文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社の経営方針としては、創業以来「人間性豊かな住まいと環境の創造」を目指し、住宅業界のトップ企業として最高の品質と技術の提供を図ることを基本とし、当社の根本哲学である「人間愛」を日々の活動に反映させ、常に「お客様本位」の家づくりに取り組んでいます。今後とも厳格な品質管理のもと、徹底した顧客満足(CS)の向上並びにアフターサービスの充実に努めます。商品寿命が超長期に及ぶ住宅という商品特性上、これら日頃の地道な業務の積み重ねにより確固たる信頼を構築することが、永続的な成長の基本であり不可欠な要素であると考えています。また、当社は顧客満足(CS)、従業員満足(ES)、株主満足(SS)の三位一体の中から真の企業経営が生まれるとの基本的な考えに立ち、企業市民としての義務の達成や、永続的に成長を続けるための先行投資及び安定性を考慮に入れつつ、業績拡大に邁進する所存です。
当社は、経営の効率化を促進するために、時機に応じてバランスシートの健全性を図るとともに、各事業の資産効率の向上に努めます。それらの結果として総資産利益率、株主資本利益率の改善を目指しており、ROA10%、ROE10%以上を安定的に確保することを目標とします。
当社は、経営方針を「事業ドメインを“住”に特化した成長戦略の展開」と掲げ、第4次中期経営計画(2017年度~2019年度)では、住宅が社会に提供できる価値を積水ハウスグループ全体で追求しながら、住宅・住宅関連ビジネスの強化及び新たな事業領域の拡大を推進しました。そして、今後の事業環境が大きく変化する中、持続的成長を図るため、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を掲げるとともに、2023年1月期を最終年度とする第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)を策定しました。
新たな中期経営計画では、基本方針を「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」と位置付け、ネット・ゼロ・エネルギー住宅等、付加価値の高い住宅・住環境の普及促進はもとより、「健康」「つながり」「学び」を住宅にインストールするプラットフォームハウス構想の推進や、中層住宅向けオリジナルβ構法で設計・建築されるホテルや保育園等の非住宅分野を積極的に展開します。また、国際事業も新たなステージを迎え、持続的な成長に向けさらなる推進を図ります。
各ビジネスモデルの事業戦略は下記のとおりです。
戸建住宅事業では、「プラットフォームハウス」等、新たな付加価値を提案するとともに、引き続き、「グリーンファースト ゼロ」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及や、当社のオリジナル外壁を採用する中高級商品の提案など、高品質・高性能な商品戦略に加え、新しいリビングのあり方を提案するコンセプトモデル「ファミリースイート」等、「幸せ」を研究する住生活研究所の研究成果(ソフト)と先進技術(ハード)が融合した新たな付加価値の提案をします。また、「積水ハウス ノイエ㈱」によるセカンドブランド販売により商品価格帯を広げます。
賃貸住宅事業、建築・土木事業では、都市部を中心としたS・Aエリアに特化したエリアマーケティングによる、高品質でホテルライクな賃貸住宅の提案をさらに進めます。また、当社オリジナルβ構法(3・4階建仕様)を活かした、ホテル、医療介護施設、保育園等の多用途展開に加え、CRE・PRE等の有効活用提案等も積極的に行い事業領域の拡大に努めます。さらに、「Trip Base 道の駅プロジェクト」の積極的な展開で地方創生に貢献します。
リフォーム事業では、環境型・提案型リフォームの積極展開を図ります。積水ハウスの戸建住宅では、積水ハウスリフォーム㈱による、断熱性能の進化に合わせた省エネルギー化リフォームや、家族の暮らしに合わせたフレキシブルな空間リフォームを推進します。また、賃貸住宅リフォームでは、積水ハウス不動産6社による資産価値向上、入居者満足の向上による安定した賃貸住宅経営のコンサルティングを進めます。
不動産フィー事業では、積和不動産各社を「積水ハウス不動産」各社へ社名変更し、積水ハウスブランドの統一化を図り、賃貸・仲介事業の強化を推進します。引き続き高い入居率を確保し、管理業務の質向上を図ることで物件の資産価値向上を目指すと同時に、今後さらに拡大する既存住宅の流通マーケットに対応するスムストック事業や不動産仲介事業の強化を図ります。
資産回転率の向上と優良土地の取得により安定経営を図ります。戦略的な土地仕入れの強化を行うとともに、投資バランスを図り、ROAを意識した物件の開発を進めます。
分譲住宅事業では、ターゲットエリアの選定や、積水ハウス ノイエ㈱の販売強化に向けグループ一体となった仕入れの推進を行います。
マンション事業では、東京・名古屋・大阪・福岡を中心とした開発を行い、住宅事業で培った環境戦略をマンション事業にも適用しZEHマンションの展開を進めます。
都市再開発事業では、資産回転率を高め利益創出を図るとともに、積水ハウス・リート投資法人に対し、引き続き安定した物件供給を行うべく都市部における高級ホテルやオフィス、賃貸マンションの開発を行うことによりパイプラインの構築を図ります。
