(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)のわが国経済は、前連結会計年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、企業・個人の活動が制限され、国内の経済は厳しい環境で推移しました。3月21日には全国でまん延防止等重点措置が解除され、今後の経済活動の活発化が期待されますが、依然として国内における新規感染者数や海外の変異株の動向等不透明な状況が続いております。
飼料業界におきましては、主原料であるとうもろこしは原油価格の上昇に伴うエタノール需要の増加等による旺盛な需要の影響を受け価格が上昇し、その後も穀物輸出国であるウクライナ情勢の緊迫化の影響もあり穀物価格が更なる上昇傾向となったことから前年同期を大幅に上回っております。
畜産物につきましては、豚肉相場は出荷頭数不足と底堅い内食需要により堅調な推移が続いたものの、期の後半にかけやや軟調となりましたが、前年同期を上回っております。鶏卵相場は全国各地で発生した鳥インフルエンザにより供給量が落ち込んだことにより期の前半は高値基調となり前年同期を大幅に上回りましたが、1月以降供給が安定したため値を下げており、前年同期を下回っております。牛肉相場は消費の落ち込みを受け大幅に値を下げた後、徐々に値が上がり前年同期を上回っております。
こうした環境にあって当社グループは、2021年度を初年度とする3ヶ年の第3次中期経営計画の達成に向けて、引き続き原料調達・生産体制の合理化、畜産・水産生産者へ供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを進めております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は2,432億2百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益は42億9千3百万円(前年同期比24.3%減)、経常利益は50億6千7百万円(前年同期比16.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は36億5千9百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態及び経営成績に影響を及ぼしております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。
(飼料事業)
飼料事業では、畜産飼料の平均販売価格が前年同期を大幅に上回ったこと等から、売上高は2,033億9千8百万円(前年同期比25.4%増)となりました。営業利益は、とうもろこし等の原材料価格の上昇に加え、飼料価格安定基金負担金等の販売費及び一般管理費が増加したこと等から、65億3千1百万円(前年同期比13.6%減)となりました。
(食品事業)
食品事業では、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、代理人として行われる取引について売上高を純額とした影響等から、売上高は373億6千6百万円(前年同期比24.1%減)となりました。また、農林水産省が公募した「令和2年度国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業(うち創意工夫による多様な販路の確立)」等に参画し、新型コロナウイルス感染症の影響で販路を失った水産物の販売活動の多様化のための補助対象経費を計上したこと等により、5千2百万円の営業損失(前年同期は1億5千万円の営業利益)となりました。なお、本事業等の補助金収入については、営業外収益に3億2千6百万円計上しております。
(その他)
特約店、畜産・水産生産者への畜水産機材の販売等の結果、売上高は24億3千7百万円(前年同期比9.1%減)となり、営業利益は2億8千6百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、畜産飼料の平均販売価格の上昇による受取手形及び売掛金の増加、棚卸資産の増加等により1,085億4百万円(前期末比9.3%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、原材料価格の上昇による支払手形及び買掛金の増加、短期借入金の増加等により636億6千3百万円(前期末比12.8%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、自己株式の取得及び消却、配当金の支払い等による減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により448億4千万円(前期末比4.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億1千4百万円増加し、当連結会計年度末には34億4千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金需要の増加や法人税等の支払による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等による資金の増加が上回り、27億3千9百万円の収入(前年同期は77億3千7百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、北九州畜産工場の開設に係る補助金による収入、貸付金の回収、投資有価証券の売却等による資金の増加があったものの、有形及び無形固定資産の取得等による資金の減少が上回り、9億5千2百万円の支出(前年同期は59億8千9百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金需要に対応するための短期借入金の増加等による資金の増加があったものの、自己株式の取得や配当金の支払い等による資金の減少が上回り、11億7千3百万円の支出(前年同期は15億5千万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産及び仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
飼料事業 |
185,050 |
127.9 |
食品事業 |
34,610 |
74.5 |
報告セグメント計 |
219,660 |
115.0 |
その他 |
2,211 |
94.7 |
合計 |
221,871 |
114.7 |
(注)1 金額は製造原価及び仕入高の金額によっております。
2 セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
飼料事業 |
203,398 |
125.4 |
食品事業 |
37,366 |
75.9 |
報告セグメント計 |
240,764 |
113.9 |
その他 |
2,437 |
90.9 |
合計 |
243,202 |
