業績

3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)に記載のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態および経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日、以下、当期)のわが国経済は、全般的に景気は持ち直しの動きが続いておりますが、依然として先行きが不透明な状況にあり、業種ごとに強弱が見られました。新型コロナウイルス感染症については様々な感染防止策が講じられ、ワクチン接種が促進される一方で、新たな変異株が広がるなど、未だその動向が国内外経済に大きく影響を与え続けております。加えて、半導体や各種部材不足がサプライチェーンに与える影響が高まるとともに、ロシア・ウクライナ情勢の悪化などにより世界情勢の不透明感も増しております。

 このような経済環境下、当社の事業領域においては、全般として投資意欲は堅調なものの、足元では、半導体や各種部材不足による製品調達の遅れなどの影響が一部に見られました。

 企業においては、テレワークなどの新型コロナウイルス感染症対策を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用した新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、5Gを見据えたマイグレーションや通信品質の改善に向けた設備投資が堅調に推移するなど、5G関連投資が動きはじめました。官庁・自治体、公益関連においては、昨年度に集中したGIGAスクール構想の実現に向けた大きな投資が一巡したものの、道路、空港など運輸・交通分野の投資回復や、消防・防災や映像・CATV分野などの都市基盤高度化に向けたシステム投資は継続し、官庁・自治体における働き方改革への動きも顕在化いたしました。海外においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための規制や取り組み、また一部地域における政治情勢の変化などから投資計画、プロジェクトの延期や停滞など先行きの不透明さが継続しております。

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、前期に大きく業績に貢献したGIGAスクール関連特需の反動による影響が残るなか、半導体や各種部材の不足によりシステム構築や施工等に必要な製品、部材の調達が滞ったことで、売上計上の時期が遅れるなどの影響を受けたことに加え、ミャンマーにおける、政情の不安定化により、工事施工の遅れや資材の調達コストが上昇するなどの影響が生じました。その一方で、継続的な事業成長を実現すべく、DX技術を活用した働き方改革分野や、5Gに向けた通信事業者向けインフラ整備などの注力事業領域を中心に積極的な取り組みを進めてまいりました。

 また、当社は、2019年5月に策定した中期経営計画「Beyond Borders 2021」のもと、当社グループの強みを活かし、パートナー企業と共に新しい社会価値を生み出す「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」を目指し、社会課題の解決、技術変革の波を事業拡大のチャンスと捉え、「デジタル×5G」時代に向けて、新しい事業モデルへのシフト、新事業創出に注力してまいりました。

 デジタル領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業において、時代の先を見据えたイノベーションを生む働き方を自ら実践し、その成果を踏まえて様々な働き方改革ソリューションをお客様に提供すべく、DX技術の積極的な活用に取り組んでおります。2019年10月からは本社オフィススペースを削減し、テレワークとサテライトオフィスを活用した分散型ワークを自社実践し、その仕組みや自社実践から得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、企業向けのみならず、官庁・自治体における働き方改革ニーズへの対応を強化いたしました。また、パートナーとの共創のもと、さらに効率的で創造性の高いニューノーマルな働き方を実現する様々なソリューションの開発を加速しており、オフィスでの「リアルな」働き方とリモートやオンラインでの「バーチャルな」働き方の双方の利点を発揮できるハイブリッドワークの実証実験も開始いたしました。なお、これらの取り組みが、全社でDXを推進する企業としての評価を受け、経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に選定されました。

 5G領域につきましては、通信事業者の戦略的パートナーとして連携強化を進めました。また、2020年11月に人材育成および新技術の評価・検証、新サービス創出の場として開設した「基盤技術開発センター」において新たにローカル5G実験試験局の本免許を取得するとともに、同施設をも活用し、ローカル5Gを取り入れた「働き方改革」や楽しく豊かな「まちづくり」を実現するサービス創出を強化するため、商用化に向けた実証実験を加速いたしました。加えて、5G技術に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を図るなど、今後の5G関連投資本格化に備えた体制をより一層強化いたしました。今後も、5G領域における基地局、コアネットワークなどのインフラ構築から、企業向けデジタルサービスまで手掛ける当社の強みを活かした事業展開を加速させてまいります。

