当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスが繰り返し変異しており、感染症ワクチンの接種は進んでいるものの、今後の先行きは依然として不透明な状況にあります。
建設業界においては、公共投資は関連予算の執行により底堅く推移することが見込まれるものの、民間設備投資は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として慎重な動きが続いています。また、技能労働者の高齢化による生産能力への影響、生産システム改革の遅れが長期化してきており、当社グループを取り巻く経営環境の先行きは依然として楽観できない状況にあります。
このような経営環境のもと、当社グループは総力をあげて当社グループの独自の技術・商品を活用したビジネスモデルにより市場に寄り添った営業活動、デジタル技術を活用した生産システムの改革等、業態変革を図ってきました。この結果、当連結会計年度の受注工事高は前連結会計年度比10.5%減の400億2千2百万円、完成工事高は前連結会計年度比4.1%増の455億7千6百万円、翌連結会計年度への繰越工事高は前連結会計年度末比17.8%減の256億6千4百万円となりました。
利益面では、営業利益は前連結会計年度比19.3%増の36億7千7百万円、経常利益は前連結会計年度比15.7%増の38億9千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比20.5%増の27億5千7百万円となりました。
(注)1 当社グループは、建設工事業単一セグメントです。
2 金額に消費税等は含まれていません。
経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、建設市場の動向、建設コストの変動等による経営環境の変化があります。当連結会計年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を除いて、概ね良好に推移しました。
今後については、短期的には、新型コロナウイルス感染症の拡大がワクチン接種等の開始により抑制され、経済活動の回復が期待されるものの、産業構造の変革により市場原理が進むことで、先行き不透明な状況で推移すると予想されます。
また、中長期的には、国内建設需要の減少に伴う競争環境の激化、技能労働者の高齢化や現場労働者の減少等が見込まれることから、新たな建設市場構築に向けた脱請負業、リニューアルやリノベーション分野への経営資源の戦略的投入、働き方改革による将来の担い手確保及び技術開発等による生産性向上が重要な課題であると考えています。
なお、当社グループの建設工事業における工事別の受注工事高及び完成工事高の内訳は次のとおりです。
受注工事高
(注) 金額に消費税等は含まれていません。
完成工事高
(注) 金額に消費税等は含まれていません。
当連結会計年度末の総資産残高は、前連結会計年度末比3.1%増の457億9千1百万円となりました。その内容は以下のとおりです。
流動資産は、前連結会計年度末比2.3%増の271億4千7百万円となりました。これは、主として売上債権の回収によって現金預金が増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末比4.3%増の186億4千3百万円となりました。これは、主としてのれんが増加したことによります。
ロ 負債
流動負債は、前連結会計年度末比4.0%減の109億7千7百万円となりました。これは、主として工事未払金が減少したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末比7.3%増の14億4千4百万円となりました。これは、主として新規に株式会社スズデンを連結したことに伴い、長期借入金(㈱東邦銀行2億9千2百万円・㈱きらやか銀行4億円)が増加したことによります。なお、当該借入金については、2022年5月末までに一括繰上返済等を実施し完済しています。
純資産は、前連結会計年度末比5.5%増の333億6千9百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益を計上した結果、利益剰余金が増加したことによります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、28億9千5百万円の増加(前連結会計年度比25億3千万円の減少)となりました。これは、主として仕入債務の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億7千9百万円の減少(前連結会計年度比9億1千8百万円の減少)となりました。これは、主として連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億1百万円の減少(前連結会計年度比1億3百万円の減少)となりました。これは、主として自己株式の取得による支出の減少によるものです。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比18億1千4百万円増加の87億8千8百万円となりました。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業である建設工事業では、生産実績を定義することが困難です。また、請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び完成工事の状況については「(1)経営成績の状況」に記載しています。
なお、参考のため、提出会社の建設工事業における工事別の状況は次のとおりです。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでいます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
3 金額に消費税等は含まれていません。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1 第76期の完成工事のうち請負金額7億円以上の主なもの
2 第77期の完成工事のうち請負金額6億円以上の主なもの
3 第76期・第77期ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はいません。
4 金額に消費税等は含まれていません。
(d) 次期繰越工事高(2022年3月20日現在)
(注) 1 次期繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
2 金額に消費税等は含まれていません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、連結財務諸表を作成しています。連結財務諸表に計上される一部の項目は正確に測定できず、見積りが必要となります。工事進行基準適用工事については、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識しています。工事契約は基本的な仕様や作業内容が顧客の指図に基づいて行われるなど、契約内容の個別性が強いことや、工事の進行途上において当初は想定していないような事情の変化などにより、工事契約の変更が行われる場合があります。そのため、工事原価総額の見直しを行うにあたっては、これらに関する情報の収集及び反映を適時・適切に行うことによって、見積りの修正が工事契約の進捗に応じて適切に行われることが必要となります。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っています。
② 財政状態の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態の状況」に記載のとおりです。
③ 経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動により得られた資金により賄っています。当社グループの主な資金需要は、資機材の調達、外注費の支払、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮しても、現時点で予測可能な将来の資金需要に対して不足が生じる懸念は少ないと判断しています。
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