課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、総合エンジニアリング企業への成長を続けるとともに、今後ともエネルギーとシステムを支える企業として、「暮らしのより確かな基盤をつくる」という当社グループの存在目的のもと全力で事業に邁進してまいります。

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(2)経営戦略等

当社グループは、経営環境の変化に適応し、持続的な成長を実現していくために「2021年度中期経営計画」(2021年度~2023年度)を策定し、以下の経営目標達成に向けた諸施策を展開してまいります。

 

[最重点課題]

『基盤事業の強靭化と新事業領域の更なる拡大による企業価値の向上』

 

[重点目標]

① 設備工事を主体とした基盤事業の強靭化

② 新事業領域の更なる拡大と収益力向上

③ 新たな環境価値創造へ寄与する技術力・競争力強化

④ グループ組織力の最大化

⑤ 「キュードの価値観」を基盤とした企業風土の再構築

⑥ 福島復興への継続的貢献

 

Q’d(キュード)は、「どこまでもQuality Oriented」でありたいという考えを表したものです。

Q’dとは、お客さまのために、社会のために、より良い提案をしていきたいと誓い合う言葉でもあります。

 

なお、2021年度の業績並びに2022年度の業績予想を踏まえ、当中期経営計画最終年度となる2023年度の到達目標として次のとおり再設定しております。

 

〇 受注高              900億円程度

〇 売上高              800億円程度

〇 営業利益             35億円程度

〇 経常利益             35億円程度

〇 親会社株主に帰属する当期純利益  25億円程度

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、一連の電力システム改革による競争激化や電力設備投資の抑制、新型コロナウイルス感染症の影響継続による経済活動の停滞、更にはエネルギー資源をはじめとする原材料価格の高騰等を背景としたコスト増要因も加わり、エネルギーインフラ事業に携わる当社グループにとっては引き続き厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

一方で、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする政府方針が示されたことにより、再生可能エネルギーの主力電源化、地域における分散型電源の普及等、カーボンニュートラル社会の実現へ向けた様々な取り組みが加速されるものと予想され、当社がビジネス領域を拡大する好機であるとも考えております。

このような状況の中、当社グループは、中期経営計画(2021年度~2023年度)で最重点課題に掲げている「基盤事業の強靭化と新事業領域の更なる拡大による企業価値の向上」を果たすため、これまでの取り組みを加速させてまいります。

当社は、経営環境の変化を的確に捉え、迅速な対応ができる体制を構築し成長に繋げるため、本年7月、新たに「グリーンエネルギー事業本部」を立ち上げ、再生可能エネルギー関連事業を強化、拡大し、カーボンニュートラルの実現、ひいては環境面・社会面からサステナブルな社会の実現へ向け責任を果たしてまいります。

その一環として、当社の子会社である合同会社境港エネルギーパワーが鳥取県境港市において建設を進めております木質バイオマス発電所につきましては、計画通り本年7月に試運転を開始し、2022年度中に営業運転へ移行すべく着実に工事を進めております。

また、全国各地で計画されているバイオマス発電事業におきましても、これまで当社がお客さまの既設火力発電所や自社所有バイオマス発電所の建設、運転・保守を通して蓄積してまいりました技術力・知見をフルに活用し、一連のバリューチェーン、すなわち資本参加からオーナーズエンジニアリング(建設中管理業務)、建設工事、O&M(運転・保守)、LTSA(長期保守契約)等のあらゆる局面でお客さまの事業ニーズへお応えできるようソリューション提案活動を進めてまいります。

水力発電分野につきましては、昨年9月より、公営水力発電施設として我が国初のコンセッション方式によるPFI事業(民間資金等活用事業)となる鳥取県営水力発電所再整備事業に着手しておりますが、お客さまニーズである発電効率の向上へ確実に寄与するとともに、周辺・河川環境への配慮、地元企業の活用を図るなど、地域との共生を目指して工事を進めております。当社設立以来70余年にわたり積み重ねてきた技術力を活かし、今後の再生可能エネルギー事業の柱のひとつとして更に強化してまいります。

原子力発電分野につきましては、既に当社ホームページにて公表いたしました柏崎刈羽原子力発電所6、7号機における固定式消火設備配管溶接不良に関する事象を重く受け止め、社員一人一人が当社の原点であるQ'd(=Quality Oriented)の精神に立ち返って三現主義(現場、現物、現実)の重要性を再認識し、再発防止対策を徹底した再施工を確実に行うことで、お客さまからの信頼回復へ向け全力を尽くしてまいります。

また、福島第一原子力発電所の廃炉・安定化作業に関しましても、引き続き積極的に取り組み、今後も困難な作業へ全力で関わり続けることで福島復興へ向けた取り組みを継続してまいります。

火力発電分野につきましては、電力の安定供給を支えるベース電源としての信頼性の維持に貢献していくとともに、環境負荷軽減の各種施策(水素、アンモニアの活用やCCS・CCUS(二酸化炭素回収・活用・貯留))の活用等に対しましても当社独自の取り組みを進め、電力の安定供給を支えてまいります。

昨年7月1日付で株式会社日立プラントコンストラクションより火力事業を承継いたしましたが、その優れた技術、優秀な人材、豊富な協力会社体制等のリソースを活用してシナジーを発揮させ、カーボンニュートラル社会実現へ向けた様々な分野で事業展開を図ってまいります。

海外事業分野につきましては、タイ王国内にあるTokyo Enesys (Thailand) Co.,Ltd.の工場において、日本国内メーカーや東南アジアをはじめとする近隣諸国のお客さまからの様々なニーズに応じた製品を供給できる体制が構築でき受注も徐々に拡大しつつあります。今後も社会インフラ構築のニーズが高い同地域において当該工場を拠点として積極的な受注活動を展開してまいります。

今後とも当社グループは、「暮らしのより確かな基盤をつくる」という理念のもと、「工事の安全」と「品質の確保」を最優先に社会インフラ構築事業を強固なものにしていくとともに、これら事業を通じて環境負荷の低減、カーボンニュートラル社会の実現へ貢献し、持続的な成長と企業価値の向上へ取り組んでまいります。

また、全社を挙げて法令、社会規範の遵守、企業倫理の徹底を図るとともに、働き方改革、女性活躍推進、障がい者雇用や外国人技能実習生の受入れ等を精力的に進めることで、社会の課題解決とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

なお、新型コロナウイルスは、今後も社会活動への影響が少なからず残るものと思われますが、お客さまへご迷惑をおかけすることのないよう感染拡大防止策を徹底しBCP(事業継続計画)を実践してまいります。

 

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