国際事業では、IT産業が集積する米国西海岸を中心に高品質な賃貸住宅の開発及び出口戦略を行うマルチファミリー事業を引き続き展開し、毎年賃料が上昇するエリアに厳選した開発を行います。また、米国、豪州、そして2019年に進出した英国において、積水ハウスのテクノロジーをインストールした戸建住宅の建設を展開します。人口増加や住宅の供給不足が続く地域で、積水ハウスのテクノロジーと各国の建築様式を融合させることで、全てが高品質な戸建住宅を提供し、将来を見据えた事業推進を図ります。
世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を進める動きが本格化し、新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みから回復基調を維持するものの、長期化する供給制約、原材料及びエネルギー価格の問題、物価や金利の上昇、地政学リスクに注視が必要な状況が継続すると見られます。そのような中、国内では、雇用・所得環境の改善及び生活様式の変化に伴う住宅取得意欲の高まりから住宅需要の回復傾向は継続し、政府のエネルギー政策や住宅性能表示基準の改正等を背景に、断熱性の高い住宅等、高品質な住宅へのニーズの高まりが期待できます。また、アメリカの住宅市場においては、金利上昇局面にあるものの、旺盛な住宅需要と供給不足を背景に、好調な市場環境が継続すると見られます。
このような事業環境の中、当社はグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”と第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)の基本方針「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」のもと、住を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業を目指す取り組みを加速します。その中では、感染症対策として、WEBやIT技術を駆使したお客様との関係構築、新しい生活様式に対応した商品開発・提案力強化を推進します。
請負型ビジネスでは、付加価値の高い住宅・住環境の追求による収益拡大を図ります。戸建住宅事業では、商品価格帯を広げ価格帯に沿った商品開発を強化・推進し、自宅時間の充実を実現する「ファミリー スイート」や温度変化を抑えながら換気・空気清浄する「スマート イクス」、間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」等の更なる普及を図ります。賃貸住宅事業では、ゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の拡販や各都市における重要戦略地として定めたS・Aエリアに特化したエリアマーケティングの徹底、街のシンボルとなるフラッグシップモデル「シャーメゾンプレミア」の展開を行います。また、非住宅(事業用建物)の分野では、CRE(企業不動産)・PRE(公的不動産)分野における不動産の有効活用提案を強化するべく、重量鉄骨を用いたオリジナル構法の強みを活かした多用途展開や、地球環境への配慮と経済性・室内の快適性を両立させたZEBオフィスの提案強化、子会社の株式会社鴻池組とのシナジー効果を高めます。
ストック型ビジネスでは、リフォーム事業において、在宅時間増加に伴う、より快適な生活ニーズに対応した提案型・環境型リフォームの積極展開を行います。また、不動産フィー事業では、新たに設立した中間持株会社積水ハウス不動産ホールディングス株式会社を中心に、賃貸住宅のオーナーサービス・入居者サービスの向上及び仲介事業の強化を図ります。
開発型ビジネスでは、資産回転率の向上とエリアマーケティングに沿った優良土地の取得を行うことで安定収益を確保します。分譲マンション事業では、ZEH、ZEH-M基準をクリアする分譲マンション等、差別化された開発を強化し、都市再開発事業では、回転率を重視し首都圏を中心とした賃貸マンション開発に注力します。また、当社の建築技術を生かし、地方創生に寄与する「Trip Base 道の駅プロジェクト」の推進を図ります。
国際ビジネスでは、積水ハウステクノロジーを各国へ移植していくステージとして、開発事業の安定成長と戸建住宅の供給強化に注力し、持続的な成長に向けた体制づくりを図ります。住宅販売が好調なアメリカにおいては、顧客中心のプレミアムブランドとして大きな成長を遂げているWoodside Homesと新たに買収したHolt Homesにより事業を展開し、日本で培った住宅技術とライフスタイル提案による高付加価値の提供を推進します。また、当社の木造住宅シャーウッドの技術を用いたパイロットプロジェクトを推進し、ブランド力向上を図ります。
財務面においては、成長投資、効率性、財務健全性、株主還元の4項目のバランスを重視し、強固な成長基盤の構築を図ります。成長投資については、資本効率を意識した投資回収を基本として国内外の不動産投資(2022年1月期6,827億円)を実施するほか、生産設備、プラットフォームハウス構想等への研究開発、M&A等への成長基盤投資を実施します。また、国内信用格付AA格の維持を前提に、D/Eレシオ(2022年1月期末0.37倍)等の改善を図り、高い財務健全性を維持しながら、利益率及び回転率の向上を通じてROE(2022年1月期11.0%)の向上を目指します。株主還元については、継続的な配当成長及び機動的な自己株式取得を実施します。
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