研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

近年、社会インフラの重要性が再認識されるなか、道路建設業を取り巻く環境も大きく変化しており、舗装に求められる社会からのニーズもより多様化、高度化しております。

このような状況のもと、当社では、脱炭素、道路インフラ整備の効率化、長寿命化、生産性向上に重点を置いた開発テーマを選定し、研究開発活動を行っております。

なお、当社の研究開発活動は、技術研究所を中心に行われており、当連結会計年度における建設事業および舗装資材製造販売事業の研究開発費は、423百万円となりました。

 

主な研究開発

(1) 自己治癒型アスファルト混合物

アスファルト混合物層に発生したひび割れは、それ自体の強度を低下させるだけでなく、舗装体内への水の浸透により路盤や路床部の損傷の原因にもなります。このことからアスファルト舗装にひび割れが生じても時間の経過とともに復元する自己治癒型アスファルト混合物を研究しております。

現在はアスファルト混合物に自己修復性能がある粉末剤を添加することによりひび割れ部が再接着する手法を検討しております。

 

(2) AI技術を導入した路面性状測定車の開発

道路舗装については膨大な道路延長を限られた財政で効率よく維持管理することが求められています。このことから路面調査業務の効率化を目指し、普通車のルーフに高精細なカメラおよびレーザー測定器等を設置した路面性状測定車の開発・導入を進めてきました。

その中で最も解析時間を要する路面のひび割れ率の算定にはAI(人工知能)による画像処理システムを採用し省力化を実現しました。また、自動車の自動運転のためには車載センサーによる車線認識技術が重要となりますが、路面のラインのかすれが課題となっています。そのため、ラインのかすれ具合をAIによる画像認識により自動判別する機能を追加しました。

さらに、ポットホールについても管理する道路延長を考慮するとその発見に多大な労力が必要となるため、AIにより路面の画像の中からポットホールと考えらえる損傷を自動的に抽出し、パソコン上の画面で路線上での位置を表示できるようにしました。これらにより、インフラ調査におけるさらなるDX化を推進していきます。

 

(3) 代替アスファルトの開発

アスファルトについては、低炭素や原油の減産、価格高騰の面から石油アスファルトに替わる新材料が今後必要となることが予想されます。このことから、石油アスファルトを低減もしくは使用しない新規バインダーを研究しております。

現在は、候補資材を調査するとともに天然アスファルト等を使用したバインダーで混合物を作成し、物理性状を検証しております。

 

(4) DX技術の開発

舗設技術の向上及び省人力化を目的にアスファルト混合物の運搬、敷き均し、転圧までの一連の流れを最適化する管理システムを開発しています。現在はアスファルト混合物運搬ダンプの走行位置からフィニッシャーの敷均し速度を自動制御する手法を開発し、現場での適用性を検証しました。

また、ローラーについては走行折り返し時の制動による荷重を軽減させて平坦性を向上させるガイダンスシステムを開発しました。今後は実際に現場でローラーに装着し、オペレーターへの適用性と効果を検証していきます。

 

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