文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、創業以来「誠実」「意欲」「技術」を社是とし、「良い仕事をして顧客の信頼を得る」を創業理念として、品質至上と顧客最優先のもと、顧客と地域社会に信頼感・安心感・満足感を与える品質を提供することを経営の基本方針としています。また、事業を通して常に社会に意義ある貢献をするため、「MAEDA企業行動憲章」、「MAEDA行動規範」を定め、株主・投資家に理解と共感を得る開かれた経営を目指しています。
(2)目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略
当社は、2019年に創業100周年を迎えたことを機に、次の100年に向けた永続的な成長を実現するための「新たなMAEDAの企業像」を策定しました。そして、この新たな挑戦を着実に実行するため、次の10年「NEXT10」で目指す姿を描くとともに、そのロードマップを策定しました。
新たなMAEDAが「NEXT10」で目指す姿とは、請負と脱請負の融合による「総合インフラサービス企業」への転換です。
ここでいう「インフラ」とは「構造物」ではなく、「生活基盤としてのインフラ」を意味しています。「総合インフラサービス」とは、これまで多くの経験を積み重ねてきた「請負」と、ここ数年にわたり挑戦してきた「脱請負」を融合させた、新たな建設サービスです。当社は、請負を軸に、その上流である事業投資や開発、下流である運営や維持管理へと事業領域を拡大、強化することで利益の源泉であるエンジニアリング力をさらに磨きつつ、脱請負を軸としたあらゆるプロジェクトに挑戦、対応することにより、さらに多くの社会的課題にアプローチできると考えています。
当社は、「総合インフラサービス企業」として、現在の日本が抱える人口減少をはじめとしたさまざまな社会課題に対し、インフラを核に解決策を社会の皆様に提供し、そして、その実現により「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の目標達成を目指していきます。
そのような中で、当社、前田道路株式会社及び株式会社前田製作所(以下「3社」という。)が2021年5月14日付で公表した「前田建設工業株式会社、前田道路株式会社および株式会社前田製作所の共同持株会社設立(共同株式移転)に関する経営統合契約書の締結及び株式移転計画の作成について」に記載のとおり、3社はグループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、3社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組むことに合意しました。
3社が目指す「総合インフラサービス企業」とは、インフラの企画提案から運営・維持管理に至るまでをワンストップでマネジメントすることで、グループ各社の利益の源泉であるエンジニアリング力をさらに強化しつつ、脱請負を軸としたあらゆるプロジェクトへの対応・拡大による新たな建設サービスの発展を目指すものです。そうした高収益かつ安定的な新たな収益基盤を確立するとともに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーか ら信頼される企業」 を目指していきます。
これらの実現のため、3社間での協議のもと、中長期経営ビジョンを策定しました。新たに持株会社体制へ移行するにあたっての共同持株会社(以下、「新ホールディングス」といいます。)の「目指す姿」、それを実現するための中長期経営ビジョンの内容は以下のとおりです。
Ⅰ.経営環境認識
新ホールディングス設立の背景にある3社をとりまく現状の経営環境については、以下のとおりと認識しています。
・今後の国内建設投資は大幅な増加は見込めず、財政上の制約から特に新規建設の請負市場は縮小傾向
・一方、その解決策として、官民連携によるインフラの維持管理・修繕・更新や新規建設、さらにカーボンニュートラルへの取り組み等の新たな市場が急速に拡大
・担い手不足への対処として、働き方改革の推進とともに抜本的な生産性改革への取り組みが必須
・中長期的な成長のためESG経営のさらなる推進とともに、さらに高い水準のガバナンス体制が必要
・デジタル技術の急激な進展等、社会変化の速度はますます加速しており、迅速かつ機動的な体制が急務
Ⅱ.我々が目指す姿
新ホールディングスのもと、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に以下を推進し、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指します。
・目指すビジネスモデルを、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、グループ全体戦略として強力に推進することで、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立
・実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化
Ⅲ.戦略三本柱と重点施策
新ホールディングスの「目指す姿」の実現にむけた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は以下のとおりです。
・生産性改革:付加価値の最大化、固定費・管理コストの適正化、グループ金融戦略の推進
・新たな収益基盤の確立:インフラサービスにおける国内外での地位確立、事業領域のさらなる拡大
・体質強化・改善:グループ人材戦略の推進、ガバナンスの強化
Ⅳ:経営目標数値
新ホールディングスにおける経営目標として、2030年度の目標数値及び2021年度からの配当性向を以下のように定めています。
(3)会社の経営環境と対処すべき課題
今後の見通しについて、新型コロナウィルスに関しては、感染拡大の防止策など、各種政策の効果により、持ち直しの兆しが見られますが、引き続き感染状況を注視し、雇用や所得環境など、社会経済活動に与える影響を十分注意していく必要があります。
そのような中で、新型コロナウィルスの感染症の収束時期は依然として不透明ですが、当社単体の業績への影響は軽微であると見込んでおり、グループ会社の一部では売上高の減少とそれに伴う利益の減少を一定程度見込んでいるものの、当社グループの業績への影響は軽微であると見込んでいます。当社は、政府の方針等に基づき、顧客並びに従業員等の安全確保と感染拡大防止を最優先に、必要な対応を迅速に実施しています。今後の動向を注視し、当社の経営方針や経営戦略等に見直しが必要となった場合には、速やかに開示します。
また、建設業界においては、関連予算の執行による公共投資の底堅い推移が期待されます。企業の設備投資については、不透明な部分があるものの、機械投資を中心に一層の持ち直しが期待されており、住宅建設については、当面、横ばいで推移していくものと予想されます。
これらの見通しを含め、今後の我が国における長期的な経営環境を俯瞰すると、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政が今後ますます厳しくなる一方で、社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足のさらなる深刻化や、デジタル化への変革が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えています。
今後将来的に経営環境が著しく変化していくなかで、これまで以上に3社が国内外で築き上げてきた得意分野を共有し、収益力の向上と新たな収益基盤の確立、技術開発やビッグデータの有効活用、デジタルツールの開発、人材育成をはじめとした経営資源の更なる強化をグループ全体として進めていく所存です。
お知らせ