 

  これらの結果、当期における連結業績は、

売上高               3,103億34百万円(前期比  8.5%減少)

営業利益               231億81百万円(前期比  9.3%減少)

経常利益               235億50百万円(前期比  7.6%減少)

親会社株主に帰属する当期純利益    150億21百万円(前期比  4.6%減少)

      <参考>

受注高               3,367億59百万円(前期比  0.0%減少)

となりました。

 

 売上高は、前期比8.5%の減少の3,103億34百万円となりました。これは前年に大きく貢献したGIGAスクールやメガソーラープロジェクト関連の売上の減少に加え、半導体や各種部材不足に起因した製品調達の遅れなどが影響したことによるものでありますが、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※2)サービスや、通信事業者向けインフラ整備などの注力領域の売上高は増加となりました。なお、受注高は、DX/働き方改革関連分野や通信事業者向けの拡大に加え、前期に投資が停滞していた運輸・交通分野などにおいて積極的に対応したことにより、GIGAスクール案件の受注減による大きな反動をカバーし、前年並みの3,367億59百万円とすることができました。

 利益面では、半導体や各種部材不足の影響や、ミャンマーの政情不安に伴う一部プロジェクトの停滞による損失計上を行ったことなどで、営業利益が前期比9.3%減少の231億81百万円、経常利益は7.6%減少の235億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、4.6%減少の150億21百万円となりました。一方で、今後の成長に向けた新事業創出に関わるリソースの強化を行いつつ、ハードウェア製品を軸としたシステムインテグレーションから、DX技術を活用した、より付加価値の高いソリューションサービスの提供へと事業モデルの転換を進め、また、同時にリソース効率の向上、プロジェクト管理強化といったコスト改善施策の徹底を行うなど、高付加価値化、効率化の両面で、事業力の強化は引き続き進展いたしました。

 なお、当期は、2019年に発表した中期経営計画の最終年度となりますが、目標値については、売上高(2022年3月期3,100億円)、営業利益(同200億円)、営業利益率(同6.5%)に加え、ROE(同10%以上)とすべての指標で上回ることができました。

 

セグメント情報につきましては次のとおりであります。

 

 デジタルソリューション事業

 注力領域であるDX技術を活用した働き方改革に関連したICTサービスは拡大いたしましたが、連結子会社におけるGIGAスクール関連売上が減少したことに加え、前年第1四半期まで連結されていたグループ会社を非連結化した影響などにより、売上高は前期比12.4%減少の1,103億44百万円となりました。

 

 ネットワークインフラ事業

 半導体や各種部材不足による製品調達遅れの影響を受けましたが、通信事業者向けが大きく増加したことに加えて、社会公共インフラ分野も拡大し、売上高は前期比8.1%増加の964億26百万円となりました。

 

 エンジニアリング&サポートサービス事業

 運輸・交通分野などは拡大いたしましたが、メガソーラープロジェクトやGIGAスクール関連売上が減少したことに加えて、半導体や各種部材不足による製品調達遅れの影響により、売上高は前期比14.0%減少の981億16百万円となりました。

 

 

<セグメントの概要>

セグメント

主な事業内容

デジタルソリューション事業

主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー

ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、

最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー

ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供

ネットワークインフラ事業

主に通信事業者や官庁・自治体、社会インフラを提供する事業者向けを

中心に、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関する

システムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機

器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供

エンジニアリング&サポート
サービス事業

主に国内・海外における施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用・監視ならびに全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供

