(1) 経営成績等の状況の概要
a 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や生産に持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が残る厳しい状況となった。
建設業界においては、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資は持ち直しの動きがみられた。
このような状況のもと、当社は、2021年度中期経営方針(2021~2025年度)に基づき、「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として事業拡大をはかってきた。
関東圏においては、成長市場に強みを持つ顧客に対する営業強化を中心とした受注戦略を実践するとともに、協力会社の体制強化などにより施工体制を構築し、収益の拡大に努めてきた。
リニューアル工事については、施工物件の履歴情報活用等による時宜を得たお客さまへの提案、設計・施工からメンテナンス、維持・管理までをワンストップでサービス提供するなど、受注拡大に注力してきた。
海外事業においては、現地子会社YURTEC VIETNAM CO.,LTD.に加え、中期経営方針に掲げた「成長戦略に基づく投資枠300億円」の施策の一環として、昨年6月にベトナム国大手設備エンジニアリング企業SIGMA ENGINEERING JSCを完全子会社化するなど、事業基盤の強化に取り組んできた。
また、東北各地で計画されている大型風力発電所関連工事の受注拡大、情報通信部門の5G関連工事等の受注獲得に向け、積極的に営業活動を展開してきた。
さらに、昨年6月には、お客さまに分かりやすい営業体制・効率的な業務推進体制の構築等を目的に本部体制を見直し、一般工事の受注拡大をはかってきた。
こうした取り組みに加え、働き方改革の一環として生産性向上をはかるため、デジタル化(DX)の推進や継続的な業務見直しなど、効率的な業務運営の基盤づくりにも取り組んでいるところである。
当社グループの当連結会計年度の業績は、受注工事高は217,395百万円(個別ベース)と前連結会計年度に比べ27,478百万円(14.5%)の増加となり、売上高は225,317百万円と前連結会計年度に比べ28,224百万円(14.3%)の増収となった。
利益面については、営業利益は9,492百万円となり、前連結会計年度に比べ1,008百万円(11.9%)の増益、経常利益は10,040百万円となり、前連結会計年度に比べ867百万円(9.5%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,700百万円となり、前連結会計年度に比べ937百万円(16.3%)の増益となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。
(設備工事業)
当社グループの中核をなす設備工事業の業績は、外部顧客への売上高は221,981百万円となり、前連結会計年度に比べ28,425百万円(14.7%)の増収、セグメント利益は8,578百万円となり、前連結会計年度に比べ955百万円(12.5%)の増益となった。
(その他)
その他の事業においては、車両・事務用機器・工事用機械等のリース事業、警備業並びにミネラルウォーターの製造業等を中心に、外部顧客への売上高は3,335百万円となり、前連結会計年度に比べ200百万円(△5.7%)の減収、セグメント利益は1,013百万円となり、前連結会計年度に比べ68百万円(7.2%)の増益となった。
b 財政状態
(資産の部)
資産合計は216,016百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,899百万円増加した。これは、受取手形・完成工事未収入金等が9,547百万円、のれんが3,213百万円、電子記録債権が3,119百万円増加したことなどによるものである。
(負債の部)
負債合計は86,469百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,261百万円増加した。これは、短期借入金が3,299百万円、電子記録債務が2,639百万円、支払手形・工事未払金等が2,460百万円増加したことなどによるものである。
(純資産の部)
純資産合計は129,546百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,637百万円増加した。これは、親会社株主に帰属する当期純利益6,700百万円の計上による増加及び配当金1,430百万円の支払による減少などによるものである。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末から2.0ポイント減少し、59.9%となった。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が10,175百万円、法人税等の支払額が3,852百万円となったことなどにより、全体では7,930百万円の収入(前連結会計年度は2,648百万円の収入)となった。前連結会計年度に比べ5,282百万円の収入増加となったが、その主な要因は未払消費税等が4,396百万円増加、仕入債務が3,707百万円増加した一方、法人税等の支払額が1,596百万円増加、売上債権が1,397百万円増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、SIGMA ENGINEERING JSCを連結子会社化したことによる連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,462百万円、事業用の土地、建物及び機械装置等の有形固定資産の取得による支出が4,051百万円、グループファイナンスへの預け金の預入による支出(純額)が1,250百万円となったことなどにより、全体では9,808百万円の支出(前連結会計年度は4,621百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ5,187百万円の支出増加となったが、その主な要因は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,176百万円増加、有形固定資産の取得による支出が1,151百万円増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払額が1,429百万円となったことなどにより、全体では1,455百万円の支出(前連結会計年度は3,059百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ1,604百万円の支出減少となったが、その主な要因は連結子会社によるリース資産取得のための長期借入れによる収入が1,700百万円増加したことなどによるものである。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ3,245百万円減少し、残高は37,039百万円となった。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算している。
3 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債(リース債務を除
く。)を対象としている。
4 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動に
よるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用している。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。
また、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそ ぐわない。加えて、設備工事業以外においては受注生産形態をとっていないことから、「受注及び販売の実績」については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載している。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に
その増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b 受注工事高
(注) 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
c 完成工事高
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度
当事業年度
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりで
ある。
前事業年度
当事業年度
d 次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
(注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱
2 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は217,395百万円(個別ベース)と前連結会計年度に比べ27,478百万円(14.5%)の増加となった。これは、屋内配線工事や配電線工事が増加したことなどによるものである。また、売上高は225,317百万円と前連結会計年度に比べ28,224百万円(14.3%)の増収となった。これは、再生可能エネルギー関連工事や配電線工事が増加したことに加え、第2四半期連結会計期間よりSIGMA ENGINEERING JSCの損益を連結したことなどによるものである。
利益面については、売上高の増加に加え、施工体制の見直しなどによる作業効率化及び生産性の向上により、営業利益は9,492百万円となり、前連結会計年度に比べ1,008百万円(11.9%)の増益、経常利益は10,040百万円となり、前連結会計年度に比べ867百万円(9.5%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,700百万円となり、前連結会計年度に比べ937百万円(16.3%)の増益となった。
財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態」に記載しているとおりである。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク及び 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりである。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりである。
また、当社グループの主要な資金需要は、設備工事に要する材料費・外注費等の工事費用、一般管理費やリース事業におけるリース用資産の取得費用などの運転資金のほか、工事用の機械装置や事業用の土地、建物等への設備投資資金などであり、リース事業を営む連結子会社等で銀行借入を行っている以外は、自己資金によりまかなっている。
資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4か月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。
なお、営業活動等によって得られた資金は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、連結配当性向30%を目安に、1株当たり年間配当金24円を下回らない配当を行うことを基本方針として株主の皆さまへ還元していく。
また、中期経営方針において、積極的に事業基盤の強化をはかっていくため、「2024年度までに300億円」の成長投資枠を設定している。具体的には施工能力強化のためのM&Aや、工事受注を目的とした風力発電所への出資など、成長分野への展開加速による企業価値の向上に活用していく。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりである。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しているとおりである。
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