当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種普及等により一時持ち直しの動きが見られたものの、オミクロン変異株により感染が再拡大したほか、緊迫するロシア・ウクライナ情勢や世界的なインフレの進行に伴う原材料価格の高騰等によって先行き不透明な状況が続いております。また、海外子会社所在地のタイ・ベトナムでも、変異株による感染の急拡大により昨年7月からは厳格な社会隔離措置が実施され、経済活動が大幅に落ち込みました。9月以降は社会隔離措置が緩和されましたが、事業運営の難しい局面が続いております。
食品業界におきましては、リモートワークの定着や外食から中食・内食へのシフトによるライフスタイルの変化に加え、健康志向・節約志向など消費者ニーズや価値観が多様化し、より付加価値の高い製品の提供が求められております。また、高騰が続いている原材料価格や物流コストなどの企業収益圧迫もあり、経営環境は一層厳しさを増しております。
当社グループでは、「小麦製粉事業及び、その関連事業を通じて、食糧供給の一翼を担い、社会や人々に貢献してゆく企業を目指します」を企業理念とし、『「原料調達・製造・販売・開発・物流」全部門の連携を強化し全社一丸となって、食の安全・安心・美味しさをお届けしてゆきます。』を基本方針に掲げ、事業基盤の強化による持続的な成長と企業価値向上に努めております。また、当社グループの主力事業である「製粉及び食品事業」につきましては、お客様のニーズに合わせた新商品の開発や少量多品種の生産体制の強化を図り、積極的な提案営業に注力して参ります。
このような状況下、当連結会計年度における当社グループの主な取組みは、下記のとおりであります。
[グループ経営の体制強化・効率化]
アジア市場における事業拡大・安定的収益確保を目指して、タイ国内にミックス粉の製造・販売会社「Nitto Fuji International (Thailand) Co., Ltd.」を2018年11月に設立、2019年12月には工場が竣工しております。2021年度はコロナ禍により事業運営に一部影響がありましたが、製品の安定供給に努めるとともに、成長分野への積極的な拡販を進めております。また、2019年度までベトナムの子会社(NITTO-FUJI INTERNATIONAL VIETNAM CO., Ltd.)において製造していた一部製品を、タイでの製造へ移管することにより、生産体制の最適化を図っております。
引き続き、日本・タイ・ベトナムの三拠点による連携を深め、安定供給とリスクの分散を図ることでグループの総合力を強化して参ります。
[㈱増田製粉所とのシナジー創出・極大化]
㈱増田製粉所においては、技術に立脚したブランド価値の向上により顧客満足度を高めるなど、既存取引先との関係強化及び新規顧客の開拓に努めております。また、完全子会社とした際に施策として掲げた下記 ⅰ)~ ⅴ)について、今後も経営資源、システム、ノウハウなどの相互提供・活用を推進し、両社の企業価値をより一層向上させるシナジーの実現へ向けて、取組みを進めて参ります。
ⅰ)調達戦略
・ 外国産小麦の産地情報を両社で共有し、競争力のある原料調達を図ります。
・ 各々で強い関係のある産地の国内産小麦を相互活用するとともに、両社が共同で需給調整を行うことにより
国内産小麦の安定調達を図ります。
・ 資材の共同購入等により調達コストの低減を図ります。
ⅱ)製造戦略
・ 適地工場での製造により製造の効率化を図ります。
・ 製造技術の共有により、製造コストの低減を図ります。
・ 両社の製品毎の需給情報の共有化により製造体系の最適化を図ります。
ⅲ)販売戦略
・ 両社の持つ商流を活用し、両社商品の未開拓市場への拡販を図ります。
・ 三菱商事グループが持つ川上(原料調達)から川下(小売)までの一貫したバリューチェーンを最大限活
用して事業展開を進め、商品の拡販を図ります。
・ 両社の製造設備を活用し、西日本市場への拡販を図ります。
・ 大正初期からの秘伝として独特の粉作りを引き継ぎ、さらに改良を重ねた製品である「宝笠小麦粉シリ
ーズ」のブランド力強化と地域横断的な展開を推進します。
ⅳ)研究開発
・ 両社の技術を融合し高品質な新商品を開発します。
・ 研究開発部門が連携し開発ノウハウを共有することによって、商品開発力の向上と効率化を図ります。
ⅴ)物流戦略
・ 両社の持つ拠点を活用し、物流の効率化を図ります。
・ 子会社である日東富士運輸㈱を活用し、グループ全体の収益力を高めます。
[その他の生産性向上・コスト削減の施策]
ⅰ)製販の緊密な連携による生産ロス・廃棄物の削減
ⅱ)リモートワークを契機としたタスク管理システムや電子印鑑の導入、定型業務のRPA化などにより経費
削減・間接部門業務の効率化
ⅲ)グループ会社共通のITインフラ構築(ネットワーク統合)による集中管理・コスト削減
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ34億9千1百万円増加し、558億7千万円となりました。負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ13億9千2百万円増加し、141億1千7百万円となりました。純資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ20億9千9百万円増加し、417億5千3百万円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は593億4千万円と前連結会計年度に比べ27億9千5百万円(4.9%)の増収となり、営業利益は44億4百万円と前連結会計年度に比べ1億3千5百万円(3.0%)の減益、経常利益は48億8千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.8%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は37億1千4百万円と前連結会計年度に比べ1億7千7百万円(5.0%)の増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
