成率は以下のとおりであります。
売上高につきましては、受注案件の期ずれや一部大型工事の着工遅れがあったものの、新たなセグメントである港湾事業の実績が寄与し、当連結会計年度においては93.4%の達成率となりました。
経常利益につきましては、当連結会計年度において達成率109.2%となりました。事業環境において良好な状態が継続しているなか、主として材料費・労務費等工事コストの縮減に努めたこと、新規セグメントである港湾事業が利益にも寄与したこと等により、想定を上回る達成率となりました。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、事業の大半を国・地方自治体及び高速道路会社等からの公共事業に依存する中、急激な公共投資の削減や建設コストの上昇等の事業環境の変化であります。当連結会計年度における事業環境は良好に推移したものと考えており、また、新型コロナウイルス感染症の影響も軽微であったと考えております。今後については、手持ちのいくつかの大型物件の進捗の遅れ等により、当該工事利益を下押しする要因の発生が想定されること、新型コロナウイルス感染症の影響による工程遅延による売上高減少、また材料費・労務費の原価増加等のリスクが考えられます。
(2) 財政状態の状況
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度に比べ3.1%減少し456億4千5百万円となりました。これは主に現金及び預金が53億4千5百万円増加しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が42億5千8百万円、未成工事支出金が27億1千9百万円減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度に比べ4.7%減少し153億6百万円となりました。これは主にのれんが1億4千1百万円、繰延税金資産が2億8千4百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ19.0%減少し159億1百万円となりました。これは主に支払手形・工事未払金が13億6百万円、未払法人税等が13億3千4百万円、未成工事受入金が19億5千万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度に比べ15.3%減少し60億6千万円となりました。これは主に長期借入金が8億2千5百万円、繰延税金負債が3億1千9百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度に比べ7.2%増加し389億8千9百万円となり、自己資本比率は64.0%となりました。
当社グループの報告セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
セグメント資産
(注) 1 「その他」の区分は、前連結会計年度においては太陽光発電による売電事業及び不動産賃貸事業であり、当連結会計年度においては太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
2 セグメント資産については、山木工業ホールディングス株式会社(現、山木工業株式会社)との企業結合についての暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を反映させております。
① 建設事業
当セグメント資産は531億6千1百万円(前年同期比3.6%増)となりました。前連結会計年度の数値に山木工業ホールディングス株式会社(現、山木工業株式会社)との企業結合についての暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を反映させた結果、セグメント資産は前年同期から増加しております。
② 鋼構造物事業
当セグメント資産は48億5千3百万円(前年同期比4.6%減)となりました。売上高の減少に伴い、受取手形・完成工事未収入金等の流動資産の減少等によりセグメント資産は前年同期から減少しております。
③ 港湾事業
当セグメント資産は67億9千8百万円(前年同期比24.9%減)となりました。収益認識に関する会計基準等を適用したことに伴い、未成工事支出金等の流動資産の減少等によりセグメント資産は前年同期から減少しております。
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、対前年46億5千8百万円増加の133億1千2百万円(前年同期比53.8%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は86億9千4百万円(前年同期は22億9千7百万円の減少)となりました。これは主に売上債権の減少23億8百万円、棚卸資産の減少26億8千1百万円、法人税等の支払額29億6千5百万円、税金等調整前当期純利益54億5千3百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は19億4千2百万円(前年同期比63.6%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出11億4千5百万円、定期預金の預入による支出12億7千2百万円、定期預金の払戻による収入5億8千6百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は20億9千2百万円(前年同期は20億5千7百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出9億2千5百万円、配当金の支払額9億4千4百万円などによるものであります。
当社グループの資本の財源は、営業活動による確実な代金回収を基礎としており、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を133億1千2百万円保有しております。
当社グループは、月商の約2.0か月分を安定的な経営に必要な手元資金水準とし、それを超える分については、企業価値の向上に資する研究開発の強化や戦略的投資へ配分しております。当連結会計年度の設備投資は13億5百万円、研究開発は6億5百万円でありました。これらの設備投資及び研究開発費は、自己資金で賄っております。
資金の流動性につきましては、運転資金は内部資金及び金融機関からの借入金によって調達しており、機動的かつ安定的な資金調達のため、取引銀行5行との間で、シンジケーション方式による総額60億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において当該契約に基づく実行残高はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症による資金繰り影響としては、感染症対策費用の増加や現場感染症発生による中断による資金回収の遅れが考えられますが、現在の現預金水準やコミットメントラインの設定水準から更なる資金調達の必要は想定しておりません。
当社は、2021年4月1日付でOSJBホールディングス株式会社を吸収合併したことに伴い、同社が2020年5月26日に発表しました中期経営計画(2020-2022)を引き継ぐこととしており、事業への資源配分及び株主還元について次のとおり考えております。
事業への資源配分については、企業成長の好循環を目指し、生産能力の向上のための設備投資、M&A等による生産体制の投資、技術提携等による技術開発、海外事業等の新規事業、賃貸不動産物件の取得を2020年度からの5年間で総額200億円で実施する投資計画を設定しております。
株主還元については、安定した利益還元を経営における最重要課題のひとつと考え、安定した利益配当を継続して実施することを基本方針としております。2023年3月期においては、配当性向40%程度、総還元性向40%以上を目標としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
一定の期間にわたり認識する方法による収益
請負工事契約に関する収益は、収益認識会計基準等により、一定の期間にわたり充足される履行義務は、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、主として、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。
見積総原価としての工事原価総額は、原価要素別・作業内容別に個別に積み上げ、所定の承認手続を経て確定された実行予算に基づいて見積っております。工事の進行途上において工事内容の変更等が行われる場合には、当該状況の変化に関する情報を適時に適切な部署・権限者に伝達し、当該情報をもとに実行予算の見直しを行うことで、工事原価総額の見積りに反映させております。今後、想定していなかった状況の変化等により工事原価総額の見積りの見直しが改めて必要となった場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、軽微であります。
(生産、受注及び売上の状況)
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 「その他」は太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
2 港湾事業は当連結会計年度に新設したセグメントのため前年同期比(%)は記載しておりません。
当社グループの主な事業である建設事業は、請負形態をとっており「販売」という概念には適合しないため、販売実績に替えて売上実績にて記載しております。
当連結会計年度における売上実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 「その他」は太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
2 港湾事業は当連結会計年度に新設したセグメントのため前年同期比(%)は記載しておりません。
3 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
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