研究開発活動

5 【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費は162億円であり、うち当社の研究開発費は159億円であります。研究開発活動は当社の技術研究所と建築総本部、土木総本部等の技術開発部署で行われており、その内容は主に当社建設事業に係るものであります。

 当社は、建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより、多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や、さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも、幅広く積極的に取り組んでおります。技術研究所を中心とした研究開発活動は、基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており、異業種企業、公的研究機関、国内外の大学との技術交流、共同開発も積極的に推進しております。

 これら研究開発の成果として、今年度も建築学会賞、土木学会賞、電気設備学会賞、日本オープンイノベーション大賞をはじめさまざまな学協会からの賞を受賞しました。また、カーボンニュートラルの実現に向けては、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のムーンショット型研究開発事業に2件参画し、産学連携の取り組みを積極的に推進しております。

 当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりであります。

 

(1)建物・街区のDXによる付加価値向上

①建物設備・ロボット・自動運転車の統合制御システムを技術研究所に構築

 建物設備と各種サービスロボット・自動運転車を統合制御する「Mobility-Core」を開発し当社技術研究所(東京都江東区)に導入しました。今後、自律型モビリティを活用した施設・街区内サービスの社会実装に向け、日常的に人が活動する実用環境下で、複数のモビリティが連携して提供する各種サービスの技術検証を進めていきます。自律型モビリティの開発メーカーやサービス事業者とのアライアンスの場として当施設を活用し、各種サービスの新規開発につなげていきます。

 

②建物設備と連携しながらビル内を自律走行し、荷物を届ける配送ロボットを開発

 館内配送プロセスを無人化できる自律配送ロボットを開発しました。ユーザビリティの高い荷受け・荷降ろし機構、自動配送ルーティング機能、建物設備との連携機能等を備えた自律走行ロボットで、走行経路上のエレベータや自動ドアを制御しながら荷物を配送します。今後、実施設での試験運用を通じて、ユーザーインターフェースや走行性能のブラッシュアップを図り、館内配送サービスへの適用を目指します。

 

③建物設備とモビリティ・ロボット連携サービス開発に向け、豊洲スマートシティで実証開始

 ブルーイノベーション㈱、オムロン ソーシアルソリューションズ㈱と3社で、建物設備と複数モビリティ・ロボットを連携させたサービス開発に向けた実証を2022年4月より開始しました。豊洲スマートシティの大規模オフィスビル「メブクス豊洲」において、建物OS「DX-Core」と複数のロボットプラットフォームを組み合わせたロボット連携基盤を実証運用します。当社開発の各種モビリティを連携・統合制御するプラットフォーム「Mobility-Core」による「ロボット案内サービス」と、ブルーイノベーション㈱とオムロン ソーシアルソリューションズ㈱が提供する「ロボット清掃サービス」との連携について実証を進めていきます。

 

④建物運用のDX(デジタルトランスフォーメーション)で協働

 「DX-Core」を東日本電信電話㈱のネットワークと接続・連携させ、建物群に建物運用ソリューションをセキュアかつ低遅延で提供する共同実証を行うことで合意しました。同一地域の建物群を運用する事業者・自治体などの導入コストとランニングコストの削減のために、建物運用ソリューションとコンピューティング基盤をパッケージで提供します。協業に先駆け、このソリューションを当社が開発した東京都江東区豊洲の大規模オフィスビル「メブクス豊洲」に適用し、その実証結果を携え全国展開していきます。

 

 

 

 

 

 

(2)生産技術・ロボット

①虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区でDXを推進

 建築工事現場のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」の実践として、東京都港区で施工中の虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(虎ノ門・麻布台プロジェクト)A街区新築工事における開発を進めております。施工管理のデジタル化を担う新開発のデバイス「SmartStation」の配備を進めるとともに、近未来の現場事務所を想定した統合監視室「Smart Control Center」からデジタル化した施工管理情報の集中監視を始めております。今後、虎ノ門・麻布台プロジェクトの経験を国内外の現場に水平展開し、生産性の向上、現場の働き方改革に結び付けていきます。

 

