当社グループにおける経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 経営の基本方針
当社グループは、「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する。」を経営理念としています。
「世界をすみよくする」ことをMission(私たちの使命)、「誠意をもってことにあたれば、必ず途(みち)は拓(ひら)ける」をValues(共通の価値観)とし、結束したグローバル企業集団へと進化することで「唯一無二の価値を提供する会社」をVision(なりたい姿)として掲げています。
② 目標とする経営指標
当社グループは、中長期の視点から以下のとおり目標とする経営指標を定めています。
2024年6月期(中期目標):
売上収益1,550億円、営業利益115億円、営業利益率7%、ROE9 %
2030年6月期(長期目標):
売上収益2,500億円、営業利益250億円、営業利益率10%、ROE15%
③ 経営戦略
当社グループは、コンセプトを「共創。限界なき未来に挑む」とする長期経営戦略「NKG グローバル戦略2030」を2021年6月に発表しました。社内および社外の多様なパートナーとの「共創」を通じ、知の探究と技術の革新・統合により新たな価値を提供し、人々が豊かさを実感できる社会の実現に貢献する企業グループを目指します。
また「NKG グローバル戦略2030」のもと、2021年7月から2024年6月までをグループ強靭化に取り組む変革期と位置づけ、中期経営計画「Building Resilience 2024」を策定し、推進しています。基本方針は、「3つの強靭化策(3つのドメインによる事業推進、事業と地域のマトリクス経営、技術と人財の質の向上)により、サステナブルな未来の共創に向けた基礎固めをする」とし、100年企業の礎を築くべく取り組みます。
併せて、社会課題に対する取組みとして以下の7つのマテリアリティを設定しました。このうち、事業活動に関わるマテリアリティは、世界が抱える課題に対し、当社グループが自らの強みを活かして優先的に取り組む重要課題であり、これによって持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指します。
日本工営グループの7つのマテリアリティ(優先的に取り組む課題)
≪事業活動≫
1) 安心して暮らせるインフラの整備
2) すべての人が自由に交流し活躍できる社会基盤整備
3) 多様な人・産業が集積する魅力ある都市づくり
4) 脱炭素社会の実現による地球環境の保全
≪経営基盤≫
5) ガバナンスの強化
6) 人権が尊重され、働きがいのある職場環境
7) 人財育成と技術開発
当社グループを取り巻く経営環境は、早急な対応が求められる気候変動問題や格差問題を含む世界的課題に直面する一方、ロシアによるウクライナ侵攻を契機とする世界的なインフレや円安等、国際情勢において不確実性のリスクが高まっており、予断を許さない状況であると認識しています。コンサルティング事業では、国内市場は引き続き国土強靭化や地方創生に向けた公共事業予算が確保され、特に防災・減災分野における市場拡大が見込まれます。海外市場は日本政府による「インフラシステム海外展開戦略2025」を軸に予算強化が図られていますが、新型コロナウイルスの影響による一部案件形成の遅れやインフレや円安に伴う事業の見直し等、厳しい事業運営となる見込みです。都市空間事業では、国内および欧米諸国においてESG投資を呼び込むサステナブルな都市構造の再構築のニーズが高まる一方、開発途上国においては交通関連施設や周辺基盤の整備を含む都市開発事業のニーズが旺盛です。エネルギー事業では、国内における老朽化した既設設備の更新需要に加えて、2050年カーボンニュートラル目標に向けた新たな事業機会と競争が生まれる見込みです。また、再生可能エネルギーへのシフトという流れは変わらないものの、世界的なエネルギーコストの上昇による政策変更に対しても機敏に対応する必要があります。
こうした市場環境のもと、前記のとおり、当社は中期経営計画「Building Resilience 2024」(2021年7月から2024年6月まで)に基づく3つの強靭化策を実行しています。
1つ目の強靭化策としては、これまでの5事業を3つのドメイン(コンサルティング、都市空間、エネルギー)に再編し、事業軸を強化します。2つ目の強靭化策では、純粋持株会社体制への移行と地域統括体制の整備によるマトリクス経営(各事業が地域ごとに相互に連携を図る経営)の実現を目指します。3つ目の強靭化策としては、「NKGブランド」と「NKGクオリティ」の確立に向け、技術開発および人財育成を強化します。また、そのための基盤として「Well-being経営」を推進しています。
各強靭化策、マテリアリティおよび2023年6月期の主要重点施策は以下のとおりです。
前記のとおり、中期経営計画「Building Resilience 2024」の2期目となる2023年6月期については、コンサルティング事業においては、AI・ビッグデータ解析、デジタルツイン技術、衛星情報サービスといった新技術活用と品質・安全の確保を図るとともに、流域治水、気候変動、SDGs、再生可能エネルギー、マルチハザードといった分野横断的な共創事業を推進します。都市空間事業においては、当社都市空間事業と当社グループの玉野総合コンサルタント株式会社の統合によって発足(2022年7月1日付)した日本工営都市空間株式会社を中心に国内外の都市基盤形成市場への参入拡大を目指すとともに、英国・北米市場の事業拡大やグループ内協業によるアジア市場での事業基盤形成に取り組みます。エネルギー事業においては、既存エネルギー関連のコンサルティング・エンジニアリング事業の体制強化、蓄電池やアグリゲーションといったエネルギーマネジメント事業の基盤構築、主力製品強化と新製品開発による製造事業の安定化に取り組みます。
これらの取組みを推進することで、2023年6月期の業績予想は、売上収益1,450億円(前期比111.0%)、営業利益113億円(前期比124.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益67億円(前期比101.8%)としています。
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