当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、感染拡大や半導体不足、部品供給網の混乱により生産活動に停滞が生じるなど、総じて厳しい状況が続き、また、ウクライナ情勢の緊迫化を受け資源価格がさらに高騰するなど、年度終盤にかけては先行きに対する警戒感が一段と強まる展開となりました。
道路建設業界におきましては、防災・減災、国土強靭化対策等により公共投資は底堅さを維持したものの、主要資材であるアスファルトをはじめ、原材料価格が年度を通じて高値圏で推移するなど予断を許さない事業環境となりました。
このような情勢のもと、当社グループでは、2021年5月に策定した『2030年のあるべき姿』を示す長期ビジョンおよび「中期経営計画(2021-2023年度)」に基づき、本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大に努めるとともに、連結子会社であったエスティ建材株式会社の株式売却や賃貸事業を行ってきたオフィスビルの売却を実施し、事業体制の最適化を推し進めるなど、将来の環境変化に対応する「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げるべく、各種施策を推進してまいりました。
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高および不動産事業等売上高を含む)は828億50百万円(前連結会計年度比7.5%減)、売上高は851億32百万円(同5.4%減)となりました。また、損益面につきましては、原油価格や資材価格高騰の影響などにより経常利益は43億58百万円(同48.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は33億4百万円(同36.2%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識に関する会計基準等の適用が財政状態および経営成績に与える影響の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)セグメント情報 2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
セグメントの概況を示すと、次の通りであります。
なお、完成工事高、売上高および営業利益(セグメント利益)については、セグメント間の内部取引高等を含めた調整前の金額をそれぞれ記載しております。
当連結会計年度の業績につきましては、受注高は674億17百万円(前連結会計年度比8.8%減)、完成工事高は696億99百万円(同6.3%減)、営業利益は60億38百万円(同28.4%減)となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は281億59百万円(前連結会計年度比2.0%減)となり、営業利益は16億23百万円(同48.7%減)となりました。
当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、不動産事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は8億16百万円(前連結会計年度比6.7%増)、営業利益は1億55百万円(同1.0%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較し11億13百万円減少の782億95百万円となりました。未成工事支出金や現金預金の減少などにより、流動資産が23億32百万円減少した一方、アスファルトプラントの設備更新や事業所の建替え等により有形固定資産が増加したことなどにより固定資産は12億18百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し8億21百万円減少の377億97百万円となりました。工事未払金や未払法人税等の減少などにより流動負債は15億69百万円の減少となりましたが、退職給付に係る負債などが減少する一方、長期借入金が増加したことにより固定負債は7億48百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益33億4百万円を計上しましたが、期末配当金の支払や自己株式の取得などにより、前連結会計年度末と比較し2億92百万円減少の404億97百万円となりました。
当連結会計年度におきましては、仕入債務の減少や法人税等の支払などにより資金が減少する一方、税金等調整前当期純利益43億27百万円を計上したことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、46億46百万円の資金増加(前年同期は11億38百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度におきましては、アスファルトプラントの設備更新や本社ビル・事業所の建替えに伴う支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは36億68百万円の資金減少(前年同期は36億22百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度におきましては、長期借入により資金が増加する一方、期末配当金の支払や自己株式取得による支出などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは22億32百万円の資金減少(前年同期は23億43百万円の資金増加)となりました。
以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度の期末残高と比べ12億20百万円減少し、128億14百万円となりました。
(注) セグメント間の内部取引については相殺消去しております。
(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
2 主要相手先別売上状況
総売上高に対する割合が100分の10以上に該当する相手先は次のとおりであります。
前連結会計年度
該当する相手先はありません。
当連結会計年度
該当する相手先はありません。
3 セグメント間の内部取引については相殺消去しております。
ハ. 建設事業における受注工事高、完成工事高及び繰越工事高
(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改等により請負金額や工種に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。
2 次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。
3 当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の「前期繰越工事高」については、当該基準等の適用による影響額を調整した後の数値となっております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を次に示しております。
(建設事業)
a. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争入札に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
b. 完成工事高
前事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。
当事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。
c. 手持工事高(2022年3月31日現在)
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
(舗装資材製造販売事業)
製造及び販売状況
(注) 1 アスファルト合材の生産実績と売上数量との差異は、当社の請負工事に使用した数量であります。
2 その他製品売上金額は、アスファルト乳剤、砕石等の販売による売上高であります。
(その他)
売上状況
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
① 経営成績について
