当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりである。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部に弱さがみられるものの、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続いている。建設業界においても、堅調な公共投資に加え、民間投資においても、業績が回復している製造業を中心に堅調な投資が続いている。一方で、資源等価格の高騰やサプライチェーンの混乱等の影響が懸念されている。
当社グループは、前期からスタートした中期経営計画2022(2020年度~2022年度)において、①事業拡大と基盤強化、②収益力向上に向けた競争力の強化、③人材の育成強化、④企業風土改革の推進の4つの重点方針を掲げている。これらの方針に基づき、屋内線工事、空調管工事及び通信工事では、中部圏に加えて、首都圏や関西圏における営業活動や、海外事業基盤の強化を図った。電力関連工事においては、業務効率化及びコスト低減に一層努めた。
また、企業の存続にはお客さまや社会からの信頼が不可欠であるため、コンプライアンスと安全意識の徹底に取り組んできた。
当期の業績は、売上高は僅かに増収となったが、利益面については、工事採算性の低下や一般管理費の増加などにより減益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
〔設備工事業〕
設備工事業は、僅かに増収となったものの、工事採算性の低下や一般管理費の増加などにより、売上高203,635百万円(前期比1.1%増)、セグメント利益(営業利益)15,839百万円(前期比9.0%減)となった。
〔エネルギー事業〕
エネルギー事業は、太陽光発電事業の売電収入が増加したことなどにより、売上高11,582百万円(前期比12.6%増)、セグメント利益(営業利益)3,350百万円(前期比6.4%増)となった。
〔その他〕
その他の事業は、売上高8,226百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益(営業利益)547百万円(前期比15.8%減)となった。
当社グループは、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3) 目標とする経営指標」に記載している中期経営計画における2022年度の数値目標を重要な経営指標として位置付けており、当該目標の達成に邁進していく所存である。
当社グループの財政状態については、総資産は301,599百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,632百万円の減少となった。これは、流動資産においては現金預金の減少(17,893百万円)、受取手形・完成工事未収入金等の増加(10,123百万円)など、固定資産においては有形固定資産の減少(1,723百万円)、投資有価証券の増加(4,624百万円)などによるものである。
負債は175,002百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,489百万円の減少となった。これは、流動負債においては短期借入金の減少(7,200百万円)などにより、固定負債においては社債の減少(5,600百万円)などによるものである。
純資産は126,596百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,856百万円の増加となった。これは、利益剰余金の増加(6,012百万円)などによるものである。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して18,432百万円減少し、28,424百万円となった。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(11,994百万円)、減価償却費(8,970百万円)、売上債権の増加(9,788百万円)、仕入債務の増加(4,758百万円)、未払消費税等の減少(4,417百万円)、法人税等の支払(4,880百万円)などにより、5,943百万円の資金増加(前連結会計年度は24,111百万円の資金増加)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社株式の取得による支出(3,086百万円)、有形固定資産の取得による支出(4,974百万円)、有形固定資産の売却による収入(7,357百万円)、権利金等の払戻による収入(4,580百万円)などにより、2,969百万円の資金増加(前連結会計年度は3,716百万円の資金減少)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少(7,200百万円)、社債の償還による支出(5,708百万円)、リース債務の返済による支出(10,992百万円)、配当金の支払(2,426百万円)などにより、27,522百万円の資金減少(前連結会計年度は9,933百万円の資金減少)となった。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、設備工事業における材料費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。また、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、エネルギー事業における太陽光発電事業への投資及び設備工事業における当社事業場の新築によるものである。
運転資金は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入れにより資金調達を実施している。長期資金は、営業活動によって得られた自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、社債発行及びファイナンス・リース等による資金調達を実施しており、多様な調達手段の確保及び返済期日の分散化に努めている。なお、当連結会計年度末における有利子負債(社債、借入金及びリース債務)は、98,978百万円となっている。また、新型コロナウイルス感染症拡大のキャッシュ・フローに対する影響を注視し、追加的な資金需要が生じた場合は必要に応じて資金調達を実施する方針である。
営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金や長期資金に充当するほか、「第4[提出会社の状況]3[配当政策]」に記載のとおり、連結配当性向30%を目処に株主還元することとしている。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5[経理の状況](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであるが、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える重要な見積りは次のとおりである。
当社グループは、設備工事業における工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、期間がごく短い工事契約を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識している。なお、進捗度の見積りは、実施した工事に関して発生した工事原価が、完成までに予想される工事原価総額に占める割合(インプット法)を使用している。決算日における履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、施工部署が作成した実行予算を基礎としており、発注者又は外注業者等との間で行われた協議の結果に関する情報を主要な仮定として織り込んでいるが、経済状況による材料費・外注費の変動や設計変更などに伴いその見積りが変更された場合には、当該連結会計年度においてその影響額を損益として処理することとなる。
当社グループは、将来の工事損失の発生に備えるため、工事損失が確実視される場合に、当連結会計年度末において合理的に見積もることができる工事損失見込額を工事損失引当金として計上している。工事損失引当金の計上にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、工事の進捗遅延による経費の増加、想定外の労務費や資材価格の高騰などにより、追加損失が発生する可能性がある。
当社グループは、固定資産の収益性の低下により、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上している。
固定資産の回収可能価額について、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フローなどの前提条件に変化があった場合、固定資産の減損を実施する可能性がある。
退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定されており、これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれている。当社グループは、この数理計算上で設定された前提条件は適切であると考えているが、実績との差異または前提条件自体の変更により、退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性がある。
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上している。貸倒引当金の計上にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、債権に影響を与える予測不能な状況の変化などにより、追加引当が必要となる可能性がある。
当社グループは、繰延税金資産の計上に際して、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性を検討しており、回収が不確実と考えられる部分については、評価性引当額として繰延税金資産を計上していない。繰延税金資産の回収可能性の検討にあたっては、期末時点で入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っているが、経済環境の変化や収益性の低下などにより将来の課税所得が見込みを下回る場合、繰延税金資産を減額する可能性がある。
受注及び売上の状況は、次のとおりである。
(注) 1 当社グループ(当社及び連結子会社)では設備工事業以外は受注生産を行っていない。
2 当社グループ(当社及び連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先の売上高及びその割合
※中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
4 上記の金額は、セグメント間の取引について相殺消去後の数値である。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事受注方法は、特命、競争及び中部電力パワーグリッド㈱との配電関係工事請負契約に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
※中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
(注) 1 前事業年度の完成工事のうち主なもの
当事業年度の完成工事のうち主なもの
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先の完成工事高、兼業事業売上高及びその割合
※中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
※中部電力グループ:中部電力㈱、中部電力パワーグリッド㈱、中部電力ミライズ㈱
(注) 次期繰越工事のうち主なもの
(注) 当事業年度における商品販売先は同業者79.2%、その他20.8%となっている。
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