その他

主に情報通信機器等の仕入販売

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ113億5百万円増加し、797億32百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、226億74百万円となりました。これは主に、売上債権の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前期と比べると52億91百万円の資金の増加となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、71億62百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得などによるもので、前期と比べると28億73百万円の資金の減少となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、155億11百万円の資金の増加となりました。前期と比べると24億18百万円の資金の増加となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、42億67百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前期と比べると18億79百万円の資金の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前期末の1株当たり配当金を21円、中間の1株当たり配当金を19円にしたことにより、前期と比べると17億86百万円増加し、59億49百万円の支払となっております。

 

③生産、受注および販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

デジタルソリューション事業

121,729

△5.1

ネットワークインフラ事業

100,889

5.8

エンジニアリング&サポートサービス事業

109,927

6.0

その他

4,213

△55.7

合計

336,759

△0.0

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

デジタルソリューション事業

110,344

△12.4

ネットワークインフラ事業

96,426

8.1

エンジニアリング&サポートサービス事業

98,116

△14.0

その他

5,446

△44.6

合計

310,334

△8.5

(注)主な相手先の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本電気㈱

69,630

20.5

67,925

21.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 概要

 当期のわが国経済は、全般的に景気は持ち直しの動きが続いておりますが、依然として先行きが不透明な状況にあり、業種ごとに強弱が見られました。新型コロナウイルス感染症については様々な感染防止策が講じられ、ワクチン接種が促進される一方で、新たな変異株が広がるなど、未だその動向が国内外経済に大きく影響を与え続けております。加えて、半導体や各種部材不足がサプライチェーンに与える影響が高まるとともに、ロシア・ウクライナ情勢の悪化などにより世界情勢の不透明感も増しております。

 このような経済環境下、当社の事業領域においては、全般として投資意欲は堅調なものの、足元では、半導体や各種部材不足による製品調達の遅れなどの影響が一部に見られました。

 企業においては、テレワークなどの新型コロナウイルス感染症対策を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用した新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、5Gを見据えたマイグレーションや通信品質の改善に向けた設備投資が堅調に推移するなど、5G関連投資が動きはじめました。官庁・自治体、公益関連においては、昨年度に集中したGIGAスクール構想の実現に向けた大きな投資が一巡したものの、道路、空港など運輸・交通分野の投資回復や、消防・防災や映像・CATV分野などの都市基盤高度化に向けたシステム投資は継続し、官庁・自治体における働き方改革への動きも顕在化いたしました。海外においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための規制や取り組み、また一部地域における政治情勢の変化などから投資計画、プロジェクトの延期や停滞など先行きの不透明さが継続しております。

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、前期に大きく業績に貢献したGIGAスクール関連特需の反動による影響が残るなか、半導体や各種部材の不足によりシステム構築や施工等に必要な製品、部材の調達が滞ったことで、売上計上の時期が遅れるなどの影響を受けたことに加え、ミャンマーにおける、政情の不安定化により、工事施工の遅れや資材の調達コストが上昇するなどの影響が生じました。その一方で、継続的な事業成長を実現すべく、DX技術を活用した働き方改革分野や、5Gに向けた通信事業者向けインフラ整備などの注力事業領域を中心に積極的な取り組みを進めてまいりました。

 また、当社は、2019年5月に策定した中期経営計画「Beyond Borders 2021」のもと、当社グループの強みを活かし、パートナー企業と共に新しい社会価値を生み出す「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」を目指し、社会課題の解決、技術変革の波を事業拡大のチャンスと捉え、「デジタル×5G」時代に向けて、新しい事業モデルへのシフト、新事業創出に注力してまいりました。

