課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を標榜し、社会資本の整備を責務として事業を展開しております。当社グループにおいてはこの考え方をもとに、道路建設を主軸に土木、水利・環境、舗装資材の製造販売等の事業領域を確保し、社会基盤整備の担い手として、健全な発展と存続を目指しております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題等

道路建設業界におきましては、政府による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の推進等により、公共投資は底堅く推移することが見込まれますが、足元では、原油高によるアスファルト合材の製造コスト高騰に歯止めがかからず、販売価格への転嫁が大きな課題となっております。また、数年先、そしてその先の将来に向けては、コロナ禍や地政学的リスクによる不確実性の高まり、少子高齢化による労働人口の減少懸念、地球環境問題の深刻化など様々な変化がみられるなか、企業として健全に存続し、持続的に成長するためには、競争力の維持・向上は勿論のこと、サステナビリティを巡る課題への取り組みが必要不可欠となっております。

当社グループでは、このような状況に対応するため、2021年5月、『2030年のあるべき姿』を「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」とする長期ビジョンを明確にし、現在はその実現を目指し、主に以下の取り組みを進めております。

① 中期経営計画(2021-2023年度)

『2030年のあるべき姿』に向けた第1フェーズとして、2021年5月より、「中期経営計画(2021-2023年度)」を遂行しております。引き続き、「真に強靭な企業グループ」となる礎を築くべく、各種施策を着実に実行してまいります。

 

② サステナビリティを巡る課題への取り組み

サステナビリティへの対応を加速化すべく、本年4月、これまで部門横断的なプロジェクトとして進めてきた「SX推進プロジェクト」「DX推進プロジェクト」「働き方改革プロジェクト」「担い手確保プロジェクト」を「サステナブル経営戦略プロジェクト」「働き方改革プロジェクト」「ダイバーシティ推進プロジェクト」に再編、組織化いたしました。引き続き、職場環境の改善を含めた人材への投資、稼ぐ力と環境配慮を両立する投資活動を継続するほか、本年2月に申請したSBT(Science Based Targets)の達成に向け具体的な取り組みを進めるなど、サステナブルな経営を具現化してまいります。

 

③ 独占禁止法をはじめとする法令順守の徹底

当社は、2015年1月27日以前における独占禁止法違反行為により、2017年8月から2019年7月の間に、複数回、独占禁止法に基づく処分を受けております。

当社では、これら違反行為の発覚以降、再発防止策の確実な運用はもとより違法行為の徹底排除に取り組んでおりますが、今後とも、このような違反行為が存在した事実を風化させることなく、全社を挙げてコンプライアンス経営を推進してまいります。

なお、アスファルト合材の販売価格決定に関する違反行為により2019年7月に受けた課徴金納付命令で課徴金算定の対象とされた売上高の一部に関する見解の相違について公正な判断を求めるため、当社が、2020年1月に公正取引委員会を被告として東京地方裁判所に提起した課徴金納付命令の一部に対する取消訴訟につきましては、2021年8月5日に当社の請求を棄却する判決が言い渡されました。当社は、これを不服とし、同年8月18日、東京高等裁判所に控訴を提起しておりましたが、2022年6月8日に当社の請求を棄却する判決が言い渡されました。当社では、判決内容を精査し慎重に検討のうえ、今後とも適切に対応してまいります。

 

 

 (長期ビジョンおよび中期経営計画の概要)

①長期ビジョン『2030年のあるべき姿』

「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」

 

□ 当社にとって最も重要な経営資源は「人」である。

  従業員エンゲージメントの高い企業風土のもと、充実した教育体制により磨き上げられた従業員一人ひとりが実力を遺憾なく発揮することで、企業をさらに成長させていく。

□ コロナ禍、自然災害等、予測不能な事態が頻発するなか、何かに備えるのではなく、基礎体力・危機対応力を向上させ「真の強靭化」を果たすことで、自らが持続可能な存在となる。

□ 有事・平時を問わず、生活基盤創造企業として期待される責務を誠実に果たし続けることにより、持続可能な社会の実現に貢献する。

 

 

「基本方針」

1. 安定収益の拡大

当社は、道路舗装を主とした建設事業および舗装資材製造販売事業において、近年、一定の利益を確保するに至ったが、これら本業における技術と経験を磨き上げ、さらなる競争力強化に努め、安定収益を拡大する。

