(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により厳しい状況が続いていましたが、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除され、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、長期化する半導体の供給不足による部品供給の滞りやウクライナ情勢等による地政学リスクもあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループは、永年にわたり培った情報・通信・映像事業の技術力に加え、照明制御業界内において、社会に適合したソリューションビジネスを着実に展開してまいりましたが、期初に懸念していた、半導体不足に伴う製品供給の遅れが映像事業に影響し、売上が計画を下回りました。利益面につきましては、付加価値の高い保守工事・保守料の売上が計画を上回ったことに加え、利用料収入の増加により計画を上回りました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して2億19百万円増加し、83億52百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して3億28百万円減少し、33億35百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して5億48百万円増加し、50億17百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における受注高は53億89百万円(前年同期比2.5%減)となり、売上高は59億45百万円(前年同期比9.2%減)、営業利益は3億70百万円(前年同期比25.5%減)、経常利益は4億43百万円(前年同期比22.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額を△2億65百万円計上したことにより5億63百万円(前年同期比69.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度におけるセグメントの概況は、次のとおりです。
従来のネットワークインフラの設計・提案・構築、「働き方改革」をキーワードとした、お客様の問題解決につながるソリューション提案を積極的に展開いたしましたが、期初に懸念していた、半導体不足に伴う製品供給の遅れが映像事業に影響し、売上が計画を下回りました。
以上の結果、当セグメントの受注高は48億28百万円(前年同期比1.6%増)、売上高は53億92百万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は3億34百万円(前年同期比22.6%減)となりました。
DALI制御による照明制御システムの設計・販売・施工を軸として、大型テナントビルや大手IT企業、ホテルを中心に積極的にビジネスを展開いたしました。
以上の結果、当セグメントの受注高は5億00百万円(前年同期比29.7%減)、売上高は4億92百万円(前年同期比4.7%減)、営業利益は3百万円(前年同期比85.5%減)となりました。
(c) 不動産賃貸事業
不動産の賃貸を事業としており、受注高は60百万円(前年同期比4.0%減)、売上高は60百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益は31百万円(前年同期比16.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1億8百万円増加し、24億37百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1億33百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益4億66百万円、棚卸資産の減少3億29百万円等の増加要因があった一方、売上債権の増加3憶12百万円、仕入債務の減少2億52百万円等の減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は2億8百万円となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入1億57百万円、リース投資資産の回収による収入76百万円等の増加要因があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億33百万円となりました。これは主に配当金の支払額83百万円、自己株式の取得による支出75百万円、リース債務の返済による支出74百万円によるものです。
当社グループが展開している事業の大部分を占める情報通信事業及び照明制御事業では請負形態をとっているため、生産実績及び販売実績を定義することは困難であります。
よって、記載可能な情報を「経営成績等の状況の概要」における各事業の業績に関連付けて記載しております。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の総資産は83億52百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億19百万円増加しました。これは主に、受取手形、完成工事未収入金等及び契約資産が3億21百万円、投資有価証券が1億77百万円、繰延税金資産が1億48百万円、現金預金が1億8百万円増加し、未成工事支出金が2億4百万円、土地が1億41百万円減少したこと等によります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は33億35百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億28百万円減少しました。これは主に、支払手形・工事未払金等が2億52百万円減少したこと等によります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は50億17百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億48百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が4億78百万円、その他有価証券評価差額金が1億21百万円増加したこと等によります。
当連結会計年度における売上高は、59億45百万円(前年同期比9.2%減)となりました。これは「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、半導体不足に伴う製品供給の遅れが映像事業に影響したことによります。
セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は16億89百万円(前年同期比7.0%減)となりました。売上総利益率は前連結会計年度比0.7ポイント増加し28.4%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は3億70百万円(前年同期比25.5%減)となりました。セグメント別の営業利益については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における営業外収益は76百万円(前年同期比3.1%増)となり、営業外費用は3百万円(前年同期比7.1%増)となりました。営業利益の減少により、経常利益は前連結会計年度と比較して1億24百万円減少し4億43百万円(前年同期比22.0%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額を△2億65百万円計上したことにより前連結会計年度と比較して2億31百万円増加し5億63百万円(前年同期比69.7%増)となりました。
(c) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
(中期経営計画の進捗状況等)
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」で記載したように、当社を取り巻く外部環境は劇的な変化を迎えています。当社はこの変化を脅威ではなく、次世代に飛躍するための機会と捉え、事業構造の改革に取り組みます。中期経営計画のテーマ「存在意義・再生」を踏まえ、従来の手法や考え方を踏襲する保守的な企業文化の変革を図ってまいります。原価意識を強く持つことで既存事業の収益率向上に加え、他社との協創により「マルチゲートウェイ」を新たな事業の柱として展開してまいります。
目標とする経営指標は以下のとおりです。
(d) 今後の見通し
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や世界市場での半導体(関連部品含)不足による納期への影響により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような環境において、当社は、情報通信事業ではMGW(マルチゲートウェイ)を積極的に推進し、ネットワークに繋がる全ての機器を制御するエンジニアリング会社を目指します。照明制御事業では、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現する上で重要な省エネと快適性を両立するシステムを構築します。また、適正な価格設定と利用料収入の増加により、収益性の向上に努めて参ります。
次期の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの影響は限定的であると見込み、売上高は62億00百万円を予定しております。また、利益につきましては、営業利益3億00百万円、経常利益3億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億30百万円を予定しております。
なお、新型コロナウイルス感染症や半導体不足の先行きは不透明であることから、今後、様々な要因の変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。業績見通しの修正の必要性が生じた場合には速やかに開示いたします。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの資金需要のうち主なものは、サービス提供の為に必要な材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の費用および設備改修等に係る投資であります。
これらの必要資金につきましては、自己資金および短期借入金で賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたって適用している重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載しております。また、この連結財務諸表の作成において必要とされる見積りについては、一定の会計基準の範囲内で継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際とは異なる結果となることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
(工事契約の履行義務の充足に係る進捗度の見積りによる収益認識)
当社グループは、工事契約に係る収益について、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法にて算出しております。
工事原価総額は、個々の案件に特有の状況を織り込んだ実行予算を使用しておりますが、工事着工後の作業内容の変更や機器材料価格又は外注価格の変動等に伴い、履行義務の充足に係る進捗度が変動することにより、認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
お知らせ