 デジタル領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業において、時代の先を見据えたイノベーションを生む働き方を自ら実践し、その成果を踏まえて様々な働き方改革ソリューションをお客様に提供すべく、DX技術の積極的な活用に取り組んでおります。2019年10月からは本社オフィススペースを削減し、テレワークとサテライトオフィスを活用した分散型ワークを自社実践し、その仕組みや自社実践から得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、企業向けのみならず、官庁・自治体における働き方改革ニーズへの対応を強化いたしました。また、パートナーとの共創のもと、さらに効率的で創造性の高いニューノーマルな働き方を実現する様々なソリューションの開発を加速しており、オフィスでの「リアルな」働き方とリモートやオンラインでの「バーチャルな」働き方の双方の利点を発揮できるハイブリッドワークの実証実験も開始いたしました。なお、これらの取り組みが、全社でDXを推進する企業としての評価を受け、経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に選定されました。

 5G領域につきましては、通信事業者の戦略的パートナーとして連携強化を進めてまいりました。また、2020年11月に人材育成および新技術の評価・検証、新サービス創出の場として開設した「基盤技術開発センター」において新たにローカル5G実験試験局の本免許を取得するとともに、同施設をも活用し、ローカル5Gを取り入れた「働き方改革」や楽しく豊かな「まちづくり」を実現するサービス創出を強化するため、商用化に向けた実証実験を加速いたしました。加えて、5G技術に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を図るなど、今後の5G関連投資本格化に備えた体制をより一層強化いたしました。今後も、5G領域における基地局、コアネットワークなどのインフラ構築から、企業向けデジタルサービスまで手掛ける当社の強みを活かした事業展開を加速させてまいります。

 

 

 

b. 売上高

 売上高は、前述の取り組みの結果、3,103億34百万円(前期比8.5%の減少)となりました。

 デジタルソリューション事業の売上高は、注力領域であるDX技術を活用した働き方改革に関連したICTサービスは拡大いたしましたが、連結子会社におけるGIGAスクール関連売上が減少したことに加え、前年第1四半期まで連結されていたグループ会社を非連結化した影響などにより、1,103億44百万円(前期比12.4%減少)となりました。

 ネットワークインフラ事業の売上高は、半導体や各種部材不足による製品調達遅れの影響を受けましたが、通信事業者向けが大きく増加したことに加えて、社会公共インフラ分野も拡大し、964億26百万円(前期比8.1%増加)となりました。

 エンジニアリング&サポートサービス事業の売上高は、運輸・交通分野などは拡大いたしましたが、メガソーラープロジェクトやGIGAスクール関連売上が減少したことに加えて、半導体や各種部材不足による製品調達遅れの影響により、981億16百万円(前期比14.0%減少)となりました。

 

c. 売上総利益

 売上総利益は、ミャンマーの政情不安に伴う一部プロジェクトの停滞による損失計上を行ったことなどで、634億73百万円(前期比0.7%減少)となり、売上総利益率は20.5%となりました。

 

d. 販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は、前期比19億26百万円増加の402億92百万円となりました。

 この結果、売上高の減少などにより、営業利益は231億81百万円(前期比9.3%減少)となりました。

 

e. 営業外損益、経常利益

 営業外損益は、前期比4億39百万円改善の3億69百万円の益(純額)となりました。

 この結果、営業利益の減少などにより、経常利益は235億50百万円(前期比7.6%減少)となりました。

 

f. 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比4.6%減少し、金額にして7億24百万円減少の150億21百万円となりました。

 

g. 資産

 当期末の総資産は、前期末に比べ43億63百万円増加し、2,547億1百万円となりました。流動資産は、前期末に比べ23億54百万円増加し、2,141億61百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が117億74百万円減少した一方、現金及び預金が113億5百万円、前渡金等の増加により流動資産その他が38億16百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前期末に比べ20億8百万円増加し、405億40百万円となりました。

 

h. 負債

 当期末の負債は、前期末に比べ66億68百万円減少し、1,165億51百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が37億1百万円、未払法人税等が19億34百万円、退職給付に係る負債が15億19百万円減少したことなどによるものであります。