②建設施工ロボット・IoT分野における技術連携に関するコンソーシアムを設立

 2021年9月22日付で当社、鹿島建設㈱及び㈱竹中工務店を幹事企業とした、建設施工ロボット・IoT分野での技術連携に関するコンソーシアム「建設RXコンソーシアム」が発足し、当該分野における技術連携を図っております。当初正会員16社でスタートしたコンソーシアムは、2022年4月20日現在、会員数73社(正会員23社、協力会員50社)に拡大しております。

 

※ RX:ロボティクス トランスフォーメーション。デジタル変革(DX)になぞらえ、

     ロボット変革(Robotics Transformation)の意。

 

③双腕多機能ロボット「Robo-Buddy」が±1㎜の高精度でOAフロアを施工

 双腕多機能ロボット「Robo-Buddy」と職人との協調によるOAフロアの施工を進めております。大手建設各社でOAフロア施工ロボットの開発は今回が初となり、OAフロアの施工は、1枚10数㎏のパネルを中腰で取り扱う身体負荷の大きい繰り返し作業であることから、「Robo-Buddy」のOAフロア施工機能を開発し支援を図ります。これに併せて建材メーカーのニチアス㈱と共同で、「Robo-Buddy」に最適化した簡素な施工法のOAフロアを開発し、今後、広く建築工事に適用していきます。

 

④フォークリフト型の自動搬送ロボットでトラックからの荷降ろし作業を自動化

 建設現場における資材搬送作業の省人化・省力化を目的に、フォークリフト型の自動搬送ロボット「Robo-Carrier Fork」を開発しました。当社は、パレット積みの資材を水平搬送する「Robo-Carrier」と垂直搬送エレベータ「Autonomous-ELV」を組み合わせた自動搬送システムを既に実用化しており、搬入トラックからの荷降ろし等に対応できる「Robo-Carrier Fork」がラインナップに加わることで、ロボットによる一貫した資材搬送作業が可能となります。今後、建設現場への展開と併せて、物流事業者へのレンタルや外販にも取り組み、社会実装を進めていきます。

 

⑤建設現場の巡回・監視ロボットの実用化に向けた共同実証実験をスタート

 ソニーグループ㈱と共同で、建設現場における巡回・監視などの施工管理業務の効率化を目的としたロボットの、実用化のための実証実験を開始しました。実際の建設現場で検証機を動作させ、ハードウェア、ソフトウェア双方の検証を行い、建設現場で実用可能な移動ロボットの技術開発の推進につなげます。

 

⑥高剛性の地中連続壁を簡便に施工できる高性能継手工法を開発

 地震時の構造耐力を備えた地中連続壁を簡便に施工できる場所打ち地下構築工法「SSS-N工法」を開発し、(一財)日本建築センターによる評定を取得しました。地中連続壁工事において単位壁体の接合方法を改良し、剛性の高い連続壁を効率的に施工できます。今後、大深度の地下掘削を伴う再開発プロジェクトや超高層建築物の地下構造体等への適用を目指します。

 

 

 

 

 

 

⑦環境負荷を最小限に抑制する基礎躯体解体工法を開発・実用化

 マットスラブや地中梁などのコンクリート基礎躯体を、近隣への環境負荷を最小限に抑えながら解体できる「シミズ・基礎躯体クールカット工法」を開発しました。押し切り・引き切りの双方に対応できるワイヤーソー切断装置を用いて解体部材をブロック状に切り出し、クレーンで揚重・搬出するブロック切断解体工法で、粉塵の発生量はジャイアントブレーカーによる破砕解体と比べて90%減少、騒音は周辺の交通騒音と同等レベル、振動は無感知レベルに抑制できます。さらに従来の切断解体工法と比べ、作業時間を約40%縮減できることを確認しました。

 

⑧構造用接着シートを用いた天井下地接着工法を開発

 天井改修工事の生産性向上を目的に、構造用接着シートを用いた天井下地接着工法を開発し、当社技術研究所本館に初適用しました。鉄骨梁と天井下地の接合に、スポンジ状の接着シートを利用する工法で、天井下地の設置工程の簡素化が図れ、作業に必要な人工数を従来工法の半分に抑制できることを確認しました。また、作業時に粉塵や騒音が発生せず、火気も不要なため、作業員の労働環境の改善にも寄与します。