当事業部門につきましては、グループ各社の収入が新型コロナウイルス感染症の影響による前期の落ち込みから回復したのに加え、巣籠り需要を捉えた中食関連商品の拡販等もあって、売上高は前連結会計年度比増収となりました。しかしながら利益面では、販売運賃等の販売費及び一般管理費の負担が増えたため、前連結会計年度比若干の減益となりました。
この結果、売上高は498億1千万円と前連結会計年度に比べ25億2千3百万円(5.3%)の増収となり、営業利益は40億4千9百万円と前連結会計年度に比べ7百万円(0.2%)の減益となりました。
当事業部門につきましては、主力のKFC店におけるキャンペーンの定期的展開により、売上高は前連結会計年度比増収となりました。しかしながら利益面では、デリバリーサービスの利用者拡大による配送コストの増加などにより前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は93億8千8百万円と前連結会計年度に比べ2億7千万円(3.0%)の増収となり、営業利益は2億1千9百万円と前連結会計年度に比べ7千4百万円(25.3%)の減益となりました。
当事業部門につきましては、売上高は前連結会計年度比減収となりました。利益面においても、配送の効率化や経費削減努力を行いましたが、燃料価格の高騰や車両の入替えに伴う減価償却費の増加などにより、前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は19億7千1百万円と前連結会計年度に比べ2千万円(1.0%)の減収となり、営業利益は1億1百万円と前連結会計年度に比べ5千8百万円(36.5%)の減益となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は98億4百万円と前連結会計年度に比べ7億3千9百万円(7.0%)減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
税金等調整前当期純利益54億9千8百万円、減価償却費12億7千8百万円等で資金が増加した一方、法人税等の支払額19億4千1百万円等により資金が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは21億7千1百万円の資金増加となり、当連結会計年度に獲得した資金は前連結会計年度に比べ14億9千6百万円(40.8%)減少しました。
有形固定資産の取得による支出16億2千2百万円等により資金が減少した一方、投資有価証券の売却による収入2億2千1百万円等により資金が増加した結果、投資活動によるキャッシュ・フローは15億6千3百万円の資金減少となりました。当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ13億5千6百万円(654.5%)増加しました。
配当金の支払額12億5千5百万円等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは14億4千万円の資金減少となり、当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ1億2千万円(9.1%)増加しました。
ⅰ)株主還元・配当政策
株主の皆様への利益還元である配当政策を経営の重要課題の一つとして認識し、安定的かつ継続的な配当の実施を基本としつつも、『2024中期経営計画”New Foundation for the Future”』の最終年度である2025年3月期迄は、連結ベースの配当性向40%以上をもう一つの基準としております。
当連結会計年度においては、1株あたり年間275円(2021年3月期期末配当118円、2022年3月期中間配当157円)、総額12億5千5百万円の配当金支払いを実施しました。
また、2022年5月6日に開催された取締役会決議により、2022年3月31日現在の株主に対し、1株当たり期末配当85円、総額7億7千4百万円の支払いを2022年6月13日に実施しております。なお、当社は2021年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いました。株式分割を考慮しない場合の2022年3月期の1株当たり期末配当金は170円となります。
ⅱ)設備投資
当社グループは、生産能力増強や合理化によるコスト競争力の向上、並びに将来の利益確保を目的に、継続的な設備投資が必要と考えております。
当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出は16億2千2百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ6億1千1百万円(60.5%)増加しました。無形固定資産の取得による支出は4千1百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ9百万円(28.7%)増加しました。