113.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して100分の10を超える相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、畜産飼料、水産飼料、食品事業、海外事業を4本柱とする収益の最大化を目指していく中で、連結経常利益62億円を最終年度とする3ヶ年(2021年度~2023年度)の「第3次中期経営計画」を策定し原料調達・生産体制の強化、畜産・水産生産者の皆様に供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを継続して進めております。
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,432億2百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益42億9千3百万円(前年同期比24.3%減)、経常利益50億6千7百万円(前年同期比16.7%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は36億5千9百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。
当社グループにて製造・販売する配合飼料の主原料(とうもろこし等)の多くは海外からの調達に頼っているため、米国等の産地での作付面積・天候変動による収穫量の増減、先物相場における投機筋の動向、中国での使用量増加に伴う輸入量の増加、原料産地における地政学的リスク、海上運賃の変動等は、原料コストに大幅な変動を与える可能性があります。
また、為替相場の急激な変動が調達コストに反映され、経営成績に重要な影響を及ぼします。このため為替予約を行い、影響を最小限に止める努力をしておりますが、計画された原料コストによる調達ができない可能性があります。
当社グループは、連結子会社及び関連会社に畜産物、養殖魚の生産会社を有しております。畜水産物相場が大幅に変動した場合や、疾病等の発生により生産物の出荷停止や大量廃棄を余儀なくされる場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループの主要な製品である配合飼料の販売先は畜産・水産生産者であり、飼料価格の急激な上昇や畜水産物相場の極端な低迷に伴う経営悪化により、債権回収面に問題が発生する可能性もあります。
当社は配合飼料製造業者として、配合飼料価格安定制度に携わっております。同制度において配合飼料製造業者として負担する積立金の大幅な増減は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
畜水産業界を取り巻く環境は、食の安心安全についての法制度の見直しが進められておりますが、このような状況下、生産コストの上昇を伴う法令等の改正があった場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、TPPやFTA等の進捗に伴い農業政策が変更された場合等により、当社グループの中核となる飼料事業を取り巻く環境が変化した場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらの状況を踏まえ、各部門にて現状把握と将来予測による戦略プランの立案・実行に努めるとともに、グループ戦略会議を原則として月1回以上実施しております。また、当社グループ内で発生した問題に対し組織単位レベルで対策を検討・実施しており、グループ全体における経営活動の更なる改善・向上を目指しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症がセグメントに与える影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおり、現時点で軽微であると判断しております。
(飼料事業)
飼料事業においては、畜産飼料の平均販売価格が前年を大きく上回ったこと、乳牛のゲノム解析、生乳脂肪酸組成分析などのサービス拡充による販売数量の増加等から増収となりました。一方、損益面においては飼料価格安定基金負担金の増加等により販売費及び一般管理費が大幅に増加したことから減益となりました。水産飼料は主力となるタイ・ハマチの育成魚減少等による飼料給与量減少のため販売数量が減少したこと及び原料価格の上昇により減収・減益となりました。
そのような環境の中で当社グループは、工場への生産設備増強等を実施し顧客ニーズを捉えた製品の供給により他社との差別化を図ってまいります。
(食品事業)
食品事業では、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、代理人として行われる取引について売上高を純額とした影響等から大幅な減収となりました。食肉においては豚肉相場が堅調に推移したことで仕入原価の上昇、鶏卵は、2021年3月期に発生した鳥インフルエンザの影響により供給面においてタイトな状況が続いたため鶏卵相場が高騰したこと、水産物において農林水産省が公募した「令和2年度国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業(うち創意工夫による多様な販路の確立)」等に参画し、新型コロナウイルス感染症の影響で販路を失った水産物の販売活動の多様化のための補助対象経費を計上したこと等により、減益となりました。なお、本事業等の補助金収入につきましては、営業外収益に計上しており、これを含めると前年を上回る利益となります。
そのような環境の中で当社グループは、収益の4本柱の一つである食品事業の更なる成長と効率化による収益拡大を実現するため、引き続き設備投資の実施による増産体制構築、防疫管理及び安全衛生管理の徹底と生産の効率化に取り組んでまいります。
(その他)
その他は、畜水産機材の販売等の減少により、減収・減益となりました。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は、次のとおりであります。
当社グループは、経常利益を重要な指標として位置づけております。2021年度の経常利益は50億6千7百万円となり、第3次中期経営計画における2021年度の計画値54億円を下回る結果となりました。これは、畜産飼料における販売費及び一般管理費が計画値を大きく上回ったこと等が主因となります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、飼料事業における配合飼料の製造・販売、食品事業における豚などの飼育・仕入・販売及び食肉・加工品の仕入・販売、鶏卵の仕入・生産・加工・販売、水産物の仕入・販売等のための営業費用並びに設備の新設・更新・合理化工事等の投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。
新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ情勢等の影響による追加の資金調達予定は現時点でありませんが、今後の情勢を注視しながら、金融機関との取引関係を維持・強化し、安定的かつ機動的な資金調達体制の確保を図ります。
また、当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額65億円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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