当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは2020年度からの中期経営計画を推し進め、事業領域の拡大に向け、昨年8月にEPC(Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設))案件受注に向けたエンジニアリング専門の子会社を設立、同年11月にはカーボンネガティブを目指し自社発電所において排出した二酸化炭素の一部を二酸化炭素回収装置により回収し、構内に設置する農業ハウスに利用する循環型システム導入を決定するなど、新たなビジネスモデルに挑戦しております。さらに、工事会社として最重要な安全・品質の向上と法令遵守に主眼を置いた新規プロジェクトを起ち上げ、全国の拠点を指導強化することで、全社的に従業員の意識改革やスキルアップに取り組んでまいりました。また、電力の安定供給に寄与すべく、継続的な新技術・新工法の開発により、安全・品質・工程の確保、コスト削減に取り組み、企業価値の向上を図ってまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績につきましては、受注高120,844百万円(前年同期比3.1%減)、売上高126,908百万円(前年同期比0.7%減)、うち海外工事は6,153百万円(前年同期比3.0%減)となりました。
利益面につきましては、営業利益10,457百万円(前年同期比41.3%増)、経常利益13,125百万円(前年同期比57.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,406百万円(前年同期比49.7%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」の「注記事項」(会計方針の変更)に記載しております。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
受注高は、事業用火力発電設備工事が減少したことにより、部門全体として減少し、43,881百万円(前年同期比27.4%減、構成比36.3%)となりました。
売上高は、自家用火力発電設備工事が増加したものの、事業用火力発電設備工事が減少したことにより、部門全体として減少し、53,294百万円(前年同期比7.3%減、構成比42.0%)となり、セグメント利益は1,910百万円(前年同期比25.2%減)となりました。
減益要因は、主に事業用火力発電設備工事の落ち込みによるものと認識しております。
(補修工事部門)
受注高は、自家用火力発電設備工事が減少したものの、事業用火力発電設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、76,962百万円(前年同期比19.6%増、構成比63.7%)となりました。
売上高は、製鉄関連設備工事が減少したものの、事業用火力発電設備工事および自家用火力発電設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、73,613百万円(前年同期比4.8%増、構成比58.0%)となり、セグメント利益は11,781百万円(前年同期比43.3%増)となりました。
増益要因は、主に原子力発電設備工事の利益率向上によるものと認識しております。
(2) 財政状態
流動資産は、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産が8,666百万円増加したものの、現金預金が11,499百万円および未成工事支出金が4,879百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて4,877百万円減少し89,631百万円となりました。
固定資産は、賃貸不動産が5,904百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて7,859百万円増加し42,107百万円となりました。
流動負債は、契約負債が1,920百万円増加したものの、1年内償還予定の社債が4,400百万円およびその他流動負債が2,923百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて6,611百万円減少し33,875百万円となりました。
固定負債は、長期借入金が2,364百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて2,283百万円増加し17,439百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が6,831百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて7,310百万円増加し80,423百万円となりました。
なお、セグメント資産については、事業セグメントに配分された資産がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は19,397百万円となり、前連結会計年度末より11,543百万円減少しました。なお、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは613百万円の収入(前連結会計年度は19,576百万円の収入)となりました。これは、売上債権及び契約資産の増加6,321百万円および法人税等の支払額3,373百万円があったものの、未成工事支出金等の減少4,935百万円があったことによるものです。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは8,679百万円の支出(前連結会計年度は2,011百万円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出8,331百万円があったことによるものです。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは3,848百万円の支出(前連結会計年度は3,927百万円の支出)となりました。これは、主に社債の償還による支出4,400百万円があったことによるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金の配分方針については、安定的な経営に必要となる適正な手許現金および現金同等物を確保し、それを超える部分については、成長投資、株主還元等への原資としており、企業価値向上に資する資金の配分に努めております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事施工のための外注費用および人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。運転資金に対しては原則、自己資金により賄っており、不足が生じた際はコミットメントライン契約に基づく借入、社債、および長期借入金により調達することとしております。
また、西風新都バイオマス発電所の建設費用等、設備投資資金需要に対しては自己資金および長期借入金により調達することとしております。なお、西風新都バイオマス発電所建設費用の資金調達においては、取引銀行2行とコミット型シンジケートローン契約を締結し、融資限度額である50億円の借入を実行し、現在返済中であります。
また、当社グループでは、資金の短期流動性を確保するため、シンジケート銀行団と130億円のコミットメントライン契約を締結し流動性リスクに備えております。
成長投資については、2021年度の設備投資額は8,131百万円となりました。設備投資の詳細につきましては、第3「設備の状況」をご参照ください。2022年度につきましては、中期経営計画で示した方針に則り情勢を鑑みながら適切な投資を実行してまいります。
株主還元につきましては、第4「提出会社の状況」3「配当政策」をご参照ください。
(4)生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業では生産実績を定義することが困難であり、建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわないので、受注高および売上高で表示しております。
受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
売上実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高およびその割合は次のとおりであります。
なお、提出会社にかかる施工高、受注高および売上高の状況が当社グループの施工高、受注高および売上高の大半を占めていますので、参考のために提出会社個別の事業の状況を示せば次のとおりであります。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に増減のあったものについては当期受注工事高にその増減が含まれております。したがって当期売上高にもかかる増減が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度0.8%、当事業年度8.0%であります。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 海外工事の地域別売上高割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高およびその割合は次のとおりであります。
④ 手持工事高
2022年3月31日現在
(注) 手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断および見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連 結財務諸表」の「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、以下 に掲げる項目は、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えておりますので、特に記述いたします。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響や収束時期等を含む仮定に関する情報は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表」の「追加情報」に記載しております。
(一定の期間にわたり充足される履行義務による完成工事高及び工事損失引当金の計上方法)
当社グループは、 一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積原価総額に対する発生原価の割合(インプット法)によっております。工事進捗度を算出するにあたり採用した工事原価総額は、工事の進捗等により変更が必要となることがあるため、適時見積りの見直しを行っております。また将来の発生が見込まれる、一定の要件を満たす特定の費用または損失については工事損失引当金を計上しております。
なお、当該見積りは当連結会計年度末時点において合理的に認識できる施工仕様等を加味した最善の見積りであるものの、将来の施工環境の変化や契約リスクの顕在化などにより大幅な変更が必要となった場合、翌年度の業績および財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
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