前連結会計年度が過去の実績を大幅に上回る好決算であったことから、前年との比較においては減収減益となりましたが、売上高、また、利益面においても概ね中期経営計画および期初の計画どおりの決算となりました。しかしながら、業界を取り巻く情勢としては、原油価格が高値圏で推移し、アスファルトや重油などの価格高騰により、特に損益面においては、大変厳しい事業環境が続いており、今後の国際情勢の動向も含め、予断を許さない状況となっております。
セグメントの経営成績につきましては、次の通りであります。
建設事業におきましては、堅調な官公庁発注工事の受注に注力するとともに民間顧客への営業も強化するなど、収益の拡大に努めてまいりました。また、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の活用による現場における省力化や生産性向上にも継続して取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、前年に高速道路や空港関連など、生産性の高い大型工事の受注が相次いだ関係で、受注高(674億17百万円(前連結会計年度比8.8%減))、完成工事高(696億99百万円(同6.3%減))はともに前年の実績を下回り、また完成工事高の減少に加え、利益率も反動減となったことにより、営業利益は60億38百万円(同28.4%減)にとどまる結果となりました。
舗装資材製造販売事業におきましては、今後の事業展開を見据えた拠点拡充や環境配慮型商品等の製造・販売体制の整備を進めるなど、収益確保に努めてまいりました。また、アスファルトプラントの設備更新を計画的に実施し、製造効率の向上や製品製造過程における環境負荷の低減にも注力してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は281億59百万円(前連結会計年度比2.0%減)となり、原油価格高騰による製造コスト上昇の影響などにより、営業利益は16億23百万円(同48.7%減)となりました。
当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、不動産事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は8億16百万円(前連結会計年度比6.7%増)、営業利益は1億55百万円(同1.0%増)となりました。
② 財政状態について
財政状態の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要」に記載のとおりでございます。
当社グループでは、ここ数年、将来の健全な存続と持続的成長に向け、機械装置の更新や施工用機械の取得など事業の根幹を支える投資に注力しておりますが、かかる投資については、原則として自己資金により行われており、当連結会計年度末における固定比率につきましては66.2%となっております。
また、当連結会計年度末における純資産合計につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益33億4百万円を計上しましたが、期末配当金17億34百万円の支払や自己株式25億円の取得などにより、前連結会計年度末と比較し2億92百万円減少の404億97百万円となり、自己資本比率は51.7%となっております。
なお、財政状態については事業全体で管理を行っており、セグメントごとでの記載が困難なため記載しておりません。
③ キャッシュ・フローについて
当社グループの資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて46億46百万円の資金増加 (前年同期は11億38百万円の資金増加)となり、前連結会計年度と比較し増加額は35億7百万円増加いたしました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、中期経営計画における投資計画では、工場・事務所・施工機械の更新に年平均50億円程度、3年累計で150億円程度の設備投資を計画しておりますが、大型の投資計画が次期にずれ込んだことなどにより、当連結会計年度におきましては36億68百万円の資金減少(前連結会計年度は36億22百万円の資金減少)となりました。
また、期中におきまして、本社ビル建替えのための資金として、新たに20億円を借入により調達しておりますが、期末配当金の支払や自己株式取得による支出などにより財務活動によるキャッシュ・フローは22億32百万円の資金減少(前連結会計年度は23億43百万円の資金増加)となっております。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社における資金の使途は、大別すると、運転資金、事業投資(設備投資、戦略投資、研究開発、人材投資、等)、株主還元となります。運転資金を含む手元資金については、支出先行のビジネスモデル、請負工事の大型化、社会資本整備を担う企業としてあるべき財務健全性等に鑑み、月商の2倍程度の手元流動性は確保すべきであると考えております。
また、将来の持続的成長を実現するためには、継続的・戦略的な設備投資、技術開発が不可欠であり、当面は、環境負荷低減や生産性向上に向けた事業資産の質的な転換期にあることから、「中期経営計画(2021-2023年度)」期間においては3年累計で、総額150億円程度の設備投資を計画し、さらにM&A等により15億円程度の戦略投資を見込んでおります。
株主還元につきましては、配当性向30%程度、総還元性向50%以上を目標としており、2022年度中に総額8億円または120万株を上限とする自己株式の取得およびこれにより取得するすべての自己株式の消却を予定しております。なお、2022年3月期の総還元性向は109.6%となりましたが、『2030年のあるべき姿』で示すとおり、財政状態、資金状況、事業環境等を勘案し、機動的に追加的施策を実施することも選択肢としております。
一方、財源については、営業活動によるキャッシュ・フローを基本としておりますが、必要に応じ、長期借入、当座借越契約、コミットメントラインなどにより、資金調達あるいは手元流動性を確保することも想定しており、その意味でも、信用格付「A」相当を目安として、財務健全性の維持・向上を図っていく方針です。
また、当社グループでは、グループ内の資金の効率化を図るため、当社と各子会社間における資金融通制度を構築・運用いたしております。
なお、2022年3月末現在における現金及び現金同等物の期末残高は128億14百万円(前連結会計年度末は140億35百万円)、有利子負債残高は70億7百万円(前連結会計年度末は50億7百万円)となっております。
有価証券報告書提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの財政状態、資金状況への影響はありませんが、公共工事発注動向への影響も含め、引き続き状況を注視しながら、上記方針のとおり財務健全性の維持・向上を図ってまいります。
⑤ 中期経営計画における主要な計画数値について
「中期経営計画(2021-2023年度)」における主要な経営指標の計画値および計画初年度となる2021年度の実績については以下のとおりです。
主要経営指標(連結)
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く環境は、ここ数年で目まぐるしく変化しており、こうした状況において、あらためて、当社グループはもとより社会全体の持続可能性を意識しながら、中長期的な視点・思考をもって経営に取り組むことの重要性を強く認識するところとなっております。
当社グループといたしましては、対処すべき課題(第一部 第2「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)に記載のとおり、長期ビジョンおよび中期経営計画に掲げる各種施策に真摯に取り組み、将来のどのような環境変化にも対応できる「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げ、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」として、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
なお、当社の業績に影響を与える可能性のある事項につきましては第一部 第2「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月23日)において当社グループが判断したものであります。
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