 

(3)i-Construction

①「コンクリート締固め管理システム」を開発

 コンクリート打設時のバイブレータによる締固め状況を可視化する「コンクリート締固め管理システム」を開発しました。作業員のヘルメットに装着したウェアラブルカメラから送られてくる映像をAIが解析し、締固めの進行状況をモニター上の3次元モデルに投影します。本システムは法政大学、東京都市大学、東急建設㈱と共同で特許出願したコンクリート締固め状況の可視化技術をベースに当社が開発したものであります。経験の少ない作業員でも締固め完了のタイミングを適切に判断できるようになり、コンクリートの品質を安定的に確保できます。今後、コンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」に統合し、現場に広く展開していきます。

 

②3次元鉄筋モデルを活用した構造細目の照査・配筋施工図の作図を自動化

 土木工事におけるBIM/CIMを活用した設計プロセスの合理化を目的に、3次元鉄筋モデルの構造細目に対する照査や配筋施工図の作図を自動化できるアドインプログラムを開発しました。3次元配筋モデルが設計仕様に合致しているかを確認する機能や、照査を終えたモデルから出力した平面図に配筋施工図として必要な情報を半自動で付加する機能等により、多大な手間と時間を要していた照査・作図業務の省力化が可能となります。海外の鉄道駅舎工事での実証適用に着手しており、順次、適用対象を拡大していきます。

 

③建設機械の位置情報や法面等の地盤変位を高精度でリアルタイムに検出

 i-Constructionの推進に向け、建設機械の位置情報や法面等の地盤変位を高精度でリアルタイムに検出できる新たなGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位衛星システム)測位システムを開発しました。既存の衛星測位手法をベースに新たなアルゴリズムを構築し、周囲の障害物により観測できる測位衛星が少ないような精度確保が困難な状況下においても高精度測位を継続することができます。今後、このシステムを商品化し建設現場に広く展開させていきます。

 

④出来形計測データをブロックチェーンに格納し、改ざんリスクを排除

 国立大学法人東京大学と共同で「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」の実用化に向けた研究開発に着手しました。保存情報に耐改ざん性を付与できるブロックチェーンを用いて、土工事の出来形確認に使用する点群計測データの信憑性を担保するシステムの構築に取り組みます。また、点群情報と設計情報から施工誤差を判定するための解析・閲覧技術も新たに開発し、建設生産プロセスの生産性向上につなげていきます。

 

 

 

 

 

⑤切羽前方の湧水リスクを事前予報する「地山予報システム」を開発

 山岳トンネル工事の生産性向上を目的に、工事の進捗に応じて変化する切羽湧水量を定量的かつ高精度に予測する「地山予報システム」を開発し、当社JV現場における実証試験によりシステムの有効性を確認しました。現場で日々取得される施工データを蓄積・反映した仮想空間上で切羽の地下水環境の経時変化を把握し、湧水に起因するリスク情報を工事関係者にタイムリーに通知します。将来を常に予測しながら施工することで想定外のリスクを大幅に減らすことができます。今後、地下水環境のみならず、切羽前方の地山性状を予測・予報できるシステムに発展させ、山岳トンネル工事の安全性と生産性のさらなる向上につなげていきます。

 

⑥自律型建機の開発に着手 ~完全無人化施工の実現を目指しDXを加速~

 土木工事現場のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site Civil」の実践に向け、BOSCH㈱、山﨑建設㈱と共同で、ブルドーザーによる盛土工事の自律施工システムの開発に着手しました。AIによる環境認識機能・自律制御機能を備えた建機側のシステムと、施工管理や安全管理のモニタリング等を担う管理側のシステムとを核に構成します。今後、他の建機にも段階的に拡張するとともに、他社が開発した自動化・自律化建機との連携も含め、建機群による土木工事の完全無人化施工の実現を目指します。

 

