研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、社会のニーズを的確に把握するために本社に技術開発部門を配備し、プレストレストコンクリート(以下、「PC」という)技術および在来技術の改良、新規分野への参入を目指し、効率的に成果をあげることを目的とした研究開発活動を積極的に推進しております。また、新しいニーズに応えるため、先進技術の調査、情報の収集をはじめ、産・学・官との共同研究を積極的に推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動の主な成果ならびに主要案件は次のとおりであります。

 

なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は625百万円であります。

 

(1)土木事業および建築事業共通

生産性向上のための技術開発およびシステム開発は当社にとって喫緊の課題であり、早急に具体的な成果を得ることが求められています。そこで、土木、建築、技術、管理の各本部およびグループ会社で情報を共有し一元的に管理し、研究開発活動を強力に推進する組織「PSMAX推進委員会」を2019年に立ち上げ活動を行っています。

ここでは主にICT技術を活用して情報化と機械化を融合進化させ、当社グループ独自の建設システムを構築することを目的としています。現在24件の開発中案件があり、一部現場での運用を開始しています。また、PSMAXの開発案件を当社およびグループ会社に広く展開するために「PSMAXフォーラム」をWEB開催し、開発案件の事例紹介と意見交換を行いました。

 

(2)土木事業

①上げ越し管理システムの開発

上げ越し管理とは、橋梁完成後の橋面高さが所定の計画高となるように施工中に高さ管理を行うことであり、PC橋の建設において重要な管理項目です。上げ越し管理システムは、ICTの活用により管理の精度向上と生産性の向上を実現するシステムです。過年度に開発済みのシステムを、2021年度では複数橋脚の同時管理や橋梁完成後の最終形状シミュレーションなど、高度な管理が可能なシステムとして大幅にバージョンアップしました。

 

②PCプレキャスト舗装版関連技術の開発

PCプレキャスト舗装版には、PCプレキャスト舗装版相互の接続構造、およびPCプレキャスト舗装版と地盤との空隙部への充填材料に改良の余地が残されており、新たな接続構造や充填材料の開発を行っています。2021年度には東京湾大井埠頭のコンテナヤードで新たな接合構造を用いたPCプレキャスト舗装版の試験施工を実施しました。また、耐久性能をさらに向上させた充填材料の開発、施工試験も完了し、2022年度には実施工を計画しております。

 

③太陽光発電を用いたコンクリート構造物の遠隔監視システムの開発

コンクリート内部の鋼材の健全度をリアルタイムで評価することを目的として、商用電源が不要な、太陽光発電を用いた遠隔監視システムを開発しました。本システムとチタンワイヤーセンサー(NETIS登録No.KT-170081-A)を用いることで鋼材の腐食の有無、およびZnカートリッジ工法(NETIS登録No.KT-180150-A)による補修効果をリアルタイムで監視することができます。また、モバイルモニター「イージーMモニター」(NETIS登録No.KT-170043-A)を用いることで、橋梁の維持管理システムとしての実用化を目指した実証実験を進めています。

 

土木事業に係る研究開発費は518百万円であります。

 

(3)建築事業

扁平PC梁工法の開発

従来の梁よりも梁せいを低く抑えられれば、開放的な天井高さの大空間が実現し、建築計画の自由度が向上します。また、梁下と天井の間に配管用スペースを確保することができ、梁に貫通孔を設ける必要が無くなるために設備配管計画の自由度が向上し、将来の用途変更にも対応できます。

このような利用価値を向上した建築物実現のため、通常の梁よりも梁せいを小さくする代わりに梁幅を大きくした「扁平PC梁工法」を開発しています。

扁平PC梁工法では、柱幅よりも梁幅を大きくしていることによる構造強度の影響を検討する必要があり、2020年度、2021年度に構造実験を実施し、構造性能、設計方法の検討を行っています。

 

建築事業に係る研究開発費は106百万円であります。

 

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