本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2022年3月末現在において判断したものである。
当社グループは、「快適な環境づくりを通して社会に貢献します。」「技術力で未来に挑戦し、新しい価値を創造します。」「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業を目指します。」を企業理念の柱に掲げ、電気、空気調和、冷暖房、給排水、情報通信などの設計・施工を営む総合設備業として、社会的使命を果たすと同時に、お客さまや地域社会とともに発展し続ける企業であることを経営の基本としている。
また、これらの事業に関連する環境、エネルギー効率化、リニューアルなどの分野についても、一層の技術開発の促進と品質の向上に努め、お客さまの信頼と期待に応えると同時に、新規分野・新規市場への積極的な事業展開を図ることで、社会構造の変化に適宜適切に対応しながら、企業価値の向上をめざしている。
当社グループでは、企業理念を柱として、将来のメガトレンドを視野に、創立100周年(2044年)にかけて想定される社会環境の中で、当社のビジネス機会や展開にも注視しながら長期ビジョンを策定し、持続可能な社会づくりに向けて私たちが果たす役割〈3つの貢献〉やビジョン実現に向けた基本姿勢を具体的に定めている。
この「長期ビジョン」を九電工“イズム”として浸透させ、継承しつつ、時代の進化や当社グループを取り巻く環境の変化に応じて、その内容をブラッシュアップさせていく予定である。
〔中期経営計画2020-2024〕
当社グループは、前中期経営計画の成果を検証、分析し、継続して取り組むべき課題を整理したうえで、企業理念に基づいた長期的な戦略の過程で2024年度までに達成すべき目標として本中期経営計画を策定している。
本中期経営計画では、「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立~3つの改革の実現~」をメインテーマに掲げ、前中期経営計画で得られた成果と反省を踏まえ、当社グループが新たな成長を遂げるためには、これを支える基盤づくりが最重要であるとの認識に立ち、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、たとえ景気後退局面に陥ったとしても熾烈な競争を勝ち抜くことができる「強靭で筋肉質な企業体質」づくりに全力を傾注する。
具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の「3つの改革」を実現し、本中期経営計画最終年度、その後の創立100周年(2044年)での飛躍的な成長・発展を目指す。
なお、新型コロナウイルス感染症については、今後徐々に収束に向かうものと期待しているが、本中期経営計画においては、最終年度の目標数値を含め、その影響を反映していない。目標達成に向け注力していくが、今後必要に応じ計画の見直しを行う可能性がある。
当社グループの新型コロナウイルス感染症に関する見通しについては、今後も感染対策の実施などに伴う一定程度の事業活動の抑制が予見されるものの、現下の状況をアフターコロナのニューノーマルとして受け止め、受注活動や価格競争あるいは施工遅延などに対する影響を想定し、対処していく必要があると認識している。
一方で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けた経済制裁等の影響により、エネルギーや食糧をはじめとしたさまざまな財・サービスの価格が上昇しており、当社グループでも、資材価格の値上がりや納期の遅延が顕在化している。また、受注競争の激化や工事の大型化が進んでおり、今後の採算性への影響を懸念している。
このような環境認識を踏まえ、当社グループでは、中期経営計画3年目となる2022年度のテーマを「環境変化に適合した業務改革の実践」と定め、当社グループが目指す社会課題の解決や中期経営計画における重点課題の解決に向け、着実な取り組みを実践していく。
当社グループは、「アフターコロナのニューノーマル」「カーボンニュートラル」「環境経営」及び「天神ビッグバンをはじめとした大型都市開発」「半導体関連工事」「ウクライナ情勢」などを2022年度における環境変化と捉え、これらに適合した「業務改革」を、「新たな発想・価値観による課題への挑戦」として実行していく。
具体的には、「DXの活用・業務フローの簡素化による生産性の向上」や「ダイバーシティによる企業価値向上」「働き方改革による、魅力ある職場環境の構築」に取り組んでいく。
当社グループの事業規模の維持・拡大には、天神ビッグバンや都市圏再開発、半導体関連など大型プロジェクト案件の受注が必要不可欠だが、足元では材料費や人件費の高騰が進行している。この局面を乗り越えるためには、目標案件を確実に受注し、その工事進捗をしっかりと管理し、利益を確保することが最も重要である。
そこで当社グループでは、「業務改革の実践による生産性の向上」と「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」の2項目を2022年度の最重要取り組みとして掲げ、全力を傾注していく。具体的には、徹底した業務プロセスの見直しをはじめ、全社・全部門の最適稼働など抜本的な働き方改革を推進することに加え、全社横断を可能とする要員体制づくりを強化することで施工戦力の有効活用を図るとともに、物価高騰を反映した価格交渉を進めていく。
また、最重要取り組み事項以外の中期経営計画の重点課題については、今回「新たな取り組み課題」として「環境経営の推進」を加え、環境経営やCSV経営を経営戦略に取り入れつつ、かつてない速度で変化する環境へ適応していく。
「環境経営の推進」については、次のとおりサステナビリティについての取り組みを強化していく。
当社グループの経営上の目標を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、経常利益、経常利益率、投下資本利益率(ROIC)であり、2024年度の目標値は、売上高5,000億円、経常利益500億円、経常利益率10.0%以上、ROIC10.0%以上である。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではない。
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