⑦建設発生土の運搬計画を最適化するシミュレーション技術を構築

 量子コンピューティング技術を活用し、建設発生土の運搬計画を最適化するシミュレーション技術を構築しました。道路の混雑具合や他車両の走行状況を制約条件として量子コンピュータで最適化計算することで、タイムロスの最も少ない経路をリアルタイムに導出できます。実現場の約40台のダンプトラックの走行データを用いて検証し、走行台数を変えずに1日当たりの運搬量を約10%増加できることを確認しました。今後、ドライバーへのルート通知方法などについて検討し、本技術の実用化を目指します。

 

(4)設計技術・BCP・ニューノーマル

①「Shimz DDE」の構造検討機能を強化

 コンピュテーショナルデザインの社内プラットフォーム「Shimz DDE」と国内で広く活用されている構造解析ソフト「SNAP」のデータ連携プログラムを開発しました。異なる複数のソフト間で双方向データ連携を媒介するクラウドツール「KONSTRU」の検証を進め、「Shimz DDE」の3Dモデルと解析条件を「SNAP」に反映させ、また「SNAP」の解析データを「Shimz DDE」の

3Dモデルへ反映することを可能としました。設計の上流段階からコンピュテーショナルデザインと構造解析とのシームレスなデータ連携が可能になり、構造品質と設計提案力の一層の向上が期待されます。

 

②「3次元曲面ガラススクリーン構法」を開発

 デザイン性の高いガラスファサードを高精度に構築できる「3次元曲面ガラススクリーン構法」を開発しました。従来技術では困難だった複雑な曲面形状をガラスファサードに付与することが可能になり、建築ファサードの設計自由度が飛躍的に高まります。化学強化合わせガラスで成形した曲面ガラス部材を、金属プリンタによって成形した支持部材を用いた点支持構法により接着接合します。支持部材はジェネレーティブデザイン手法を用いてガラス部材の曲面形状に最適化することで、施工性と施工品質を確保します。本構法の開発にあたり、当社技術研究所内に実大モックアップを構築し、施工性を確認しました。

 

③大規模地震直後に建物群の被災可能性を瞬時にシミュレーション

 プロパティデータバンク㈱と共同で、大規模地震発生直後の震災対策活動の支援を目的に、BCP対応を迅速化・効率化するシミュレーションシステム「BCP-Map」を開発しました。東日本大震災後に当社が調査を行った1千棟余にも及ぶ建物の被害と構造・階数・設計年との関係から確立した評価式に基づき、地震発生後10分程度で地域ごとに建物群の被災可能性を評価し可視化します。早期に被災状況を把握できるので、応援要員や支援物資、資機材等の割り当ての検討・指示などを震災直後から実施できます。プロパティデータバンク㈱は今後、提供する不動産クラウド「@プロパティ」に「BCP-Map」をオプションサービスとして組み込み提供していきます。

 

④防災対策をタイムリーにピンポイント提案し、防災タイムラインの実践を支援

 被害が甚大化する風水害への備えとして、国土交通省が推奨するタイムライン(防災行動計画)の策定・実践を支援するシステム「ピンポイント・タイムライン」を開発しました。気象情報と施設情報をもとに、その時、その場で必要な防災対策をシステム利用者に自動的にSNS等で通知できます。システムの基本性能については、2021年8月豪雨の際に当社九州支店の工事現場への試験導入により確認しました。引き続き現場での実証運用を通じて使い勝手等の改善を図り早期の実用化を目指します。

 

⑤CO₂濃度分布と在室者の位置情報を基に室内の感染リスク分布を可視化

 順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学の堀 賢教授と共同で、新型コロナウイルスの室内における感染リスクを評価し可視化するシステムを開発しました。日常生活や執務場面に感染対策が予め織り込まれた建築「Pandemic Ready」の実現に向けた研究開発の一環として、室内のCO₂濃度分布及び在室者の位置情報から感染リスクを評価し、リスクレベルを色分けします。両者は共同でマイクロ飛沫の挙動解明にも取り組んでおり、リスク評価のさらなる精度向上につなげていきます。

 