なお、これらの設備投資額は自己資金により賄われております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×当社の期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用
しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債
を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用し
ております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 98億4百万円 、連結有利子負債の残高は6億7千万円となっております。現金及び現金同等物の保有額について厳密な目標水準は定めておりませんが、金融情勢などを勘案しつつ、機動的な対応に備え十分な現金及び現金同等物を保有する事としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34億9千1百万円増加し、558億7千万円となりました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品が21億9千1百万円、受取手形及び売掛金が9億5千4百万円、増加した一方、短期貸付金(キャッシュ・マネジメント・システムによる実質的な現金及び現金同等物)が11億9千4百万円減少したこと等となります。
当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ13億9千2百万円増加し、141億1千7百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が12億6千8百万円増加したこと等となります。
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ20億9千9百万円増加し、417億5千3百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が24億5千9百万円増加したこと等となります。
当連結会計年度の当社グループの業績について、製粉及び食品事業においては、コロナ禍による消費行動や嗜好・トレンドの変化を的確に捉えた新商品開発が奏功したのに加え、中食関連商品の販売も拡大、また、外食事業における販売が好調だったことから、売上高は593億4千万円と前連結会計年度に比べ27億9千5百万円(4.9%)の増収となりました。しかしながら利益面では、販売手数料・販売運賃等の販売費及び一般管理費の負担が増えたため、営業利益は44億4百万円と前連結会計年度に比べ1億3千5百万円(3.0%)の減益となりました。
当連結会計年度の営業外損益は、為替差益が増加したものの、固定資産賃貸料の減少等により前連結会計年度に比べ5百万円悪化し、4億8千2百万円の利益となりました。
これにより、経常利益は48億8千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.8%)の減益となりました。
当連結会計年度の特別損益は、固定資産売却益が減少したものの、協力金収入の発生や投資有価証券売却益の増加等により前連結会計年度に比べ5億1百万円改善し、6億1千1百万円の利益となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は54億9千8百万円となり、税金費用17億8千万円、非支配株主に帰属する当期純利益3百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は37億1千4百万円と前連結会計年度に比べ1億7千7百万円(5.0%)の増益となりました。
当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに製造設備の新設、改修等に係る投資によるものであります。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと、金融機関などからの借入れにより調達しております。なお、調達コストの観点から、長期と短期のバランスを勘案し、低コストかつ安定的な資金確保に努めております。
また、運転資金等の安定的な調達を行うため、取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、2022年3月末現在の契約総額は、約105億円(うち、借入実施額5億円)であります。
当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を当社が一元管理しております。各社における余剰資金を当社へ集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的にグループ内に配分することにより、資金効率の向上と金融負債の極小化を図っております。
なお、当社が一元管理するグループ余剰資金は、CMSにより親会社(三菱商事㈱)が同一であるグループ会社(三菱商事フィナンシャルサービス㈱)へ貸付しており、安全性並びに流動性の高い運用であると考えております。
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