2.収益源の多様化

当社の事業は、国内道路建設市場の動向に大きく影響を受けるため、既存事業の領域拡大、さらには新たな事業分野の開拓も視野に入れ、収益源の多様化に挑戦し、環境変化に強い企業体質づくりを推進する。

3.人を基軸とした経営の実践

競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。

4.新しい働き方の確立

長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。

5.経営・財務基盤の充実

コーポレートガバナンスのさらなる改善やリスクマネジメントの強化、コンプライアンス重視の企業風土醸成等に継続的に取り組むとともに、財務健全性の確保および安定的な株主還元に努め、強靭で健全な経営・財務基盤を構築する。

 

『2030年のあるべき姿』重要業績評価指標(KPI)[連結]

項 目

2030年度目標

売上高

1,000億円

営業利益

80億円

当期純利益

50億円

ROE

10.0%

自己資本

500億円

総資産

1,000億円

自己資本比率

50.0%

 

 

②中期経営計画(2021-2023年度)

「個別戦略・重点施策」

1. 本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大

(建設事業)

・施工実績の蓄積と対応体制の強化により、国交省・高速道路会社発注工事における受注競争力を高める。

・国内の建設工事拠点(営業所)全てが地域で自立自活し、基盤数値の底上げを図る。

・底堅い需要が見込まれるインフラ老朽化対策、防災・減災分野、再生可能エネルギー事業への営業展開に注力する。

 

(舗装資材製造販売事業)

・自社工事を網羅する拠点配置、設備と営業員の拡充により、市場規模の大きい大都市圏において販売量を確保する。

・低環境負荷商品の充実と製品の品質向上により顧客の要求に応え、さらなる販売シェア拡大につなげる。

(技術開発)

・将来における舗装の役割や機能の変化を見据えた技術開発を遂行し、新たな付加価値を創出する。

 

2. 事業領域の拡大、新たな事業分野開拓への挑戦

・保有する道路の点検・診断技術等をさらに磨き、包括的維持工事の受注に向けたアドバンテージを獲得する。

・海外事業を軌道に乗せ、国内建設市場の変化に左右されない新たな収益の柱として確立する。

・既存事業とのシナジーや事業領域・マーケットの拡大につながるM&A・提携等を推進し、成長基盤づくりを加速する。

 

3. 人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出

・ダイバーシティ採用の推進、教育機関との結びつき強化等により、目指す事業規模達成に必要な人材を確保する。

・従業員にとって働きやすく働き甲斐のある「魅力ある職場づくり」を推進し、エンゲージメントの向上を図る。

・多様化する人材に応じたキャリアパスの形成と教育体系の再構築により、従業員一人ひとりの能力を向上させる。

 

4. 生産性向上に資する新しい働き方の確立

・ICTの積極活用および業務効率化等により、生産性の向上と長時間労働の是正、4週8休を実現する。

・業務プロセスのデジタル化等による効率向上を図るとともに、ワークライフバランスの実現できる環境整備を推進する。

 

5. 強靭で健全な経営・財務基盤の構築

・独占禁止法違反再発防止策の完全実施、その他法令順守の徹底に注力し、ステークホルダーからの信用・信頼を回復する。

・コーポレートガバナンス強化の取り組みを継続するとともに、情報開示を充実させ、経営の透明性をさらに高める。

・会計処理の標準化を推進するとともに、会計実務に関する社内教育を強化し、変化する会計基準・税制に適切に対応する。

 

「資本政策(投資計画、財務計画、株主還元)」

1. 持続可能な事業基盤構築に向けた継続的・戦略的投資の実施

2. 財務健全性の維持・向上/資本効率とのバランスにも配慮

3. 配当性向30%程度・総還元性向50%以上を目標とした、安定的・継続的な株主還元

 

 

中期経営計画(2021-2023年度)主要経営指標[連結]

項 目

2023年度計画

売上高

916億円

営業利益

58億円

当期純利益

37億円

ROE

8.6%程度

自己資本

430億円程度

総資産

860億円程度

自己資本比率

50%程度

 

 

 

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月23日)において当社グループが判断したものであります。

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