⑥ニューノーマル時代のオフィス「SHIMZ CREATIVE FIELD」を提案

 ニューノーマル時代の新たなオフィスの在り方として「SHIMZ CREATIVE FIELD」を提案し、本社の一部フロアを改修しました。社内外との多様なコミュニケーションに対応できるハブとしての機能を持たせるとともに、多様な仕事の在り方に対応するゾーニングを施しました。また、位置情報システムと当社が開発した建物OS「DX-Core」を連動させた館内の設備制御による省エネや、順天堂大学と共同開発した建物内感染リスクの評価手法「感染リスクアセスメントツール」による適切なリスク低減策も織り込みました。

 

⑦オープンエリアの音環境制御システム「オトノカサ」を開発

 TOA㈱と共同でオープンなオフィス空間で交わされる会話音声が周囲に拡散するのを抑制する音環境制御システム「オトノカサ」を開発しました。打ち合わせ場所の上部を放物面状のカサで覆い、放物面の焦点に設置したスピーカーからカサ内の会話音声を上向きに放射することで、カサ内のみ会話を拡声させます。打ち合わせ時の声量を抑えてもスムーズな会話のやり取りが可能となります。実オフィスでの実証実験では、カサの外(カサ端部から1mの距離)での音圧レベルはカサの下(中央部)での測定値より約10dB低く、物理的な音のエネルギーとしては約1/10に抑制できることを確認しました。

 

⑧超指向性スピーカーと音響調整板でアナウンス音声をピンポイント放射

 立命館大学、順天堂大学と共同で、必要な人に必要な音声情報を選択的に提供できる「局所音場制御システム」を開発しました。超指向性スピーカーと特殊な音響調整板で構成され、利用者は音響調整板の設置方向等を調整することで、特定の場所を狙ってピンポイントで音声情報を伝達できます。順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区)の新型コロナウイルスワクチン職域接種会場内への試験適用により、効果を確認しました。

 

⑨プロジェクション型VR技術を活用した体感型共同学習システムを開発

 教育施設向けのシステムインテグレーション事業の一環として、プロジェクション型VR技術を活用した体感型共同学習システム「VR-Commons」を開発しました。室内の壁面と床面に疑似立体投影した映像コンテンツにより、利用者はVRゴーグル等のデバイスを装着せずに臨場感あふれる仮想現実の学習空間を体感することができ、関連資料や教材を投影面に重ね合わせた表示や、複数のVR-Commons拠点をつないだ映像コンテンツの共有もできます。東海大学高輪キャンパス内に試験導入し、実際の授業でも活用しております。今後、教育施設に加え、オフィスビルや工場、ホテル、病院等の施設への導入も進めていきます。

 

 

 

 

 

 

(5)カーボンニュートラル

①低コスト・グリーン水素製造実証プラントの建設に着手

~地熱とバイオマス資源を活用した世界初の製造技術を適用~

 大分県玖珠郡九重町において、世界初の低コスト・グリーン水素製造技術の実証プラント建設に着手しました。低コスト・グリーン水素製造技術は、地熱とバイオマス資源を活用することで製造時のCO₂排出量を市販水素の1/10以下に、かつ製造コストを太陽光などの再生可能エネルギーを活用した水電解水素の1/3以下に低減できます。今後、2025年までに大分県をはじめ、九州を中心に中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントを複数建設する計画であり、実用機の水素製造能力は250~1,000Nm³/hを想定しています。

 

②水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」のCO₂削減効果を実証

 当社と国立研究開発法人産業技術総合研究所は、郡山市総合地方卸売市場(福島県郡山市)内での実証運用を通し、建物附帯型水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」のCO₂削減効果について、2019年7月から2年間の連続運用の結果、電力由来のCO₂排出量が、未導入時と比べて約53%、太陽光発電のみを導入した場合と比べて約21%削減できることを確認しました。「Hydro Q-BiC」はすでに、2021年5月に竣工した当社北陸支店(石川県金沢市)に実装され、実用化のステージに進んでおります。今後、メーカー等とのアライアンスの拡充を通じて導入コストの縮減を図り、適用案件の拡大につなげていきます。

 

 

 

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