研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)では、住宅総合企業として、多様化・高度化する市場の要請に応え、持続可能な社会を構築するべく、顧客ニーズ・社会ニーズを的確に捉えるとともに、新たな住まいの在り方を提案する商品開発や住まいの長寿命化を実現する技術、その他工場及び建設現場の生産性向上、施工省力化、廃棄物リサイクル等に関する技術開発を推進しています。

また、住宅の高断熱化と省エネ設備の採用による徹底した省エネと太陽光発電などによる創エネで、1年間の一次エネルギー収支を概ねゼロとできる住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の普及に注力しています。

加えて、2019年に「人生100年時代の幸せをアシストする家」として「健康」「つながり」「学び」といったサービスを次々とインストールができ、住まい手の生活サービスを長期に渡りアシストする当社独自の家づくり「プラットフォームハウス構想」を発表し、2020年には、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を掲げ、住を基軸に、ハード・ソフト・サービスを融合し、幸せを提案するグローバル企業への進化を目指しています。

2021年10月には、技術部門について攻めと守りの役割を組織体制上明確にする観点から、新たにR&D本部と技術管理本部に分割し、R&D本部において、建築新技術、住生活の研究開発、住を基軸としたデザイン、商品開発並びに知的財産戦略の立案に関する事項を掌握し、技術開発の更なる推進を図ることとしました。

連結子会社である㈱鴻池組では、「安全・安心」「品質確保」「生産性向上」「地球環境問題」といった課題や「ICT技術」の活用などに対応するための応用研究開発を進めており、2021年11月には、土木・環境関連技術の研究・開発拠点となる新研究施設として、「大阪テクノセンター」(大阪市住之江区)を開設しました。

当連結会計年度の研究活動の概況と成果は以下のとおりであり、研究開発費総額は9,478百万円です。なお、当社グループの行っている研究開発活動は、各事業に共通するものであり、セグメントに分類することができません。そのため、研究開発活動の概要は、以下のとおり研究開発の項目別に記載します。

 

(イ)商品開発

・生活環境の変化やライフスタイルの多様なニーズに応えるため、ライフスタイル型モデルハウスとして、全国5か所に「Tomorrow’s Life Museum」を展開しました。これまで蓄積してきたライフスタイル研究をベースに建築地に合わせて、そこに暮らすであろう家族像を設定し、リアリティーのある暮らしのシーンを表現しています。

・賃貸住宅「シャーメゾン」での新しい在宅ワークスタイル提案として、可動書斎収納「ノマド収納」を発売しました。場所を固定しない自由な働き方を住まいの中でも実現することを提案しています。

・2020年発売の次世代室内環境システム「SMART-ECS」について、さらに進化を続け、邸別換気・空気清浄シミュレーションの提供を開始しました。計画段階での室内空気洗浄の見える化により、住宅ごとに最適な空気環境の提供が可能となりました。さらに、既存住宅のリフォーム工事で設置を可能とした「SMART-ECSリノベーション」も発売しました。

・先端技術と住まい手のデータを活用し、幸せという無形資産を生み出し続ける家「プラットフォームハウス構想」の第一弾として「PLATFORM HOUSE touch」を発売しました。家の状況確認や住宅機器の操作を、どこからでもスマホひとつで可能とし、住まいとつながる、家族がつながる、新しい暮らし方を提案します。

・木造住宅「シャーウッド」のオリジナル小屋組技術を搭載した「KOKAGE LOUNGE」のバージョンアップを行い、大きな勾配屋根空間がもたらす豊かな暮らしの提案力を向上しました。

・当社の2021年度の新築戸建住宅ZEH比率が92%となり、第5次中期経営計画目標の90%を上回り、供給を開始した2013年以降の累積棟数も69,163棟(2022年3月末現在)となりました。また、集合住宅においても、「賃貸ZEH」をシャーメゾンブランドで展開し、受注は、2021年度(単年度)で8,501戸と2020年度の2,976戸を大きく上回り、累計も12,307戸となりました。

 

(ロ)技術開発

・文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」において、大阪市立大学(現 大阪公立大学)との共同研究プロジェクト「住まいにおける子どものオンライン学習スペースの研究」を開始しました。

・東京大学×積水ハウス「国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)」内に、世界最高峰の「デジタル×建築」研究施設「T-BOX」を新設し、隈研吾・特別教授を中心に、次世代の人財育成および住宅イノベーションの実現に向け、2021年10月より運用開始しました。

・庭などに地域の在来樹種を中心とした植栽を行う「5本の樹」計画により累計植栽数は1,810万本となりました(2022年1月末時点)。また、この取り組みによる生物多様性保全効果を琉球大学と共同検証し、世界初の都市の生物多様性の定量評価の仕組みを構築しました。

・千葉大学「積水ハウス健やか住環境創造のためのシックハウス症候群対策研究部門」において、室内化学物質低減による健康効果に関する研究を継続しています。

・住宅インスペクション技術の一つとして、京都大学と木材の蟻害探知システムの共同研究を継続しています。

・積水ハウステクノロジーの海外移植を推進すべく、アメリカではラスベガスにおいてパイロットハウスの建設を進めており、オーストラリアではシャーウッド構法の品質再現性をさらに高める検証を行っています。

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