 

i. 純資産

 当期末の純資産は、前期末に比べ110億31百万円増加し、1,381億49百万円となりました。これは主に、利益剰余金が90億84百万円増加したことなどによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ113億5百万円増加し、797億32百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、226億74百万円となりました。これは主に、売上債権の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前期と比べると52億91百万円の資金の増加となっております。

 なお、当社グループでは資本効率性の指標であるROEを高め、資本コストを上回るリターンを継続的に実現し、最大化するためには、運転資本の効率化を追求する必要があると考えており、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの圧縮に努めております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当社はローカル5Gおよびプライベートネットワーク関連の韓国通信機器メーカーへ投資を行いました。同社の保有する効率的な技術を活用することで、設計・構築から免許申請や保守運用までワンストップでサポートできる当社の強みと、事業ブランドのもとで提供するDXソリューションとを組み合わせ、お客様の最適なローカル5G活用を実現してまいります。また、新しい事業を創出するための基盤、仕組み、体制の強化に向けては、新たな技術をもたらす有望なスタートアップ企業との事業共創を進めております。このような考えのもと、投資活動の結果使用した資金は、71億62百万円となりました。前期と比べると28億73百万円の資金の減少となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、155億11万円の資金の増加となりました。前期と比べると24億18百万円の資金の増加となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、42億67百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前期と比べると18億79百万円の資金の減少となっております。

 利益配当金につきましては、前期末の1株当たり配当金を21円、中間の1株当たり配当金を19円にしたことにより、前期と比べると17億86百万円増加し、59億49百万円の支払となっております。

 

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの事業展開のための材料および機器の購入のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の経費によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費および当社グループの事業所の不動産賃借料等であります。当社グループは国や自治体、通信事業者等の公共的なインフラ構築をはじめとした信頼性の高いサービスを継続的に提供する責務があり、健全な財務基盤が要求されます。このため突発的な資金需要等に備え、売上高の2カ月程度は現預金として確保しておきたいと考えております。この資金の財源は主として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。また、事業を行うための設備計画等に照らして、必要な資金を調達(主に銀行等金融機関からの借入)しており、今後、事業成長や大きな投資等でさらなる資金需要が出てきた際は、株主価値に配慮し、売上高の2カ月分を超過した現預金に加え、健全性を損なわない範囲での負債の活用を優先してまいります。

 なお、当社は短期的な資金調達方法として、国内取引銀行2行と合計80億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに報告期間における収益・費用の数値に影響を与える見積りを行っております。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a. 一定期間にわたり履行義務が充足される施工工事等の収益認識

 当社グループは、施工工事等において、一定の期間にわたり充足される履行義務のうち、合理的な進捗度の見積りができるものについては、期間がごく短い場合を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積工事原価総額に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。将来工事原価総額の見積りの前提条件の変更等(設計変更や天災等)により当初見積りの変更が発生する可能性があります。

 

b. 受注損失引当金

 当社グループは、顧客より受注済みの案件のうち、当該受注契約の履行に伴い、翌連結会計年度以降に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、将来の損失に備えるため翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上しております。また、将来工事原価総額の見積りの前提条件の変更等(設計変更や天災等)により追加引当が発生する可能性があります。

 

c. 損害賠償引当金

 国内施工プロジェクトの遅延に係わる損害賠償金の支払に備えるため、今後必要と見込まれる額を計上しております。

 

d. 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得および、実現可能性の高い継続的な税務計画を検討いたしますが、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の取り崩し額を費用として計上いたします。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の追加計上額を利益として計上いたします。

 

e. 退職給付に係る負債

 退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報奨水準、退職率、死亡率および年金資産の収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。未認識数理計算上の差異の償却は、退職給付費用の一部を構成しておりますが、前提条件の変化による影響や前提条件と実際との結果の違いの影響を規則的に費用認識したものであります。

 

※1 DX:

Digital transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)・クラウドサービス等の最先端技術を用いて、企業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。

※2 ICT:

Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。

 

 

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